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三章 降臨
最強の主
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『———ご、ごごごめんなさいぃっ!どうか、どうか消さないでくださいぃっ!』
「ふんっ相変わらず泣くのは一人前ではないか小さなシルフよ。まあ安心せよ、今どうこうする気は無い。“主”に呼ばれ、来ただけだからな?」
‥‥‥こうして見ているとヴァルネラは本当に慕われて、
うん、畏怖されている様だな。シルフという名は確か四大精霊王の風を司る精霊だったはず。ヴァルネラの登場で影が薄くなっている。いやキャラがおかしくなっているが、本来相当な実力者でなければ契約のできない大精霊
風魔法を扱う精霊達の頂点に位置する存在。そんな風の精霊王シルフが小さな体を縮こみ土下座している。さらに追い討ちをかけるように号泣している姿はもう見ているだけで可哀想になってくる‥‥
またそんなシルフはファルコの側に浮遊している。と言うことはファルコが契約者であるのに間違いない。戦闘狂のファルコでさえもヴァルネラを前に、頭を深く下げ地面に膝をつけている
ファルコだけではなく、同じエルフ族である者達も同じく膝を地面に着けている。そして彼らの傍にもどうやら精霊がいる様だ。ヴァルネラが四大精霊と言っていたから残りの精霊達は土、火、水を司るのだと思う
よくお伽話の中で登場する精霊達がこの場に全員集合するなんて感服してしまう
ていうかヴァルネラだけ素顔をモロだしじゃねーか‥‥‥
『———ヴァルネラ様、どうかこの世界に住まう者達をお救い下さい‥‥我らだけではあの忌まわしき“厄災の魔獣”を倒すことはできません‥‥どうか、どうか
お力添えを‥‥‥っ』
って気を取られていたら水の精霊王と思わしく精霊がヴァルネラの下に懇願しているではないか。水の精霊王に続く様に他の精霊王とエルフ族は頭を下げ出したぞ。そしてこのやり取りを伺っていた他の種族達は彼らの動向を静観する様子だ
まあ、流石に同胞であり部下でもある精霊の頼みを断るようなことはしないよな?ヴァルネラさん‥‥‥
「———断るっ!妾は未だ食したことのない美食を求めているのだ。貴様らの頼みは面倒だっ」
「「「———はっ‥‥‥えぇっ?!」」」
‥‥‥そういえばそうだった。こいつは美食にしか目がない残念女帝様だった
この約3年こいつが働いている所を見たことがない。俺が月下香本部に顔を出していなかったとはいえ、なんてことだ‥‥‥ほら精霊王達を見てみろよ
顔を引き攣って“?”が頭の上にでているぞ。ファルコ達エルフ軍や王なんて『こいつ何言ってんだ』みたいな表情でお互いに顔を見合わせているぞ
どうしてくれるこの空気
「———お待ちくださいっ!私は選ばれし者が1人エルフ軍総司令ディアナ・スミスです。貴方様ほどのお方がなぜ拒まれるのか理由を伺いたく存じます‥‥っ」
ほうほう、声を荒上げた人物がどうやらエルフ軍のトップであるディアナ・スミスと言うのか、白髪に白い瞳そして何よりも若い!俺が言えることではないが二十代前半を思わせる容貌だ。超エリートの中のエリートか、俺とは正反対の性格だろうな
そしてディアナが問う内容も気になるな、なぜ断るのか俺も知りたいぞヴァルネラ
「———貴様等は何か勘違いをしておる。妾は召喚された身、頼むのは妾ではなくそこの“主”だ。それにな‥‥‥妾よりも主の方が強いぞ」
「———なっ!そんな馬鹿な事がありましょうか?!ヴァルネラ様よりも強いなど信じる方がイカれていますっ、『ヴァルネラ様っ流石に信じられませんわ。そこにいる者が貴方よりも上など‥‥っ』」
———話を聞くなりどうやら俺はイカれている部類らしい。ヴァルネラが俺について言ってくれて嬉しかったのにプラマイゼロにまで下がってしまった
「———雑魚の貴様等程度の物差しで計るな。これ以上議論していても無駄だ。そこで黙って主の姿を見ていろっ」
