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第二章 ワタクシが妊娠!? ...子供の父親は誰なのです!?
19.メリーバッドエンディング
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その時、アンジェリカがブレイデンの腕の中から顔を出し、叫んだ。
アンジェリカ
「デボラ様はツンデレだから、自分から愛してるなんて言えないんだよ。それに、プロポーズは男がちゃんとしないといけないんだって! ホワイトエンジェルの皆様が言ってた!」
(ホワイトエンジェルとはアンジェリカの衣装・美容スタッフ、ならびに支援して下さった読者様のこと)
デボラの頬は、男がいつか言ったように、熟れた桃のように色付いた。
ピーターは息を飲んだ。
ピーター
「デボラお嬢様、愛しております。結婚して下さい」
ギャラリーを含む、全員の視線がデボラに注がれた。
デボラ
「最初から、そう言いなさいよ! 馬鹿ね!」
ピーター
「......」
デボラ
「......」
誰も何も言わない時間が10秒ほど続いた。
シルバー公爵
「デボラ、ピーターに騎士の位を授与していいのかな?」
デボラ
「いいって言ってるでしょ!」
アンジェリカ
「言ってないよな?」
ブレイデン
「言っていませんね」
ブラウン卿
「私にも分かりませんでした」
デボラ
「黙れ!」
シルバー公爵は剣を抜き、跪いたピーターの肩に剣をあてた。
シルバー公爵
「ピーター・グリーンを我がシルバー公爵家の騎士に任命する」
大きく上がる歓声に街は包まれた。
シルバー公爵
「いやぁ~良かった! 一時はどうなることかと思ったよ。ブラウン卿の失態でデボラの妊娠が暴露されてしまったからね。有力な貴族の男との結婚は望めなくなってしまったし。何より、デボラが自分の意思でピーターを選択してくれて良かった。可愛い娘を無理矢理、望まない相手と結婚させるのは嫌だったんだ。
ピーター君、君には半年間、私の遠縁の貴族の元で騎士の仕事や貴族としてのマナーを学んでもらう。その後、子供のいない男爵家の養子に入り、男爵になってもらうから、結婚はそれからにしてね」
ピーター
「あ、有難うございます!」
ピーターは泣いた。それは甘い涙だった。
デボラ
「アンタ! どうしてワタクシ以外の人間に泣かされているのよ!」
ピーター
「申し訳ございません」
シルバー公爵
「まぁまぁ、デボラ、ピーター君にもう少し優しくしてあげなさい。あ、ブラウン卿、君は失態の責任を取ってもらうからね。一生、デボラの護衛騎士を務めてもらうから」
ブラウン卿
「そ、そんな!」
ブラウン卿は膝から崩れ落ちた。
デボラ
「ちょっと! ご褒美の間違いでしょ!」
デボラは悪態をつきながらも、ピーターに手を差し伸べた。ピーターは遠慮がちにその手を取って立ち上がると、デボラの手に口付けを落とした。
デボラ
「違う! そこじゃない!」
デボラはピーターの頭を押さえて、その唇に口付けた。
長い、長い、キスだった。
ピーターは、ぷはっとなって、息継ぎをした。
ピーター
「お嬢様! 息が出来ません!」
デボラ
「だから言ったでしょ? 息の根を止めてやるって!」
再び熱い口付けが交わされ、大きな歓声と共に、街は歓喜に包まれた。
アンジェリカは、フッと前世の記憶を思い出す。
そういえば、ゲームでヒロインがハッピーエンドを迎えると、悪役令嬢にはバッドエンドが訪れる。確か...卑しい身分から成り上がった不細工な男と結婚するんじゃなかったっけ?
