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13話
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ガキン!ガキン!ガキン!
ロイスは先に進む為に邪魔な葉をククリ刀で刈ると、鉄と鉄が擦れ合う音が響く。
木々の葉は鉄ではないが強度はかなり高い。
風の噂では、鉄の防具を着た開拓者が中に入り防具ごと切り刻まれたらしい。それが事実なのかは知らないが、それほど切れ味のある葉という事だ。
「あぁ!鬱陶しい!」
進む度に葉を刈り取るのは面倒でしかない。一歩進む毎にイライラも少しずつ積もっていく。
先に開拓を始めている者が作った道を見つければ楽なのだが、林の外から見ても近くにそれらしき空間はない。
ならば血の匂いが濃い方に向かえばいい。戦闘があったという事はその周辺で活動していたはずだ。更に林が開けている可能性が高いので、開拓者たちがその地を利用しない手は無い。
「お…何かいるな」
ガキン!ガキン!
気配のする方にククリ刀を振り回しながら進むと…そこには小さな針鼠がいた。
「なんだ…お前か」
鋭い針を背負った鼠の魔獣は剣の処刑林にのみ生息するとても珍しい魔獣だ。この魔獣には近づかなければ危険性は無い。
「中々お目に掛かれないとはいえ…お前は金にならないんだよな」
未開拓地で遭遇するのが難しい魔獣なのに、金にならないとはどういう事だ!…と叫びたくなるほど残念な魔獣だ
「探しているのはお前じゃないんだよ。あぁ…ちまちま歩くのは面倒だ」
移動する道中で開拓者たちが通った道が見つかればと思っていたが面倒になった。
「精霊共…力を貸せ」
ロイスが小さく呟くと、いつかの地下と同じく手の甲に赤い模様、火の契約紋が浮かび上がった。
ジュゥー、ボッ!
すると周りの葉が突然燃えだした。だが火が他の木々に移る様子はなく、ロイスの半径1mに入った葉だけが燃えて消失している。
「初めからこうすれば良かったな」
これで鬱陶しい作業は必要なくなった。燃やし過ぎない様に中止するだけで良いので歩く速度も必然的に上がる。
ジュゥー、ボッボボッ!…ボッ!…ボボッ!
次々に葉を燃やしながら進んでいると、漸く開けた場所に出た。
「お、やっぱりここに居たか。にしても…黒い竜はかなり盛大に暴れたみたいだな」
開けた場所は小さな町ならすっぽり入る大きさだ。そして奥に大勢の開拓者や研究者らしき者が作業をしている。周りにはテントが数多くあるので、やはりここを拠点にしているようだ。
ロイスは拠点に向かって歩くが、火の契約紋は既に綺麗さっぱり消え去っていた。
「む、増員の開拓者か?…名は何だ?」
拠点に着いた時、1人の開拓者が話しかけてきた。その眼は警戒心剥き出しで、何時でも腰に下げてある剣を抜ける状態だ。
「ここに派遣されて来たロイスだ」
銀の首飾りを翳して身分を証明する。これは面倒だが怠れば更に面倒な事になる。
「お前があのロイスか!噂は聞いているぞ!」
名乗った瞬間、目の前の開拓者は警戒心を解いた。首飾りを見せ、名前を言っただけで警戒を解くとは暢気な男だ。
「どのロイスかは知らないけど…あんたは?」
「俺はここの指揮官をしているガイウスだ。よろしくな」
「よろしく。状況は?」
「完全に行き詰っている。見ての通り拠点は確保出来たんだが…例の竜がまた何時襲ってくるか分からない状況だからな。全員ビビっているんだよ」
「だろうな。見るからに空気が重い」
空気が重すぎて居心地が悪い。血の臭いだけでなく、拠点にいる全員の恐怖心がベットリと肌を撫でる。
「まぁ全員悪気は無いんだ…勘弁してやってくれ」
「分かっているけど…そういえば、どんな手段で開拓を進めているんだ?」
「地道に木を切り倒している。時間は掛かるがな…」
「燃やせばいいだろ。どうせこの林全土を開拓するんだから」
「それは無理だ。もし全てを燃やしてしまえば貴重な資源も失ってしまう。燃え広がらない様に精密操作が出来る火の契約紋持ちがいれば楽なんだが……そんな奴いる筈も無い」
「一人もいないのか!?」
「そこ驚く事か?」
驚くロイスだったが、ガイウスはロイスの態度に驚いていた。
そもそも契約紋とは何なのか…
この世界には至る所に見えない物体、精霊が住んでおり、火の精霊、水の精霊、土の精霊等、様々な種類に分かれている。
