神の盤上〜異世界漫遊〜

バン

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第4章 鍛錬と鍛冶

力ノ根源

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それから数日…

今、亮太の掌には半透明な球体が浮いている。

『その調子じゃ…だいぶ慣れて来たの』

「あぁ…ようやくな…魔力を体外に出すのは簡単だったが形に留めるのは中々難しいな」

『よく言うよるわ…普通体外で形を留めるのに才能がある者でも1年以上かかるわぃ。それをたった一週間でやりおって』

「ふーん……で、次はなにするんだ?」

『そうじゃの…ならばその魔力を自由自在に操ってみよ。魔力は離れれば離れるほど、早く動かせば動かすほど、量が増えれば増えるほどコントロールは難しくなるんじゃ』

「わかった…」

亮太は目を閉じて魔力を動かす。

(確かに…いっきに難易度が上がったな…それに魔力もどんどん減っていくような気がする)

『なかなか苦戦している様じゃの』

「あぁ…経験したことのない感覚だ…」

『それも慣れじゃ…訓練あるのみじゃよ』

亮太は目を閉じたまま集中する。

『なんという集中力…こやつの力の源はこれなのかもしれんのぅ…』

亮太を見ながら静かにクロノスが呟いた。

結果亮太は魔力のコントロールに成功した。
実に1ヶ月という驚異的なスピードだった。
恐らく、いや間違いなく歴史上最速で魔力操作を習得したと言える速さだ。
ちなみに体外だけでなく体内での魔力操作も習得している。

『お主はほんとうに……ここまでくるともはや恐ろしいわぃ』

クロノスの前には半透明な球体が亮太の周りを高速で移動しており、時々その大きさ、形を変えている。

『もうコントロールは完璧じゃのう。ではそろそろ氣の訓練に移ろうかの…』

「…氣…か…それなら俺のいた世界でもあったな…どうすればいいんだ?」

『これは座禅を組むだけじゃ。精神統一を極限までする事によって氣に目覚める。一度目覚めると後は簡単じゃ…』

「魔力よりは簡単そうだな…」

『座禅を組むと氣を感じれるまでは止めてはならんぞ』

亮太はその場で座禅を組み心を落ち着かせる。

(さて…何日かかることやら…魔力操作より簡単とは言え一般的に最低2ヶ月は座禅を組み続ける必要があるからの…亮太は精神力は高いが……根気じゃぞ!)

クロノスは言葉には出さず内心で亮太を応援する。










「…………………………」

亮太が座禅を組んで早1週間が経過した。
しかし未だ氣は感じられていない。
亮太の心は無になってはいるが、その体からは汗が出続けている。

(飲まず食わず、寝ることもなくと言うのはかなりの体力を必要とする…精神もガリガリと削られとるはずじゃ…)

だがクロノスは感心していた。
座禅を組んでから今日まで、亮太は眉ひとつ動かさず、まるで自然と一体化しているように感じ…ある種、その姿は芸術的でもあった。


さらに1週間が経過した。
今、亮太の身体の周りが歪んでいるように見える。例えるなら蜃気楼のようだ。

『氣を感じ取れたようじゃな』

クロノスが亮太に2週間ぶりに声を掛ける。
亮太はゆっくりと目を開けると氣が収まった。

「待たせたな…」

『いやいや…かなり早いくらいじゃ…たった2週間じゃからの』

「そんなに経ってたのか…」

無になっていたため時間がどれほど経過したか分からなかったのだ。だが、こうして亮太は氣を身に付けた。
氣は感じる事は難しいが一度感じる事ができればそこからは案外簡単なのだ。


世界樹の茶を飲みながら次の工程についてクロノスから説明を受けている。

余談だが世界樹の茶は魔力の回復を促す効果もあるようだ。

『次は氣と魔力を混ぜて極限まで圧縮し、それを体の内側に満たしつつ、体の表面を覆うのじゃ。これを暁流では魔装という。この状態になれば身体能力が上がり、身体の活性化によって傷の治りも早くなるのじゃ。ちなみに氣についてじゃが外の氣を外氣、内の氣を内氣と呼ぶ』

「魔装…か…いたせりつくせりな技だな」

『技というよりは奥義じゃ。魔装は魔力の消費が激しい。じゃが魔臓の活性化にも繋がるから使えば使うほど魔力量も増えるしの』

「なるほど、なら氣は精神が削られるって感じか…」

『その通りじゃ。じゃから魔装はかなり難しいのじゃ。魔力と氣の同時発動など出来るものなどほぼいないからの』

「そうなのか?」

『右を見ながら左を見るようなもんじゃ。それにの、ただ同時に発動すればいいというわけでもない。氣と魔力の両方を寸分の狂いもなく均等に発動しなければならんからの』

「なるほど…ひとまずやってみるわ」

次の日から魔装の訓練を始めた。
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