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二章 会談と予兆

厄災の予兆

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———レオンが月下香の真の統括者として君臨した時よりおよそ半年程前に遡る

魔獣の大群が丁度起こり始める少し前の魔族帝国内ではある組織が脈々と動いていた

その者達は魔族帝国内の魔獣が潜めく森の奥深くを歩き、大陸の中央にある湖に近い洞窟に足を運ぶ。そして辿り着いたその洞窟は何年、何十年、何百年と人が立ち寄った痕跡がなく、入り口が狭く内部が広大に広がる、かの鍾乳洞が存在していた

光が一切差し込まない暗闇を数人係で魔法を唱え洞窟全体を照らし、奥へ奥へと進んでゆく

そして行き着く先にとても古く巨大な扉が堂々と佇み、目線の高さに字のような物が書き込まれ、また何かを収める凹凸が扉の一箇所に掘られていた———


「———ここか。ようやく、ようやく辿り着いた。この世界に五つと存在する謎の力を宿した幻の石‥‥‥その名も“玄淵石”。そのうちの一つが我が手中にある。かの黙示録によればこの玄淵石一つで一つの扉が開かれると言うが果たして‥‥」

そして謎の男は徐にその石を扉の凹凸部分にゆっくりとはめ込んだ


————ゴゴゴゴゴゴッ


すると巨大な扉は鈍い音を壮大に立てながらゆっくりと開き出し、その扉の内部を露わにする

「おお!ついに見つけたぞっ!」

謎の男が叫ぶ先に位置するのは謎の白い物体

それは巨大な骨のような形をしていた。横、高さ、奥行き全てが500mはある巨大な空間。自然の洞窟ではなく誰かが確実に作ったと思われるその巨大な空間には謎の骸が存在していた。その骸はこの空間を狭く感じさせる程に大きく、謎の魔力を醸し出す

男はその巨大な骸に近づいて行き、扉に嵌め込んだ玄淵石を抜き、赤い瓶を取り出す

そして地面に向かって両手を突き、ある言葉を発する

「———蘇生魔法 原初の雫———」

男は地面に魔法を唱え、巨大な骸を覆うほどの魔法陣を展開させる
小瓶に入っている血を魔法陣の上に垂らし、玄淵石を置く

すると魔法陣は闇深く輝きだし、骸にまとわりついていく

「ハハハハハハハハ!!!成功だ!蘇生魔法を行使しても死なないとは、やはりこの玄淵石は本物だったか!そしてこの黒豹族の希少な血。これで、これで我らの望む世界がっ!」

男は高らかに叫び、歓喜する。そして後ろに控えていた数人の集団も男と一緒に声を弾ませた

男は最後にある人物達に向かってその憎しみじみた思いを吠える

「完全に蘇るまで凡そ1ヶ月———王共、今のうちに生を楽しんでいろ。地上が再び地獄と化すその日までな!!神などに我らの計画を邪魔などさせんっ!我らがこの世界を手に入れるっ」

その後広大な空間には男の笑い声がいつまで響き渡り、森に潜む魔獣にまで轟いていた————
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