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第014部 君分かれる事なかれ/君離れる事なかれ
プロローグ 始りは雨降る異界にて…
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雨…は事が有利に運ぶ場合と運ばない場合がある…この魑魅魍魎が跋扈する坩堝な世界《アストマーズ》で、繰り広げられる終わりなき競争…。
『おぉーと来ました!本日のトップはやはりキングオブキング!ラグーチェ!』
雨の中怒号と歓声が響く中、翼を生やした馬に乗った人物が他を圧倒する速度で用意された輪を駆け抜け勝利を決めた…。
「ま、そうなるね」
次々その馬の後を追う形で11頭の翼を生やした馬が輪を潜っていく、雨は降る誰も彼もが濡れている事を忘れ熱狂する…《アストマーズ》の最大の娯楽である《ホローリングレース》そして遅れてやって来た翼をを生えやした黒い馬、もう誰も13番目に輪を潜った存在などどうでも良いと誰も感心を向けない。
「うん、今日も生き延びたな。よし」
黒い馬…ホローから降りた男は濡れた髪を振り身に着けていたゴーグルを外し、背伸びをして相方のホローを撫でた。
「マゥ、今日もお疲れ!頑張ったから今夜は特別にマロを上げるからな」
「お疲れ様、ジュカ。報酬」
「旦那、どうもー」
レースに出ていた者達が各々ホローのケアをしていれば、黒い馬のマロとその操者の元に黒い大きな羽飾りを付けたシルクハットの男が金を入れた小袋を放って寄越す。
「少し弾んだから」
「助かる、旦那」
「おーおー万年最下位の奴のご主人様はお優しくていいねぇ」
「そうそう、13位のジュカちゃん」
「まあね、良い主人に拾って貰って俺はいつも感謝しているさ」
周囲の同じ操者達がジュカを馬鹿にして笑う、ジュカはいつも事で笑って報酬を懐にしまった。
ジュカの主は何も言わない薄い笑みを浮かべている、周囲の操者達の主人達はジュカの主人を見下すような視線や嫌悪を浮べる主人達もいた。
「ファーツコクス、次回の《天魔会議》に出ろよ。俺の所に釘を刺しに遣いが来たぞ。迷惑だ」
「ツェスタス。それは申し訳ない、面倒を掛けた」
「そう思うなら出ろ」
「ツェスタス殿の言う通りだ、ファーツコクス殿。次回は必ず参加するように」
「はいはい、承知しました承知しました」
そんな中、ジュカの主人ファーツコクスに声を掛ける不機嫌な男ツェスタスそれに乗る形で背後からまた男が1人ツェスタスに並んだ。
ファーツコクスは気だるげに肩を竦める、《ホローリングレース》終了の声が流れ観客は流れに沿って出て行く、雨は激しさを増ししていった…。
「先生…」
「はい」
「先生」
「はい」
「いつになったら此処を出られるんです?」
「………」
「先生」
「はい」
「どうして答えてくれないんです?」
「答えられない質問には答えられません」
「どうして?私はどこも痛くない、悪くもない、おかしくない…いつ出られますか?」
「出たいんですか?出てどうします?何をします?」
「…空を見て」
「空を見て?」
「風を感じて…」
「風を感じて?」
「花や木を見て…」
「花や木を見て?」
「外で…………」
「なるほど、ではまずは空、風、花、木、そして外をどうぞ」
白い部屋に置かれた椅子2脚、其処に座る2人…先生と呼ばれた人物は指を鳴らし白い部屋には大地と空風と木と花が産まれた。
「これじゃない…」
「同じですこれでいいでしょう?」
「………」
「ここにいる事が貴方の幸せで我々の幸せです」
「………」
「退屈じゃ!またラグーチェが勝ったのじゃ!ここ数十年ずっとこうなのじゃ!」
