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四章 月下香
試合開始
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闘技台は中央にあり、観客席は二階からのため下に降りていく
闘技台までの出入り口が至るところにあり、どこから入っても大丈夫な造りになっている
俺はそのうちの一つの出入り口から闘技場中央内部へと入る
闘技台は地面よりも少し高い。また300人立ってもまだまだ余裕があり、とてつもない大きさだと分かる
そして闘技台に登ると一際目を引く女性が二人いた。周りの男達が騒めき出す
「おい、あれが噂の‥‥」
「間違いねーな、今年も出場とは‥‥」
「もう一人の奴は娘か‥‥」
一人は妖艶な魅力と女性の豊満な体を露出の多い服で隠し
男達を魅了し、誘惑し絶望させていく女性
———そう、昨夜会った”花魁の彼女”だ
あの豚が言っていたが今年で3度目、それにあの豚に買われてしまうという腹ただしい状況。彼女を見るとソワソワしているのか緊張が見られる
もう一人の女性は長い狐の耳にふかふかの4尾
金色の髪を後ろに束ねポニーテールにしている。紫色の瞳に必要最低限の防具を見に纏い堂々と立っている
(彼女が女王の娘、リコリス・ヴォルペか‥‥)
俺は彼女を観察する。見た目からして俺よりも五つは上だろう
一昨年から優勝していることから16で初出場しているとは‥‥恐れ入った
彼女達二人以外に女性の出場者は見当たらない
彼女達が唯一の雑草に咲く花という訳か‥‥
闘技台に全員が登ったとこで実況者が話し始めた
「———おお!この席から眺めるとすごい人数であります!ここで少し選手の紹介をさせていただきます!一昨年、昨年と優勝を勝ち取った女王陛下の一人娘であるこの人!!リコリス・ヴォルペ王女だぁぁぁ!!」
実況者が紹介をすると全員がリコリス・ヴォルペの方へ視線を向ける
リコリス・ヴォルペは何も言葉を発せずに腕を組んでいる
速く試合をはじめろと言わんばかりの風貌で実況者を睨んでいる
(なんていう目をしてる‥‥刺されそうだ)
それでも実況者は紹介をやめない
「———最後に王女と共に一昨年から出場しているこの人!!何度も決勝へと進むが王女に一歩及ばず準優勝止まり!今年は期待できるぞ!男達を魅了する娼婦街一の花魁!!エリーだぁぁぁぁあ!!!」
王女の紹介と同じくらいの声援が響き渡る
声援の中には男達の悲痛の声も混ざっているが誰も気にはしていない様子だ
二人の紹介が終わると実況者は女王ストレニアに合図を任せる
すると女王が振り上げた腕を振り下ろし‥‥
「————試合開始!!」
と言い放つと出場者が一斉に動き出した
「———オラァァ!」
「生き残るのは俺だー!!」
「俺の進撃を止めてみろ!」
一斉に周りが戦いを繰り広げている中、俺は隅から観察していた
すると一人の屈強な獣人の男が俺に近づいてきた
「———おいちび!なに隅っこで固まってやがる、ガキは帰って寝てな!お前の来る場所じゃねーぜ!」
獣人の男は怒声とともに俺に突進してきた。この光景を見ている他の出場者は嘲笑っている
「おいおい、あのちび残念だったな」
「ああ、あのカムーに目をつけられちゃ終わりだな」
「「ギャッハハハハハ!」」
この男カムーと言うのか、そうか
それは気の毒だったな‥‥
俺は仮面の下でニヤリと笑い、突進してくるカムーに向けて殺気を放つ
瞬間、カムーの勢いがなくなり俺の前で完全に止まってしまった
いつまで経っても立ち止まり、攻撃を仕掛けないカムーを見て他の選手は声を掛ける
「おいおい、どうしたんだカムーの奴」
「いつもの馬鹿力も見せずに‥‥おーいそんなチビやっちまいな!」
カムーを呼ぶが聞こえていないのか反応を示さない
‥‥いいや、聞こえてはいるが反応が出来ないのだ
カムーの顔は恐怖でひどく歪んでいた————
————獣人の第六感が警告を告げている。このチビは異常
いやそれ以上の存在であると体が脳が目が肉が血が知らせているっ
心臓の鼓動が早まり全身から汗が吹き出る
勢いよく突進して行ったはずが歩く事も指の先すらも動かす事ができない
身体が何かに押しつぶされそうな感覚
圧倒的な殺気を前になす術がない‥‥
体は全く動かず汗が額から顎にかけて落ちていく
顔が青ざめ意識が揺らぎ、そのまま前方に倒れていくのみ
「———運が悪かったな」
———闘技場の隅で行われた大男とチビの戦い。誰が見てもカムーの圧勝と確信の戦いは真逆の結果を生んだ
この異様な光景を見ていた選手達は目を見開き驚愕する
「な、なにをしやがった!?」
「おいちび!インチキしてんじゃねーぞ?!」
(この結果に不満があるのかインチキ呼ばわりとは‥‥)
俺は文句を言う選手に向き直り声を出す
「インチキ?なにを言っているかさっぱりだな」
俺は喋り終わると同時に悠然とした足取りで歩き始めた
「「く、くるんじゃねー!」」
歩みを進めると相手は身体をビクリとさせ後ずさる
俺は足が地面に付いた瞬間、目にも止まらぬ速度で間合いを詰めた
「‥‥ッな!いつの間に!?‥‥‥‥ガハッ」
「‥‥お疲れ」
相手の懐に入り手加減をして蹴り飛ばした。
