君がいてくれたから

第五十話 貴方が大好き

イルミネーション当日。街は雪がちらつき、あたり一面がキラキラと光り輝いていた。美紀はその美しい景色に心を奪われながらも、少しだけ体を縮めて手をポケットに突っ込んでいた。寒さが肌を刺し、思わず手をすり合わせる。

颯太は美紀の様子に気づき、ふとその視線を向ける。美紀が少し震えているのを見て、颯太はすぐに近づき「寒いか？」と優しく声をかけた。

美紀は驚きながらも小さく頷き「うん、少し…」と答える。颯太は無言で美紀の手を取ると、自分のポケットにそっと入れた。

「これで少しは温かくなるだろ？」と、温かい手のひらで包み込むようにする颯太。

美紀は驚きとともにドキドキしながらその温かさを感じ「ありがとう…」と小さな声で言う。

そのまま歩きながら颯太はふと「ねえ、美紀。見てみて。あのイルミネーションの中に、ひとつだけピンクに光ってるのがあるんだ。」と、指差しながら言った。

美紀は「そうなんだ！気になる！」と言い、目を輝かせる。

颯太は微笑みながら「そのピンクの光、実はね…伝説があるんだ。あれを見つけた人の願いが、なんでも叶うっていう…」と話す。

美紀は驚きの表情を浮かべ、「え、ほんとに？すごい…！」と目を大きく開く。

二人は歩きながら、そのピンクの光を探し続ける。しばらく歩いた後、美紀がその光を目の前で見つける。

「あ！あれだ！」と、美紀は歓声を上げる。

颯太は嬉しそうに頷き、「見つけたな。」と笑顔を見せる。

その瞬間、二人は立ち止まり、ピンクの光をじっと見つめる。美紀は心の中で何を願おうかと少し迷ってから、静かに目を閉じて心の中でひとつの願いを込めた。

「颯太とお付き合いできますように…」と、心の中で強く願う。

颯太も美紀を見守りながら、同じように目を閉じてひとつの願いを心に誓う。

「隣にいる素敵な女性とお付き合いできますように。」と、心の中で静かに願った。

美紀は少しドキドキしながら「ねえ、颯太は何を願ったの？」と、少し恥ずかしそうに尋ねる。

颯太は少し笑みを浮かべ「俺は、隣にいる素敵な女性とお付き合いできますようにって…」と、サラリと言う。

美紀はその言葉を聞いて、胸が高鳴るのを感じた。「え、私も…！」と驚き、颯太の顔を見つめる。

「私も、同じことを願ったの！颯太とお付き合いできますようにって…」と、思わず言ってしまう。

その言葉を聞いた颯太は、少しだけ照れたように笑い、真剣な表情に変わる。

「じゃあ、俺から言うよ。美紀、俺とお付き合いしてくれる？」と、ゆっくりと告白する。

美紀はその言葉に驚きながらも、心の中で何度も思っていたことが現実になった瞬間を感じ、頬を赤らめ、うれしそうに笑顔を見せた。

「うん…もちろん、颯太。私も、ずっとそう思ってたよ。」と、しっかりと答える。

二人はそのまま、手を繋ぎ歩き続けた。イルミネーションの光が彼らを優しく照らし、未来への希望と幸せを感じさせる。どんなに小さなことでも二人で分かち合い、支え合いながら歩んでいくと心に決めた。

そして、これから始まる二人だけの物語が、今、静かに始まったのだった。