虚無の統括者 〜両親を殺された俺は復讐の為、最強の配下と組織の主になる〜

サメ狐

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四章 月下香

女王陛下

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一人の男が魔法で声を闘技場中に拡散させた

「———さあ!今年もこの日がやってまいりましたー!世界一の格闘を決める大会!その名も獣武祭!今年で300年になる獣武祭に加え、獣王の座に就いた一族の式典でもあり、さらには世界に5人のSSSランク選ばれし者セレツィオナートの一人!さあ!このお方、狐族にして獣王ストレニア・ヴォルペ・ディエーチ女王陛下だ!!!」

男が指差す方向、王族の席に全員の視線が向く

瞬間、闘技場中が声援と熱で沸騰した———

「「————うおおおぉぉぉおお!!女王万歳!!!」」

「「陛下ぁぁぁあ!!」」

獣人達は皆手を振り歓喜を上げている
そんな獣人達を横目に俺たちは場に圧倒されそうになる

「す、すごい熱気だわ‥‥」

「ほんとです。とても慕われているお方なのですね!」

ファシーノとデリカートは闘技場中の圧に推されているようだ
俺もこの熱気に気をされている一人だが‥‥

俺は女王ストレニア・ヴォルペ・ディエーチに視線を向ける

応援席からでは少し見えづらく目を細める

目をよく凝らすと狐の長い耳に尻尾が9尾あり、金色の長い髪を靡かせ、紫色の瞳に純白のドレスを着ている

「これは美しいな‥‥」

思わず声が漏れてしまう。まさに美そのものでヴァルネラとはまた違う雰囲気を感じる。狐の妖艶さと柔らかそうな尻尾の毛並みが絡み合い、惹きつける魅力で心奪われる

周りを再確認するとタオルのような物を闘技台に投げていたり、口笛を吹いていたり、楽器の演奏隊などとにかく音がすごい

隣のヴァルネラが視界に入り顔を覗き込むと異様に嫌な顔をしていた

「どうしたんだ?」

ヴァルネラが気になり問い掛けてみる。するとヴァルネラが女王に指をさし答えた

「———あの女、無性に気が合わん。いけ好かない顔をしおって、死んでも話したく無いわっ」

ヴァルネラは非常に虫の何所が悪いようだ

確かにヴァルネラとあの女王はどこか似ている雰囲気を感じる‥‥

同族嫌悪というやつだろう

視線をもう一度女王に向けると手を胸元まで上げていた

すると闘技場の騒ぎが鎮まり、女王に注目しだした

完全に静まりかえったとこで女王の紅口が開く

「———妾は獣族国ベスティアの女王ストレニア・ヴォルペ・ディエーチである。国民に国外からの民よくぞ今年も集まってくれた。妾の狐族が王位に就いて300年、また最強を決める獣武祭を開催してきた年数でもある。獣武祭において武器は禁止、己の身体のみでの戦いだ!無論魔法を使用しても良い。各々の魔法を妾に魅せてくれ。今年も妾を驚かしてくれ、期待しておるぞっ!」

女王の気迫で堂々とした宣言を聞き、思わず息を飲む

女王が玉座に座ると先ほどの歓声よりもさらに大きい大歓声が上がった

「「「うおおぉおおぉぉおおぉぉ!女王陛下万歳!!」」」

「「「きゃあぁあぁぁあ!!ストレニアさまぁぁあ!!」」」

「「「我らが獣王ぉぉぉ!!」」」

耳が痛くなるほどの大歓声‥‥というか雄叫びに似た叫びが響く

隣の3人はあまりの大歓声に耳を塞いでしまっているほどだ

(気の毒に‥‥)

俺はなんとか耐えられるがそれでも耳が痛む

いつになったら終わるのかと思っていると女王の前に話していた実況者が声を拡散させて喋り出した

「女王陛下、素晴らしい演説ありごとうございました!さて、時間が近づいて来ました所で、予選を始めたいと思います!毎年恒例の生き残り戦!出場者の皆様は闘技台に移動してください!」

実況者が喋り終えると出場者らしき人たちが席を立ち移動を開始している

俺も席を立ち移動しようとする。移動する前に3人に体を向け声をかける

「それじゃあ、行ってくる」

「応援しているわっ」

「頑張ってくだい!」

「お前なら大丈夫だろう。それと賞金を待っておるぞっ!」

3人から声援をもらい席を後に歩き出した
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