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27.星の砂の約束 前編
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10月も半ばを過ぎて、キャンパスの木々がすっかり秋色に染まってる。
朝の冷たい空気が頬を刺すように吹き抜ける中、僕はポケットに手を突っ込んで、星の砂の瓶を握りしめた。
星の形はもう崩れて、ただの砂になってしまったけど、翼が作ってくれた布のカバーが瓶を優しく包んでる。
サラサラと鳴る砂の音が、夏の思い出を呼び起こす。
あの花火大会のあと、僕がいつもポケットに入れていることに気づいて、大和が嬉しそうに笑ってた。
「こうやっていつも持ってたら、水瀬は幸せになれるな。俺も星の砂みたいなお守りずっと持ってて、幸せになれたんだからさ」
大和のその言葉が、頭の中で何度も響く。
星の形がなくなっても、僕、幸せになれるのかな。
ついそんなことを考えてしまう。
瓶を落としてしまったあと、リュックにしまってた時期もあったけど、やっぱりポケットに入れて、いつでも触れられるようにしたかった。
翼がカバーを作ってくれたおかげで、落としても割れないって安心できるから、寂しさを瓶の温もりで埋めたかったんだ。
ある日、講義の合間にキャンパスの広場で本を読んでた。
いつもの癖でポケットに手を入れると、星の砂の瓶がない。
背筋が冷たくなる。
どこかで落とした?
最後に確認したのは、さっきの大講義室での講義が終わったときだ。
ポケットに手を入れて、瓶の感触を確かめた記憶がある。
そのあと、まっすぐここに来たはずなのに。
慌てて講義室までの道を急いで見回しながら戻ってみた。
落ちてないかな、どこかにないかな。
ずっと心臓が鳴り続ける。
そのとき、目の前に見覚えのある瓶が差し出された。
星の砂の瓶だ。
翼の布のカバーが、陽光に柔らかく映えてる。
「これ、拾ったから。水瀬……の、だよな?」
聞き慣れた声に顔を上げる。
大和だった。
青いシャツの袖が秋風に揺れて、イヤーカフが陽光にキラリと光る。
大和の目は、どこか戸惑ってるみたいに揺れていた。
僕の心臓が早鐘を打つ。
「はは、もう捨てられてるかと思ってたよ」
大和が苦笑いしながら瓶を差し出す。
その声に、かすかな寂しさと嬉しさが滲んでた。
慌てて首を横に振る。
「そんなことしないよ。僕の……お守りだから」
大和の目が一瞬大きく見開いて、すぐに髪をクシャリとかきながら視線を逸らした。
「ああ、そうだよな。幸運のお守りだもんな、捨てづらいよな。そんなもんあげた俺、重かったな……。でも、持っててくれて、サンキュ」
大和の目は、いつの間にか僕をじっと見つめてた。
まるで、何かを確かめるみたいに。
ふと、大和の視線が僕の前髪に止まる。
「水瀬、変わったな」
そう呟いた気がしたけど、大和はなんでもないように笑ってた。
瓶を握りしめると、砕けた砂がサラサラと鳴る。
壊れた砂でも、陽光を浴びればキラキラ輝いてた。
「大和、あの――」
何か話さなきゃって口を開いたけど、言葉が詰まる。
大和が小さく手を振って友達のもとへ戻っていく。
その背中を僕は、じっと見つめる。
どんどん小さくなっていく姿が、人混みに溶けて消えるまで、僕はそこを動けなかった。
朝の冷たい空気が頬を刺すように吹き抜ける中、僕はポケットに手を突っ込んで、星の砂の瓶を握りしめた。
星の形はもう崩れて、ただの砂になってしまったけど、翼が作ってくれた布のカバーが瓶を優しく包んでる。
サラサラと鳴る砂の音が、夏の思い出を呼び起こす。
あの花火大会のあと、僕がいつもポケットに入れていることに気づいて、大和が嬉しそうに笑ってた。
「こうやっていつも持ってたら、水瀬は幸せになれるな。俺も星の砂みたいなお守りずっと持ってて、幸せになれたんだからさ」
大和のその言葉が、頭の中で何度も響く。
星の形がなくなっても、僕、幸せになれるのかな。
ついそんなことを考えてしまう。
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翼がカバーを作ってくれたおかげで、落としても割れないって安心できるから、寂しさを瓶の温もりで埋めたかったんだ。
ある日、講義の合間にキャンパスの広場で本を読んでた。
いつもの癖でポケットに手を入れると、星の砂の瓶がない。
背筋が冷たくなる。
どこかで落とした?
最後に確認したのは、さっきの大講義室での講義が終わったときだ。
ポケットに手を入れて、瓶の感触を確かめた記憶がある。
そのあと、まっすぐここに来たはずなのに。
慌てて講義室までの道を急いで見回しながら戻ってみた。
落ちてないかな、どこかにないかな。
ずっと心臓が鳴り続ける。
そのとき、目の前に見覚えのある瓶が差し出された。
星の砂の瓶だ。
翼の布のカバーが、陽光に柔らかく映えてる。
「これ、拾ったから。水瀬……の、だよな?」
聞き慣れた声に顔を上げる。
大和だった。
青いシャツの袖が秋風に揺れて、イヤーカフが陽光にキラリと光る。
大和の目は、どこか戸惑ってるみたいに揺れていた。
僕の心臓が早鐘を打つ。
「はは、もう捨てられてるかと思ってたよ」
大和が苦笑いしながら瓶を差し出す。
その声に、かすかな寂しさと嬉しさが滲んでた。
慌てて首を横に振る。
「そんなことしないよ。僕の……お守りだから」
大和の目が一瞬大きく見開いて、すぐに髪をクシャリとかきながら視線を逸らした。
「ああ、そうだよな。幸運のお守りだもんな、捨てづらいよな。そんなもんあげた俺、重かったな……。でも、持っててくれて、サンキュ」
大和の目は、いつの間にか僕をじっと見つめてた。
まるで、何かを確かめるみたいに。
ふと、大和の視線が僕の前髪に止まる。
「水瀬、変わったな」
そう呟いた気がしたけど、大和はなんでもないように笑ってた。
瓶を握りしめると、砕けた砂がサラサラと鳴る。
壊れた砂でも、陽光を浴びればキラキラ輝いてた。
「大和、あの――」
何か話さなきゃって口を開いたけど、言葉が詰まる。
大和が小さく手を振って友達のもとへ戻っていく。
その背中を僕は、じっと見つめる。
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