「《無敗の王》…ラグーチェ・廻狼は天才です、千年の逸材ですから。彼が敗けるなどあり得ません」
絢爛豪華な建造物、白金の長い髪の子どもがじたばたと床の上で暴れるが傍で控えていた者達は静かに言葉を返す。
「つまらないのじゃ!」
「兄上……執務が滞っています」
「ふん、お前がやるのじゃ燕碑(えんひ)我は今機嫌が悪いのじゃ」
「兄上でなければ事が進みません」
豪奢な細工が施された引き戸が開き白金の髪の少年と同じ姿をした少年燕碑が静かに言えば、命令が下されそれに首を振る。
「いやじゃ!つまらぬ!面白い事がなければ政なぞせぬ」
「それでしたら…次回の《ホローリングレース》に特別な報酬か何かを変えるのは如何ですか?旦那様」
「おお!そうじゃそうじゃ、流石は我が第三妃!良い次の《天魔会議》で決めるのじゃ」
「………」
涼し気な声、傍らに控えていた1人がそう告げれば少年は身体を起こし大喜びをする、早速燕碑に命を下し燕碑がすっと立ち上がり部屋を後にする際ちらりと第三妃と呼ばれた方を見て去っていく、第三妃は涼し気な声に相応しい艶やかな容姿に笑みを浮かべ目を伏せていた。
「やれやれ、悪魔たちは今日も《ホローリングレース》に夢中ですか」
「どうせラグーチェが勝ってジュカが最下位でしょう、いつもの事によくもまあ…」
「ですが、必要な娯楽ですね。我々対の番の悪魔達の番付の1つでもありますから」
「今回は2位が貴方の番ネマットの操者ですか、中々の追い上げですね」
「ああ、そうだな。何か褒美をと思うが」
「ならば、首飾りは如何です?」
「そうしよう、そちらは今回も1位だ褒美を出さないのか?」
「面倒だ…お前のついでに用意してくれ」
「いいだろう、いつも楽しませて貰っているからな」
「で、今回ももちろん最下位の貴方の所のファーツコクスには如何します?」
「そろそろ罰を与えねばなりませんよ」
石造りの神殿、明るい陽が注ぐ場所だが雨は降っている…13席の椅子に座った翼を持つ者達、頭上には光輪が浮き大小其々に数が違いそれが序列を現していた。
「……では次の《ホローリングレース》で」
「どうせ、最下位なんだ。羽を1枚切り落とすか」
「もう1枚しかないのに?可哀想ですぅ」
「その時に決めればいいですよ、天帝もそれで少しは退屈が紛れるでしょう」
いつもと然程変わらない話し合い、誰も彼もがこの怠惰で窮屈な枠の中で生き辛く生きていた…。
『おぉーと来ました!本日のトップはやはりキングオブキング!ラグーチェ!』
雨の中怒号と歓声が響く中、翼を生やした馬に乗った人物が他を圧倒する速度で用意された輪を駆け抜け勝利を決めた…。
「ま、そうなるね」
次々その馬の後を追う形で11頭の翼を生やした馬が輪を潜っていく、雨は降る誰も彼もが濡れている事を忘れ熱狂する…《アストマーズ》の最大の娯楽である《ホローリングレース》そして遅れてやって来た翼をを生えやした黒い馬、もう誰も13番目に輪を潜った存在などどうでも良いと誰も感心を向けない。
「うん、今日も生き延びたな。よし」
黒い馬…ホローから降りた男は濡れた髪を振り身に着けていたゴーグルを外し、背伸びをして相方のホローを撫でた。
「マゥ、今日もお疲れ!頑張ったから今夜は特別にマロを上げるからな」
「お疲れ様、ジュカ。報酬」
「旦那、どうもー」
レースに出ていた者達が各々ホローのケアをしていれば、黒い馬のマロとその操者の元に黒い大きな羽飾りを付けたシルクハットの男が金を入れた小袋を放って寄越す。
「少し弾んだから」
「助かる、旦那」
「おーおー万年最下位の奴のご主人様はお優しくていいねぇ」
「そうそう、13位のジュカちゃん」
「まあね、良い主人に拾って貰って俺はいつも感謝しているさ」
周囲の同じ操者達がジュカを馬鹿にして笑う、ジュカはいつも事で笑って報酬を懐にしまった。