そして契約紋にも様々な種類があり、火の契約紋を持つ者は近くにいる火の精霊から、水の契約紋を持つ者は近くにいる水の精霊から力を借りる事が出来る。その力を俗に魔法という。
魔法を行使するには魔力という力が必要で、人は誰でも持っている。しかし、人は自力で魔力を魔法に変換する事は出来ない。必要な魔力を契約紋から精霊に送る事で初めて魔法を行使出来る様になる。
契約紋の取得方法は未だよく分かっておらず、突然取得した者や、生まれた時から取得している者もいる。そして極稀に複数の契約紋を持つ者がおり、通称コレクターと呼ばれている。
ロイスは火、水、土の契約紋を持っているのでコレクターという事になる。
魔法の威力は精霊に送る魔力量によって変化する。魔獣を倒すには威力が重視されるので、ロイスの様に燃やしたい物だけ燃やすという精密な操作が出来る者は殆どいない。
その事実を考慮すれば、ガイウスがロイスの態度に驚くのも無理はない。
「出来ないのが普通か…」
ロイスの魔法は威力重視ではなく精密さを重視している。それはレオンの教えなのだが、ここまで精密操作を出来ない者が多いとは思っていなかった。
「俺がやろう。火の契約紋持ちで精密操作も出来る」
「本当か!ぜひ頼む!これで作業が一気に捗るぞ!こっちに来てくれ!」
ガイウスの案内で作業場まで行くと、そこには大勢の開拓者が木を切り倒していた。その中には何名か見た事のある者がちらほらいる。とは言っても顔を知っているだけで名前までは知らない。
「おい…あいつロイスだ…」
「ロイスってあのロイスか?颶風平原を1人で開拓したっていう」
「あぁ…見た事がある。間違いない…奴だ」
「随分と若いな。だが動きに無駄が無い」
開拓者たちが口々にロイスの噂をする。
ロイスがここまで有名なのは颶風平原を1人で開拓した事があるからだ。
颶風平原はハルシオンから更に北上した場所にある突風吹き荒れる未開拓地で、他の未開拓地より危険度は高い。
この颶風平原においてロイスはたった1人で安全ルートを築き、ハルシオンから北にある他国との交流を実現して見せた。これは紛れもない偉業であり、開拓者の多くがいつか自分もと夢を見た事だろう。
「やっぱり有名人だなロイス」
「目立っても良い事なんてないぞ」
ただでさえ空気が淀んでいるのに、そこに好奇心や嫉妬の視線を浴びるなど真っ平御免だ。だがこの視線が止むのはもう少し後だと分かっているロイスは、はぁ~っと深いため息を漏らした。
ロイスは先に進む為に邪魔な葉をククリ刀で刈ると、鉄と鉄が擦れ合う音が響く。
木々の葉は鉄ではないが強度はかなり高い。
風の噂では、鉄の防具を着た開拓者が中に入り防具ごと切り刻まれたらしい。それが事実なのかは知らないが、それほど切れ味のある葉という事だ。
「あぁ!鬱陶しい!」
進む度に葉を刈り取るのは面倒でしかない。一歩進む毎にイライラも少しずつ積もっていく。
先に開拓を始めている者が作った道を見つければ楽なのだが、林の外から見ても近くにそれらしき空間はない。
ならば血の匂いが濃い方に向かえばいい。戦闘があったという事はその周辺で活動していたはずだ。更に林が開けている可能性が高いので、開拓者たちがその地を利用しない手は無い。
「お…何かいるな」
ガキン!ガキン!
気配のする方にククリ刀を振り回しながら進むと…そこには小さな針鼠がいた。
「なんだ…お前か」
鋭い針を背負った鼠の魔獣は剣の処刑林にのみ生息するとても珍しい魔獣だ。この魔獣には近づかなければ危険性は無い。
「中々お目に掛かれないとはいえ…お前は金にならないんだよな」
未開拓地で遭遇するのが難しい魔獣なのに、金にならないとはどういう事だ!…と叫びたくなるほど残念な魔獣だ
「探しているのはお前じゃないんだよ。あぁ…ちまちま歩くのは面倒だ」
移動する道中で開拓者たちが通った道が見つかればと思っていたが面倒になった。
「精霊共…力を貸せ」
ロイスが小さく呟くと、いつかの地下と同じく手の甲に赤い模様、火の契約紋が浮かび上がった。
ジュゥー、ボッ!
すると周りの葉が突然燃えだした。だが火が他の木々に移る様子はなく、ロイスの半径1mに入った葉だけが燃えて消失している。
「初めからこうすれば良かったな」
これで鬱陶しい作業は必要なくなった。燃やし過ぎない様に中止するだけで良いので歩く速度も必然的に上がる。
ジュゥー、ボッボボッ!…ボッ!…ボボッ!
