ある平凡な女、転生する

眼鏡から鱗

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9話

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話し合いが進むにつれ、ぼこぼこ顔の父は泣き鼻水垂らしながら離婚することを決意した。

顔はぼこぼこで怖いし、鼻水が汚いからわたし、少し父と距離をとったわ。

そんな見かねた男爵家側の執事さんから、父にハンカチを渡されていたけど、直ぐに涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった。

あとで、執事さんには別のハンカチを送ろう。

おっさんの鼻汁着いたヤツ、洗濯したとしても使いたくはないからね。

男爵家の皆さんも、離婚は至極当然とばかりに頷き少々の慰謝料と離婚同意書にサインを書いていた。

慰謝料は、父にも問題があったため金額は相場の3割程。

領地も近隣で、親同士ともなるべく便に事をおさめたいらしい。

余談だけどこの国の法律で、離婚届に本人がサインしなくても理由次第で親族つまり親なら代理で手続き可能らしい。

しかし我がお祖父様方は父を投げボコし、母の実家に行きやらかしを暴露の末に離婚させるという動きが便と言えるのか…。

いや、ねぇ~、たしかに手紙を出したのわたしだけど

まさか、こんな電光石火なんて想像し得ないよ。

そうなると、我が家がこの有様なら他家のご婦人たちはどうなるのかな?………いやいやいや、他家より今は我が家に集中!

そんなこと考えると、沼にハマりそうで怖い

考えない、考えない。頭からポイポイよ!

それより、これからは父子で王都の邸で過ごすのかぁ~

母は、実家で軟禁か領地の何処かに追い出すかはわからないけど。

なんだか、前世の思い残したことを叶える前にこんな面倒ごとに巻き込まれるなんて、運が無さ過ぎてツラい。

今の私には、圧倒的に夢と希望がない!

まだこれからなのに、どうしてちょっと家庭環境を整えようとしたら、権力者お祖父様方により大鉈を振るわれる始末。

おまけに、お祖母様からの謎の視線。

わたし、喰われるのかしら

そのくらいあの視線はマジ、ガクブルが止まらない!








そして、やっと我が家に帰って来たと思ったら、お祖父様方に引き取られることになった。

厳密には、まだ小さいわたしを育てるため領地にて養育するから着いて来なさいとのお達し。

まぁ、王都より領地にいる方が環境的にも良いよね。王都だと、母と遭遇してもいけないだろうし。

因みに、お世話してくれた侍女ラーラとはここでサヨナラみたい。でもまた、王都邸に戻れば会えるけど。

領地には、新たにわたし専属侍女さんが待っているんだって。

いつの間に決めたんだろう。

やることが早過ぎて頭が追いつかない。
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