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17.青年はダンジョンへ向かう
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「おはよう」
目を覚ますとそこにはシュビルがダンジョンへ行く準備をしているところだった。
「おはよう・・・あれ、ルリールは・・・」
「もうダンジョン。奏人がくれたフェロモンで例のモンスターを倒すって意気込んでたぜ。俺もそろそろ行くけど、奏人はどうする?」
奏人はどうしようかと悩んだ。
お金はまだある。だが好き勝手楽しみすぎているから無くなるのは時間の問題。
いつまでこの二人といられるかも分からない今、奏人はダンジョンで二人に付き添ってモンスターを狩るのもアリなのではないかと思った。
「僕も、ダンジョンに連れてってもらえないかな?」
「えっ、行くの!?大丈夫?」
「わかんないけど、僕がいれば治療はその場で出来るし悪くないんじゃない?ただ、僕を守るクエストが発生しちゃうけど」
あはは、と苦笑いすると、シュビルは笑って答えた。
「大丈夫!俺、意外と強いからね」
「心強いね」
任せとけ、とシュビルは胸を叩くと、笑いながらまた準備に取り掛かった。
「うぉ~・・・すげぇ・・・」
奏人が立っているのは、ダンジョンの入口。
見渡す限り、冒険者の姿。
「前はこの手前までしか来なかったもんね」
以前、ガトロたちの手当で付近まで来た事はあったが、実際にダンジョンの入口まで来たのは今回が初めてだった。
「みんな強そうだね・・・こえぇ~・・・」
「まぁ、それなりにはね」
シュビルは、腰に付けた小さなカバンから銃のようなものを取り出し、奏人に渡した。
「これ、一応持っておいて」
「なにこれ」
「銃。武器だよ」
カチャカチャとシュビルは指で銃をクルクルと回す。
「え~・・・こんなの使ったことないし僕もその剣でモンスター倒してみたいんだけど」
奏人は、シュビルが背中に背負う中くらいの剣を指さして言った。
「だめだめ。初心者にモンスターとの接近戦は危険すぎる」
シュビルに言われ、奏人は釈然としない顔で銃とカバンともらう。
「じゃ、行くか」
ガシャンッと剣が何かとぶつかる音がする。
音の方向を見ると、冒険者がモンスターとまさに戦っているところだった。
「迫力やば」
「な、あんな至近距離でモンスターと戦うとか無理っぽそうだろ」
「たしかに・・・銃で頑張る」
おう、とシュビルは答えてザクザクと森を進んでいく。
どこまで進むのかと奏人はついて行くと、ふと何か悲鳴のような声が聞こえた気がした。
「・・・?」
奏人はその方向を見るが、だだっ広い森が広がっているだけでそれ以外に変わった様子は見えない。
シュビルは立ち止まった奏人に気づき、声をかける。
「奏人?先いっちゃうぞー」
「ん、あぁ、ごめん。なんか叫ぶ声が聞こえた気がしてさ」
「んなの聞こえなかったぞ?気のせいだろ」
シュビルはそう言ってまた進みだす。
――けて・・・
―――――たすけ―――・・・
「助けて!」
「シュビル!!」
助けを呼ぶ声がたしかに奏人の頭に響き、思わず奏人はシュビルを呼び止めた。
「なんだよー」
「やっぱり聞こえるって!叫び声!」
「いやいや聞こえな・・・あ」
シュビルは足元に誰かの冒険者の武器であろう小さな剣とリュックが落ちているのを見つけた。
そしてその付近の地面にはかすかに血がにじんでいるのが確認できた。
「ほら、血!これやっぱ叫び声の人だよ!いかなきゃ!」
奏人は考えるよりも先に走り出す。
どこに向かえばいいのかなんて分からなかったが、なぜか身体が勝手にこっちだと言うかのように動くのだった。
「っ・・・!!」
森を抜け、少し開けた場所に辿り着く。
まさに今、小さな少年がまさに今、ヘビのモンスターに殺されようとしているところだった。
「助けて!お兄さん!!」
少年は叫ぶ。
奏人は、少年を掴む巨大なヘビのような形をしたモンスターを見る。
