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第一章
10.創造神・ディミオルゴの転生(Side.ディルク) ★
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2022/04/03に書き直しました。
アルフレッドたちと行動するディルク視点です。
罪に囚われつつある少女の悲鳴が聞こえた気がして、少年は口の端を上げた。
(……やっと気付いた頃、かな)
ディルク・プラネルト は、目の前を歩くアルフレッド――前世では可愛い娘の婚約者だった、ショウの背を見据えた。
アカリを毛嫌いしてる彼は、彼女の現状など気にも留めない。報告は受けているだろうが、逃げなければそれで良いらしい。そんなショウの心をアカリが知ったらどうなるだろうと、容易に想像出来て吹き出しそうになった。
嫌な性格だと思うが、前世はアカリの両親に殺され、アカリ本人に娘を殺されたのだから、それぐらい許されるだろうと思っている。神も結構意地は悪い。
(既にヒロインがいれば、どんなに足掻いてもヒロインにはなれないでしょ?)
ディルクとして転生した創造神・ディミオルゴは、この世界に己を結びつける前に、一つの命を生み出していた。勿論、アカリ対策として。
アカリは乙女ゲームのヒロインになりたかったようだ……というより、ヒロインだと自負している。そしてそれが当たり前の様に、ショウことアルフレッドを始め、各攻略対象と関係を持とうと企んでいた。
最低でも、ショウの事は欲しいのだろう。その為に、アカリは代償を考えず、悪魔にどんどん願いを叶えてもらっている。あれではこの世界でもまともに死ぬ事は出来ないだろう。最悪、骨まで残らない。もっとも、全てアカリの自業自得なうえに、ディルク自身興味がない。
大切な子どもたちのために敵をナイナイしたい身として、自爆してくれるならそれはそれで手間が省けて良いとすら彼は思っていた。神に見限られた末路は悲惨でしかない。
(アカリはまぁ、もういいとして……問題はこっちかな)
アカリの事は頭の中から放り出し、代わりに思うのは前世の娘の事。そしてここ最近一緒にいるのをよく見る黒猫――の姿をした悪魔の姿だ。
(前世からそういう体質だったけど……まさかこの世界でも発揮するとは思わなかったよ)
ノエル――ミツキは、良いモノも悪いモノも引き寄せる体質だった。それは彼女の母親も同じで、親子揃って面倒な体質であったのは頷く事しか出来ない事実である。
そんなミツキは、今世でもその体質を発揮してるらしい。
ディルクが悪魔がノエルに接触しているのを知ったのは、ジリアンからの報告だった。
『驚くなよ』
『え、何怖い』
『いいから、驚かないで聞いてくれ』
『……何だい?』
『悪魔が猫の姿に化けて、ランベール伯爵令嬢にゴロゴロ喉を鳴らしていた』
『…………どういうこと?』
『わからない。だが大分懐いているのは確かだ』
一体何をしているのか。それも本来の姿は一切表さず、本物の猫の振りをしているというのだから尚更気になったものだった。
ディルク自ら様子を見ていても、悪魔は特に何かする訳でもなく、ただなぁなぁ鳴いて構ってもらったら静かに帰る。本当に何をしているんだと唖然としたが、悪さをする気がないようなのでそのままにしておいた。悪魔とて何もしていなければ神は裁かないのである。
悪魔のそんな意味のわからない行動が好意から来ていたのを知った時は呆れ果てたが、それ以上に、ミツキの惹き付ける力に目眩を覚えたものだった。
(悪魔まで惹き付けることもなかったでしょうに……)
そんな心配は届く事なく、本人は前世でも今世でも無自覚のまま。
