21 / 106
2.奇妙な仲間と喋る花
オロロンの行方
しおりを挟む
行きたがるラビィを留守番に残し、燈達は早速オロロンを探す事にした。メンバーは燈とウィル、そしてリック。リックは一歩前に出て、鼻をヒクヒクと動かせていた。
「あっちからオロロンの匂いがする!」
そう言って二人を先導する。
「なるほど。犬だから鼻がいいんだね」
「探し物は得意なんだよ!」
リックは自慢気に言った。始めはウィルと二人で行く予定だったのだが、リックが「僕を連れて行った方がいいよ!」と立候補したので三人でオロロン探しをする事になった。
ライジルはまだ橋の建設が終わっていないので、そちらに手伝いに行った。ラビィは「一人じゃ嫌だー!」と駄々をこねたが、ウィルの無言の圧力に負け、渋々見送った。
何回か通った商店街の通りではなく、裏道を通る。日当たりが悪いので、湿気でじめじめとしていた。
「ず、随分狭い所に行くんだね」
ちょうど大人一人が入れるくらいの狭さだ。裏道といっても、明らかに人が通るような場所ではなかった。リックの丸まった尻尾が揺れているのが視界に入る。その尻尾をぼんやりと見つめていると、ふとリックが歩きながら振り返った。
「オロロンってば何処に行ったんだろ? ウィル知ってる?」
「確か……レイアスだったかな? そこに依頼者がいるって言っていたよ」
その問いに、一番後ろにいるウィルが手のひらサイズの灰色の手帳に目を通しながらのんびりと答えた。
レイアスは確かミレジカの一番栄えている所だ。それを聞いたリックが「ええっ!?」と大きな目を見開かせた。
「レイアス? 方向音痴のオロロンにそんな遠い所行けるわけないじゃないか! 何で行かせたの?」
「え? 止めた方がよかった?」
「当たり前だよウィルの馬鹿!」
リックは頬を膨らませて怒る。その怒り顔に迫力は無く、真正面から見た燈は不覚にも可愛いと思ってしまった。
「そっか…そこまで考えられなかった」
背後にいるので表情は見えなかったが、何処か寂しそうに聞こえた。
「全く! ……まぁ、ここまで何も言わなかった僕達も悪いけど……」
少し言いにくそうに口ごもる。確かにウィルが気付かなかったとしても、一人くらい気付くはずだ。なのに、一ヶ月経ってもだれも言わなかった。燈が言わなかったら、永遠に探されなかったんじゃないのかと思った。
何故だろう。リック達は、わざとオロロンを探していなかったように見えた。
「ねぇ、オロロンってどういう人なの?」
ふとオロロンの事が気になり尋ねる。名前しか聞いた事がなかったので、どんな人なのか興味が湧いた。
「オロロンは泣き虫ですぐに泣いちゃうんだ! マイペースでもあるから、遅いってよくライジルに怒鳴られて泣いているよ」
「へぇ…。オロロンも獣人なの?」
「オロロンは鳥だよ! でも飛べないけどね」
(鳥かぁ…。背中に翼でも生えているのかな?)
