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2話
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「身分証を出せ」
ロイスが巨大な橋の前に到着した時、見るからに衛兵の姿をした人が大勢屯しており、その内の1人が身分証の提示を求めてきた。
そもそも此処はどこなのかという疑問だが、ここはトナードレイ王国の国境である。
因みにロイスとレオンの拠点である酒場はトナードレイ王国の中でも特に栄えているカイレンという町にあり、そのカイレンから国境までは目と鼻の先だ。
ロイスの視界に入る巨大な橋を渡り切ればそこから先は未開拓地が広がっている。しかしその危険度故、許可、若しくは資格が無ければ足を踏み入れる事は出来ない。
だがロイスは知っている。ここまで厳重に警備をしているのは未開拓地が危険だからというだけでなく、未開拓地に眠る豊富で貴重な資源を他国に流されない為である事を。
実力がある者は貴重な資源を容易に手に入れてしまうので市場価値が乱れ、安価で他国に流れる可能性がある。トナードレイ王国はその事を危惧し、警備を厳重にしているのだ。
ロイスは黒いローブの中から銀のコインに靴の絵が彫られた首飾りを衛兵に見せる。
「ほぅ…開拓者か…」
衛兵は首飾りをまじまじと見つめる。
開拓者とは未開拓地を調査する者の総称であり、靴の絵が彫られた銀製のペンダントがその証となる。
このペンダントを取得するには様々な課題をクリアしなければならず、一生を掛けても入手出来なかった者は多い。
ロイスの本業は調達屋。しかし、開拓者のペンダントを持っていなかった頃はわざわざ警備の目を盗んで未開拓地に入らなければならなかったので効率化の為に取得した。
「開拓者の証は本物の様だが、そのローブを取って顔を晒せ。一応確認しておく」
「あんた新人だな。まぁいいけど」
ロイスは言われた通りローブから顔を出す。
ここで漸くロイスの顔が太陽の元に明らかになった。
短めの黒髪にスッと通った鼻筋。細く冷たい印象だがどこか温かみも感じる不思議な目は誰の印象にも残るだろう。
「やっぱり君だったかロイス」
ロイスの顔を見たもう1人の衛兵が話しかけてくる。言葉からしてロイスの事を知っているのだろう。
「先輩、知っているのですか?」
「もちろんだ。開拓者として数々の功績を残している実力者だぞ。お前もここに配属されたのならロイスの事は覚えておくべきだ。危険な未開拓地をまるで庭の様に悠々と散歩するからな」
「こんな若造が?俄かには信じがたいのですが…」
ロイスの実年齢は20歳。新人の衛兵からすると確かに若造に見えるだろうが、14歳で成人と認められるので若造と言われると多少腹が立つ。
「言葉を選べよ新人。ロイス程の実力者を怒らせると寿命を縮ませることになるぞ」
「え…あ…失礼しました」
「気にしていない。それよりもう通っても良いか?」
「おっと済まん。新人の教育ってやつだ。通っていいぞ」
ロイスは先輩風を吹かせた衛兵に軽く会釈すると未開拓地へと続く橋を歩き出した。
この橋を渡った先に広がるのは広大な森。見るからに異様な空気が漂っており、血濡れの森という恐ろしい名で呼ばれているが、未開拓地の中では比較的危険度の低い場所だ。とは言っても危険な事には変わりない。
「血濡れの森か…誰が名付けたのかは知らないけどピッタリだ」
橋を渡り切ったロイスの視界には森の至る所に血の様な液体が付着し、地面からは源泉のように赤い液体が湧き出ている光景が入って来た。
「この血が地下深くに眠る巨大な魔獣の血だと知っている人は俺とレオンくらいだろうな」
ロイスは昔を思い出すかのようにポツリと呟いた。
魔獣とは凶暴な獣の総称で世界中に生息している。しかし未開拓地にはまだ見ぬ強力な魔獣が多数生息しているため、未開拓地が危険だといわれる要因の一つである。
