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番外編③:近衛騎士団長は王族の青年に愛される【誕生会】
リナルド様が殿下のお子様として迎えられてから、半年。
短い時間でありながら、彼は殿下やエリゼオ様の愛情に包まれ、未来の王太子としての生活に、見事に馴染んでおられた。
いや、馴染むという言葉では足りない。
リナルド様は、その場にいるだけで周囲を明るくし、人の心を和ませる。
幼いながらに人を惹きつける、不思議な魅力を持つお方だった。
来月は、リナルド様が殿下のお子様として初めて迎える誕生日だった。
盛大な祝宴は後日に控えていたが、当日は殿下とエリゼオ様、そして実の父母であるジェルマノ殿下夫妻だけで、慎ましやかに六歳の誕生日のお祝いをする予定だった。
しかし。
「ガルディアも、ぜったい来てね」
期待に満ちたアメジスト色の瞳がこちらを見上げてくる。
その誘いを、私は何度も辞退申し上げた。
だが最終的に殿下から、
「リナルドの誕生日くらい、言うことをききなさい」
と肩を叩かれ、出席が決まったのだった。
あれほど強引に誘われたのは、これまでの人生になかった。
その夜から、私は深刻な悩みに陥った。
「来月の誕生日に、何を贈ればよいのだ……」
護衛としての心得は自信があるが、贈り物のセンスなど皆無である。
散々悩んだ末、私はエリゼオ様のもとへ相談に向かった。
「んー、ガルディアからなら、リナルドは何でも喜ぶと思うけどなあ」
エリゼオ様の声は、相変わらず柔らかだった。
それを聞いただけで、私は不思議と肩の力が抜けた。
「フィンはね、俺からの手作りをすっごく喜ぶんだよ。
『これを作る時間は、ずっと私のことを考えてくれたんだな』なんて言ってさ」
「手作り、ですか」
「うん。ガルディアも、何か作ってあげたら? なんでもいいと思うよ。気持ちだよ、気持ち!」
問題は、自分の不器用さが本当にどうにもならないことだった。
私は料理も裁縫もできない。
私がまともに扱えるのは、剣だけだ。
悩みに悩み、私は木彫りの熊を創ることにした。
野営で薪をつくるのに、小刀で枝葉を削ることには慣れている。
これなら何とか形にできるかもしれない。そう思ったのだ。
それに、北の地方では、熊は護りの象徴として飾られていると聞いたことがある。
リナルド様に万が一でも危険なことは私が起こさせない。
だが、それでもお守りになるのであれば。
そう考えて、それを贈りたいと思ったのだ。
それから二週間、私は仕事の合間に、小刀を握った。
護衛の交代後、自室で黙々と木を削る。
手が疲れても、集中力が切れても、リナルド様の笑顔を思い浮かべると手が止まらなかった。
しかし、やっとできあがったものは、どう見ても狸だった。
「……これは……熊……なのか?」
渡すべきか、捨てるべきか、何度も迷った。
だが殿下がエリゼオ様の刺繍の失敗作を拾い上げながら、
「気持ちが大事なんだ。出来映えじゃないよ」
と笑っておられたのを思い出し、思い切って贈ることにした。
そして、迎えた誕生会。
私は、正装に身を包んで会場に向かった。
私を見つけたリナルド様は、ぱっと花が咲いたような笑顔を向けてくださった。
「ガルディア! 来てくれて嬉しい!
今日の服、すごくかっこいいね」
その一言だけで、胸の奥から温かくなる。
護衛として褒められることや感謝されることはあっても、個人としてこのように喜ばれた経験は、今までなかった。
そして、ついに私は、あのプレゼントを差し出した。
「……こちらを……些少ながら……私からの六歳になられたお祝いです」
リナルド様は箱を開け、中身を見つめた。
「わぁ……!」
目を見開いてそれを見つめる瞳は、夜空に瞬く星よりも輝いていた。
「ガルディアが作ってくれたの?
すっごくかっこいい熊だよ。ありがとう」
殿下が横で小さく肩を震わせる。
エリゼオ様が殿下の袖を引っ張り、「フィン」とたしなめていらっしゃるのが見える。
「リナルド、それは狸だろう? 君がこんなかわいらしいものを作るなんてな」
「父上、これは熊です!
ガルディアが作ってくれた熊を、どうして狸だなんていうんですか!