次々に葉を燃やしながら進んでいると、漸く開けた場所に出た。
「お、やっぱりここに居たか。にしても…黒い竜はかなり盛大に暴れたみたいだな」
開けた場所は小さな町ならすっぽり入る大きさだ。そして奥に大勢の開拓者や研究者らしき者が作業をしている。周りにはテントが数多くあるので、やはりここを拠点にしているようだ。
ロイスは拠点に向かって歩くが、火の契約紋は既に綺麗さっぱり消え去っていた。
「む、増員の開拓者か?…名は何だ?」
拠点に着いた時、1人の開拓者が話しかけてきた。その眼は警戒心剥き出しで、何時でも腰に下げてある剣を抜ける状態だ。
「ここに派遣されて来たロイスだ」
銀の首飾りを翳して身分を証明する。これは面倒だが怠れば更に面倒な事になる。
「お前があのロイスか!噂は聞いているぞ!」
名乗った瞬間、目の前の開拓者は警戒心を解いた。首飾りを見せ、名前を言っただけで警戒を解くとは暢気な男だ。
「どのロイスかは知らないけど…あんたは?」
「俺はここの指揮官をしているガイウスだ。よろしくな」
「よろしく。状況は?」
「完全に行き詰っている。見ての通り拠点は確保出来たんだが…例の竜がまた何時襲ってくるか分からない状況だからな。全員ビビっているんだよ」
「だろうな。見るからに空気が重い」
空気が重すぎて居心地が悪い。血の臭いだけでなく、拠点にいる全員の恐怖心がベットリと肌を撫でる。
「まぁ全員悪気は無いんだ…勘弁してやってくれ」
「分かっているけど…そういえば、どんな手段で開拓を進めているんだ?」
「地道に木を切り倒している。時間は掛かるがな…」
「燃やせばいいだろ。どうせこの林全土を開拓するんだから」
「それは無理だ。もし全てを燃やしてしまえば貴重な資源も失ってしまう。燃え広がらない様に精密操作が出来る火の契約紋持ちがいれば楽なんだが……そんな奴いる筈も無い」
「一人もいないのか!?」
「そこ驚く事か?」
驚くロイスだったが、ガイウスはロイスの態度に驚いていた。
そもそも契約紋とは何なのか…
この世界には至る所に見えない物体、精霊が住んでおり、火の精霊、水の精霊、土の精霊等、様々な種類に分かれている。
そして契約紋にも様々な種類があり、火の契約紋を持つ者は近くにいる火の精霊から、水の契約紋を持つ者は近くにいる水の精霊から力を借りる事が出来る。その力を俗に魔法という。
魔法を行使するには魔力という力が必要で、人は誰でも持っている。しかし、人は自力で魔力を魔法に変換する事は出来ない。必要な魔力を契約紋から精霊に送る事で初めて魔法を行使出来る様になる。
契約紋の取得方法は未だよく分かっておらず、突然取得した者や、生まれた時から取得している者もいる。そして極稀に複数の契約紋を持つ者がおり、通称コレクターと呼ばれている。
ロイスは火、水、土の契約紋を持っているのでコレクターという事になる。
魔法の威力は精霊に送る魔力量によって変化する。魔獣を倒すには威力が重視されるので、ロイスの様に燃やしたい物だけ燃やすという精密な操作が出来る者は殆どいない。
その事実を考慮すれば、ガイウスがロイスの態度に驚くのも無理はない。
「出来ないのが普通か…」
ロイスの魔法は威力重視ではなく精密さを重視している。それはレオンの教えなのだが、ここまで精密操作を出来ない者が多いとは思っていなかった。
「俺がやろう。火の契約紋持ちで精密操作も出来る」
「本当か!ぜひ頼む!これで作業が一気に捗るぞ!こっちに来てくれ!」
ガイウスの案内で作業場まで行くと、そこには大勢の開拓者が木を切り倒していた。その中には何名か見た事のある者がちらほらいる。とは言っても顔を知っているだけで名前までは知らない。
「おい…あいつロイスだ…」
「ロイスってあのロイスか?颶風平原を1人で開拓したっていう」
「あぁ…見た事がある。間違いない…奴だ」
「随分と若いな。だが動きに無駄が無い」
開拓者たちが口々にロイスの噂をする。
ロイスがここまで有名なのは颶風平原を1人で開拓した事があるからだ。
颶風平原はハルシオンから更に北上した場所にある突風吹き荒れる未開拓地で、他の未開拓地より危険度は高い。
この颶風平原においてロイスはたった1人で安全ルートを築き、ハルシオンから北にある他国との交流を実現して見せた。これは紛れもない偉業であり、開拓者の多くがいつか自分もと夢を見た事だろう。
「やっぱり有名人だなロイス」
「目立っても良い事なんてないぞ」
ただでさえ空気が淀んでいるのに、そこに好奇心や嫉妬の視線を浴びるなど真っ平御免だ。だがこの視線が止むのはもう少し後だと分かっているロイスは、はぁ~っと深いため息を漏らした。
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