そんな彼女には、ショウやマリアの様な悪意に敏感な者が必要だった。前世しくじった自分ではなく、最期まで彼女を守った男と、彼女を心から慕うヒロイン……二人が揃うのは必然だった。
(やっとショウの魂も解放出来たし、あの悪魔以上の魔力はコントロール出来るようになった。ジリアンのサポートもあれば対処出来る、かな)
悪魔との契約でアカリに抑え付けられていたショウの魂を、本当ならもっと早くに解放する予定だった。だが人間として転生したディミオルゴは、強大な力を持って生まれた反面、その力のせいで虚弱体質であった。
仕方ない事だった。持てるだけの魔力を持って生まれて来たのだ。人間の弱い身体では耐えきれない。
とはいえ、ずっと寝たきりでいる訳にもいかない。筋肉が付きにくく、魔法どころか魔力に耐えるのがやっとの身体をしていたが、はいそうですかと諦める事もない。自身の目で状況を把握するために、少しでも早く動けるようになりたかった。立ち止まっている暇はない。
息も絶え絶えになりながらも、ディルクは魔力を身体の外に逃がして身体の負担を軽減させる方法を探した。魔力を吸収するような魔石、またはアイテムが存在していれば良かったのだが、悲しい事にそういう部分は上手くいかないもので、実際効果のある魔石も発見出来ていないし、アイテムの発明もされていない。
当たり前だ。ディルクの様な症例は、この世界においてかなり稀なのである。難病と云っても過言ではないだろう。そんな一握りの患者のために何かを生み出す力は使わない、使えないのが、この世界の流れだった。きっと数十年も経てば徐々に発明されていくだろうが、現段階では手立てはない。では自分で発見して開発しようと考えたものの、そもそも動けないのだからどうにもならない。詰んでいる。八方塞がりだ。
そんな時だった。
一緒に転生した愛する人が、魔力吸収の力を持って会いに来た。
ジリアンに前世の記憶はない。しかし女性にしては勇ましい言葉遣いや鋭い眼差しはそのままで、彼女が好きだった夕日色をした髪は、凛とした今世の彼女によく似合っていた。
『焦っても良い事は無い。私もいる、一人で根詰めるな』
彼女は何も知らない。前世の記憶がないのだから、乙女ゲームも悪役令嬢も、ディルクが行おうとしてる事も何もかも、全く知らないのである。
それでも、彼女はディルクの事を支え続けた。何も云わない婚約者に、痺れを切らして去って行っても可笑しくは無いのに、ジリアンは側で見守り続けたのだ。
だから聞いたのだ。『嫌ではないか?』と。
だがジリアンから返って来たのは、危うくディルクの心臓を止めそうな言葉だった。
『どうしてなのか自分でもわからないが、婚約者としてプラネルト家に来た時から……いや、まだ名も知る前から、ディーの事を支えねばと、不思議と決意していた。まぁ、その時は『名も知らぬ誰か』だったのだが』
こんな殺し文句あるだろうか。
ディルクは最愛の人を益々好きになった。
『もう結婚しよ』
『年齢的に無理だ』
呆れた様に微笑む彼女に、ディルクは惚けた笑みを浮かべた。
その日から、ジリアンはプラネルト家、というよりディルクと一日中行動をともにしている。そのお陰で彼は寝込むことも少なくなり、体力も徐々に付き始めた。今も身体は細く血色も良い方ではないが、以前の鶏ガラ体型よりはマシになった。ジリアンの自由を奪って申し訳ないと思う反面、今世でも離してやれないと思っている。愛しているから余計にだ。
ショウ同様、ディルクも大切な者のために足掻いた。ジリアンに任せきりではなく、自分の足で情報入手するべく、出かけられる時は頻繁に出かけもした。
今世も、魔力は有れど人間に変わりない。前世のようについうっかりで命を落して離脱する訳にはいかない。
そして先日、ようやっとショウの魂を解放することに成功した。偶然にもその瞬間はアカリの襲撃時だったのを知った時は苦笑したものだった。