ジュカの主は何も言わない薄い笑みを浮かべている、周囲の操者達の主人達はジュカの主人を見下すような視線や嫌悪を浮べる主人達もいた。
「ファーツコクス、次回の《天魔会議》に出ろよ。俺の所に釘を刺しに遣いが来たぞ。迷惑だ」
「ツェスタス。それは申し訳ない、面倒を掛けた」
「そう思うなら出ろ」
「ツェスタス殿の言う通りだ、ファーツコクス殿。次回は必ず参加するように」
「はいはい、承知しました承知しました」
そんな中、ジュカの主人ファーツコクスに声を掛ける不機嫌な男ツェスタスそれに乗る形で背後からまた男が1人ツェスタスに並んだ。
ファーツコクスは気だるげに肩を竦める、《ホローリングレース》終了の声が流れ観客は流れに沿って出て行く、雨は激しさを増ししていった…。
「先生…」
「はい」
「先生」
「はい」
「いつになったら此処を出られるんです?」
「………」
「先生」
「はい」
「どうして答えてくれないんです?」
「答えられない質問には答えられません」
「どうして?私はどこも痛くない、悪くもない、おかしくない…いつ出られますか?」
「出たいんですか?出てどうします?何をします?」
「…空を見て」
「空を見て?」
「風を感じて…」
「風を感じて?」
「花や木を見て…」
「花や木を見て?」
「外で…………」
「なるほど、ではまずは空、風、花、木、そして外をどうぞ」
白い部屋に置かれた椅子2脚、其処に座る2人…先生と呼ばれた人物は指を鳴らし白い部屋には大地と空風と木と花が産まれた。
「これじゃない…」
「同じですこれでいいでしょう?」
「………」
「ここにいる事が貴方の幸せで我々の幸せです」
「………」
「退屈じゃ!またラグーチェが勝ったのじゃ!ここ数十年ずっとこうなのじゃ!」
「《無敗の王》…ラグーチェ・廻狼は天才です、千年の逸材ですから。彼が敗けるなどあり得ません」
絢爛豪華な建造物、白金の長い髪の子どもがじたばたと床の上で暴れるが傍で控えていた者達は静かに言葉を返す。
「つまらないのじゃ!」
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「いやじゃ!つまらぬ!面白い事がなければ政なぞせぬ」
「それでしたら…次回の《ホローリングレース》に特別な報酬か何かを変えるのは如何ですか?旦那様」
「おお!そうじゃそうじゃ、流石は我が第三妃!良い次の《天魔会議》で決めるのじゃ」
「………」
涼し気な声、傍らに控えていた1人がそう告げれば少年は身体を起こし大喜びをする、早速燕碑に命を下し燕碑がすっと立ち上がり部屋を後にする際ちらりと第三妃と呼ばれた方を見て去っていく、第三妃は涼し気な声に相応しい艶やかな容姿に笑みを浮かべ目を伏せていた。
「やれやれ、悪魔たちは今日も《ホローリングレース》に夢中ですか」
「どうせラグーチェが勝ってジュカが最下位でしょう、いつもの事によくもまあ…」
「ですが、必要な娯楽ですね。我々対の番の悪魔達の番付の1つでもありますから」
「今回は2位が貴方の番ネマットの操者ですか、中々の追い上げですね」
「ああ、そうだな。何か褒美をと思うが」
「ならば、首飾りは如何です?」
「そうしよう、そちらは今回も1位だ褒美を出さないのか?」
「面倒だ…お前のついでに用意してくれ」
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「……では次の《ホローリングレース》で」
「どうせ、最下位なんだ。羽を1枚切り落とすか」
「もう1枚しかないのに?可哀想ですぅ」
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