虚無の統括者 〜両親を殺された俺は復讐の為、最強の配下と組織の主になる〜

サメ狐

文字の大きさ
51 / 141
四章 月下香

朧月

しおりを挟む
一方で観客席から見守っているファシーノ達はというと不安そうな表情を浮かべていた

「ね、ねぇ。すごくピンチなんじゃないかしら‥‥」

「はいぃ。私もそう見えます。というか速すぎて見えないです‥‥」

「はっ気に食わんな。主の奴、何かを待っているようだ」

二人はレオンの事を心配する中、ヴァルネラだけが意味の分からない発言をする

二人はどういう意味かと耳を傾けた

「‥‥待つ?一体何を待つというの」

「‥‥それがわかれば説明している。まあ、主の事だから負けんだろうが‥‥この戦いは見ものだな」

ヴァルネラの言葉に二人は疑問符を頭に浮かべる。しかし、この戦いは目が離せない何か、重要な事が隠れていると見守る一方でレオンの勝利を願っていた


◊◊◊


(くそっ!‥‥速すぎる。光の速さなど、とんでもない物を隠していたな)

俺は光の速さの攻撃を防御しながら脱出の機会を窺っていた

(防御はできる。何ならギリ観える。しかし隙が見当たらない‥‥)

どうにか攻撃を仕掛け脱出したいが、体を動かそうとするとその部分に攻撃を仕掛けられる

(何か、この状況を打開する方法はないか‥‥)

防御している両手に魔力を行き渡らせる。そして彼女の技を吸収できるか試した

全身が骨が砕けるほどの強烈な痛みが襲いかかるが、回復をかけ続け集中する

(‥‥できるっ!ハハっ利用させてもらうぞ!)

彼女は決して気付くことはない。何度も攻撃を繰り出せば当然、体の一部分が重なり合う

重なりあった一瞬で気付かれない程度の極めて微小な魔力を吸収していく

そして、その者の技をコピーし自分なりに改良する

そう、これは幼い頃毎日行っていた事。あの頃はただ遠くから技を盗み見して自分なりに改良し威力を高めた

しかし今回はそんな小物の様なする事ではい‥‥

(まさかこの土壇場で思い付くとはな‥‥)

彼女の攻撃を何千と受け止める。しかし周りの観客から見ればたった数秒の出来事

その時俺は全身に魔力を巡らせ、ある魔法を発動した。 

「———何?!」

俺の足元に魔法陣が現れると同時にエリーは警戒し一度距離をとる
防戦一方の戦闘が初めて中断した瞬間だ

「———その魔法は何?」

俺は防御していた両腕をゆっくりと下げ、顔を上げる

「君は確かに強い。強すぎるほどに‥‥しかしそんな表情では一生、俺には届かない」

———そんな俺の冷たい言葉を聞きエリーは吠えた

「いいえっ、私が勝つわ!決して貴方には負けないっ!」

「君の、これまでの人生がどういったものか俺は知らない」

「———!うるさいっ!うるさいっ!」

いつもの花魁のような大人しさは微塵もなく子供のように声を上げるエリー

「———君には同情する。人質がとられているんだろう?君の状況、そして拳から伝わる思いから察したよ」

「———っ!だったら何?!それが貴方とどう関係するの?!」


———今にも泣き出しそうな顔をする彼女


「———助けてくれるとでも?!そんな幻想はいらない!誰も私なんかを助けたりはしない!私には勝つことが最優先!守る為には勝つしかないのよっ!」


———高貴な花魁の名ではなくただの女の子にしか見えない


「君には助けがいる。しかしその助けが今までに現れなかった」

「助けなんかいらないわ!これは私の問題!関わらないでっ」

彼女の軽装の鎧が一層輝きを帯びる。黄金の輝きが闘技場を照らし出し、輝きが両脚に集まりだして最後の構えをとる

「これで————終わりよっ!」

声を荒くして叫び、最後の一撃を決めにくる

そんな彼女を俺は痛ましく見つめていた

(今まで誰にも頼らず強く一人で生きてきたのか‥‥凄いよほんと。そして同情する)

これも全てあいつの仕業だろう。怪しいとは思っていたが、人質を取るとは下衆な考えだ。それにまだ裏がありそうな匂いがする。

心が久しぶりに奮い出しそうだ

そしてエリーが目前まで迫った瞬間、仮面の奥から声が漏れ出す

「—朧月《ルーナ・ヌヴォローゾ》—」
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

最強スライムはぺットであって従魔ではない。ご主人様に仇なす奴は万死に値する。

棚から現ナマ
ファンタジー
スーはペットとして飼われているレベル2のスライムだ。この世界のスライムはレベル2までしか存在しない。それなのにスーは偶然にもワイバーンを食べてレベルアップをしてしまう。スーはこの世界で唯一のレベル2を超えた存在となり、スライムではあり得ない能力を身に付けてしまう。体力や攻撃力は勿論、知能も高くなった。だから自我やプライドも出てきたのだが、自分がペットだということを嫌がるどころか誇りとしている。なんならご主人様LOVEが加速してしまった。そんなスーを飼っているティナは、ひょんなことから王立魔法学園に入学することになってしまう。『違いますっ。私は学園に入学するために来たんじゃありません。下働きとして働くために来たんです!』『はぁ? 俺が従魔だってぇ、馬鹿にするなっ! 俺はご主人様に愛されているペットなんだっ。そこいらの野良と一緒にするんじゃねぇ!』最高レベルのテイマーだと勘違いされてしまうティナと、自分の持てる全ての能力をもって、大好きなご主人様のために頑張る最強スライムスーの物語。他サイトにも投稿しています。

異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる

家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。 召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。 多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。 しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。 何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

僕の異世界攻略〜神の修行でブラッシュアップ〜

リョウ
ファンタジー
 僕は十年程闘病の末、あの世に。  そこで出会った神様に手違いで寿命が縮められたという説明をされ、地球で幸せな転生をする事になった…が何故か異世界転生してしまう。なんでだ?  幸い優しい両親と、兄と姉に囲まれ事なきを得たのだが、兄達が優秀で僕はいずれ家を出てかなきゃいけないみたい。そんな空気を読んだ僕は将来の為努力をしはじめるのだが……。   ※画像はAI作成しました。 ※現在毎日2話投稿。11時と19時にしております。

「元」面倒くさがりの異世界無双

空里
ファンタジー
死んでもっと努力すればと後悔していた俺は妖精みたいなやつに転生させられた。話しているうちに名前を忘れてしまったことに気付き、その妖精みたいなやつに名付けられた。 「カイ=マールス」と。 よく分からないまま取りあえず強くなれとのことで訓練を始めるのだった。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

処理中です...