48 / 141
四章 月下香
花魁エリーVSローネ(レオン)
しおりを挟む
「———では第三試合はハーブ選手対エリー選手だぁぁぁ!!」
俺が医務室までの廊下を歩いていると背中から選手の名前を呼ぶ声が聞こえてくる。そして目の前からその選手が闘技台に向かい、歩いてきた
彼女は俺のすぐ横を無言で通り過ぎる
そんな彼女からは香水のいい匂いがした
彼女が次の対戦相手なのは確定。すぐにお呼ばれされるだろう
———闘技場中に試合開始の合図が響く
またも爆音が鳴り響き係が担架を持って走っていく
今頃闘技場がどんな風か大体予想ができてしまう‥‥無残に敗北した選手が可哀想に‥‥
「さて、次は俺の番か。とすると彼女と対戦か‥‥」
闘技場中にローネの名前と対戦相手のエリーの名前が響き渡る
俺は闘技台に歩いて向かった。闘技台では彼女が霊峰の様に待ち構えていた
闘技台へと登るとお互いに視線を交差する。観客からは互いに睨み合いをしていると思っているだろう
「———それでは第四試合開始!!」
闘技場に開始の合図が響き渡るが二人は石の様にピクリとも動かない
「おいおい!何だってあいつら動かねぇ?」
「おーい!エリー!さっさとそのチビをやっちまえ!」
「エリーちゃん!頑張ってー!」
「やっちまえエリー!」
「エリー!」「エリー!」「エリー!」
闘技場がエリーコールで埋め尽くされる
どうやら観客はエリーの味方らしい。まあ俺はあの三人がいれば貶されようが何されようが構わないが‥‥
どうするもんかと考えていると、エリーが俺にしか聴き取れない声で話してきた
「———やっと、話すことができますね」
「‥‥俺と話がしたかったと?」
どうやら彼女は話をしたいらしく俺は素直に会話を続ける事にする
聞く気になると判断したエリーは微笑みながら昨夜の事を話しだした
「———はい‥‥昨夜、私を見ていた人影は貴方なのでしょう?その仮面が仰っていますわ」
「‥‥バレていたか。そう、あの時見詰めていたのは俺だ」
「ふふ、やはり貴方でしたか———」
———私は彼の言葉を聞き、心の中でとても満足していた
『もし違ってたらどうしよう‥‥』という不安が心から掻き消え、目の前の少年を見る。
物悲しげに言葉を発したつもりが表情は変わり、切れ長の目が鋭さを増していく
「———もう迷いません。私は勝たなければなりませんっ‥‥!例え、貴方が相手でもっ!」
———エリーは声を振り絞り叫んだ。すると先程までの柔らかい空気が一変する
「‥‥行きますっ!」
甲高い女性の掛け声と同時にローネこと俺に向かって突進する
俺は突進してくるエリーを見据え考えていた
(‥‥彼女の雰囲気が少し妙だな。何か‥‥‥こう、守ろうとしている様な)
そんなことを考えていると一瞬でエリーの拳が俺の胸元に届いた
俺は咄嗟に片手で防ぐ‥‥‥が強烈な痛みが走る。腕全体に衝撃が伝わり、一瞬麻痺してしまった
「くっ‥‥!いい拳だ。だがそんなんじゃ俺には届かない!」
俺は防いだ片手を振り解き、彼女の開いた横腹に蹴りを入れた
「‥‥っ!キャアッ!」
エリーは獣人による反射神経で交わそうとしたが交わしきれずに地面を転がる
そんな彼女を見ていると心が苦しくなるな‥‥
「俺は、貴方とは戦いたくはない‥‥」
俺は彼女に本心を告げる。エリーは脇腹を押さえながら立ち上がると、乱れた髪を直し言い返してくる
「私も貴方とは戦いたくない‥‥けど私には守らなくてはいけない子達がいるっ!」
「———はああぁぁぁあああ!!!」
彼女の瞳が潤いだし、絶叫と共に間合いを詰めて来る
(速いっ‥‥!)
