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四章 月下香
朧月
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一方で観客席から見守っているファシーノ達はというと不安そうな表情を浮かべていた
「ね、ねぇ。すごくピンチなんじゃないかしら‥‥」
「はいぃ。私もそう見えます。というか速すぎて見えないです‥‥」
「はっ気に食わんな。主の奴、何かを待っているようだ」
二人はレオンの事を心配する中、ヴァルネラだけが意味の分からない発言をする
二人はどういう意味かと耳を傾けた
「‥‥待つ?一体何を待つというの」
「‥‥それがわかれば説明している。まあ、主の事だから負けんだろうが‥‥この戦いは見ものだな」
ヴァルネラの言葉に二人は疑問符を頭に浮かべる。しかし、この戦いは目が離せない何か、重要な事が隠れていると見守る一方でレオンの勝利を願っていた
◊◊◊
(くそっ!‥‥速すぎる。光の速さなど、とんでもない物を隠していたな)
俺は光の速さの攻撃を防御しながら脱出の機会を窺っていた
(防御はできる。何ならギリ観える。しかし隙が見当たらない‥‥)
どうにか攻撃を仕掛け脱出したいが、体を動かそうとするとその部分に攻撃を仕掛けられる
(何か、この状況を打開する方法はないか‥‥)
防御している両手に魔力を行き渡らせる。そして彼女の技を吸収できるか試した
全身が骨が砕けるほどの強烈な痛みが襲いかかるが、回復をかけ続け集中する
(‥‥できるっ!ハハっ利用させてもらうぞ!)
彼女は決して気付くことはない。何度も攻撃を繰り出せば当然、体の一部分が重なり合う
重なりあった一瞬で気付かれない程度の極めて微小な魔力を吸収していく
そして、その者の技をコピーし自分なりに改良する
そう、これは幼い頃毎日行っていた事。あの頃はただ遠くから技を盗み見して自分なりに改良し威力を高めた
しかし今回はそんな小物の様なする事ではい‥‥
(まさかこの土壇場で思い付くとはな‥‥)
彼女の攻撃を何千と受け止める。しかし周りの観客から見ればたった数秒の出来事
その時俺は全身に魔力を巡らせ、ある魔法を発動した。
「———何?!」
俺の足元に魔法陣が現れると同時にエリーは警戒し一度距離をとる
防戦一方の戦闘が初めて中断した瞬間だ
「———その魔法は何?」
俺は防御していた両腕をゆっくりと下げ、顔を上げる
「君は確かに強い。強すぎるほどに‥‥しかしそんな表情では一生、俺には届かない」
———そんな俺の冷たい言葉を聞きエリーは吠えた
「いいえっ、私が勝つわ!決して貴方には負けないっ!」
「君の、これまでの人生がどういったものか俺は知らない」
「———!うるさいっ!うるさいっ!」
いつもの花魁のような大人しさは微塵もなく子供のように声を上げるエリー
「———君には同情する。人質がとられているんだろう?君の状況、そして拳から伝わる思いから察したよ」
「———っ!だったら何?!それが貴方とどう関係するの?!」
———今にも泣き出しそうな顔をする彼女
「———助けてくれるとでも?!そんな幻想はいらない!誰も私なんかを助けたりはしない!私には勝つことが最優先!守る為には勝つしかないのよっ!」
———高貴な花魁の名ではなくただの女の子にしか見えない
「君には助けがいる。しかしその助けが今までに現れなかった」
「助けなんかいらないわ!これは私の問題!関わらないでっ」
彼女の軽装の鎧が一層輝きを帯びる。黄金の輝きが闘技場を照らし出し、輝きが両脚に集まりだして最後の構えをとる
「これで————終わりよっ!」
声を荒くして叫び、最後の一撃を決めにくる
そんな彼女を俺は痛ましく見つめていた
(今まで誰にも頼らず強く一人で生きてきたのか‥‥凄いよほんと。そして同情する)
これも全てあいつの仕業だろう。怪しいとは思っていたが、人質を取るとは下衆な考えだ。それにまだ裏がありそうな匂いがする。
心が久しぶりに奮い出しそうだ
そしてエリーが目前まで迫った瞬間、仮面の奥から声が漏れ出す
「—朧月《ルーナ・ヌヴォローゾ》—」
「ね、ねぇ。すごくピンチなんじゃないかしら‥‥」
「はいぃ。私もそう見えます。というか速すぎて見えないです‥‥」
「はっ気に食わんな。主の奴、何かを待っているようだ」
二人はレオンの事を心配する中、ヴァルネラだけが意味の分からない発言をする
二人はどういう意味かと耳を傾けた
「‥‥待つ?一体何を待つというの」
「‥‥それがわかれば説明している。まあ、主の事だから負けんだろうが‥‥この戦いは見ものだな」
ヴァルネラの言葉に二人は疑問符を頭に浮かべる。しかし、この戦いは目が離せない何か、重要な事が隠れていると見守る一方でレオンの勝利を願っていた
◊◊◊
(くそっ!‥‥速すぎる。光の速さなど、とんでもない物を隠していたな)
俺は光の速さの攻撃を防御しながら脱出の機会を窺っていた
(防御はできる。何ならギリ観える。しかし隙が見当たらない‥‥)
どうにか攻撃を仕掛け脱出したいが、体を動かそうとするとその部分に攻撃を仕掛けられる
(何か、この状況を打開する方法はないか‥‥)
防御している両手に魔力を行き渡らせる。そして彼女の技を吸収できるか試した
全身が骨が砕けるほどの強烈な痛みが襲いかかるが、回復をかけ続け集中する
(‥‥できるっ!ハハっ利用させてもらうぞ!)
彼女は決して気付くことはない。何度も攻撃を繰り出せば当然、体の一部分が重なり合う
重なりあった一瞬で気付かれない程度の極めて微小な魔力を吸収していく
そして、その者の技をコピーし自分なりに改良する
そう、これは幼い頃毎日行っていた事。あの頃はただ遠くから技を盗み見して自分なりに改良し威力を高めた
しかし今回はそんな小物の様なする事ではい‥‥
(まさかこの土壇場で思い付くとはな‥‥)
彼女の攻撃を何千と受け止める。しかし周りの観客から見ればたった数秒の出来事
その時俺は全身に魔力を巡らせ、ある魔法を発動した。
「———何?!」
俺の足元に魔法陣が現れると同時にエリーは警戒し一度距離をとる
防戦一方の戦闘が初めて中断した瞬間だ
「———その魔法は何?」
俺は防御していた両腕をゆっくりと下げ、顔を上げる
「君は確かに強い。強すぎるほどに‥‥しかしそんな表情では一生、俺には届かない」
———そんな俺の冷たい言葉を聞きエリーは吠えた
「いいえっ、私が勝つわ!決して貴方には負けないっ!」
「君の、これまでの人生がどういったものか俺は知らない」
「———!うるさいっ!うるさいっ!」
いつもの花魁のような大人しさは微塵もなく子供のように声を上げるエリー
「———君には同情する。人質がとられているんだろう?君の状況、そして拳から伝わる思いから察したよ」
「———っ!だったら何?!それが貴方とどう関係するの?!」
———今にも泣き出しそうな顔をする彼女
「———助けてくれるとでも?!そんな幻想はいらない!誰も私なんかを助けたりはしない!私には勝つことが最優先!守る為には勝つしかないのよっ!」
———高貴な花魁の名ではなくただの女の子にしか見えない
「君には助けがいる。しかしその助けが今までに現れなかった」
「助けなんかいらないわ!これは私の問題!関わらないでっ」
彼女の軽装の鎧が一層輝きを帯びる。黄金の輝きが闘技場を照らし出し、輝きが両脚に集まりだして最後の構えをとる
「これで————終わりよっ!」
声を荒くして叫び、最後の一撃を決めにくる
そんな彼女を俺は痛ましく見つめていた
(今まで誰にも頼らず強く一人で生きてきたのか‥‥凄いよほんと。そして同情する)
これも全てあいつの仕業だろう。怪しいとは思っていたが、人質を取るとは下衆な考えだ。それにまだ裏がありそうな匂いがする。
心が久しぶりに奮い出しそうだ
そしてエリーが目前まで迫った瞬間、仮面の奥から声が漏れ出す
「—朧月《ルーナ・ヌヴォローゾ》—」
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