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第三幕 学生期
129.マナーの授業4
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クラスメイト達は、全員がミス・ウェリントンから注意を受けていたので、アントニオも同様に叱られると予想し、扉の方に注目した。
ナンシー
「どうぞ、お入り下さい。」
扉開くと石鹸の清潔な香りが微かに漂った。
2人の魔導騎士を従えた学生が立っている。
下ろしたての綺麗な制服に身を包み、頭には黒い三角帽子(トリコーン)の学生帽、肩にはマントがかけられている。右側のマントを捲(まく)り上げており、胸には黒いポケットチーフと黄金の獅子のブローチが飾られている。
白い手袋をした手には、青紫色の花で作られた花束が握られていた。
後ろに並ぶ護衛騎士の2人も、ポケットチーフと手袋を装備している。
学生が帽子を脱いでお辞儀をすると、2人の魔導騎士もお辞儀した。
その動作の、何とエレガントであることか。
綺麗に揃えられた足、お辞儀の角度、帽子を掴み胸に当てた手の位置、全てが完璧である。
学生の焦茶の髪がサラッと揺れる。
顔が上がると、12歳の子供とは思えないほど背が高い。そして脚が長いことが分かった。
焦茶の学生は脱いだ帽子を、花束を持っている方の手に持ち替えると、空いた手でポケットから招待状を取り出し、ミス・ウェリントンが文字を読める向き開いてみせた。
アントニオ
「本日はマナーの授業にご招待頂き、誠に有難うございます。私はジーンシャン辺境伯グリエルモ・ジーンシャンの息子、アントニオでございます。」
ウェリントン
「ミスター・ジーンシャン。ようこそ我が社交室へ。私がパトリシア・ウェリントンでございます。」
アントニオ
「王国一の貴婦人と名高いウェリントン公爵様に、礼儀作法を学べるという事は、私にとって非常に大きな喜びでございます。」
アントニオは、招待状をポケットにしまい、矢車菊の花束を差し出した。
アントニオ
「大輪のカトレアのように、社交界に咲き誇るウェリントン公爵様、この矢車菊は貴女様とは比べる事も出来ない小さな花ではありますが、貴女様の元でマナーを学べる喜びをお伝えしたく、このブーケを作って参りました。どうか、このブーケを受け取り、貴女様の美しい手に挨拶する名誉をお与え下さい。」
カトレアの花言葉は『優美な貴婦人、成熟した大人の魅力』である。
ミス・ウェリントンが花束を受け取ると、アントニオはミス・ウェリントンの片手を取ってキスをした。
花束に付いているメッセージカードを広げると『この花が、私の真心を、私に代わって貴女にお伝えしてくれるでしょう。』と書かれている。
ブーケに使われている矢車菊の花言葉は『繊細、優美、教育、信頼』である。
ミス・ウェリントンは夢だと思った。
その優美な動作、優しく澄んだ声で述べられる完璧な挨拶。お伽話の王子様のように、子供の頃から思い描いていた理想の紳士そのものだった。
アントニオ
「護衛騎士を同席させても?」
ミス・ウェリントンは夢の中に迷い込んだように、理想の紳士を見つめていた。
アントニオ
「外で待たせた方が良いでしょうか?」
ウェリントン
「はい...あ、いいえ! どうぞ、ご一緒に!」
アントニオ
「有難うございます。」
アントニオが微笑むと、ミス・ウェリントンは年甲斐も無く心臓が飛び跳ねる衝撃を感じた。胸を押さえて立っているだけでも、精一杯だと思う程に。
ミス・ウェリントンの助手であるナンシー・スタイルズも同様にアントニオを見つめていたが、我に返って歩み出た。
ナンシー
「帽子とマントをお預かりいたしますわ!」
アントニオ
「有難うございます。」
ナンシーは帽子とマントを手渡されるとき、ウッディなアロマの香りを感じた。
アントニオの使っているシャンプーはジュゼッペが用意したもので、ローズマリーやティートゥリー、スペアミント、月桃などの香油が使われている。
なんて良い香りなの!