燈はまだ見ぬオロロンの姿を思い浮かべた。
*****
どれくらい歩いただろうか。体力に自信のない燈は息が上がり始めていた。
「……リック………まだ……?」
「うーん……まだかな?」
全く疲れた様子のないリックが、前を向きながら答えた。
オロロンを探そうと言ったのは自分だが、まさかこんなに遠くにいるとは。燈は流れ出る汗を拭う。もう少し先に進んでから、リックは「うーん」と苦々しく唸った。
「この道だと、やっぱりレイアスから外れているねー」
方向音痴らしいオロロンはレイアスに辿り着く事が出来ていないようだ。
一体一ヶ月も何処にいるのだろうか。道が分からないなければ仕事場に戻って誰かに聞けば解決したはず。まさか帰る道も分からなくなってしまったのだろうか。燈はふと振り返ってウィルの方を見てみる。
「……ってウィル何をしているの?」
ウィルは灰色のカバーの手帳に何かを書き込んでいた。
「メモをしているんだ。“オロロンは方向音痴だから探す願いの依頼は受けさせない方がいい”……って」
「………はぁ、そうなんだ」
そんな事までメモをするとは、真面目なのか、それとも忘れっぽいのか。ウィルの不思議な行動に、燈はただただ困惑するだけだった。
それからリックの進む方へと続いていったが、一向にオロロンが見つかる気配が無い。燈はへとへとになっていた。
オロロンの匂いを辿って道を行ったり来たりしているので、それほどの距離を移動していない。
裏道から抜け出す事は出来たものの、三人は未だに歩いていた。
こんなに歩いたのだから少しくらい疲れていいはずなのに、前の少年も、後ろの青年も涼しい顔をしていた。リックは何となく分かる。ーー何故ウィルは平気でいられるのだろうか。魔法を使っているイメージしか無いので、体力に自信は無いような感じがしたのだが。
「どうしたの、燈?」
怪訝そうに振り返る燈の視線に気づき、ウィルはにこやかに微笑む。どう見ても無理をしている様子はない。燈は「何でも無い」と言って前を向いた。
ウィルにはには欠点が見当たらない。こうも完璧な人が存在してしまってもいいのだろうか。
「……お?」
そんな事を思っていると、前を歩くリックから声が漏れた。
「どうしたの?」
「匂いが近くなってきた! こっちだ!!」
リックはそう言うと、勢いよく駆け出した。
「あ、リック待って……!」
悲鳴を上げる自分の身体に鞭打って、燈はリックを追い掛ける。背後からウィルがついてくる気配がした。ある程度走ると、リックは突然足を止め、近くの塀を登り始めた。そして屋根によじ登る。
「えええ? ここ登るの!?」
「ほら、燈!」
屋根からひょっこりと顔を出し、小さな手を差し出すリック。燈は嫌々ながらも塀によじ登り、リックの手を取る。リックは子供らしからぬ力で燈を屋根に引っ張り上げた。
「……わっ」
燈は屋根に何とか登る事が出来た。
「ありがとう…」
「どういたしまして!」
礼を言われて、リックは無邪気に笑った。
「ここにいるのかい?」
背後からウィルの声が聞こえ、振り返る。ウィルは塀をよじ登る事はせず、魔法でフワリと宙に浮いて屋根に降り立った。
「……ウィル何かずるい」
何の苦労もせず屋根に登ったウィルに、思わずムッとする燈。当の本人は「そう?」と特に気にした様子は無かった。
「……あ、いた!」
キョロキョロと辺りを見渡していたリックが、突然大声を上げた。
「おーい、オロロンー!」
リックが大きく手を振っている方向に燈は視線を向けた。
(……何あれ)
燈の第一印象はそれだった。リックがオロロンと呼んだ所に、何かがいた。卵のような楕円形の黒い物体。オーバーオールを着ているように見える。その物体は屋根の隅に、こちらに背を向けて座っていたが、リックに声を掛けられた瞬間、こちらを振り返った。
皿のように大きな瞳。尖った口に妙に細い腕。全く見た事の無い異形の姿に、燈は思わず「え…!」と声を上げてしまった。オロロンと呼ばれた黒い物は、どう見ても鳥に見えない。
オロロンはリックの姿を目にすると、その大きな瞳から涙が溢れさせた。
「お、おろろーん! リックだぁー!!」
オロロンは短い足を使って駆け寄ると、リックに思い切り飛びついた。
「リックー!」
オロロンはリックの腕の中でおいおいと泣き始めた。オロロンは11歳のリックよりも小さかった。リックの腕にすっぽりと納まっている。
「あっちからオロロンの匂いがする!」
そう言って二人を先導する。
「なるほど。犬だから鼻がいいんだね」
「探し物は得意なんだよ!」
リックは自慢気に言った。始めはウィルと二人で行く予定だったのだが、リックが「僕を連れて行った方がいいよ!」と立候補したので三人でオロロン探しをする事になった。
ライジルはまだ橋の建設が終わっていないので、そちらに手伝いに行った。ラビィは「一人じゃ嫌だー!」と駄々をこねたが、ウィルの無言の圧力に負け、渋々見送った。
何回か通った商店街の通りではなく、裏道を通る。日当たりが悪いので、湿気でじめじめとしていた。
「ず、随分狭い所に行くんだね」