____________
シルバー公爵は、夫人と2人で自室の椅子に座り、ブランデーを傾けていた。
シルバー公爵
「今日は本当にいい日だ」
公爵夫人
「そうですわね。閣下は読書仲間のピーターを、子供の頃から気に入っておりましたものね?」
シルバー公爵
「彼は大変優秀で何を教えても物覚えがよく、大抵のことはなんでも出来るんだよ。まるで、私みたいじゃないか?」
公爵夫人
「ふふふ...そうですわね」
シルバー公爵
「それに、可愛い娘を嫁に出すのは寂しいだろ? 自分の言う事を忠実に聞く、信頼のおける人物を婿にとって、傍に置いておきたいじゃなか」
公爵夫人
「ですが、わざと部屋を間違えさせたのはやり過ぎですわ」
シルバー公爵
「あれは私の計算違いだった。ちょっと、2人きりにして、デボラがピーターにどんな感情を持っているのか反応をみたかっただけなんだよ。嫌いな男と一緒にするのは可哀想だろ? まさか、子供が出来てしまうとは...」
公爵夫人
「そうですわね...」
シルバー公爵
「子供が出来てしまった以上、ピーターを婿にする事は決まっていたけれど、両思いになれたようで良かった!」
公爵夫人
「本当に、今日はいい日でございますわ!」
公爵夫妻は杯を鳴らし、甘く濃厚な味に酔いしれた。
乙女ゲームは悪役令嬢のメリーバッドエンドで幕を閉じた。
END
※解説&第三章へ続く
アンジェリカ
「デボラ様はツンデレだから、自分から愛してるなんて言えないんだよ。それに、プロポーズは男がちゃんとしないといけないんだって! ホワイトエンジェルの皆様が言ってた!」
(ホワイトエンジェルとはアンジェリカの衣装・美容スタッフ、ならびに支援して下さった読者様のこと)
デボラの頬は、男がいつか言ったように、熟れた桃のように色付いた。
ピーターは息を飲んだ。
ピーター
「デボラお嬢様、愛しております。結婚して下さい」
ギャラリーを含む、全員の視線がデボラに注がれた。
デボラ
「最初から、そう言いなさいよ! 馬鹿ね!」
ピーター
「......」
デボラ
「......」
誰も何も言わない時間が10秒ほど続いた。
シルバー公爵
「デボラ、ピーターに騎士の位を授与していいのかな?」
デボラ
「いいって言ってるでしょ!」
アンジェリカ
「言ってないよな?」
ブレイデン
「言っていませんね」
ブラウン卿
「私にも分かりませんでした」
デボラ
「黙れ!」
シルバー公爵は剣を抜き、跪いたピーターの肩に剣をあてた。
シルバー公爵
「ピーター・グリーンを我がシルバー公爵家の騎士に任命する」
大きく上がる歓声に街は包まれた。
シルバー公爵
「いやぁ~良かった! 一時はどうなることかと思ったよ。ブラウン卿の失態でデボラの妊娠が暴露されてしまったからね。有力な貴族の男との結婚は望めなくなってしまったし。何より、デボラが自分の意思でピーターを選択してくれて良かった。可愛い娘を無理矢理、望まない相手と結婚させるのは嫌だったんだ。
ピーター君、君には半年間、私の遠縁の貴族の元で騎士の仕事や貴族としてのマナーを学んでもらう。その後、子供のいない男爵家の養子に入り、男爵になってもらうから、結婚はそれからにしてね」
ピーター
「あ、有難うございます!」
ピーターは泣いた。それは甘い涙だった。
デボラ
「アンタ! どうしてワタクシ以外の人間に泣かされているのよ!」
ピーター
「申し訳ございません」
シルバー公爵
「まぁまぁ、デボラ、ピーター君にもう少し優しくしてあげなさい。あ、ブラウン卿、君は失態の責任を取ってもらうからね。一生、デボラの護衛騎士を務めてもらうから」
ブラウン卿
「そ、そんな!」
ブラウン卿は膝から崩れ落ちた。
デボラ
「ちょっと! ご褒美の間違いでしょ!」
デボラは悪態をつきながらも、ピーターに手を差し伸べた。ピーターは遠慮がちにその手を取って立ち上がると、デボラの手に口付けを落とした。
デボラ
「違う! そこじゃない!」
デボラはピーターの頭を押さえて、その唇に口付けた。
長い、長い、キスだった。
ピーターは、ぷはっとなって、息継ぎをした。
ピーター
「お嬢様! 息が出来ません!」
デボラ
「だから言ったでしょ? 息の根を止めてやるって!」
再び熱い口付けが交わされ、大きな歓声と共に、街は歓喜に包まれた。
アンジェリカは、フッと前世の記憶を思い出す。
そういえば、ゲームでヒロインがハッピーエンドを迎えると、悪役令嬢にはバッドエンドが訪れる。確か...卑しい身分から成り上がった不細工な男と結婚するんじゃなかったっけ?
____________
シルバー公爵は、夫人と2人で自室の椅子に座り、ブランデーを傾けていた。
シルバー公爵
「今日は本当にいい日だ」
公爵夫人
「そうですわね。閣下は読書仲間のピーターを、子供の頃から気に入っておりましたものね?」
シルバー公爵
「彼は大変優秀で何を教えても物覚えがよく、大抵のことはなんでも出来るんだよ。まるで、私みたいじゃないか?」
公爵夫人
「ふふふ...そうですわね」
シルバー公爵
「それに、可愛い娘を嫁に出すのは寂しいだろ? 自分の言う事を忠実に聞く、信頼のおける人物を婿にとって、傍に置いておきたいじゃなか」
公爵夫人
「ですが、わざと部屋を間違えさせたのはやり過ぎですわ」
シルバー公爵
「あれは私の計算違いだった。ちょっと、2人きりにして、デボラがピーターにどんな感情を持っているのか反応をみたかっただけなんだよ。嫌いな男と一緒にするのは可哀想だろ? まさか、子供が出来てしまうとは...」
公爵夫人
「そうですわね...」
シルバー公爵
「子供が出来てしまった以上、ピーターを婿にする事は決まっていたけれど、両思いになれたようで良かった!」
公爵夫人
「本当に、今日はいい日でございますわ!」
公爵夫妻は杯を鳴らし、甘く濃厚な味に酔いしれた。
乙女ゲームは悪役令嬢のメリーバッドエンドで幕を閉じた。
END
※解説&第三章へ続く
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