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器用なおっさんは異世界に行っても器用なおっさんです 第9楼 おっさん、式紙の性能を上げて困らせる
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「おはよう」
「おはようございます」
「昨日の美味かった、今日は買いに来た」
「ありがとうございます、今日は昨日と違うんですよ。餡子とジャム2種類ずつあるんですが」
「全部貰おう、仕事終わりでこのまま帰るから今日の飯にするよ」
朝、蟆摧に朝食を渡し店の隣で屋台の準備を始めると倥莱が訪れる、今日は焼いた生地は作り置きにし餡子かジャムか選んで貰い販売するスタイルにしよう決め倥莱は全部と言うので早速焼いた生地に匙で餡やジャムを塗って巻いて紙を巻いて渡す、今日は1枚400楼、昨日毎日値段と売る物は変わると伝えているので会計もすんなり済む。
「またこれ貰っても良いか?」
「ええ、どうぞ」
品を受け取り、屋台に並べたおりがみの動物を貰って倥莱は去って行く、朝は人気はまばらだこの街は朝は静からしいその空気を幾眞は気に入った。
「さ、焼いていきましょう」
幾眞はこの静けさの内に沢山生地を焼いて行く、生地が焼ける良い匂いが広がった。
「なんだこれは?」
「おっさんが作ったんだよ」
「あのおっさん、何者だ?式紙師でもこれ程の物は出来ない」
「すげーよな、これ式紙にしてみろよ」
「…そうだな」
朝、拄魏が気だるげに起き出し事務所に置いてある朝食を平らげ冷えた茶を冷蔵庫から出して飲み干し、鴎が幾眞から貰ったおりがみを出し驚く。
「これ鳥、これにしろよ」
「ああ、鳥がうまく使えれば迷宮が楽に進む」
鴎がワクワクした様子で拄魏に式紙にしろと言い、鶴を手に拄魏が息を吹き込んだ…。
「この黒いのくれ」
「はい、ありがとうございます」
「俺はジャムのやつと餡子1枚ずつな」
「はい、どうぞ」
生地を焼いた端から注文が入る、餡子は早々に完売し昨日の客の姿もちらほらとあり、白あんも無くなりそうだ。
「これで餡子は終わりですね」
「じゃ、白いのとジャムのくれ」
「はい、ありがとうございます」
食べ比べや興味を持ったお陰か1人2、3枚買って行く、子どもを連れた親も4枚買って行くのでそろそろ完売の看板を出す為に1度列の最後尾に向かった。
「すみません、これで完売です」
「えー」
「また明日もやりますね」
最後尾に並ぼうとした客に頭を下げて売っていく、売り始めて2時間も経っていない、ありがたい事だった…。
「おっさん!なんだこの式紙は?」
「もう売り切れか」
「鴎さん、拄魏さん、おかげ様で完売しました。これから仕入れにでも…その肩の…鶴ですか?大きいですね?」
「これはおっさんが作った紙だ。俺が式紙にしたら勝手に大きさを変えて…消えない」
「……?」
全て完売し片づけを始めた幾眞の元に鴎と拄魏が訪れる、拄魏の肩には1回り大きくなった白い鶴のおりがみが止まっていた…。
式紙とは術師が自分で型を作った物、または式紙師に作って貰った物に息と妖力を注いで動かす物であり、迷宮の索敵や身代わりなどに用いられる、式紙は術者の腕によるが荷物等や帯同時間等も変わる使い捨ての物だった。
「なんなんだ?おっさん、これは異常だ」
「私はただのおっさんなんですが」
市場へ向かい鴎と拄魏によって奥へと連れて行かれる、鶴は小さくなれと拄魏が命じると爪程の大きさになり肩に留まっていた。