『『———ひっ!』』
シルフの精霊王だけではなくクールな水の精霊王、そして後ろに控えている土の精霊王、火の精霊王までも一生聞くことのできない声を発したぞ。聞き間違いではなかったら超レアなんじゃないか?てかヴァルネラは精霊界で一体どんなことをすればここまで畏怖されるのだろう
俺の方に風流に歩いてくるが聞くのは後だな。まずは空気と化して暇である厄災の魔獣を相手しなければならない————
「———ファシーノ、ヴァルネラ、デリカート、エルディート、ヴィーナス」
「「「———はっ」」」
俺は月下香最強の5人の名を呼ぶと、華麗に背後に並んでいく
そして厄災の魔獣がいる森だった方角へと体を向けるが、あり得ないほどに距離があるものの、その存在がこの両目にはっきりと映し出される。伝説の龍と言うべきか。
龍なんて見た事はないがきっとアレがそうなのだろう
魔獣の傍に浮遊している人物‥‥‥ああ、どうやらあのバッコスと同じだな
魔力が似ている。やはりあいつら“バラトロ”の仕業だったか
しかし、これは好都合。あいつ諸共存在を消してやろう————
「———ファシーノ達は後ろで魔障壁を張ってくれ」
「そう、分かったわ。もし死んだら地獄で会いましょ」
「それは嫌だな。皆と地獄なんてごめんだ。最善を尽くそう———」
‥‥‥はあ、何でこうもめんどい事ばかり起こるのか。俺が決めた道だが世界の命運がかかっていると荷が重い
しかし何も守れずに手も足も出ず、ここで敗北したならそれはあまりにも———
———ダサいよなっ
「「「———!!!何だ、何なのだこの魔力はっ!!」」」
「この魔眼でも視える、視えるだと‥‥そんな馬鹿なっ!」
「これはあの時、バッコスを倒した時と同じ魔力か‥‥また目の前で見てしまうとはなっ」
「これは‥‥本当に‥‥厄災そのもの。あの者の未来が見えないっ!?直ちにエーテルへ連絡!射線から遠くへ!」
「ウンディーネ。どうやら私の方がイカれていたようだ、『これは異常よっ魔力域を超えているわ。未だに信じられない‥‥‥』」
———そうだろう? 父さん 母さん
「ふんっ相変わらず泣くのは一人前ではないか小さなシルフよ。まあ安心せよ、今どうこうする気は無い。“主”に呼ばれ、来ただけだからな?」
‥‥‥こうして見ているとヴァルネラは本当に慕われて、
うん、畏怖されている様だな。シルフという名は確か四大精霊王の風を司る精霊だったはず。ヴァルネラの登場で影が薄くなっている。いやキャラがおかしくなっているが、本来相当な実力者でなければ契約のできない大精霊
風魔法を扱う精霊達の頂点に位置する存在。そんな風の精霊王シルフが小さな体を縮こみ土下座している。さらに追い討ちをかけるように号泣している姿はもう見ているだけで可哀想になってくる‥‥
またそんなシルフはファルコの側に浮遊している。と言うことはファルコが契約者であるのに間違いない。戦闘狂のファルコでさえもヴァルネラを前に、頭を深く下げ地面に膝をつけている
ファルコだけではなく、同じエルフ族である者達も同じく膝を地面に着けている。そして彼らの傍にもどうやら精霊がいる様だ。ヴァルネラが四大精霊と言っていたから残りの精霊達は土、火、水を司るのだと思う
よくお伽話の中で登場する精霊達がこの場に全員集合するなんて感服してしまう
ていうかヴァルネラだけ素顔をモロだしじゃねーか‥‥‥
『———ヴァルネラ様、どうかこの世界に住まう者達をお救い下さい‥‥我らだけではあの忌まわしき“厄災の魔獣”を倒すことはできません‥‥どうか、どうか
お力添えを‥‥‥っ』
って気を取られていたら水の精霊王と思わしく精霊がヴァルネラの下に懇願しているではないか。水の精霊王に続く様に他の精霊王とエルフ族は頭を下げ出したぞ。そしてこのやり取りを伺っていた他の種族達は彼らの動向を静観する様子だ
まあ、流石に同胞であり部下でもある精霊の頼みを断るようなことはしないよな?ヴァルネラさん‥‥‥