こんな良い香りのする人間を他に知らないとナンシーは思った。
いつまでたっても侍女がアントニオの前から動こうとしないので、アントニオはお財布から硬貨を出してチップを渡そうとした。
ナンシー
「へ?」
ミス・ウェリントンは慌てて制止する。
ウェリントン
「ミスター・ジーンシャン! 授業でチップは必要ありませんわ!」
ナンシーは自分がぼーっとしていた事に気が付き慌ててクロークへ駆け込んだ。
ナンシー
「も、申し訳ありません。」
ウェリントン
「ミス・スタイルズ、花を生けて下さい。」
ナンシー
「ただ今!」
バタバタ走り回りナンシーは、ミス・ウェリントンから花束を受け取った。
ウェリントン
「走らないで、エレガントに!」
ナンシー
「はい!」
ナンシーは、すぐに取り澄ました歩き方に戻り、受け取った花束を生けるため、奥の部屋へと下がった。
ウェリントン
「どうぞ、お掛けになって下さい。」
アントニオ
「有難うございます。」
奥のテーブルにはラドミール・ベナーク、ルーカス・ミラー、フィオナ・グリーンウェルが座る。
中央のテーブルにはディーデリック・バース、クリスタ・ヒューゲル、マーク・ホワイトリー。
手前のテーブルにはリアナ・ジャニエス、ユーリ・ブラウエル。
辺境伯次期領主のアントニオが何処のテーブルに座るのか、クラスメイト達は緊張していた。
アントニオは友達のディーデリックが座る席に座りたいと思ったが、奥と中央のテーブルには3人座っているし、人数を合わせるために男爵家の2人が座る手前のテーブルで足をとめた。
アントニオ
「相席しても宜しいでしょうか?」
ユーリ
「もちろんです!」
リアナ
「どうぞ。」
ユーリとリアナは焦茶の坊ちゃんと相席なんて真っ平だと思いつつも、1番身分の高い辺境伯家のアントニオが同席するということにプライドが満たされ、自慢気に胸をはった。
アントニオがソファーに座ると、護衛騎士2人はその近くの壁に立つ。
それをみたラドミールとルーカス、フィオナには不満が募った。
とくにラドミールは、アントニオに無視されたような気持ちになって、腹立たしく思った。
名乗りあった伯爵家の俺がいるのに、なんであっちのテーブルに座るんだ!?
ルーカスもユーリが自慢気なのにムカムカした。フィオナもリアナが調子付いているのが癇に障る。
ディーデリックは、自分が大きな思い違いをしていた事に気が付いた。
初め、出会った頃はトニーの事を自分と同じ使用人だと思っていた。自分に非常に近い人間なのだと。
入学式の後からは無能な坊ちゃんと下に見ていたが、心のどこかで、自分に近い存在のように感じていた。
だが、どうだろう。今、目撃した光景は。
アントニオ・ジーンシャンの、まさに王侯貴族といった堂々たる立ち居振る舞い、気の利いた挨拶にプレゼント、洗練されたファッション、そして、自分の憧れで目標である魔導騎士達までが絶対服従する権力。
生まれも、育ちも、財力も、権力も、何もかもが異う!
自分との格の違いを思い知らされたディーデリックは、アントニオを非常に遠くに感じたのだ。
格下なのは自分だけではない、平民どころか上級貴族達ですら、トニーにとっては格下なのだ。自分を支配することが出来る権力を持つ男爵家ですら! その上の伯爵家の人間でさえ!
ディーデリックは、エーリクがアントニオの名前を呼ぶ姿を思い出した。
男爵家子息のエーリクでさえ、近付くことが出来ないトニーに、どうして自分が近付けると思ったのだろう?
自分が仕えるオッケル男爵家の連中と同じように、トニーが自分を笑いものにしようとしているだなんて、思うことすらおこがましいのでは?