「ふつうは2,30分位で消えるし大きさも変わらないもんだぞー」
「ああ、細かい命令も伝わらん……ここは《式紙屋》だ、おい、蝋吐(ろうど)」
「はいはーいらっしゃいませー」
「紙が沢山ありますねー」
「そりゃ《式紙屋》だからな」
拄魏が案内したのは木造の店、立て付きの悪い引き戸を引いて店主の名を鴎が呼ぶと奥から袖が長い服を着た片眼鏡を掛けた青年がひょこひょこと出迎えてくれた。
「こんにちは」
「いらっしゃいー拄魏は式紙買ってくの?今日は新しいのないよ。最近式紙師が値上げしてさ、揉めてんのよ」
「このおっさんが折る、おっさん好きな色の紙で折れ」
「何を折ればいいんですか?」
「鳥がいい」
「分かりました、そうですね…この黒い紙はどうです?」
「あーその黒いのは失敗作だよ…妖力分散させ過ぎで黒に変色させてしまったから戻し屋に渡すんだ」
「そうなんですね、1枚折ってみてもいいですか」
「いいよ、戻すのにも金が掛かるし」
棚や店の机に所せましと置かれた紙、材質も大きさも様々で幾眞が目に付いたのはやたらと山積みになった真っ黒な四角の紙、それで幾眞はカラスを折ってみる、鶴も折って拄魏に渡す。
「なにそれ!?すごいな鳥?迷宮の妖魔に似ているけど、こっちの鳥もなんか品があるね!」
蝋吐が出来たカラスと鶴を見て興奮気味に鼻息荒く拄魏の手元を見ている、幾眞は黒いおりがみで花やシャチやイルカを折って遊んでいる、拄魏は息と妖力を吹き込み動かせば黒いカラスと鶴がふわりと宙に浮かんだ。
「この固い紙の紐みたいなのは?」
「ああそれは髪飾りとかに使える端材だよ」
「これいいですね、買います」
「あ、あげるあげるから他の紙でもなんか折って!」
他にも固い紙の長い細い所謂クラフトテープみたいな物を見つけ、良い物を見つけたと買おうとすれば蝋吐が全部上げるから他にも折って欲しいと言われ色々折って渡して夕食と明日の屋台の買い物に向かった…。
「おはようございます」
「昨日の美味かった、今日は買いに来た」
「ありがとうございます、今日は昨日と違うんですよ。餡子とジャム2種類ずつあるんですが」
「全部貰おう、仕事終わりでこのまま帰るから今日の飯にするよ」
朝、蟆摧に朝食を渡し店の隣で屋台の準備を始めると倥莱が訪れる、今日は焼いた生地は作り置きにし餡子かジャムか選んで貰い販売するスタイルにしよう決め倥莱は全部と言うので早速焼いた生地に匙で餡やジャムを塗って巻いて紙を巻いて渡す、今日は1枚400楼、昨日毎日値段と売る物は変わると伝えているので会計もすんなり済む。
「またこれ貰っても良いか?」
「ええ、どうぞ」
品を受け取り、屋台に並べたおりがみの動物を貰って倥莱は去って行く、朝は人気はまばらだこの街は朝は静からしいその空気を幾眞は気に入った。
「さ、焼いていきましょう」
幾眞はこの静けさの内に沢山生地を焼いて行く、生地が焼ける良い匂いが広がった。
「なんだこれは?」
「おっさんが作ったんだよ」
「あのおっさん、何者だ?式紙師でもこれ程の物は出来ない」
「すげーよな、これ式紙にしてみろよ」
「…そうだな」
朝、拄魏が気だるげに起き出し事務所に置いてある朝食を平らげ冷えた茶を冷蔵庫から出して飲み干し、鴎が幾眞から貰ったおりがみを出し驚く。
「これ鳥、これにしろよ」
「ああ、鳥がうまく使えれば迷宮が楽に進む」
鴎がワクワクした様子で拄魏に式紙にしろと言い、鶴を手に拄魏が息を吹き込んだ…。
「この黒いのくれ」
「はい、ありがとうございます」
「俺はジャムのやつと餡子1枚ずつな」
「はい、どうぞ」
