7 / 88
第一章 乙女ゲームに転生した転性者は純潔を守るためバッドエンドを目指す
7.モブキャラの男
しおりを挟む
思ってたよりジョージ・レッドは紳士だったな。ゲームのように壁ドンとかして来なかったし。だが、今日も仮面君には会えなかった。
アンジェリカが諦めて会場を去ろうとしたとき、視界をかすめた黒髪の男がいた。
黒髪!? 仮面君か!?
アンジェリカは駆け寄った。だが、思いがけず誰かとぶつかって、ド派手に転けてしまった。
アンジェリカ
「ふべっ!」
ピカピカに磨かれた大理石の床を、プロ野球選手の盗塁王のように綺麗にヘッドスライディングして、アンジェリカは黒髪の男に突っ込んだ。
黒髪の男は自分の足にスライディングタックルをかましたアンジェリカに驚いて、一瞬固まっていたが、すぐに正気に戻ると、アンジェリカに手を差し伸べて助け起こした。
黒髪の男
「あの...大丈夫ですか?」
アンジェリカ
「あ、あわわ! 有難う御座います!」
アンジェリカは見上げた。平凡であるはずの男の顔を。
へ? 平凡???
確かに、特徴のない顔なのかもしれない。目が大きいわけでも小さいわけでもなく、背が高いわけでも低いわけでもなく、太ってもいなければ痩せてもいない、鼻が高いわけでも低いわけでもなく...全てが平均的で均整が取れており、要するに欠点のない「完璧」な顔なのである。
...他の誰よりもカッコイイかもしれない?
あ、あれ? 俺の仮面君はこの人じゃないのか?
だけど...服が...こんな感じの服だった気がするんだよなぁ?
あ、コイツ、黒い瞳だと思ってたけど、瞳は紫色だ...仮面君は...どうだったっけ?
そんなことを考えていたら、鼻先に温かい体温を感じた。
男の顔が鼻と鼻をかすめる程、近距離に迫っていたのである。
アンジェリカは自分が、黒髪の男の力強い腕の中に抱かれ、身体を支えられていた事に気が付いた。
アンジェリカ
「うおぉ~~!!」
慌てて顔を逸らし、立ち上がったアンジェリカだったが、勢い余ってバランスを崩した。
しまった!? また転ぶ!!
アンジェリカはギュッと目を瞑り、全身を硬くして、床にぶつかる衝撃に備えようとしたが、痛みが襲ってくることはなかった。
黒髪の男が、その逞しい腕と胸で抱きとめてくれたのである。
黒髪の男
「大丈夫ですか? 慌てないで。」
優しく笑いかけてくれる男の、甘く響く声に、アンジェリカの全身の毛穴が開き、湯気を発した。
アンジェリカ
「も、も、も、申し訳ない!」
顔から火が出そうなほどアンジェリカの体は熱を持ち、血圧が上昇して、血が全身を駆け巡る。
今度こそ慎重に足に力を入れて地面を踏みしめ、恐る、恐る、視線を戻して、黒髪の男の方を振り返ると...
柔らかく細められた紫色の瞳と、目が合った。
心臓が、ハードロックのドラムのように激しく打ち付ける音が大音量で鳴り響いた。
は、恥ずか死ぬ!
アンジェリカが諦めて会場を去ろうとしたとき、視界をかすめた黒髪の男がいた。
黒髪!? 仮面君か!?
アンジェリカは駆け寄った。だが、思いがけず誰かとぶつかって、ド派手に転けてしまった。
アンジェリカ
「ふべっ!」
ピカピカに磨かれた大理石の床を、プロ野球選手の盗塁王のように綺麗にヘッドスライディングして、アンジェリカは黒髪の男に突っ込んだ。
黒髪の男は自分の足にスライディングタックルをかましたアンジェリカに驚いて、一瞬固まっていたが、すぐに正気に戻ると、アンジェリカに手を差し伸べて助け起こした。
黒髪の男
「あの...大丈夫ですか?」
アンジェリカ
「あ、あわわ! 有難う御座います!」
アンジェリカは見上げた。平凡であるはずの男の顔を。
へ? 平凡???