トニーにとって自分は、道化でも何でもない、まして、気にする価値もない人間なのではないか?
いや、人間ですらない。道端を歩く蟻と同じ、虫ケラなのだ。
ナンシー
「どうぞ、お入り下さい。」
扉開くと石鹸の清潔な香りが微かに漂った。
2人の魔導騎士を従えた学生が立っている。
下ろしたての綺麗な制服に身を包み、頭には黒い三角帽子(トリコーン)の学生帽、肩にはマントがかけられている。右側のマントを捲(まく)り上げており、胸には黒いポケットチーフと黄金の獅子のブローチが飾られている。
白い手袋をした手には、青紫色の花で作られた花束が握られていた。
後ろに並ぶ護衛騎士の2人も、ポケットチーフと手袋を装備している。
学生が帽子を脱いでお辞儀をすると、2人の魔導騎士もお辞儀した。
その動作の、何とエレガントであることか。
綺麗に揃えられた足、お辞儀の角度、帽子を掴み胸に当てた手の位置、全てが完璧である。
学生の焦茶の髪がサラッと揺れる。
顔が上がると、12歳の子供とは思えないほど背が高い。そして脚が長いことが分かった。
焦茶の学生は脱いだ帽子を、花束を持っている方の手に持ち替えると、空いた手でポケットから招待状を取り出し、ミス・ウェリントンが文字を読める向き開いてみせた。
アントニオ
「本日はマナーの授業にご招待頂き、誠に有難うございます。私はジーンシャン辺境伯グリエルモ・ジーンシャンの息子、アントニオでございます。」
ウェリントン
「ミスター・ジーンシャン。ようこそ我が社交室へ。私がパトリシア・ウェリントンでございます。」
アントニオ
「王国一の貴婦人と名高いウェリントン公爵様に、礼儀作法を学べるという事は、私にとって非常に大きな喜びでございます。」
アントニオは、招待状をポケットにしまい、矢車菊の花束を差し出した。
アントニオ
「大輪のカトレアのように、社交界に咲き誇るウェリントン公爵様、この矢車菊は貴女様とは比べる事も出来ない小さな花ではありますが、貴女様の元でマナーを学べる喜びをお伝えしたく、このブーケを作って参りました。どうか、このブーケを受け取り、貴女様の美しい手に挨拶する名誉をお与え下さい。」
カトレアの花言葉は『優美な貴婦人、成熟した大人の魅力』である。
ミス・ウェリントンが花束を受け取ると、アントニオはミス・ウェリントンの片手を取ってキスをした。
花束に付いているメッセージカードを広げると『この花が、私の真心を、私に代わって貴女にお伝えしてくれるでしょう。』と書かれている。
ブーケに使われている矢車菊の花言葉は『繊細、優美、教育、信頼』である。
ミス・ウェリントンは夢だと思った。
その優美な動作、優しく澄んだ声で述べられる完璧な挨拶。お伽話の王子様のように、子供の頃から思い描いていた理想の紳士そのものだった。
アントニオ
「護衛騎士を同席させても?」
ミス・ウェリントンは夢の中に迷い込んだように、理想の紳士を見つめていた。
アントニオ
「外で待たせた方が良いでしょうか?」
ウェリントン
「はい...あ、いいえ! どうぞ、ご一緒に!」
アントニオ
「有難うございます。」
アントニオが微笑むと、ミス・ウェリントンは年甲斐も無く心臓が飛び跳ねる衝撃を感じた。胸を押さえて立っているだけでも、精一杯だと思う程に。
ミス・ウェリントンの助手であるナンシー・スタイルズも同様にアントニオを見つめていたが、我に返って歩み出た。
ナンシー
「帽子とマントをお預かりいたしますわ!」
アントニオ
「有難うございます。」
ナンシーは帽子とマントを手渡されるとき、ウッディなアロマの香りを感じた。
アントニオの使っているシャンプーはジュゼッペが用意したもので、ローズマリーやティートゥリー、スペアミント、月桃などの香油が使われている。
なんて良い香りなの!