ロイスは既に血濡れの森を完全踏破している。その時に血濡れの森の地下空間を発見し、そこには山よりも巨大な魔獣が多量の血を流しながら鎮座していた。その魔獣がどんな種なのかはロイスにも分からなかったが、死んでいるわけでは無く傷を癒す為に眠っている様に思えた。そしてその魔獣から流れる血は更に下の地下から吹く風によって地表へと溢れているのだ。
「まぁ知った所で意味は無いんだけど…」
ロイスは地面に視線を落とし、巨大な魔獣の姿を思い浮かべながら足を前へと進めた。
ピチャ…ピチャ…
すると前方から血溜まりを踏みつけるような足音が聞こえてきた。
「出たな蜥蜴野郎。毎度毎度ご苦労だな」
ロイスは面倒臭そうに眉間に皺を寄せる。
現れたのは二足歩行の蜥蜴。2m近くもある巨大な体躯をしており、開拓者となったばかりの新人がよく命を奪われてしまう。
ロイスはローブの中から腰に下げてあった2本のククリ刀を鞘から抜いて構えた。
そのククリ刀は死神の鎌の様に鈍く輝いており、刀身は通常のククリ刀よりかなり大きい。
グルルルルゥ
蜥蜴は唸り声を上げ、涎を垂らしながらロイスに襲い掛かって来る。
「俺を食うつもりなのか?違う…俺が捕食者だ!」
ニヤリと獰猛な笑みを浮かべたロイスは走り出すと蜥蜴の股の下を滑り抜けながら両足を斬り裂いた。
切断までは行かなかったが、両足を深く斬られた蜥蜴は重力に押さえ付けられる様に膝を付く。
「頂くぞ。お前の命」
ロイスはそう小さく呟くと、膝を付いて低くなった蜥蜴の頭部をククリ刀で斬り飛ばした。
コロン…コロン…
蜥蜴の頭部は無残にも地面を転がった。その眼は自分が死んだ事に気付いていないのではと思えるほどパッチリと見開いていた。
「はぁ…昔こいつに殺されかけたとは恥だよな」
駆け出しの頃に血濡れた森とは違う未開拓地で蜥蜴と同じ種に遭遇し、惨敗した記憶が蘇ったロイスは苦笑いを浮かべた。
「けど…未開拓地で悠々と考え事が出来るとは俺も成長したもんだ」
誰も褒めてくれる者が居ないので、ロイスは仕方なく自分自身を褒めた。レオンなら褒めてくれるだろうが最近は一人で活動する事が多くなっている。
ロイスはククリ刀に付着した血を拭き取ると再び歩き出した。
その後も様々な種の魔獣が襲い掛かって来たが、ロイスは掠り傷一つ負う事無く進み続けた。
ロイスが巨大な橋の前に到着した時、見るからに衛兵の姿をした人が大勢屯しており、その内の1人が身分証の提示を求めてきた。
そもそも此処はどこなのかという疑問だが、ここはトナードレイ王国の国境である。
因みにロイスとレオンの拠点である酒場はトナードレイ王国の中でも特に栄えているカイレンという町にあり、そのカイレンから国境までは目と鼻の先だ。
ロイスの視界に入る巨大な橋を渡り切ればそこから先は未開拓地が広がっている。しかしその危険度故、許可、若しくは資格が無ければ足を踏み入れる事は出来ない。
だがロイスは知っている。ここまで厳重に警備をしているのは未開拓地が危険だからというだけでなく、未開拓地に眠る豊富で貴重な資源を他国に流されない為である事を。
実力がある者は貴重な資源を容易に手に入れてしまうので市場価値が乱れ、安価で他国に流れる可能性がある。トナードレイ王国はその事を危惧し、警備を厳重にしているのだ。
ロイスは黒いローブの中から銀のコインに靴の絵が彫られた首飾りを衛兵に見せる。
「ほぅ…開拓者か…」
衛兵は首飾りをまじまじと見つめる。
開拓者とは未開拓地を調査する者の総称であり、靴の絵が彫られた銀製のペンダントがその証となる。
このペンダントを取得するには様々な課題をクリアしなければならず、一生を掛けても入手出来なかった者は多い。
ロイスの本業は調達屋。しかし、開拓者のペンダントを持っていなかった頃はわざわざ警備の目を盗んで未開拓地に入らなければならなかったので効率化の為に取得した。
「開拓者の証は本物の様だが、そのローブを取って顔を晒せ。一応確認しておく」
「あんた新人だな。まぁいいけど」
ロイスは言われた通りローブから顔を出す。
ここで漸くロイスの顔が太陽の元に明らかになった。
短めの黒髪にスッと通った鼻筋。細く冷たい印象だがどこか温かみも感じる不思議な目は誰の印象にも残るだろう。