確かに、特徴のない顔なのかもしれない。目が大きいわけでも小さいわけでもなく、背が高いわけでも低いわけでもなく、太ってもいなければ痩せてもいない、鼻が高いわけでも低いわけでもなく...全てが平均的で均整が取れており、要するに欠点のない「完璧」な顔なのである。
...他の誰よりもカッコイイかもしれない?
あ、あれ? 俺の仮面君はこの人じゃないのか?
だけど...服が...こんな感じの服だった気がするんだよなぁ?
あ、コイツ、黒い瞳だと思ってたけど、瞳は紫色だ...仮面君は...どうだったっけ?
そんなことを考えていたら、鼻先に温かい体温を感じた。
男の顔が鼻と鼻をかすめる程、近距離に迫っていたのである。
アンジェリカは自分が、黒髪の男の力強い腕の中に抱かれ、身体を支えられていた事に気が付いた。
アンジェリカ
「うおぉ~~!!」
慌てて顔を逸らし、立ち上がったアンジェリカだったが、勢い余ってバランスを崩した。
しまった!? また転ぶ!!
アンジェリカはギュッと目を瞑り、全身を硬くして、床にぶつかる衝撃に備えようとしたが、痛みが襲ってくることはなかった。
黒髪の男が、その逞しい腕と胸で抱きとめてくれたのである。
黒髪の男
「大丈夫ですか? 慌てないで。」
優しく笑いかけてくれる男の、甘く響く声に、アンジェリカの全身の毛穴が開き、湯気を発した。
アンジェリカ
「も、も、も、申し訳ない!」
顔から火が出そうなほどアンジェリカの体は熱を持ち、血圧が上昇して、血が全身を駆け巡る。
今度こそ慎重に足に力を入れて地面を踏みしめ、恐る、恐る、視線を戻して、黒髪の男の方を振り返ると...
柔らかく細められた紫色の瞳と、目が合った。
心臓が、ハードロックのドラムのように激しく打ち付ける音が大音量で鳴り響いた。
は、恥ずか死ぬ!
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
痩せすぎ貧乳令嬢の侍女になりましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます
ちゃんゆ
恋愛
男爵家の三女に産まれた私。衝撃的な出来事などもなく、頭を打ったわけでもなく、池で溺れて死にかけたわけでもない。ごくごく自然に前世の記憶があった。
そして前世の私は…
ゴットハンドと呼ばれるほどのエステティシャンだった。
とあるお屋敷へ呼ばれて行くと、そこには細い細い風に飛ばされそうなお嬢様がいた。
お嬢様の悩みは…。。。
さぁ、お嬢様。
私のゴッドハンドで世界を変えますよ?
**********************
転生侍女シリーズ第三弾。
『おデブな悪役令嬢の侍女に転生しましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます』
『醜いと蔑まれている令嬢の侍女になりましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます』
の続編です。
続編ですが、これだけでも楽しんでいただけます。
前作も読んでいただけるともっと嬉しいです!
醜いと蔑まれている令嬢の侍女になりましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます
ちゃんゆ
恋愛
男爵家の三女に産まれた私。衝撃的な出来事などもなく、頭を打ったわけでもなく、池で溺れて死にかけたわけでもない。ごくごく自然に前世の記憶があった。
そして前世の私は…
ゴットハンドと呼ばれるほどのエステティシャンだった。
とある侯爵家で出会った令嬢は、まるで前世のとあるホラー映画に出てくる貞◯のような風貌だった。
髪で顔を全て隠し、ゆらりと立つ姿は…
悲鳴を上げないと、逆に失礼では?というほどのホラーっぷり。
そしてこの髪の奥のお顔は…。。。
さぁ、お嬢様。
私のゴットハンドで世界を変えますよ?
**********************
『おデブな悪役令嬢の侍女に転生しましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます』の続編です。
続編ですが、これだけでも楽しんでいただけます。
前作も読んでいただけるともっと嬉しいです!
転生侍女シリーズ第二弾です。
短編全4話で、投稿予約済みです。
よろしくお願いします。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
死亡予定の脇役令嬢に転生したら、断罪前に裏ルートで皇帝陛下に溺愛されました!?