ちょうど大人一人が入れるくらいの狭さだ。裏道といっても、明らかに人が通るような場所ではなかった。リックの丸まった尻尾が揺れているのが視界に入る。その尻尾をぼんやりと見つめていると、ふとリックが歩きながら振り返った。
「オロロンってば何処に行ったんだろ? ウィル知ってる?」
「確か……レイアスだったかな? そこに依頼者がいるって言っていたよ」
その問いに、一番後ろにいるウィルが手のひらサイズの灰色の手帳に目を通しながらのんびりと答えた。
レイアスは確かミレジカの一番栄えている所だ。それを聞いたリックが「ええっ!?」と大きな目を見開かせた。
「レイアス? 方向音痴のオロロンにそんな遠い所行けるわけないじゃないか! 何で行かせたの?」
「え? 止めた方がよかった?」
「当たり前だよウィルの馬鹿!」
リックは頬を膨らませて怒る。その怒り顔に迫力は無く、真正面から見た燈は不覚にも可愛いと思ってしまった。
「そっか…そこまで考えられなかった」
背後にいるので表情は見えなかったが、何処か寂しそうに聞こえた。
「全く! ……まぁ、ここまで何も言わなかった僕達も悪いけど……」
少し言いにくそうに口ごもる。確かにウィルが気付かなかったとしても、一人くらい気付くはずだ。なのに、一ヶ月経ってもだれも言わなかった。燈が言わなかったら、永遠に探されなかったんじゃないのかと思った。
何故だろう。リック達は、わざとオロロンを探していなかったように見えた。
「ねぇ、オロロンってどういう人なの?」
ふとオロロンの事が気になり尋ねる。名前しか聞いた事がなかったので、どんな人なのか興味が湧いた。
「オロロンは泣き虫ですぐに泣いちゃうんだ! マイペースでもあるから、遅いってよくライジルに怒鳴られて泣いているよ」
「へぇ…。オロロンも獣人なの?」
「オロロンは鳥だよ! でも飛べないけどね」
(鳥かぁ…。背中に翼でも生えているのかな?)
燈はまだ見ぬオロロンの姿を思い浮かべた。
*****
どれくらい歩いただろうか。体力に自信のない燈は息が上がり始めていた。
「……リック………まだ……?」
「うーん……まだかな?」
全く疲れた様子のないリックが、前を向きながら答えた。
オロロンを探そうと言ったのは自分だが、まさかこんなに遠くにいるとは。燈は流れ出る汗を拭う。もう少し先に進んでから、リックは「うーん」と苦々しく唸った。
「この道だと、やっぱりレイアスから外れているねー」
方向音痴らしいオロロンはレイアスに辿り着く事が出来ていないようだ。
一体一ヶ月も何処にいるのだろうか。道が分からないなければ仕事場に戻って誰かに聞けば解決したはず。まさか帰る道も分からなくなってしまったのだろうか。燈はふと振り返ってウィルの方を見てみる。
「……ってウィル何をしているの?」
ウィルは灰色のカバーの手帳に何かを書き込んでいた。
「メモをしているんだ。“オロロンは方向音痴だから探す願いの依頼は受けさせない方がいい”……って」
「………はぁ、そうなんだ」
そんな事までメモをするとは、真面目なのか、それとも忘れっぽいのか。ウィルの不思議な行動に、燈はただただ困惑するだけだった。
それからリックの進む方へと続いていったが、一向にオロロンが見つかる気配が無い。燈はへとへとになっていた。
オロロンの匂いを辿って道を行ったり来たりしているので、それほどの距離を移動していない。
裏道から抜け出す事は出来たものの、三人は未だに歩いていた。
こんなに歩いたのだから少しくらい疲れていいはずなのに、前の少年も、後ろの青年も涼しい顔をしていた。リックは何となく分かる。ーー何故ウィルは平気でいられるのだろうか。魔法を使っているイメージしか無いので、体力に自信は無いような感じがしたのだが。
「どうしたの、燈?」
怪訝そうに振り返る燈の視線に気づき、ウィルはにこやかに微笑む。どう見ても無理をしている様子はない。燈は「何でも無い」と言って前を向いた。
ウィルにはには欠点が見当たらない。こうも完璧な人が存在してしまってもいいのだろうか。
「……お?」
そんな事を思っていると、前を歩くリックから声が漏れた。
「どうしたの?」
「匂いが近くなってきた! こっちだ!!」
リックはそう言うと、勢いよく駆け出した。
「あ、リック待って……!」
悲鳴を上げる自分の身体に鞭打って、燈はリックを追い掛ける。背後からウィルがついてくる気配がした。ある程度走ると、リックは突然足を止め、近くの塀を登り始めた。そして屋根によじ登る。
「えええ? ここ登るの!?」
「ほら、燈!」
屋根からひょっこりと顔を出し、小さな手を差し出すリック。燈は嫌々ながらも塀によじ登り、リックの手を取る。リックは子供らしからぬ力で燈を屋根に引っ張り上げた。
「……わっ」
燈は屋根に何とか登る事が出来た。
「ありがとう…」
「どういたしまして!」
礼を言われて、リックは無邪気に笑った。
「ここにいるのかい?」
背後からウィルの声が聞こえ、振り返る。ウィルは塀をよじ登る事はせず、魔法でフワリと宙に浮いて屋根に降り立った。
「……ウィル何かずるい」
何の苦労もせず屋根に登ったウィルに、思わずムッとする燈。当の本人は「そう?」と特に気にした様子は無かった。