「———断るっ!妾は未だ食したことのない美食を求めているのだ。貴様らの頼みは面倒だっ」
「「「———はっ‥‥‥えぇっ?!」」」
‥‥‥そういえばそうだった。こいつは美食にしか目がない残念女帝様だった
この約3年こいつが働いている所を見たことがない。俺が月下香本部に顔を出していなかったとはいえ、なんてことだ‥‥‥ほら精霊王達を見てみろよ
顔を引き攣って“?”が頭の上にでているぞ。ファルコ達エルフ軍や王なんて『こいつ何言ってんだ』みたいな表情でお互いに顔を見合わせているぞ
どうしてくれるこの空気
「———お待ちくださいっ!私は選ばれし者が1人エルフ軍総司令ディアナ・スミスです。貴方様ほどのお方がなぜ拒まれるのか理由を伺いたく存じます‥‥っ」
ほうほう、声を荒上げた人物がどうやらエルフ軍のトップであるディアナ・スミスと言うのか、白髪に白い瞳そして何よりも若い!俺が言えることではないが二十代前半を思わせる容貌だ。超エリートの中のエリートか、俺とは正反対の性格だろうな
そしてディアナが問う内容も気になるな、なぜ断るのか俺も知りたいぞヴァルネラ
「———貴様等は何か勘違いをしておる。妾は召喚された身、頼むのは妾ではなくそこの“主”だ。それにな‥‥‥妾よりも主の方が強いぞ」
「———なっ!そんな馬鹿な事がありましょうか?!ヴァルネラ様よりも強いなど信じる方がイカれていますっ、『ヴァルネラ様っ流石に信じられませんわ。そこにいる者が貴方よりも上など‥‥っ』」
———話を聞くなりどうやら俺はイカれている部類らしい。ヴァルネラが俺について言ってくれて嬉しかったのにプラマイゼロにまで下がってしまった
「———雑魚の貴様等程度の物差しで計るな。これ以上議論していても無駄だ。そこで黙って主の姿を見ていろっ」
『『———ひっ!』』
シルフの精霊王だけではなくクールな水の精霊王、そして後ろに控えている土の精霊王、火の精霊王までも一生聞くことのできない声を発したぞ。聞き間違いではなかったら超レアなんじゃないか?てかヴァルネラは精霊界で一体どんなことをすればここまで畏怖されるのだろう
俺の方に風流に歩いてくるが聞くのは後だな。まずは空気と化して暇である厄災の魔獣を相手しなければならない————
「———ファシーノ、ヴァルネラ、デリカート、エルディート、ヴィーナス」
「「「———はっ」」」
俺は月下香最強の5人の名を呼ぶと、華麗に背後に並んでいく
そして厄災の魔獣がいる森だった方角へと体を向けるが、あり得ないほどに距離があるものの、その存在がこの両目にはっきりと映し出される。伝説の龍と言うべきか。
龍なんて見た事はないがきっとアレがそうなのだろう
魔獣の傍に浮遊している人物‥‥‥ああ、どうやらあのバッコスと同じだな
魔力が似ている。やはりあいつら“バラトロ”の仕業だったか
しかし、これは好都合。あいつ諸共存在を消してやろう————
「———ファシーノ達は後ろで魔障壁を張ってくれ」
「そう、分かったわ。もし死んだら地獄で会いましょ」
「それは嫌だな。皆と地獄なんてごめんだ。最善を尽くそう———」
‥‥‥はあ、何でこうもめんどい事ばかり起こるのか。俺が決めた道だが世界の命運がかかっていると荷が重い
しかし何も守れずに手も足も出ず、ここで敗北したならそれはあまりにも———
———ダサいよなっ
「「「———!!!何だ、何なのだこの魔力はっ!!」」」
「この魔眼でも視える、視えるだと‥‥そんな馬鹿なっ!」
「これはあの時、バッコスを倒した時と同じ魔力か‥‥また目の前で見てしまうとはなっ」
「これは‥‥本当に‥‥厄災そのもの。あの者の未来が見えないっ!?直ちにエーテルへ連絡!射線から遠くへ!」
「ウンディーネ。どうやら私の方がイカれていたようだ、『これは異常よっ魔力域を超えているわ。未だに信じられない‥‥‥』」
———そうだろう? 父さん 母さん
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