こんなに耳が丸くて、どっしりとしてて……。ほら、熊でしょう!」
幼い体で堂々と殿下に反論され、私は思わず笑みを漏らしてしまった。
そしてリナルド様は私に向き直り、うっとりと微笑まれた。
「ありがとう、ガルディア。本当にうれしい。宝物にするからね」
お礼を言われて初めて、ずっと自分は緊張していたことに気付いた。
リナルド様ががっかりされるのではないか、喜ばれなかったらどうしよう。
そんなことばかり考えていたのだ。
リナルド様は、今度は少し照れたように小さな包みを私に差し出してくる。
「……それでね、これ。
僕からガルディアにプレゼント」
まさか、祝われるはずのリナルド様からプレゼントを頂けるなんて思いもせず、私は首を横に振った。
「リナルド様! 本日はリナルド様のお祝いの日です。私がこのように頂くわけには——」
途端にリナルド様は眉を下げ、悲しそうな表情になる。
「今日は僕の誕生日だから、あげたいんだよ。
ガルディアがお祝いに来てくれたから、そのお礼」
その言い方があまりに真っ直ぐで、かわいらしくて。
私はそれ以上、断れなかった。
「……では、ありがたく頂戴いたします」
「うん。開けてみて」
リナルド様に促されて開くと、顔ほどの大きさの油絵が入っていた。
そこには、リナルド様と私が並んで歩く後ろ姿が、描かれていた。
小さな手が、大きな手をしっかりと握っている。
つたない筆遣いだが、その温もりが絵からも伝わってくるようだった。
「これからもね、こんなふうにガルディアにそばにいてほしいんだ。
来年も、再来年も……ずっとずっと」
リナルド様の無垢な言葉に、私は息を呑んだ。
こんなにも純粋に誰かに求められたのは、生まれて初めてだった。
「……恐れ多いお言葉です。
私は、リナルド様が立派に成長なさる日まで、必ずおそばでお守りいたします」
「ううん、ずっとだよ。ガルディア」
それは幼い顔立ちに似合わぬ、どこか真剣な声音だった。
私はただ、温かな決意を胸に抱く。
リナルド様が成人されるまで。
いずれ伴侶を迎えられるその日まで。
私は、この隣を守り続けよう、と。
短い時間でありながら、彼は殿下やエリゼオ様の愛情に包まれ、未来の王太子としての生活に、見事に馴染んでおられた。
いや、馴染むという言葉では足りない。
リナルド様は、その場にいるだけで周囲を明るくし、人の心を和ませる。
幼いながらに人を惹きつける、不思議な魅力を持つお方だった。
来月は、リナルド様が殿下のお子様として初めて迎える誕生日だった。
盛大な祝宴は後日に控えていたが、当日は殿下とエリゼオ様、そして実の父母であるジェルマノ殿下夫妻だけで、慎ましやかに六歳の誕生日のお祝いをする予定だった。
しかし。
「ガルディアも、ぜったい来てね」
期待に満ちたアメジスト色の瞳がこちらを見上げてくる。
その誘いを、私は何度も辞退申し上げた。
だが最終的に殿下から、
「リナルドの誕生日くらい、言うことをききなさい」
と肩を叩かれ、出席が決まったのだった。
あれほど強引に誘われたのは、これまでの人生になかった。
その夜から、私は深刻な悩みに陥った。
「来月の誕生日に、何を贈ればよいのだ……」
護衛としての心得は自信があるが、贈り物のセンスなど皆無である。
散々悩んだ末、私はエリゼオ様のもとへ相談に向かった。
「んー、ガルディアからなら、リナルドは何でも喜ぶと思うけどなあ」
エリゼオ様の声は、相変わらず柔らかだった。
それを聞いただけで、私は不思議と肩の力が抜けた。
「フィンはね、俺からの手作りをすっごく喜ぶんだよ。
『これを作る時間は、ずっと私のことを考えてくれたんだな』なんて言ってさ」
「手作り、ですか」
「うん。ガルディアも、何か作ってあげたら? なんでもいいと思うよ。気持ちだよ、気持ち!」
問題は、自分の不器用さが本当にどうにもならないことだった。
私は料理も裁縫もできない。
私がまともに扱えるのは、剣だけだ。
悩みに悩み、私は木彫りの熊を創ることにした。
野営で薪をつくるのに、小刀で枝葉を削ることには慣れている。
これなら何とか形にできるかもしれない。そう思ったのだ。
それに、北の地方では、熊は護りの象徴として飾られていると聞いたことがある。
リナルド様に万が一でも危険なことは私が起こさせない。
だが、それでもお守りになるのであれば。
そう考えて、それを贈りたいと思ったのだ。
それから二週間、私は仕事の合間に、小刀を握った。
護衛の交代後、自室で黙々と木を削る。
手が疲れても、集中力が切れても、リナルド様の笑顔を思い浮かべると手が止まらなかった。
しかし、やっとできあがったものは、どう見ても狸だった。
「……これは……熊……なのか?」
渡すべきか、捨てるべきか、何度も迷った。
だが殿下がエリゼオ様の刺繍の失敗作を拾い上げながら、
「気持ちが大事なんだ。出来映えじゃないよ」
と笑っておられたのを思い出し、思い切って贈ることにした。
そして、迎えた誕生会。
私は、正装に身を包んで会場に向かった。
私を見つけたリナルド様は、ぱっと花が咲いたような笑顔を向けてくださった。
「ガルディア! 来てくれて嬉しい!