生地を焼いた端から注文が入る、餡子は早々に完売し昨日の客の姿もちらほらとあり、白あんも無くなりそうだ。
「これで餡子は終わりですね」
「じゃ、白いのとジャムのくれ」
「はい、ありがとうございます」
食べ比べや興味を持ったお陰か1人2、3枚買って行く、子どもを連れた親も4枚買って行くのでそろそろ完売の看板を出す為に1度列の最後尾に向かった。
「すみません、これで完売です」
「えー」
「また明日もやりますね」
最後尾に並ぼうとした客に頭を下げて売っていく、売り始めて2時間も経っていない、ありがたい事だった…。
「おっさん!なんだこの式紙は?」
「もう売り切れか」
「鴎さん、拄魏さん、おかげ様で完売しました。これから仕入れにでも…その肩の…鶴ですか?大きいですね?」
「これはおっさんが作った紙だ。俺が式紙にしたら勝手に大きさを変えて…消えない」
「……?」
全て完売し片づけを始めた幾眞の元に鴎と拄魏が訪れる、拄魏の肩には1回り大きくなった白い鶴のおりがみが止まっていた…。
式紙とは術師が自分で型を作った物、または式紙師に作って貰った物に息と妖力を注いで動かす物であり、迷宮の索敵や身代わりなどに用いられる、式紙は術者の腕によるが荷物等や帯同時間等も変わる使い捨ての物だった。
「なんなんだ?おっさん、これは異常だ」
「私はただのおっさんなんですが」
市場へ向かい鴎と拄魏によって奥へと連れて行かれる、鶴は小さくなれと拄魏が命じると爪程の大きさになり肩に留まっていた。
「ふつうは2,30分位で消えるし大きさも変わらないもんだぞー」
「ああ、細かい命令も伝わらん……ここは《式紙屋》だ、おい、蝋吐(ろうど)」
「はいはーいらっしゃいませー」
「紙が沢山ありますねー」
「そりゃ《式紙屋》だからな」
拄魏が案内したのは木造の店、立て付きの悪い引き戸を引いて店主の名を鴎が呼ぶと奥から袖が長い服を着た片眼鏡を掛けた青年がひょこひょこと出迎えてくれた。
「こんにちは」
「いらっしゃいー拄魏は式紙買ってくの?今日は新しいのないよ。最近式紙師が値上げしてさ、揉めてんのよ」
「このおっさんが折る、おっさん好きな色の紙で折れ」
「何を折ればいいんですか?」
「鳥がいい」
「分かりました、そうですね…この黒い紙はどうです?」
「あーその黒いのは失敗作だよ…妖力分散させ過ぎで黒に変色させてしまったから戻し屋に渡すんだ」
「そうなんですね、1枚折ってみてもいいですか」
「いいよ、戻すのにも金が掛かるし」
棚や店の机に所せましと置かれた紙、材質も大きさも様々で幾眞が目に付いたのはやたらと山積みになった真っ黒な四角の紙、それで幾眞はカラスを折ってみる、鶴も折って拄魏に渡す。
「なにそれ!?すごいな鳥?迷宮の妖魔に似ているけど、こっちの鳥もなんか品があるね!」
蝋吐が出来たカラスと鶴を見て興奮気味に鼻息荒く拄魏の手元を見ている、幾眞は黒いおりがみで花やシャチやイルカを折って遊んでいる、拄魏は息と妖力を吹き込み動かせば黒いカラスと鶴がふわりと宙に浮かんだ。
「この固い紙の紐みたいなのは?」
「ああそれは髪飾りとかに使える端材だよ」
「これいいですね、買います」
「あ、あげるあげるから他の紙でもなんか折って!」
他にも固い紙の長い細い所謂クラフトテープみたいな物を見つけ、良い物を見つけたと買おうとすれば蝋吐が全部上げるから他にも折って欲しいと言われ色々折って渡して夕食と明日の屋台の買い物に向かった…。
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