六角
恋愛
「え、私が…断罪?処刑?――冗談じゃないわよっ!」
前世の記憶が蘇った瞬間、私、公爵令嬢スカーレットは理解した。
ここが乙女ゲームの世界で、自分がヒロインをいじめる典型的な悪役令嬢であり、婚約者のアルフォンス王太子に断罪される未来しかないことを!
その元凶であるアルフォンス王太子と聖女セレスティアは、今日も今日とて私の目の前で愛の劇場を繰り広げている。
「まあアルフォンス様! スカーレット様も本当は心優しい方のはずですわ。わたくしたちの真実の愛の力で彼女を正しい道に導いて差し上げましょう…!」
「ああセレスティア!君はなんて清らかなんだ!よし、我々の愛でスカーレットを更生させよう!」
(…………はぁ。茶番は他所でやってくれる?)
自分たちの恋路に酔いしれ、私を「救済すべき悪」と見なすめでたい頭の二人組。
あなたたちの自己満足のために私の首が飛んでたまるものですか!
絶望の淵でゲームの知識を総動員して見つけ出した唯一の活路。
それは血も涙もない「漆黒の皇帝」と万人に恐れられる若き皇帝ゼノン陛下に接触するという、あまりに危険な【裏ルート】だった。
「命惜しさにこの私に魂でも売りに来たか。愚かで滑稽で…そして実に唆る女だ、スカーレット」
氷の視線に射抜かれ覚悟を決めたその時。
冷酷非情なはずの皇帝陛下はなぜか私の悪あがきを心底面白そうに眺め、その美しい唇を歪めた。
「良いだろう。お前を私の『籠の中の真紅の鳥』として、この手ずから愛でてやろう」
その日から私の運命は激変!
「他の男にその瞳を向けるな。お前のすべては私のものだ」
皇帝陛下からの凄まじい独占欲と息もできないほどの甘い溺愛に、スカーレットの心臓は鳴りっぱなし!?
その頃、王宮では――。
「今頃スカーレットも一人寂しく己の罪を反省しているだろう」
「ええアルフォンス様。わたくしたちが彼女を温かく迎え入れてあげましょうね」
などと最高にズレた会話が繰り広げられていることを、彼らはまだ知らない。
悪役(笑)たちが壮大な勘違いをしている間に、最強の庇護者(皇帝陛下)からの溺愛ルート、確定です!
生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~
こひな
恋愛
市川みのり 31歳。
成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。
彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。
貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。
※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。
【完結】転生したら悪役令嬢だった腐女子、推し課金金策してたら無双でざまぁで愛されキャラ?いえいえ私は見守りたいだけですわ
鏑木 うりこ
恋愛
毒親から逃げ出してブラック企業で働いていた私の箱推し乙女ゲーム「トランプる!」超重課金兵だった私はどうやらその世界に転生してしまったらしい。
圧倒的ご褒美かつ感謝なのだが、如何せん推しに課金するお金がない!推しがいるのに課金が出来ないなんてトラ畜(トランプる重課金者の総称)として失格も良い所だわ!
なりふり構わず、我が道を邁進していると……おや?キング達の様子が?……おや?クイーン達も??
「クラブ・クイーン」マリエル・クラブの廃オタク課金生活が始まったのですわ。
*ハイパーご都合主義&ネット用語、オタ用語が飛び交う大変に頭の悪い作品となっております。
*ご照覧いただけたら幸いです。
*深く考えないでいただけるともっと幸いです。
*作者阿呆やな~楽しいだけで書いとるやろ、しょーがねーなーと思っていただけるともっと幸いです。
*あと、なんだろう……怒らないでね……(*‘ω‘ *)えへへ……。
マリエルが腐女子ですが、腐女子っぽい発言はあまりしないようにしています。BLは起こりません(笑)
2022年1月2日から公開して3月16日で本編が終了致しました。長い間たくさん見ていただいて本当にありがとうございました(*‘ω‘ *)
恋愛大賞は35位と健闘させて頂きました!応援、感想、お気に入りなどたくさんありがとうございました!
悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。
槙村まき
恋愛
スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。
それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。
挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。
そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……!
第二章以降は、11時と23時に更新予定です。
他サイトにも掲載しています。
よろしくお願いします。
25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる