虚無の統括者 〜両親を殺された俺は復讐の為、最強の配下と組織の主になる〜

サメ狐

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三章 月光の花魁

精霊の混乱

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———時同じくして、レオン達が精霊女帝ヴァルネラを召喚した直後のエルフ大国では、精霊と契約しているエルフ達の混乱が起きていた。 

エルフ軍本部最上階会議室

現在、週一の会議兼報告を上層部、ディアナ、カレン、リーラ、ファルコの四人で報告をしていた

「———それで今回の軍内での模擬戦では———‥‥ッ!」

カレンが近況報告をしていると突然、契約精霊が姿を現した。

「サ、サラちゃん!どうしましたの?!」

サラちゃんこと火の精霊王サラマンダー。喋る蜥蜴である
サラちゃんは動揺などしないクールな蜥蜴だが主人の前で初めて動揺を示した

「馬鹿な‥‥ありえヌ。まさかこんな事が起きようとハ」

サラちゃんが飛び出してきたことで他の精霊王一行が次々に姿を現した

「まさかこの様な事態になるとは」

「まあまあ!大変ですわ!」

「ちょっとどう言うことよ!もう!」

それぞれ上から順に 土の精霊王ノーム、水の精霊王ウンディーネ、風の精霊王シルフ達が騒ぎ立てる。

「おいノーム!何があった?!」

ノームの契約者リーラ・ライラックがノームに激しく詰め寄る

「まさかそんな、この圧は‥‥」

ノームは口籠ってしいそのまま口を閉ざしてしまう
その光景を見兼ねたファルコがシルフに話しかける

「シルフの嬢ちゃんどうしたんだ、そんなに慌てて」

「どうしたんじゃないわよ!もう!なんであのお方が‥‥」

シルフも最後には口籠ってしまい、頼みの綱であるウンディーネにディアナが問いかける

「ウンディーネ。急に現れて何が起こっている? シルフが言う『あのお方』とは一体」

ディアナの鋭い眼差しを受けウンディーネは意を結したのか精霊王代表で説明をする

「まず、急に現れてしまった事をお詫びします。なぜ我々精霊王が急に現れてしまったのか。それは『女帝』がこちらの世界に召喚されたからです‥‥」

四人の主はウンディーネの衝撃な言葉を聞き、驚愕する

「おいおい、それって『あの』女帝か?」

ファルコがウンディーネに問い掛けると『肯定』と発言する
その後サラちゃんが付け加えて説明をする

「精霊女帝ヴァルネラ様。我々、精霊界を統べるお方であル。そして最後に姿を現したのは5000年前の大戦のミ。それ以降、決してこちら側の世界に召喚されることはなかったというのニ———」

サラちゃんの話を鋭い眼光で聞いていたディアナが話に加わる

「精霊女帝ヴァルネラ様。我らエルフが崇拝するお方、また世界樹を創造されたお方でもある。伝説の存在にして至高なるそのお姿を見た者は現在生きてはいないか‥‥‥」

「そう、その通りであるディアナ嬢よ。我々精霊を召喚し契約できる者はエルフのみ。それは女帝も同じことよ」

「ではエルフの誰かが召喚したと言うのか? ヴァルネラ様を召喚できそうなエルフなど、私は未だかつて出会ったことはないぞ?」

それもそのはずエルフの現トップはディアナなのだから‥‥
精霊王達とディアナ達は頭を抱える事しかできなかった

沈黙の中、何か『ハッ!』と思いついたシルフがとても的確な分析をしだす

「でも召喚されたってことはエルフで間違いないわけじゃない?でもエルフでそんな強大な魔力を持っているのはディアナだけじゃん?てことは女帝をも召喚できる化け物がエルフに魔力を分けたのじゃないかしら?どう?名推理でしょ!」

沈黙を破ったシルフの思わぬ考察に皆が納得した

「確かにその手があるか。だがこれがもしも良からぬ者が召喚したとすると大事だ」

「ああ、そりゃ俺も同意見だ」

「私も同意見です。すぐにでも軍を動かしますか?」

カレンがディアナにどうするか迫るがディアナからの発言は『監視』の二文字

「今我々が動いたとして、どこで召喚されたかわからない女帝をどうやって探す?」

ディアナは腕を組み考え込む。
もしかしたら四大精霊が束になれば精霊女帝ヴァルネラ様に勝てるのではと‥‥

「ウンディーネ。君たち四大精霊が束になって女帝に勝利できるか?」

しかし、ウンディーネから発せられた答えは『否定』であった

「絶対に無理ね。そもそもヴァルネラ様に挑もうなんて愚者のすることよ。指を少し動かしただけで我々は消されてしまうわ」

ウンディーネの発言に他の精霊王達も相槌を打つ

「ああ、全くその通りダ。絶対に敵わなイ」

「愚かとしかいえぬ」

「ばっかじゃないの?!ヴァルネラ様に挑もうなんて馬鹿よ!馬鹿!私たち消されて次の精霊王達に世代交代よ!何千年も生きてきたのにこんなところでヴァルネラ様の怒りを買いたくないわ!」

精霊王達は絶対に戦いたくないと、戦えば消されてしまうと身震いして恐れている。

こんなに怯えている精霊王を見たのは四人とも初めての事であった
エルフのトップ四人が知恵を絞った所で精霊女帝ヴァルネラ様とはどれほどの存在か想像などできはしない

「そこまでの存在であったか‥‥」

「あの世界樹を創造されたお方だ。我々にその力の深淵を図ることはできぬと言うことだろう」

「クソがッ!どうすりゃーいいんだよ!」

「これはゆっくりとしていられませんわね」

全員が何らかの案を探る中、窓の外が急に騒がしくなる

「「うわ!どうした!?」」

「「な!勝手に現れる?!」」

「「おい!精霊達が勝手に現れるぞ?!」」

外で訓練をしていた兵士たちが突如現れる精霊に混乱しだしたのだ

その光景を最上階から見下ろしていたファルコ達は呆れ返っていた

「はあ~。シルフの嬢ちゃんこれからどうするんだ?」

ファルコは人生で一番大きいため息を吐く

「そんなの決まっているじゃない!ヴァルネラ様の居場所を探るわ!」

シルフが断言すると皆同意見であったのか一斉に頷き今後の方針を固めた。

また軍の外、大国の町でも精霊と契約していた者たちは次々と混乱していった

後にエルフの国ではこの事件を『精霊女帝の帰還』と言われ続け、女帝が現れた日は国中で政殿をすることになるのだった
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