「……あ、いた!」
キョロキョロと辺りを見渡していたリックが、突然大声を上げた。
「おーい、オロロンー!」
リックが大きく手を振っている方向に燈は視線を向けた。
(……何あれ)
燈の第一印象はそれだった。リックがオロロンと呼んだ所に、何かがいた。卵のような楕円形の黒い物体。オーバーオールを着ているように見える。その物体は屋根の隅に、こちらに背を向けて座っていたが、リックに声を掛けられた瞬間、こちらを振り返った。
皿のように大きな瞳。尖った口に妙に細い腕。全く見た事の無い異形の姿に、燈は思わず「え…!」と声を上げてしまった。オロロンと呼ばれた黒い物は、どう見ても鳥に見えない。
オロロンはリックの姿を目にすると、その大きな瞳から涙が溢れさせた。
「お、おろろーん! リックだぁー!!」
オロロンは短い足を使って駆け寄ると、リックに思い切り飛びついた。
「リックー!」
オロロンはリックの腕の中でおいおいと泣き始めた。オロロンは11歳のリックよりも小さかった。リックの腕にすっぽりと納まっている。
0
あなたにおすすめの小説
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
さようならの定型文~身勝手なあなたへ
宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」
――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。
額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。
涙すら出なかった。
なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。
……よりによって、元・男の人生を。
夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。
「さようなら」
だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。
慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。
別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。
だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい?
「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」
はい、あります。盛りだくさんで。
元・男、今・女。
“白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。
-----『白い結婚の行方』シリーズ -----
『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~
放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」
大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。
生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。
しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。
「すまない。私は父としての責任を果たす」
かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。
だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。
これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
揺れぬ王と、その隣で均衡を保つ妃
ふわふわ
恋愛
婚約破棄の断罪の場で、すべては始まった。
王太子は感情に流され、公爵令嬢との婚約を解消する。
だが、その決断は王家と貴族社会の均衡を揺るがし、国そのものを危うくする一手だった。
――それでも彼女は、声を荒らげない。
問いただすのはただ一つ。
「そのご婚約は、国家にとって正当なものですか?」
制度、資格、責任。
恋ではなく“国家の構造”を示した瞬間、王太子は初めて己の立場を知る。
やがて選ばれるのは、感情ではなく均衡。
衝動の王子は、嵐を起こさぬ王へと変わっていく。
そして彼の隣には、常に彼女が立つ。
派手な革命も、劇的な勝利もない。
あるのは、小さな揺れを整え続ける日々。
遠雷を読み、火種を消し、疑念に居場所を与え、
声なき拍手を聞き取る。
これは――
嵐を起こさなかった王と、
その隣で国家の均衡を保ち続けた妃の物語。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる