虚無の統括者 〜両親を殺された俺は復讐の為、最強の配下と組織の主になる〜

サメ狐

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四章 月下香

月光

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それからさらに数段、攻撃を加速させるエリー。高速の攻撃を紙一重で交わし続ける俺だったが‥‥

(‥‥っ!)

一瞬、彼女の拳が視界から消え肩に一撃を貰っていた

肩に激痛が走り、意識が僅かに揺らぐ

しかし、すぐに意識を立て直し彼女と相対する

「———ふふふ、ようやく一撃入れました」

二人は戦闘を繰り広げながら互いに会話を望んでいた

「まさか一撃を貰うとは‥‥とてつもない威力だ。その強さを持ちながら何故抗おうとしない?」

「‥‥‥抗うとはどういう事でしょうか」

再度、拳と拳がぶつかり合う———



「————なぜ貴方がそのような事を、」


エリーは質問の意図を理解する。しかし。黙殺する姿勢を貫き通していた

俺はそんな彼女を見つめ、さらに話を掘り下げる

「そうだな、確か”マイアーレ商会だったか?」

「‥‥なっ!なぜそれを貴方が?!」

エリーは目を見開き、俺の胸に撃ち込もうとしていた拳を寸でのところで止めた

「商会で胸当てを買うときに出会ってな。俺をガキと油断したのかあの男がペラペラと色々教えてくれた。君が戦う理由も少しは理解している」

「そう‥‥なのね。でも本当の意味で理解はしていないようねっ!」

エリーは怒声と共に襲い掛かる。その表情には焦りが窺えた

長い脚と柔軟な体を活かし、横蹴りを撃ち込んでくる。俺は脚を曲げその一撃を防ごうと構えた。

「くっ‥‥!重いっ」

拗ねで受け止めたが鋭い衝撃がまたも襲われる。
慌てて後退し彼女と距離を取った。

距離を取り脚を見ると、彼女の蹴りで拗ね部分の衣服が剥がれ落ちていた
さらには皮膚が青黒く痣に変色している

素早く回復をかけ、元通りにする

元通りにしたかと言って痛みは消えない。表面上、見た目の問題だ

「君がそこまでして戦う理由が少しずつ理解してきた」

「‥‥何を‥‥理解したというのっ!私は勝たなければいけないの!例え私自身が犠牲になったとしてもっ!」

彼女は声を振り絞りる。その声には焦りと怒りの感情が混じっている 

場の空気が一瞬で変わり、肌がピリピリと痺れる

大地が揺れ、石などのかけらが震えだす

寂しく震える声を絞り出すかの様にある言葉を唱えるエリー

「——これで終わりにします。最後に、貴方と出逢えて良かった‥‥」

「月光《キアロ・ディ・ルーナ》」
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