こんな良い香りのする人間を他に知らないとナンシーは思った。
いつまでたっても侍女がアントニオの前から動こうとしないので、アントニオはお財布から硬貨を出してチップを渡そうとした。
ナンシー
「へ?」
ミス・ウェリントンは慌てて制止する。
ウェリントン
「ミスター・ジーンシャン! 授業でチップは必要ありませんわ!」
ナンシーは自分がぼーっとしていた事に気が付き慌ててクロークへ駆け込んだ。
ナンシー
「も、申し訳ありません。」
ウェリントン
「ミス・スタイルズ、花を生けて下さい。」
ナンシー
「ただ今!」
バタバタ走り回りナンシーは、ミス・ウェリントンから花束を受け取った。
ウェリントン
「走らないで、エレガントに!」
ナンシー
「はい!」
ナンシーは、すぐに取り澄ました歩き方に戻り、受け取った花束を生けるため、奥の部屋へと下がった。
ウェリントン
「どうぞ、お掛けになって下さい。」
アントニオ
「有難うございます。」
奥のテーブルにはラドミール・ベナーク、ルーカス・ミラー、フィオナ・グリーンウェルが座る。
中央のテーブルにはディーデリック・バース、クリスタ・ヒューゲル、マーク・ホワイトリー。
手前のテーブルにはリアナ・ジャニエス、ユーリ・ブラウエル。
辺境伯次期領主のアントニオが何処のテーブルに座るのか、クラスメイト達は緊張していた。
アントニオは友達のディーデリックが座る席に座りたいと思ったが、奥と中央のテーブルには3人座っているし、人数を合わせるために男爵家の2人が座る手前のテーブルで足をとめた。
アントニオ
「相席しても宜しいでしょうか?」
ユーリ
「もちろんです!」
リアナ
「どうぞ。」
ユーリとリアナは焦茶の坊ちゃんと相席なんて真っ平だと思いつつも、1番身分の高い辺境伯家のアントニオが同席するということにプライドが満たされ、自慢気に胸をはった。
アントニオがソファーに座ると、護衛騎士2人はその近くの壁に立つ。
それをみたラドミールとルーカス、フィオナには不満が募った。
とくにラドミールは、アントニオに無視されたような気持ちになって、腹立たしく思った。
名乗りあった伯爵家の俺がいるのに、なんであっちのテーブルに座るんだ!?
ルーカスもユーリが自慢気なのにムカムカした。フィオナもリアナが調子付いているのが癇に障る。
ディーデリックは、自分が大きな思い違いをしていた事に気が付いた。
初め、出会った頃はトニーの事を自分と同じ使用人だと思っていた。自分に非常に近い人間なのだと。
入学式の後からは無能な坊ちゃんと下に見ていたが、心のどこかで、自分に近い存在のように感じていた。
だが、どうだろう。今、目撃した光景は。
アントニオ・ジーンシャンの、まさに王侯貴族といった堂々たる立ち居振る舞い、気の利いた挨拶にプレゼント、洗練されたファッション、そして、自分の憧れで目標である魔導騎士達までが絶対服従する権力。
生まれも、育ちも、財力も、権力も、何もかもが異う!
自分との格の違いを思い知らされたディーデリックは、アントニオを非常に遠くに感じたのだ。
格下なのは自分だけではない、平民どころか上級貴族達ですら、トニーにとっては格下なのだ。自分を支配することが出来る権力を持つ男爵家ですら! その上の伯爵家の人間でさえ!
ディーデリックは、エーリクがアントニオの名前を呼ぶ姿を思い出した。
男爵家子息のエーリクでさえ、近付くことが出来ないトニーに、どうして自分が近付けると思ったのだろう?
自分が仕えるオッケル男爵家の連中と同じように、トニーが自分を笑いものにしようとしているだなんて、思うことすらおこがましいのでは?
トニーにとって自分は、道化でも何でもない、まして、気にする価値もない人間なのではないか?
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