今日の服、すごくかっこいいね」
その一言だけで、胸の奥から温かくなる。
護衛として褒められることや感謝されることはあっても、個人としてこのように喜ばれた経験は、今までなかった。
そして、ついに私は、あのプレゼントを差し出した。
「……こちらを……些少ながら……私からの六歳になられたお祝いです」
リナルド様は箱を開け、中身を見つめた。
「わぁ……!」
目を見開いてそれを見つめる瞳は、夜空に瞬く星よりも輝いていた。
「ガルディアが作ってくれたの?
すっごくかっこいい熊だよ。ありがとう」
殿下が横で小さく肩を震わせる。
エリゼオ様が殿下の袖を引っ張り、「フィン」とたしなめていらっしゃるのが見える。
「リナルド、それは狸だろう? 君がこんなかわいらしいものを作るなんてな」
「父上、これは熊です!
ガルディアが作ってくれた熊を、どうして狸だなんていうんですか!
こんなに耳が丸くて、どっしりとしてて……。ほら、熊でしょう!」
幼い体で堂々と殿下に反論され、私は思わず笑みを漏らしてしまった。
そしてリナルド様は私に向き直り、うっとりと微笑まれた。
「ありがとう、ガルディア。本当にうれしい。宝物にするからね」
お礼を言われて初めて、ずっと自分は緊張していたことに気付いた。
リナルド様ががっかりされるのではないか、喜ばれなかったらどうしよう。
そんなことばかり考えていたのだ。
リナルド様は、今度は少し照れたように小さな包みを私に差し出してくる。
「……それでね、これ。
僕からガルディアにプレゼント」
まさか、祝われるはずのリナルド様からプレゼントを頂けるなんて思いもせず、私は首を横に振った。
「リナルド様! 本日はリナルド様のお祝いの日です。私がこのように頂くわけには——」
途端にリナルド様は眉を下げ、悲しそうな表情になる。
「今日は僕の誕生日だから、あげたいんだよ。
ガルディアがお祝いに来てくれたから、そのお礼」
その言い方があまりに真っ直ぐで、かわいらしくて。
私はそれ以上、断れなかった。
「……では、ありがたく頂戴いたします」
「うん。開けてみて」
リナルド様に促されて開くと、顔ほどの大きさの油絵が入っていた。
そこには、リナルド様と私が並んで歩く後ろ姿が、描かれていた。
小さな手が、大きな手をしっかりと握っている。
つたない筆遣いだが、その温もりが絵からも伝わってくるようだった。
「これからもね、こんなふうにガルディアにそばにいてほしいんだ。
来年も、再来年も……ずっとずっと」
リナルド様の無垢な言葉に、私は息を呑んだ。
こんなにも純粋に誰かに求められたのは、生まれて初めてだった。
「……恐れ多いお言葉です。
私は、リナルド様が立派に成長なさる日まで、必ずおそばでお守りいたします」
「ううん、ずっとだよ。ガルディア」
それは幼い顔立ちに似合わぬ、どこか真剣な声音だった。
私はただ、温かな決意を胸に抱く。
リナルド様が成人されるまで。
いずれ伴侶を迎えられるその日まで。
私は、この隣を守り続けよう、と。
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