懸念していた体調も思っていた程悪くもならず安堵した。一回悪くなると回復に時間が掛かるのだ。その期間出来る事が限られるのが痛いので気をつけなければならない。
風向きが良い方に流れ始めたと思ったのも束の間、アルフレッドの方が衝撃に耐えきれず体調を崩し、随分寝込んでいるという報せを受けた。
子どもの身体ではストレスに耐えられなかったのだろう。十才と幼い子どもが、何日も高熱を出し続けるのは危険。それはどの世界でも変わらない。だから無事回復したと報せを受けた時は胸を撫で下ろしたものだった。
申し訳ない事をしたと、ディルクはショウに対し自身の邸から心の中で謝罪した。いや直接謝りに行けよ、と云われるだろうが、アルフレッドやノエルに真実を打ち明ける気が無いので、これで許してほしいと思う。
反省しているのかしていないのか微妙な彼に、ジリアンは呆れて肩を竦めていた。
だが、これはまだ始まりに過ぎない。
(マリアは孤児院での生活に慣れたか……このままノエルと良好な関係を維持して欲しいな)
この世界にマリアの魂を生み出したのは、ディルクことディミオルゴだ。しかし、彼に出来る事もそれまで。そこから真っ当な人間として育つのは、生まれた環境と本人次第。加護は与えているが、それを発揮できるかどうかはマリアの心にかかっている。ディルクがどうこう出来る訳では無い。
(父親が亡くなってから悲惨な生活でどうしようかと思ったけど、ノエルのお陰で助かった)
偶然か、それとも必然か。マリアとノエルは出会った。それだけに留まらず、姉妹と言っても過言ではない程の仲を築いている。
始めこそ、関わろうとするノエルに素直になれず……というより、どう接したら良いのか困りかねていたマリアだったが、今ではノエルが側に行くよりも先に彼女の下へと向かうぐらいには仲良くなっている。
これなら、二人の関係は問題ないだろう。ノエルもミツキの性質を引き継いで物腰の柔らかな令嬢に育ったし、マリアもスラム育ちで学はないが常識と知性を持つ子に育った。二人はきっと大丈夫だろう。
残る問題は、ショウとマリアをどう戦友にさせるかだった。
(ショウはマリアを警戒しているし、マリアもノエルをぞんざいにしていた今までのアルフレッドに良い感情を抱いていない。むしろ嫌ってる。戦友とまではいかなくても、友だちくらいにはなってほしいな)
前世の記憶の影響で精神年齢が上のアルフレッドは兎も角、マリアの王子への印象は最低だ。なんなら自分の方がノエルを守れると思うくらいには色々と拗らせている。ここはショウを信じて任せるしかない。
ゲーム通りに物事を運びたがいる転生者がいる今、油断は自分の首を絞める事に繋がる。
相手の思惑を阻止するため、またノエルを守るために、どうにか共闘出来る仲にはなって欲しいと願う。
(頼んだよ、二人とも)
子どもたちの行く末にハラハラしながら、ディルクはアルフレッドの後を着いて行った。
アルフレッドたちと行動するディルク視点です。
罪に囚われつつある少女の悲鳴が聞こえた気がして、少年は口の端を上げた。
(……やっと気付いた頃、かな)
ディルク・プラネルト は、目の前を歩くアルフレッド――前世では可愛い娘の婚約者だった、ショウの背を見据えた。
アカリを毛嫌いしてる彼は、彼女の現状など気にも留めない。報告は受けているだろうが、逃げなければそれで良いらしい。そんなショウの心をアカリが知ったらどうなるだろうと、容易に想像出来て吹き出しそうになった。
嫌な性格だと思うが、前世はアカリの両親に殺され、アカリ本人に娘を殺されたのだから、それぐらい許されるだろうと思っている。神も結構意地は悪い。
(既にヒロインがいれば、どんなに足掻いてもヒロインにはなれないでしょ?)
