【完結】乙女ゲームに転生した転性者(♂→♀)は純潔を守るためバッドエンドを目指す

狸田 真 (たぬきだ まこと)

文字の大きさ
51 / 88
第一章 乙女ゲームに転生した転性者は純潔を守るためバッドエンドを目指す

51.トゥルーハッピーエンディング

しおりを挟む
 翌日。

 昼まで眠りこけた俺はブレイデン君のベッドで目覚めた。

 何でブレイデン君のベッドで寝てたのかは、絶対に俺に聞いてはいけない!

ブレイデン
「おはよう、アンジェリカ」

 今日も爽やかな笑顔ですね!

アンジェリカ
「おはよ゙...」

 俺の声はガラガラで、いつもの声の半分以下の声量である。

ブレイデン
「体は大丈夫ですか?」

 いや、全然大丈夫じゃないです! 非戦闘民の村人をレベルMAXの勇者が蹂躙した所為で、瀕死状態です! HP(体力)がギリギリ1だけある状態です!

アンジェリカ
「う、うん...」

 内心と違うことを言ったのは、喉が痛いから喋りたくなかったのもあるけど、大丈夫じゃないと答えたら、昨日の思い出が語られてしまうからだ! 別に気を使った訳じゃないよ?

アンジェリカ
「一旦、部屋に戻る」

 起き上がろうとしたが、呪いにかかったみたいに体が重くて動けない。

アンジェリカ
「ふ...ふぬぬ!」

 踏ん張ろうとするが、腕も脚もガクガクする。

 うん...やっぱり呪われているみたいだ。え!? どうしよ!? トイレとか、着替えとか? 歯も磨きたいし、喉も乾いてるんだけど!?

 俺が呪われて動けないでいると。ブレイデン君が俺のことを人形でも持ち上げるみたいにヒョイと持ち上げてお姫様抱っこした。

 そのまま自然な流れでチューしようとして来たので、俺は腕でガードしつつ叫ぶ羽目になった。

アンジェリカ
「トイレ!」

 ブレイデンは溜息を吐きつつもトイレに連れて行ってくれた。

 トイレが終わった後は、トイレから出られないので、やっぱりブレイデン君を呼ぶ。

アンジェリカ
「終わった! 次は歯磨きして顔洗う!」

 介護してもらってるのに俺が偉そうなのは、そもそも、動けないのがブレイデン君の所為だからだ! 普通の会話が恥ずかしいからじゃないよ?

 ブレイデン君は再び俺を抱き抱え、ソファに俺を連れて行くと、メイドさんを呼んで歯磨きセットやらお湯の入ったタライとか用意させた。

 俺が歯磨きと洗顔を終えるのをブレイデン君はソワソワして待っていた。

 終えてからもブレイデン君は忠犬のように何かを待っている。

アンジェリカ
「次は着替えるから部屋に帰る」

 ブレイデン君は肩を落としてションボリしつつも、再び俺を抱き抱えて、俺の部屋まで運んでくれた。

 俺を椅子に座らせると、ブレイデン君は向かいの床に膝立ちで座って、俺の手を握り、ニコニコしている。まるで、お手をしている大型犬の様である。

アンジェリカ
「有難う。着替えるから出てってくれる?」

 ブレイデン君は目を見開き、口を開けて、ショックを受けた様な顔になった。

 俺はちゃんとお礼を言ったよな?

 ブレイデン君はフラフラしながら出口の扉に向かう。少し進んでは時々振り返って俺の顔をみる。

 何なんだ!? さっきから?

 メイドの1人が俺に耳打ちする。

「(キスをして欲しいのでは?)」

アンジェリカ
「(ほう...)」

 そんな訳あるかと思いつつ、俺は咳払いをして、ブレイデン君に声をかける。

アンジェリカ
「あぁ~、ブレイデン君」

 あんなに時間をかけて出口の扉の前にたどり着いたのに、一瞬でブレイデン君は俺の側まで戻って来た。

ブレイデン
「何でしょうか!」

アンジェリカ
「特別な家族の挨拶とかしたい人?」

ブレイデン
「したいです!」

 ブレイデン君はちょっと食い気味に答え、瞳をウルウルさせながら鼻を寄せてくる。

 もう、完全に犬だな。インコじゃなくて犬! それも、ベルジアン・シェパード・ドッグ・グローネンダール!(黒いシェパードで愛情深く忠実で体力があり牧羊犬などに使われる。飼育の手間がかかる犬種でもある)