不味いことに空気が爆発したかのような轟音が鳴り響いてしまった。
無論死んではいない‥‥‥だろう
闘技台までの出入り口が至るところにあり、どこから入っても大丈夫な造りになっている
俺はそのうちの一つの出入り口から闘技場中央内部へと入る
闘技台は地面よりも少し高い。また300人立ってもまだまだ余裕があり、とてつもない大きさだと分かる
そして闘技台に登ると一際目を引く女性が二人いた。周りの男達が騒めき出す
「おい、あれが噂の‥‥」
「間違いねーな、今年も出場とは‥‥」
「もう一人の奴は娘か‥‥」
一人は妖艶な魅力と女性の豊満な体を露出の多い服で隠し
男達を魅了し、誘惑し絶望させていく女性
———そう、昨夜会った”花魁の彼女”だ
あの豚が言っていたが今年で3度目、それにあの豚に買われてしまうという腹ただしい状況。彼女を見るとソワソワしているのか緊張が見られる
もう一人の女性は長い狐の耳にふかふかの4尾
金色の髪を後ろに束ねポニーテールにしている。紫色の瞳に必要最低限の防具を見に纏い堂々と立っている
(彼女が女王の娘、リコリス・ヴォルペか‥‥)
俺は彼女を観察する。見た目からして俺よりも五つは上だろう
一昨年から優勝していることから16で初出場しているとは‥‥恐れ入った
彼女達二人以外に女性の出場者は見当たらない
彼女達が唯一の雑草に咲く花という訳か‥‥
闘技台に全員が登ったとこで実況者が話し始めた
「———おお!この席から眺めるとすごい人数であります!ここで少し選手の紹介をさせていただきます!一昨年、昨年と優勝を勝ち取った女王陛下の一人娘であるこの人!!リコリス・ヴォルペ王女だぁぁぁ!!」
実況者が紹介をすると全員がリコリス・ヴォルペの方へ視線を向ける
リコリス・ヴォルペは何も言葉を発せずに腕を組んでいる
速く試合をはじめろと言わんばかりの風貌で実況者を睨んでいる
(なんていう目をしてる‥‥刺されそうだ)
それでも実況者は紹介をやめない
「———最後に王女と共に一昨年から出場しているこの人!!何度も決勝へと進むが王女に一歩及ばず準優勝止まり!今年は期待できるぞ!男達を魅了する娼婦街一の花魁!!エリーだぁぁぁぁあ!!!」
王女の紹介と同じくらいの声援が響き渡る
声援の中には男達の悲痛の声も混ざっているが誰も気にはしていない様子だ
二人の紹介が終わると実況者は女王ストレニアに合図を任せる
すると女王が振り上げた腕を振り下ろし‥‥
「————試合開始!!」
と言い放つと出場者が一斉に動き出した
「———オラァァ!」
「生き残るのは俺だー!!」
「俺の進撃を止めてみろ!」
一斉に周りが戦いを繰り広げている中、俺は隅から観察していた
すると一人の屈強な獣人の男が俺に近づいてきた
「———おいちび!なに隅っこで固まってやがる、ガキは帰って寝てな!お前の来る場所じゃねーぜ!」
獣人の男は怒声とともに俺に突進してきた。この光景を見ている他の出場者は嘲笑っている
「おいおい、あのちび残念だったな」
「ああ、あのカムーに目をつけられちゃ終わりだな」
「「ギャッハハハハハ!」」
この男カムーと言うのか、そうか
それは気の毒だったな‥‥
俺は仮面の下でニヤリと笑い、突進してくるカムーに向けて殺気を放つ
瞬間、カムーの勢いがなくなり俺の前で完全に止まってしまった
いつまで経っても立ち止まり、攻撃を仕掛けないカムーを見て他の選手は声を掛ける
「おいおい、どうしたんだカムーの奴」
「いつもの馬鹿力も見せずに‥‥おーいそんなチビやっちまいな!」
カムーを呼ぶが聞こえていないのか反応を示さない
‥‥いいや、聞こえてはいるが反応が出来ないのだ
カムーの顔は恐怖でひどく歪んでいた————
————獣人の第六感が警告を告げている。このチビは異常
いやそれ以上の存在であると体が脳が目が肉が血が知らせているっ
心臓の鼓動が早まり全身から汗が吹き出る
勢いよく突進して行ったはずが歩く事も指の先すらも動かす事ができない
身体が何かに押しつぶされそうな感覚
圧倒的な殺気を前になす術がない‥‥
体は全く動かず汗が額から顎にかけて落ちていく
顔が青ざめ意識が揺らぎ、そのまま前方に倒れていくのみ
「———運が悪かったな」
———闘技場の隅で行われた大男とチビの戦い。誰が見てもカムーの圧勝と確信の戦いは真逆の結果を生んだ
この異様な光景を見ていた選手達は目を見開き驚愕する
「な、なにをしやがった!?」
「おいちび!インチキしてんじゃねーぞ?!」
(この結果に不満があるのかインチキ呼ばわりとは‥‥)
俺は文句を言う選手に向き直り声を出す
「インチキ?なにを言っているかさっぱりだな」
俺は喋り終わると同時に悠然とした足取りで歩き始めた
「「く、くるんじゃねー!」」
歩みを進めると相手は身体をビクリとさせ後ずさる
俺は足が地面に付いた瞬間、目にも止まらぬ速度で間合いを詰めた
「‥‥ッな!いつの間に!?‥‥‥‥ガハッ」
「‥‥お疲れ」
相手の懐に入り手加減をして蹴り飛ばした。
不味いことに空気が爆発したかのような轟音が鳴り響いてしまった。
無論死んではいない‥‥‥だろう
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