大きな口が開いている。
少年が、飲み込まれる。
「やめろぉぉぉぉおぉお!!!」
目を覚ますとそこにはシュビルがダンジョンへ行く準備をしているところだった。
「おはよう・・・あれ、ルリールは・・・」
「もうダンジョン。奏人がくれたフェロモンで例のモンスターを倒すって意気込んでたぜ。俺もそろそろ行くけど、奏人はどうする?」
奏人はどうしようかと悩んだ。
お金はまだある。だが好き勝手楽しみすぎているから無くなるのは時間の問題。
いつまでこの二人といられるかも分からない今、奏人はダンジョンで二人に付き添ってモンスターを狩るのもアリなのではないかと思った。
「僕も、ダンジョンに連れてってもらえないかな?」
「えっ、行くの!?大丈夫?」
「わかんないけど、僕がいれば治療はその場で出来るし悪くないんじゃない?ただ、僕を守るクエストが発生しちゃうけど」
あはは、と苦笑いすると、シュビルは笑って答えた。
「大丈夫!俺、意外と強いからね」
「心強いね」
任せとけ、とシュビルは胸を叩くと、笑いながらまた準備に取り掛かった。
「うぉ~・・・すげぇ・・・」
奏人が立っているのは、ダンジョンの入口。
見渡す限り、冒険者の姿。
「前はこの手前までしか来なかったもんね」
以前、ガトロたちの手当で付近まで来た事はあったが、実際にダンジョンの入口まで来たのは今回が初めてだった。
「みんな強そうだね・・・こえぇ~・・・」
「まぁ、それなりにはね」
シュビルは、腰に付けた小さなカバンから銃のようなものを取り出し、奏人に渡した。
「これ、一応持っておいて」
「なにこれ」
「銃。武器だよ」
カチャカチャとシュビルは指で銃をクルクルと回す。
「え~・・・こんなの使ったことないし僕もその剣でモンスター倒してみたいんだけど」
奏人は、シュビルが背中に背負う中くらいの剣を指さして言った。
「だめだめ。初心者にモンスターとの接近戦は危険すぎる」
シュビルに言われ、奏人は釈然としない顔で銃とカバンともらう。
「じゃ、行くか」
ガシャンッと剣が何かとぶつかる音がする。
音の方向を見ると、冒険者がモンスターとまさに戦っているところだった。
「迫力やば」
「な、あんな至近距離でモンスターと戦うとか無理っぽそうだろ」
「たしかに・・・銃で頑張る」
おう、とシュビルは答えてザクザクと森を進んでいく。
どこまで進むのかと奏人はついて行くと、ふと何か悲鳴のような声が聞こえた気がした。
「・・・?」
奏人はその方向を見るが、だだっ広い森が広がっているだけでそれ以外に変わった様子は見えない。
シュビルは立ち止まった奏人に気づき、声をかける。
「奏人?先いっちゃうぞー」
「ん、あぁ、ごめん。なんか叫ぶ声が聞こえた気がしてさ」
「んなの聞こえなかったぞ?気のせいだろ」
シュビルはそう言ってまた進みだす。
――けて・・・
―――――たすけ―――・・・
「助けて!」
「シュビル!!」
助けを呼ぶ声がたしかに奏人の頭に響き、思わず奏人はシュビルを呼び止めた。
「なんだよー」
「やっぱり聞こえるって!叫び声!」
「いやいや聞こえな・・・あ」
シュビルは足元に誰かの冒険者の武器であろう小さな剣とリュックが落ちているのを見つけた。
そしてその付近の地面にはかすかに血がにじんでいるのが確認できた。
「ほら、血!これやっぱ叫び声の人だよ!いかなきゃ!」
奏人は考えるよりも先に走り出す。
どこに向かえばいいのかなんて分からなかったが、なぜか身体が勝手にこっちだと言うかのように動くのだった。
「っ・・・!!」
森を抜け、少し開けた場所に辿り着く。
まさに今、小さな少年がまさに今、ヘビのモンスターに殺されようとしているところだった。
「助けて!お兄さん!!」
少年は叫ぶ。
奏人は、少年を掴む巨大なヘビのような形をしたモンスターを見る。
大きな口が開いている。
少年が、飲み込まれる。
「やめろぉぉぉぉおぉお!!!」
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