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指輪を外せば、僕の恋人
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指輪を外す。
頬に触れ、そっとキスをする。
彼が指輪を外すこの時間だけは、彼は僕だけの大切な恋人になる。
僕はハルキを見つめ微笑む。
ハルキも、僕を見つめ微笑んだ。
「愛してる」
たったの5文字で心が躍るような、地獄の果てまで落ちるような気持にさせる言葉なんて、
きっとこれ以外この世にはないだろう。
テーブルに置いた指輪は夕日に照らされキラキラと光り輝いた。
――て・・・
―――――きて・・・・・・・・
「起きてってば、ユウキ」
知らない間に眠ってしまっていたらしい。
裸で腕枕してくれていたはずのハルキはとっくにスーツをきっちりと着こなし僕を起こす。
ハルキは今日、奥さんに休日出勤だと言って僕に会いに来てくれたらしい。
このスーツを着て、何事もなかったかのようにこれから家に帰るのだろう。
そう思うと少し腹が立った。
「ごめん、寝ちゃってた・・・」
「いや、大丈夫。今日は無理させちゃったし」
「ううん・・・昨日あんま寝てなかっただけ」
そう、と言ってユウキは部屋の窓から雨が降り続ける外を見つめる。
ハルキとはいわゆる幼馴染。
小さい頃からずっと腐れ縁で、会社こそ違うところに就職したが大学まではずっと一緒だった。
僕は完全に同性愛者で男性しか愛せないのだが、
ハルキは女も男も恋愛対象として見ることができるバイセクシュアル。
実は少し付き合っていたこともあるのだが、お互いの家族が同性愛に偏見を持っておりうまくいかず
別れざるを得なかった。
「雨、まだ止んでない?」
僕も着替え、ハルキに近寄ってそっと腰に手を当てるとそれとなく避けられてしまった。
ハルキは窓際のテーブルに置いていた指輪を手に取り、そっと指に付ける。
「ねぇ、ハルキ」
「ん?」
「この指輪、この窓から投げ捨ててもいい?」
「・・・ダメに決まってんだろ」
戸惑いながら言うハルキの分かり切っていた返答に少し悲しくなる。
「ごめん」
「・・・どうしたの、ユウキいつもそんなこと言わないじゃん」
「なんか、ハルキの奥さんに嫉妬した」
「そういうこと言うのやめよって言ったじゃん。セックスする時だけ俺らは恋人同士に戻る。でもそれ以外はただの良い幼馴染でいようって、そうやって決めただろ」
「分かってる、ハルキの一番になれないのはちゃんと分かってんだけど、さ」
思わず泣きそうになったのを堪える。が、どうやっても止められなくてどんどん涙が溢れてくる。
どうやら思っていた以上に重症だったらしい。
「泣くのは卑怯だろ」
「分かってるって!泣くつもりなんてねぇよ俺だって・・・でも涙とまんねぇんだもん・・・」
「ごめんな、ハルキ・・・ハルキには帰る場所もあって、おかえりって言ってくれる人がいて。なのに、なんで俺はお前がいいとか思っちゃったんだろう・・・・本当にごめん・・・」
ハルキはさっき以上に困った顔をする。
あぁ、そんな顔を見たかった訳じゃないのに。
どうして俺は、愛した人を困らせることしかできないのだろう。
ユウキは息を吸う。
少し、落ち着きを取り戻す。
「もう、やめよう」
「え?」
思ってないセリフにハルキは驚き聞き返す。
「この関係を、って・・・こと、か?」
「そう」
ハルキは戸惑う。
しかし、その中にわずかに安堵の表情が混じっていたことに気づき、ユウキはまた悲しくなった。
「いつかやめなきゃいけないって思ってたし」
ユウキは続ける。覚悟と、少しの希望を持って。
”まだ会いたい”
そう言ってくれることをどこかで願っている自分がいた。
そんなことを願う自分にユウキは、心底嫌気を感じた。
「・・・そうだな、ユウキの言う通り、もう終わりにしよう」
悲しむような、寂しがるような、そしてどこか安心したような表情でハルキは残酷に別れをあっさり切り出す。
「ありがとうな、ハルキ」
「こっちこそ」
「付き合わせて、ごめん」
「そんなことない、こっちこそごめん」
「愛して、ごめん」
「俺の方こそ、・・・愛せなくて、ごめん」
ハルキの指できらっと輝く指輪に心がチクリと痛む。
