コンビニごと異世界転生したフリーター、魔法学園で今日もみんなに溺愛されます

はるはう

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コンビニ店員、魔法を知る

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「と、ここまでが俺の身に起こった出来事ですね」

渚は今、魔法学園内にある校長室で、見えない手錠を付けられ椅子に縛り付けられていた。

「ふむ。では、貴方が転移魔法等を使ってこの学園内に意味の分からない奇妙な建物を建築した訳ではなく、知らないうちにこの学園内に転移してきた異世界の人間である、と」
「そうなりますね」
「そして建物から出た貴方は目の前の学園内の光景に驚き、発狂し、なりふり構わず我が校の生徒を取っ捕まえてはここはどこだと問い詰めていったと」
「はい…気が動転してまして…」


目の前に立ち渚に質問をするのは、この学園の学園長である、アズリオス・フェルカントだ。
聞き慣れない名前を何度も渚が聞き返してしまったせいで、アズリオスは少し不機嫌そうだった。

「ちなみに奇妙な建物ではなく、コンビニです。コンビニエンスストア。で、俺はそのコンビニの店員の桜木渚です。21歳の日本人です。この世界に唐揚げ弁当なんてあります?ないですよね。ほら、異世界」
渚が早口で話すと、アズリオスはため息をついて言った。

「魔法を扱う我々にもまだ分からないことは多い。何せ解明されていない魔法はまだ無限にありますから。おそらく何かのきっかけで、その日本とやらとこの世界が繋がり、貴方がこの世界へ飛ばされてしまったのでしょう」

するとアズリオスは、隣にいた自分とさほど年齢が変わらないであろう青年へと耳打ちする。
身長は渚と同じくらいか、もしくは少し低いくらい。大体170前後であろうか。
可愛らしい顔をしており、髪型はマッシュのようになっていて綺麗な水色に染まっている。
いわゆる童顔な子犬系男子だな、などと渚はどうでも良いことを考えていた。
その瞬間、青年は渚へ手のひらを向ける。
と、青年の手の前には魔法陣のような模様が広がり、一瞬、渚の視界がぐにゃりと歪むのを感じた。


「うぅっ……んだよ…」
「ふむ。貴方の言葉は本当らしい。今、レオンくんに貴方の心を覗いてもらいました。悪意もなく、どうやら転移してきたのは事実のようですね」
アズリオスはそう言うと、レオンにあとは任せる、と言いそのままどこかへ消えていった。

「…はぁ…最悪だ…」


渚は気まずそうに「拘束を解いてもらえますか」と聞くと、レオンは焦ってその拘束を解き、「大変ですね」と困ったように笑った。
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