アンジェリカ
「あぁ~、君達はちょっと視線を外しておいてくれたまえ!」

 俺がメイドに向かっていうと、メイド達は「かしこまりました!」と、にこやかに言って目を手で覆ったが、指の隙間があいている気がする。

 そうしている間にもブレイデン君は俺の肩に手を置いて息のかかる位置まできている。

 おぉう。ヤロウなんかとキスなどしたくないが、ある程度はご機嫌を取っておかないと今日は生活が出来ないからな...仕方なくだぞ! ほだされた訳じゃないからね?

 俺がブレイデン君のスッと筋の通った鼻の頭にチューすると、ブレイデン君は急に野犬化して噛み付く様なキスを俺の口にしてくる。

 そのまま覆い被さろうとするから、俺は力のない拳をグーにして、ブレイデン君の胸を殴った。

 ブレイデン君は急にパッと離れて、ソファのクッションを手に取り、下腹部に当てる。

 おい! そこは殴ってないだろ? どこをガードしてるんだ!?

 ま、前世は男だったから何が起きているかは分かってしまったが、気が付かなかったことにしてあげよう。

アンジェリカ
「それは貸してあげるから、部屋に帰りなさい」

ブレイデン
「有難うございます。で、ですが、この後は?」

アンジェリカ
「旅行に行くんだろ?」

ブレイデン
「今日は、もう、昼ですし、部屋でゆっくりしては?」

 ブレイデン君は笑顔だが、目の奥が光っている。これは狩人の瞳だ。

 俺だって今日は寝て過ごしたいが、家に留まったら、ゆっくり休むことなど出来ないだろう。確実にブレイデン君の捕食タイムがはじまってしまう。

 馬車で長時間揺られるのは辛いけど、ベッドで揺られるよりはだいぶマシだろう。

アンジェリカ
「いや、予定通り旅行に行こう! すぐに準備して!」

 俺は渋るブレイデン君をメイドさんに追い出してもらって、一息ついた。

アンジェリカ
「さて、着替えるか!」

「お召し物は何になさいますか?」

 メイドさん達は、ニヤニヤして、胸を張って踏ん反り返っている。

 そして、仰々しく恭しい態度でクローゼットの扉を開けた。

 ラフな部屋着と一張羅のブカブカドレスしか掛かっていないはずのクローゼットに、これでもか! という程、ずらりとドレスが並んでいる。舞踏会や晩餐会で着たドレスだけではなく、見たこともないドレスまでギッシリと。

 あ、トゥルー(真実の)ハッピー(幸福な)エンド(結末)だ。


 END


________________________
★狸田真より★

 公開翌日から、ずっとHOTランキングで紹介して頂けたのは、ホワイトエンジェルの皆様の応援のおかげです。本当に有難うございます。

※第二章へ続く
しおりを挟む
感想 110

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

痩せすぎ貧乳令嬢の侍女になりましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます

ちゃんゆ
恋愛
男爵家の三女に産まれた私。衝撃的な出来事などもなく、頭を打ったわけでもなく、池で溺れて死にかけたわけでもない。ごくごく自然に前世の記憶があった。 そして前世の私は… ゴットハンドと呼ばれるほどのエステティシャンだった。 とあるお屋敷へ呼ばれて行くと、そこには細い細い風に飛ばされそうなお嬢様がいた。 お嬢様の悩みは…。。。 さぁ、お嬢様。 私のゴッドハンドで世界を変えますよ? ********************** 転生侍女シリーズ第三弾。 『おデブな悪役令嬢の侍女に転生しましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます』 『醜いと蔑まれている令嬢の侍女になりましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます』 の続編です。 続編ですが、これだけでも楽しんでいただけます。 前作も読んでいただけるともっと嬉しいです!