先程よりも数段速く攻撃を仕掛けてくる
籠手同士がぶつかり合い、また受け流し合い火花が散る
エリーの攻撃は徐々に加速していき俺は紙一重で受け流してゆく
二人の闘いは観客を魅了していき、息を忘れる
エリーの攻撃は一度も緩まず連撃が俺を襲う
(‥‥!一発でも当たってしまえば流石の俺も無傷ではすまない‥‥)
エリーの攻撃を受け流し避けていると、当たらない攻撃に苛立ちを覚えているのか、表情が変わる
「クッ!なぜ当たらないの?!」
「流石にその攻撃をくらえば無傷では済まなそうだからな!」
コンマ1秒の世界で戦いを展開する二人を見て、観客は徐々に沸騰し出す
「おお!!なんだあの攻撃は!?本当にエリーかぁ?!」
「すごいぞ!俺じゃあ一撃一撃が目で追えねーよ!」
「何とういう攻防だ!エリーの攻撃もバケモンだが、あの避けているチビも尋常じゃないな!」
観客の声援が闘技場に響き渡る中、戦闘を展開している二人
この闘いの幕はどの様に終えるのかまだ誰も知らない
俺が医務室までの廊下を歩いていると背中から選手の名前を呼ぶ声が聞こえてくる。そして目の前からその選手が闘技台に向かい、歩いてきた
彼女は俺のすぐ横を無言で通り過ぎる
そんな彼女からは香水のいい匂いがした
彼女が次の対戦相手なのは確定。すぐにお呼ばれされるだろう
———闘技場中に試合開始の合図が響く
またも爆音が鳴り響き係が担架を持って走っていく
今頃闘技場がどんな風か大体予想ができてしまう‥‥無残に敗北した選手が可哀想に‥‥
「さて、次は俺の番か。とすると彼女と対戦か‥‥」
闘技場中にローネの名前と対戦相手のエリーの名前が響き渡る
俺は闘技台に歩いて向かった。闘技台では彼女が霊峰の様に待ち構えていた
闘技台へと登るとお互いに視線を交差する。観客からは互いに睨み合いをしていると思っているだろう
「———それでは第四試合開始!!」
闘技場に開始の合図が響き渡るが二人は石の様にピクリとも動かない
「おいおい!何だってあいつら動かねぇ?」
「おーい!エリー!さっさとそのチビをやっちまえ!」
「エリーちゃん!頑張ってー!」
「やっちまえエリー!」
「エリー!」「エリー!」「エリー!」
闘技場がエリーコールで埋め尽くされる
どうやら観客はエリーの味方らしい。まあ俺はあの三人がいれば貶されようが何されようが構わないが‥‥
どうするもんかと考えていると、エリーが俺にしか聴き取れない声で話してきた
「———やっと、話すことができますね」
「‥‥俺と話がしたかったと?」
どうやら彼女は話をしたいらしく俺は素直に会話を続ける事にする
聞く気になると判断したエリーは微笑みながら昨夜の事を話しだした
「———はい‥‥昨夜、私を見ていた人影は貴方なのでしょう?その仮面が仰っていますわ」
「‥‥バレていたか。そう、あの時見詰めていたのは俺だ」
「ふふ、やはり貴方でしたか———」
———私は彼の言葉を聞き、心の中でとても満足していた
『もし違ってたらどうしよう‥‥』という不安が心から掻き消え、目の前の少年を見る。
物悲しげに言葉を発したつもりが表情は変わり、切れ長の目が鋭さを増していく
「———もう迷いません。私は勝たなければなりませんっ‥‥!例え、貴方が相手でもっ!」
———エリーは声を振り絞り叫んだ。すると先程までの柔らかい空気が一変する
「‥‥行きますっ!」
甲高い女性の掛け声と同時にローネこと俺に向かって突進する
俺は突進してくるエリーを見据え考えていた
(‥‥彼女の雰囲気が少し妙だな。何か‥‥‥こう、守ろうとしている様な)
そんなことを考えていると一瞬でエリーの拳が俺の胸元に届いた
俺は咄嗟に片手で防ぐ‥‥‥が強烈な痛みが走る。腕全体に衝撃が伝わり、一瞬麻痺してしまった
「くっ‥‥!いい拳だ。だがそんなんじゃ俺には届かない!」
俺は防いだ片手を振り解き、彼女の開いた横腹に蹴りを入れた
「‥‥っ!キャアッ!」
エリーは獣人による反射神経で交わそうとしたが交わしきれずに地面を転がる
そんな彼女を見ていると心が苦しくなるな‥‥
「俺は、貴方とは戦いたくはない‥‥」
俺は彼女に本心を告げる。エリーは脇腹を押さえながら立ち上がると、乱れた髪を直し言い返してくる
「私も貴方とは戦いたくない‥‥けど私には守らなくてはいけない子達がいるっ!」
「———はああぁぁぁあああ!!!」
彼女の瞳が潤いだし、絶叫と共に間合いを詰めて来る
(速いっ‥‥!)