もうハルキは僕のものにはならないのだと思い、ユウキは力なく笑った。
頬に触れ、そっとキスをする。
彼が指輪を外すこの時間だけは、彼は僕だけの大切な恋人になる。
僕はハルキを見つめ微笑む。
ハルキも、僕を見つめ微笑んだ。
「愛してる」
たったの5文字で心が躍るような、地獄の果てまで落ちるような気持にさせる言葉なんて、
きっとこれ以外この世にはないだろう。
テーブルに置いた指輪は夕日に照らされキラキラと光り輝いた。
――て・・・
―――――きて・・・・・・・・
「起きてってば、ユウキ」
知らない間に眠ってしまっていたらしい。
裸で腕枕してくれていたはずのハルキはとっくにスーツをきっちりと着こなし僕を起こす。
ハルキは今日、奥さんに休日出勤だと言って僕に会いに来てくれたらしい。
このスーツを着て、何事もなかったかのようにこれから家に帰るのだろう。
そう思うと少し腹が立った。
「ごめん、寝ちゃってた・・・」
「いや、大丈夫。今日は無理させちゃったし」
「ううん・・・昨日あんま寝てなかっただけ」
そう、と言ってユウキは部屋の窓から雨が降り続ける外を見つめる。
ハルキとはいわゆる幼馴染。
小さい頃からずっと腐れ縁で、会社こそ違うところに就職したが大学まではずっと一緒だった。
僕は完全に同性愛者で男性しか愛せないのだが、
ハルキは女も男も恋愛対象として見ることができるバイセクシュアル。
実は少し付き合っていたこともあるのだが、お互いの家族が同性愛に偏見を持っておりうまくいかず
別れざるを得なかった。
「雨、まだ止んでない?」
僕も着替え、ハルキに近寄ってそっと腰に手を当てるとそれとなく避けられてしまった。
ハルキは窓際のテーブルに置いていた指輪を手に取り、そっと指に付ける。
「ねぇ、ハルキ」
「ん?」
「この指輪、この窓から投げ捨ててもいい?」
「・・・ダメに決まってんだろ」
戸惑いながら言うハルキの分かり切っていた返答に少し悲しくなる。
「ごめん」
「・・・どうしたの、ユウキいつもそんなこと言わないじゃん」
「なんか、ハルキの奥さんに嫉妬した」
「そういうこと言うのやめよって言ったじゃん。セックスする時だけ俺らは恋人同士に戻る。でもそれ以外はただの良い幼馴染でいようって、そうやって決めただろ」
「分かってる、ハルキの一番になれないのはちゃんと分かってんだけど、さ」
思わず泣きそうになったのを堪える。が、どうやっても止められなくてどんどん涙が溢れてくる。
どうやら思っていた以上に重症だったらしい。
「泣くのは卑怯だろ」
「分かってるって!泣くつもりなんてねぇよ俺だって・・・でも涙とまんねぇんだもん・・・」
「ごめんな、ハルキ・・・ハルキには帰る場所もあって、おかえりって言ってくれる人がいて。なのに、なんで俺はお前がいいとか思っちゃったんだろう・・・・本当にごめん・・・」
ハルキはさっき以上に困った顔をする。
あぁ、そんな顔を見たかった訳じゃないのに。
どうして俺は、愛した人を困らせることしかできないのだろう。
ユウキは息を吸う。
少し、落ち着きを取り戻す。
「もう、やめよう」
「え?」
思ってないセリフにハルキは驚き聞き返す。
「この関係を、って・・・こと、か?」
「そう」
ハルキは戸惑う。
しかし、その中にわずかに安堵の表情が混じっていたことに気づき、ユウキはまた悲しくなった。
「いつかやめなきゃいけないって思ってたし」
ユウキは続ける。覚悟と、少しの希望を持って。
”まだ会いたい”
そう言ってくれることをどこかで願っている自分がいた。
そんなことを願う自分にユウキは、心底嫌気を感じた。
「・・・そうだな、ユウキの言う通り、もう終わりにしよう」
悲しむような、寂しがるような、そしてどこか安心したような表情でハルキは残酷に別れをあっさり切り出す。
「ありがとうな、ハルキ」
「こっちこそ」
「付き合わせて、ごめん」
「そんなことない、こっちこそごめん」
「愛して、ごめん」
「俺の方こそ、・・・愛せなくて、ごめん」
ハルキの指できらっと輝く指輪に心がチクリと痛む。
もうハルキは僕のものにはならないのだと思い、ユウキは力なく笑った。
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