ディルクとして転生した創造神・ディミオルゴは、この世界に己を結びつける前に、一つの命を生み出していた。勿論、アカリ対策として。
アカリは乙女ゲームのヒロインになりたかったようだ……というより、ヒロインだと自負している。そしてそれが当たり前の様に、ショウことアルフレッドを始め、各攻略対象と関係を持とうと企んでいた。
最低でも、ショウの事は欲しいのだろう。その為に、アカリは代償を考えず、悪魔にどんどん願いを叶えてもらっている。あれではこの世界でもまともに死ぬ事は出来ないだろう。最悪、骨まで残らない。もっとも、全てアカリの自業自得なうえに、ディルク自身興味がない。
大切な子どもたちのために敵をナイナイしたい身として、自爆してくれるならそれはそれで手間が省けて良いとすら彼は思っていた。神に見限られた末路は悲惨でしかない。
(アカリはまぁ、もういいとして……問題はこっちかな)
アカリの事は頭の中から放り出し、代わりに思うのは前世の娘の事。そしてここ最近一緒にいるのをよく見る黒猫――の姿をした悪魔の姿だ。
(前世からそういう体質だったけど……まさかこの世界でも発揮するとは思わなかったよ)
ノエル――ミツキは、良いモノも悪いモノも引き寄せる体質だった。それは彼女の母親も同じで、親子揃って面倒な体質であったのは頷く事しか出来ない事実である。
そんなミツキは、今世でもその体質を発揮してるらしい。
ディルクが悪魔がノエルに接触しているのを知ったのは、ジリアンからの報告だった。
『驚くなよ』
『え、何怖い』
『いいから、驚かないで聞いてくれ』
『……何だい?』
『悪魔が猫の姿に化けて、ランベール伯爵令嬢にゴロゴロ喉を鳴らしていた』
『…………どういうこと?』
『わからない。だが大分懐いているのは確かだ』
一体何をしているのか。それも本来の姿は一切表さず、本物の猫の振りをしているというのだから尚更気になったものだった。
ディルク自ら様子を見ていても、悪魔は特に何かする訳でもなく、ただなぁなぁ鳴いて構ってもらったら静かに帰る。本当に何をしているんだと唖然としたが、悪さをする気がないようなのでそのままにしておいた。悪魔とて何もしていなければ神は裁かないのである。
悪魔のそんな意味のわからない行動が好意から来ていたのを知った時は呆れ果てたが、それ以上に、ミツキの惹き付ける力に目眩を覚えたものだった。
(悪魔まで惹き付けることもなかったでしょうに……)
そんな心配は届く事なく、本人は前世でも今世でも無自覚のまま。
そんな彼女には、ショウやマリアの様な悪意に敏感な者が必要だった。前世しくじった自分ではなく、最期まで彼女を守った男と、彼女を心から慕うヒロイン……二人が揃うのは必然だった。
(やっとショウの魂も解放出来たし、あの悪魔以上の魔力はコントロール出来るようになった。ジリアンのサポートもあれば対処出来る、かな)
悪魔との契約でアカリに抑え付けられていたショウの魂を、本当ならもっと早くに解放する予定だった。だが人間として転生したディミオルゴは、強大な力を持って生まれた反面、その力のせいで虚弱体質であった。
仕方ない事だった。持てるだけの魔力を持って生まれて来たのだ。人間の弱い身体では耐えきれない。
とはいえ、ずっと寝たきりでいる訳にもいかない。筋肉が付きにくく、魔法どころか魔力に耐えるのがやっとの身体をしていたが、はいそうですかと諦める事もない。自身の目で状況を把握するために、少しでも早く動けるようになりたかった。立ち止まっている暇はない。
息も絶え絶えになりながらも、ディルクは魔力を身体の外に逃がして身体の負担を軽減させる方法を探した。魔力を吸収するような魔石、またはアイテムが存在していれば良かったのだが、悲しい事にそういう部分は上手くいかないもので、実際効果のある魔石も発見出来ていないし、アイテムの発明もされていない。
当たり前だ。ディルクの様な症例は、この世界においてかなり稀なのである。難病と云っても過言ではないだろう。そんな一握りの患者のために何かを生み出す力は使わない、使えないのが、この世界の流れだった。きっと数十年も経てば徐々に発明されていくだろうが、現段階では手立てはない。では自分で発見して開発しようと考えたものの、そもそも動けないのだからどうにもならない。詰んでいる。八方塞がりだ。
そんな時だった。
一緒に転生した愛する人が、魔力吸収の力を持って会いに来た。
ジリアンに前世の記憶はない。しかし女性にしては勇ましい言葉遣いや鋭い眼差しはそのままで、彼女が好きだった夕日色をした髪は、凛とした今世の彼女によく似合っていた。
『焦っても良い事は無い。私もいる、一人で根詰めるな』