醜いと蔑まれている令嬢の侍女になりましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます

ちゃんゆ
恋愛
男爵家の三女に産まれた私。衝撃的な出来事などもなく、頭を打ったわけでもなく、池で溺れて死にかけたわけでもない。ごくごく自然に前世の記憶があった。 そして前世の私は… ゴットハンドと呼ばれるほどのエステティシャンだった。 とある侯爵家で出会った令嬢は、まるで前世のとあるホラー映画に出てくる貞◯のような風貌だった。 髪で顔を全て隠し、ゆらりと立つ姿は… 悲鳴を上げないと、逆に失礼では?というほどのホラーっぷり。 そしてこの髪の奥のお顔は…。。。 さぁ、お嬢様。 私のゴットハンドで世界を変えますよ? ********************** 『おデブな悪役令嬢の侍女に転生しましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます』の続編です。 続編ですが、これだけでも楽しんでいただけます。 前作も読んでいただけるともっと嬉しいです! 転生侍女シリーズ第二弾です。 短編全4話で、投稿予約済みです。 よろしくお願いします。

死亡予定の脇役令嬢に転生したら、断罪前に裏ルートで皇帝陛下に溺愛されました!?

六角
恋愛
「え、私が…断罪?処刑?――冗談じゃないわよっ!」 前世の記憶が蘇った瞬間、私、公爵令嬢スカーレットは理解した。 ここが乙女ゲームの世界で、自分がヒロインをいじめる典型的な悪役令嬢であり、婚約者のアルフォンス王太子に断罪される未来しかないことを! その元凶であるアルフォンス王太子と聖女セレスティアは、今日も今日とて私の目の前で愛の劇場を繰り広げている。 「まあアルフォンス様! スカーレット様も本当は心優しい方のはずですわ。わたくしたちの真実の愛の力で彼女を正しい道に導いて差し上げましょう…!」 「ああセレスティア!君はなんて清らかなんだ!よし、我々の愛でスカーレットを更生させよう!」 (…………はぁ。茶番は他所でやってくれる?) 自分たちの恋路に酔いしれ、私を「救済すべき悪」と見なすめでたい頭の二人組。 あなたたちの自己満足のために私の首が飛んでたまるものですか! 絶望の淵でゲームの知識を総動員して見つけ出した唯一の活路。 それは血も涙もない「漆黒の皇帝」と万人に恐れられる若き皇帝ゼノン陛下に接触するという、あまりに危険な【裏ルート】だった。 「命惜しさにこの私に魂でも売りに来たか。愚かで滑稽で…そして実に唆る女だ、スカーレット」 氷の視線に射抜かれ覚悟を決めたその時。 冷酷非情なはずの皇帝陛下はなぜか私の悪あがきを心底面白そうに眺め、その美しい唇を歪めた。 「良いだろう。お前を私の『籠の中の真紅の鳥』として、この手ずから愛でてやろう」 その日から私の運命は激変! 「他の男にその瞳を向けるな。お前のすべては私のものだ」 皇帝陛下からの凄まじい独占欲と息もできないほどの甘い溺愛に、スカーレットの心臓は鳴りっぱなし!? その頃、王宮では――。 「今頃スカーレットも一人寂しく己の罪を反省しているだろう」 「ええアルフォンス様。わたくしたちが彼女を温かく迎え入れてあげましょうね」 などと最高にズレた会話が繰り広げられていることを、彼らはまだ知らない。 悪役(笑)たちが壮大な勘違いをしている間に、最強の庇護者(皇帝陛下)からの溺愛ルート、確定です!

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。

樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」 大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。 はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!! 私の必死の努力を返してー!! 乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。 気付けば物語が始まる学園への入学式の日。 私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!! 私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ! 所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。 でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!! 攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢! 必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!! やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!! 必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。 ※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。

生まれ変わりも楽じゃない ~生まれ変わっても私はわたし~

こひな
恋愛
市川みのり 31歳。 成り行きで、なぜかバリバリのキャリアウーマンをやっていた私。 彼氏なし・趣味は食べることと読書という仕事以外は引きこもり気味な私が、とばっちりで異世界転生。 貴族令嬢となり、四苦八苦しつつ異世界を生き抜くお話です。 ※いつも読んで頂きありがとうございます。誤字脱字のご指摘ありがとうございます。

十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!

翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。 「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。 そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。 死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。 どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。 その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない! そして死なない!! そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、 何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?! 「殿下!私、死にたくありません!」 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ ※他サイトより転載した作品です。

処理中です...