白と黒

更科灰音

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第28話:内見そして住まい決定

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「こちらになります」
5号室はエレベーターから3部屋目だった。
間取り図を見ながら部屋の中を確認する。

まず、玄関が広い。床は大理石。玄関の両側に寝室が一つずつ。
間取り図によるとそれぞれ8畳あるらしい。
廊下を進むと右手にトイレ。ここも結構広い。落ち着かない。
左手には納戸。中は2畳ほど。作り付けの棚があって便利そう。
照明もあるしコンセントもある。ここを作業部屋にしてもいいかもしれない。
廊下の突き当りのドアを開ければリビングダイニングだ。広すぎる。
キッチンも広々としていて作り付けの食洗器やオーブンなどもある。
魚を焼くグリルではなくオーブンだ。Lサイズのピザとかも焼けそう。
リビングの奥右手側にドアがある。そこが主寝室だった。
12畳もあるし、この部屋だけで生活できそう。そして、ウォークインクローゼット。
クローゼットも広い、4畳くらいはありそうだ。
洗面所も洗面台が二つあって広々としている。浴室の手前に脱衣所もある。
肝心の浴室も広い。全員で入っても窮屈じゃないと思う。
そして、なんてこったまさかこれがあるとは・・・
「お嬢様、スバラシイです!この部屋に決めましょう」
そう、佳乃が欲しがった金魚鉢。なぜ賃貸物件にこれが?

そもそもまだ一件目しか見ていない。他も見てみたい。
それにしても静かだ。防音性も優れているのかな?
「いかがですか?」
佳乃は目を輝かせているけど、ちょっと広すぎる。
「マスター。広すぎてメイド一人では掃除が無理」
佳乃は優秀だと思う。でもそんな彼女でも毎日一人で掃除をするのは大変だ。
「浴室と納戸は気に入ったんだけどやっぱり広すぎね」

おじさんは次の部屋に案内してくれる。
「今度の1601は先ほどの部屋よりは幾分狭い間取りになります」
16階はエレベーターで駅のある2階からは1階目だ。
1号室ってことは端っこ。角部屋ってことだ。
エレベーターを降りて正面と左側に通路が伸びているんだけど、
1号室は正面の通路の一番奥だ。結構遠い。非常階段はすぐ隣だけど。

中に入ってみると玄関から見た感じはさっきの2505とさほど変わらない。
玄関入って左の部屋が主寝室で8畳。右の部屋は寝室で6畳。
納戸やトイレなどは同じ。リビングの奥にあった部屋がなくなっている。
ちなみに佳乃は真っ先にお風呂を見に行った。さっきよりも一回り小さい金魚鉢だ。
でも、さっきのとは少し形が違う。パイプが多い。
「こちらはジェットバスにもなっています」
設計者の趣味なのかオーナーの趣味なのかツッコミどころ満載だけど、佳乃は喜んでいる。
それに広さも悪くない。ここに決めてもいいけど、まだ見てない部屋もある。
「ここはキープ。あと一部屋だよね?次の部屋がいまいちならここに決定」

最後の一部屋。そこは異質だった。
「マスターこの部屋変。禍々しい気が満ちている」
賃貸物件だよね?
「ここはもともと分譲区画でして、前のオーナーがはっちゃけた結果がこれでして・・・」
なんというか部屋の区切りが無い。ある意味ワンルームだ。40畳以上はあるけど・・・
照明と言えるものは部屋のあちこちに描かれている魔法陣だ。
黄色や水色の魔法陣が輝いて部屋を照らしている。薄暗い。

「お嬢様トイレが透明です」
トイレの壁じゃない。便器がガラスでできているのか透明だ。
色々と丸見えどころの話じゃない。
部屋とトイレの仕切りもない。牢屋じゃないんだから。

ちなみにお風呂とも仕切りが無い。湿気とかどうなるんだ?
「ここは見なかったことにしよう!」
そういってさっさとその部屋を後にした。

「2番目に見た部屋をもう一度見せて」
1601号室に戻る。
今度はここに住むつもりで検討する。
「佳乃、お風呂以外のところを確認。家政婦としての視点で」
主寝室にベッドがあるつもりでベッドメイクをする仕草をし、
キッチンに行って料理を作る仕草をする。
その後もお風呂掃除や洗濯など一通りの家事を行った体で確認する。

あたしは自分の部屋にするつもりの納戸を確認。
納戸の中にコンセントはあるから電源は確保できる。
ネットワークは無線で構築するので問題ない。照明もある。
スイッチは外側にしかないが、それもさしたる問題ではない。

ああ、エアコンが無いのか。しかも取り付けることもできなそうだ。
密閉された空間で扇風機を使っても意味はないし。秘密基地はダメかな?
「納戸ってエアコン付けられないの?書斎に使いたいのよ」
ダメもとで不動産屋に聞いてみる。
「室外機用の配管が無いから無理ですね」
やっぱりだめか。衣裳部屋にでもするかな?

もともとは納戸だから物置なわけで、人が暮らす部屋じゃない。
「でも、ダクトを延長すればいけるかもしれません。確認します」
おや?そんな方法が?

「マスターこの部屋は何に使う?」
主寝室ではない寝室。子供部屋とかに使うのが普通なのかな?
「その部屋は花子と佳乃の勉強部屋よ」
納戸が使えなかった場合はあたしの仕事部屋も兼ねるけど。
エアコンが使えないんじゃさすがに仕事は無理だ。
納戸にエアコン付けられると良いのになぁ。

「お嬢様、一通り確認しましたが家事は問題なく行えそうです」
コレは佳乃の言葉を信じるしかない。
そういうわけでこの部屋で決定かな?
「この部屋にするわ。手続きをお願い」
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