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更科灰音

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第34話:住所変更

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「住所変更が必要なのよ!」
引っ越しをした。同じ市内だが住所は別。
そうすると色々な手続きが必要になる。
健康保険や年金などは会社がやってくれるから、会社に住所変更届を出すだけ。
来週の月曜日は会議で出社するからその時に提出する。
電気、ガス、水道、ネットなどのインフラ系もWebで手続きが可能。
車関係は警察署、車検証は陸運局に行かないといけない。
新車で買った自動車はディーラーが代理でもやってくれるけど、
私の車は中古で手に入れた年代物だから自分でやるしかない。

「では、必要な書類をまとめておきます」
佳乃が早速手配を始める。
「マスター、学校にも連絡必要?」
もちろんだろう。
2人の学校にも一度行かないとダメだね。

「まず最初に市役所ですね。住民票の変更が必要です」
なるほど。住民票が必要な手続きも多い。
「それはあたしがもう手続きしておいたから大丈夫。Webで出来るのも一通り終わったはず」
佳乃に一つずつ確認するが問題なさそう。
「社会保険なんかは会社がやってくれるからそれも問題ないわ」
佳乃はチェックリストを作成して項目にチェックをつけていく。
「免許の更新は免許センターか警察署ですね」
これは私だけじゃなくて佳乃も必要。
「私の住民票はどうなるのでしょうか?」
え?
佳乃の住民票?すっかり忘れてた!
それ以上に面倒なのは花子だ。どうしよう?

「2人の住民票とか健康保険は花子が入院してた時に教えてもらった弁護士さんに相談しよう」
おそらく、佳乃は母親の、花子は兄の扶養家族になっているはず。
ちゃんと健康保険などが使えるように法的にどうにかする方法を相談しよう。
ついでに面倒な手続きを代行してくれる人も紹介してもらおう。
早めにアポイントを取らないとね、さっそく電話しよう。

確か名刺をもらっていたような・・・
これだ。「長谷川法律事務所 弁護士 安藤麦穂」
電話番号は・・・ピポパポプペペ
「お電話ありがとうございます。長谷川法律事務所です」
とりあえず先日の山田花子虐待事件について相談があると伝えてアポイントを取った。
早速、明日長谷川法律事務所に行くことにした。
「花子は明日は学校休みね。法律事務所に行くから」
佳乃が恨めしそうな顔で睨んでるけど、用があるのは花子だけだ。
「お嬢様、運転手は必要ではありませんか?」
そんなに学校を休みたいのか?
「電車で行くから必要無いわ。そもそも3人乗れないし。それよりもちゃんと勉強して進級しないとダメよ?」
佳乃が目に見えて落ち込んでいる・・・そこまで成績がやばいのかな?
「メイドには勉強が必要。落第してクビになると困る」

そんなわけで、翌日。
「申し訳ありません、本日山田花子は休ませていただきます。ええ、弁護士との相談でして・・・」
よし、これで学校に連絡したから花子は大丈夫。
次は私の会社だ。時間は8時。まだ誰も来てないんじゃ無いかな?
仕方ない、部長と安藤にメールで連絡しておこう。

さて、法律事務所に行くよ?
私も一応スーツを着る。
七五三にしか見えない・・・いや、せめて小学校の卒業式ということにしておこう。
いやいやいや、全然ダメだし。私は社会人だし!大人なんだよ!
法律事務所は電車で3駅。10分程度の乗車時間、大丈夫なはず!

先頭車両で手すりに掴まることしばし。無事に目的の駅に到着。
法律事務所は駅前にあるらしい。
「マスターあそこ。目的地を発見した」
花子が指差すビルには「長谷川法律事務所」と書かれた看板が設置されている。
まだ少し早いかな?現在8時40分。予約は9時ちょうど。おそらくまだ開いていない。
どこか時間を潰せる場所はないかな?しかし、下手に動くと補導される予感が・・・
マックなら大丈夫かな?
適当に注文して席に着く。オレンジジュースを飲みながら花子と雑談していると時間になった。
幸い、補導されることもなかった。

「9時に予約していた真白です」
受付でそう告げると、小部屋に通された。ここで相談をするのかな?
「初めまして、弁護士の安藤です」
名刺を受け取る。
「初めまして真白です」
名刺を渡す。
「本日は山田花子さんの件についてと伺っております」
昨日の電話で簡単には説明してある。
「住民票とか社会保険関係の手続きですよね?」
弁護士の安藤先生が書類をたくさん用意してくれた。
しかもすでに内容も記入済みとは・・・
「妹がいつもお世話になってるみたいで・・・」
妹?安藤?まさか!?
「オレンジワークス在籍の安藤小麦は私の妹です」
なんてこった、世界は狭かった・・・
「まあ、こちらとしてもよくある話なので、書類を揃えるのも楽でした」
よくあるんだ・・・こんなケースが・・・
「むしろ今回は割とシンプルなケースでしたよ?」
それ以上は聞かないでおこう。

「で、私はどこに何を記入すれば良いのですか?」
安藤先生の指示通りに次々と書類を埋めていく。
途中何箇所かは、花子が直筆でサインする必要もあった。
「はい、これで完了です。関係各所への提出もこちらでやっておきます」
ついでだし、佳乃のことも聞いておこう。
「もう1人訳ありなメイドもいるのですが、そちらも相談に乗ってもらえますか?もちろん料金は別にお支払いいたします」
佳乃のことも事情を詳しく話した。

「ああ、それでしたらもっと簡単ですよ」
佳乃は19歳だから未成年の花子と違って手続きが楽みたい。
「書類を作ってお渡ししますから、それを本人に渡してください。それともこちらで全てやりましょうか?」
お願いします。
「では、次回に本人を連れて来てください」
なんと、それは困る。
「メイドは成績が心配。休ませない方がよい」
だから、今日も佳乃は学校に行っている。なんせ2ダブだ。
佳乃には普通に進級してもらいたい。
「やはり本人に書類を作成させます。それなら連れてこなくても平気ですよね?」
安藤先生はクスリと笑っていた。
「ええ、問題ありません」
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