「やっぱり君だったかロイス」
ロイスの顔を見たもう1人の衛兵が話しかけてくる。言葉からしてロイスの事を知っているのだろう。
「先輩、知っているのですか?」
「もちろんだ。開拓者として数々の功績を残している実力者だぞ。お前もここに配属されたのならロイスの事は覚えておくべきだ。危険な未開拓地をまるで庭の様に悠々と散歩するからな」
「こんな若造が?俄かには信じがたいのですが…」
ロイスの実年齢は20歳。新人の衛兵からすると確かに若造に見えるだろうが、14歳で成人と認められるので若造と言われると多少腹が立つ。
「言葉を選べよ新人。ロイス程の実力者を怒らせると寿命を縮ませることになるぞ」
「え…あ…失礼しました」
「気にしていない。それよりもう通っても良いか?」
「おっと済まん。新人の教育ってやつだ。通っていいぞ」
ロイスは先輩風を吹かせた衛兵に軽く会釈すると未開拓地へと続く橋を歩き出した。
この橋を渡った先に広がるのは広大な森。見るからに異様な空気が漂っており、血濡れの森という恐ろしい名で呼ばれているが、未開拓地の中では比較的危険度の低い場所だ。とは言っても危険な事には変わりない。
「血濡れの森か…誰が名付けたのかは知らないけどピッタリだ」
橋を渡り切ったロイスの視界には森の至る所に血の様な液体が付着し、地面からは源泉のように赤い液体が湧き出ている光景が入って来た。
「この血が地下深くに眠る巨大な魔獣の血だと知っている人は俺とレオンくらいだろうな」
ロイスは昔を思い出すかのようにポツリと呟いた。
魔獣とは凶暴な獣の総称で世界中に生息している。しかし未開拓地にはまだ見ぬ強力な魔獣が多数生息しているため、未開拓地が危険だといわれる要因の一つである。
ロイスは既に血濡れの森を完全踏破している。その時に血濡れの森の地下空間を発見し、そこには山よりも巨大な魔獣が多量の血を流しながら鎮座していた。その魔獣がどんな種なのかはロイスにも分からなかったが、死んでいるわけでは無く傷を癒す為に眠っている様に思えた。そしてその魔獣から流れる血は更に下の地下から吹く風によって地表へと溢れているのだ。
「まぁ知った所で意味は無いんだけど…」
ロイスは地面に視線を落とし、巨大な魔獣の姿を思い浮かべながら足を前へと進めた。
ピチャ…ピチャ…
すると前方から血溜まりを踏みつけるような足音が聞こえてきた。
「出たな蜥蜴野郎。毎度毎度ご苦労だな」
ロイスは面倒臭そうに眉間に皺を寄せる。
現れたのは二足歩行の蜥蜴。2m近くもある巨大な体躯をしており、開拓者となったばかりの新人がよく命を奪われてしまう。
ロイスはローブの中から腰に下げてあった2本のククリ刀を鞘から抜いて構えた。
そのククリ刀は死神の鎌の様に鈍く輝いており、刀身は通常のククリ刀よりかなり大きい。
グルルルルゥ
蜥蜴は唸り声を上げ、涎を垂らしながらロイスに襲い掛かって来る。
「俺を食うつもりなのか?違う…俺が捕食者だ!」
ニヤリと獰猛な笑みを浮かべたロイスは走り出すと蜥蜴の股の下を滑り抜けながら両足を斬り裂いた。
切断までは行かなかったが、両足を深く斬られた蜥蜴は重力に押さえ付けられる様に膝を付く。
「頂くぞ。お前の命」
ロイスはそう小さく呟くと、膝を付いて低くなった蜥蜴の頭部をククリ刀で斬り飛ばした。
コロン…コロン…
蜥蜴の頭部は無残にも地面を転がった。その眼は自分が死んだ事に気付いていないのではと思えるほどパッチリと見開いていた。
「はぁ…昔こいつに殺されかけたとは恥だよな」
駆け出しの頃に血濡れた森とは違う未開拓地で蜥蜴と同じ種に遭遇し、惨敗した記憶が蘇ったロイスは苦笑いを浮かべた。
「けど…未開拓地で悠々と考え事が出来るとは俺も成長したもんだ」
誰も褒めてくれる者が居ないので、ロイスは仕方なく自分自身を褒めた。レオンなら褒めてくれるだろうが最近は一人で活動する事が多くなっている。
ロイスはククリ刀に付着した血を拭き取ると再び歩き出した。
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