彼女は何も知らない。前世の記憶がないのだから、乙女ゲームも悪役令嬢も、ディルクが行おうとしてる事も何もかも、全く知らないのである。
それでも、彼女はディルクの事を支え続けた。何も云わない婚約者に、痺れを切らして去って行っても可笑しくは無いのに、ジリアンは側で見守り続けたのだ。
だから聞いたのだ。『嫌ではないか?』と。
だがジリアンから返って来たのは、危うくディルクの心臓を止めそうな言葉だった。
『どうしてなのか自分でもわからないが、婚約者としてプラネルト家に来た時から……いや、まだ名も知る前から、ディーの事を支えねばと、不思議と決意していた。まぁ、その時は『名も知らぬ誰か』だったのだが』
こんな殺し文句あるだろうか。
ディルクは最愛の人を益々好きになった。
『もう結婚しよ』
『年齢的に無理だ』
呆れた様に微笑む彼女に、ディルクは惚けた笑みを浮かべた。
その日から、ジリアンはプラネルト家、というよりディルクと一日中行動をともにしている。そのお陰で彼は寝込むことも少なくなり、体力も徐々に付き始めた。今も身体は細く血色も良い方ではないが、以前の鶏ガラ体型よりはマシになった。ジリアンの自由を奪って申し訳ないと思う反面、今世でも離してやれないと思っている。愛しているから余計にだ。
ショウ同様、ディルクも大切な者のために足掻いた。ジリアンに任せきりではなく、自分の足で情報入手するべく、出かけられる時は頻繁に出かけもした。
今世も、魔力は有れど人間に変わりない。前世のようについうっかりで命を落して離脱する訳にはいかない。
そして先日、ようやっとショウの魂を解放することに成功した。偶然にもその瞬間はアカリの襲撃時だったのを知った時は苦笑したものだった。
懸念していた体調も思っていた程悪くもならず安堵した。一回悪くなると回復に時間が掛かるのだ。その期間出来る事が限られるのが痛いので気をつけなければならない。
風向きが良い方に流れ始めたと思ったのも束の間、アルフレッドの方が衝撃に耐えきれず体調を崩し、随分寝込んでいるという報せを受けた。
子どもの身体ではストレスに耐えられなかったのだろう。十才と幼い子どもが、何日も高熱を出し続けるのは危険。それはどの世界でも変わらない。だから無事回復したと報せを受けた時は胸を撫で下ろしたものだった。
申し訳ない事をしたと、ディルクはショウに対し自身の邸から心の中で謝罪した。いや直接謝りに行けよ、と云われるだろうが、アルフレッドやノエルに真実を打ち明ける気が無いので、これで許してほしいと思う。
反省しているのかしていないのか微妙な彼に、ジリアンは呆れて肩を竦めていた。
だが、これはまだ始まりに過ぎない。
(マリアは孤児院での生活に慣れたか……このままノエルと良好な関係を維持して欲しいな)
この世界にマリアの魂を生み出したのは、ディルクことディミオルゴだ。しかし、彼に出来る事もそれまで。そこから真っ当な人間として育つのは、生まれた環境と本人次第。加護は与えているが、それを発揮できるかどうかはマリアの心にかかっている。ディルクがどうこう出来る訳では無い。
(父親が亡くなってから悲惨な生活でどうしようかと思ったけど、ノエルのお陰で助かった)
偶然か、それとも必然か。マリアとノエルは出会った。それだけに留まらず、姉妹と言っても過言ではない程の仲を築いている。
始めこそ、関わろうとするノエルに素直になれず……というより、どう接したら良いのか困りかねていたマリアだったが、今ではノエルが側に行くよりも先に彼女の下へと向かうぐらいには仲良くなっている。
これなら、二人の関係は問題ないだろう。ノエルもミツキの性質を引き継いで物腰の柔らかな令嬢に育ったし、マリアもスラム育ちで学はないが常識と知性を持つ子に育った。二人はきっと大丈夫だろう。
残る問題は、ショウとマリアをどう戦友にさせるかだった。
(ショウはマリアを警戒しているし、マリアもノエルをぞんざいにしていた今までのアルフレッドに良い感情を抱いていない。むしろ嫌ってる。戦友とまではいかなくても、友だちくらいにはなってほしいな)
前世の記憶の影響で精神年齢が上のアルフレッドは兎も角、マリアの王子への印象は最低だ。なんなら自分の方がノエルを守れると思うくらいには色々と拗らせている。ここはショウを信じて任せるしかない。
ゲーム通りに物事を運びたがいる転生者がいる今、油断は自分の首を絞める事に繋がる。
相手の思惑を阻止するため、またノエルを守るために、どうにか共闘出来る仲にはなって欲しいと願う。
(頼んだよ、二人とも)
子どもたちの行く末にハラハラしながら、ディルクはアルフレッドの後を着いて行った。
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