先程よりも数段速く攻撃を仕掛けてくる
籠手同士がぶつかり合い、また受け流し合い火花が散る
エリーの攻撃は徐々に加速していき俺は紙一重で受け流してゆく
二人の闘いは観客を魅了していき、息を忘れる
エリーの攻撃は一度も緩まず連撃が俺を襲う
(‥‥!一発でも当たってしまえば流石の俺も無傷ではすまない‥‥)
エリーの攻撃を受け流し避けていると、当たらない攻撃に苛立ちを覚えているのか、表情が変わる
「クッ!なぜ当たらないの?!」
「流石にその攻撃をくらえば無傷では済まなそうだからな!」
コンマ1秒の世界で戦いを展開する二人を見て、観客は徐々に沸騰し出す
「おお!!なんだあの攻撃は!?本当にエリーかぁ?!」
「すごいぞ!俺じゃあ一撃一撃が目で追えねーよ!」
「何とういう攻防だ!エリーの攻撃もバケモンだが、あの避けているチビも尋常じゃないな!」
観客の声援が闘技場に響き渡る中、戦闘を展開している二人
この闘いの幕はどの様に終えるのかまだ誰も知らない
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
最強スライムはぺットであって従魔ではない。ご主人様に仇なす奴は万死に値する。
棚から現ナマ
ファンタジー
スーはペットとして飼われているレベル2のスライムだ。この世界のスライムはレベル2までしか存在しない。それなのにスーは偶然にもワイバーンを食べてレベルアップをしてしまう。スーはこの世界で唯一のレベル2を超えた存在となり、スライムではあり得ない能力を身に付けてしまう。体力や攻撃力は勿論、知能も高くなった。だから自我やプライドも出てきたのだが、自分がペットだということを嫌がるどころか誇りとしている。なんならご主人様LOVEが加速してしまった。そんなスーを飼っているティナは、ひょんなことから王立魔法学園に入学することになってしまう。『違いますっ。私は学園に入学するために来たんじゃありません。下働きとして働くために来たんです!』『はぁ? 俺が従魔だってぇ、馬鹿にするなっ! 俺はご主人様に愛されているペットなんだっ。そこいらの野良と一緒にするんじゃねぇ!』最高レベルのテイマーだと勘違いされてしまうティナと、自分の持てる全ての能力をもって、大好きなご主人様のために頑張る最強スライムスーの物語。他サイトにも投稿しています。
異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる
家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。
召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。
多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。
しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。
何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜
リョウ
ファンタジー
僕は十年程闘病の末、あの世に。
そこで出会った神様に手違いで寿命が縮められたという説明をされ、地球で幸せな転生をする事になった…が何故か異世界転生してしまう。なんでだ?
幸い優しい両親と、兄と姉に囲まれ事なきを得たのだが、兄達が優秀で僕はいずれ家を出てかなきゃいけないみたい。そんな空気を読んだ僕は将来の為努力をしはじめるのだが……。
※画像はAI作成しました。
※現在毎日2話投稿。11時と19時にしております。
「元」面倒くさがりの異世界無双
空里
ファンタジー
死んでもっと努力すればと後悔していた俺は妖精みたいなやつに転生させられた。話しているうちに名前を忘れてしまったことに気付き、その妖精みたいなやつに名付けられた。
「カイ=マールス」と。
よく分からないまま取りあえず強くなれとのことで訓練を始めるのだった。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる