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連載
王女達の結婚式2
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――もしかして、何か大事な話でもあるのかな?
私は首を傾げながらライが話してくれるのを待つ。
「ティアに渡したいものがあるんだ」
「昨日、家の鍵貰ったよ?」
「あれはご褒美。こっちは俺の私的なこと」
ライは跪くと手にしていた小箱を開けて私へと差し出すようにして見せてくれた。箱の中には虹色に輝く指輪が。
人差し指の爪くらいの大きさの石が綺麗にカットされ台座につけられている。
「ティア、俺と結婚して下さい。婚約の話とかも出ているし、今更って思われるかもしれないけど、ティアを好きな男・ライナスとしてちゃんとプロポーズしておきたかったんだ。ファルマの王としてではなくライナスとして」
「私の返事なんて決まっているよ!」
私は満面の笑みを浮かべて屈み込むと腕を伸ばしてライに抱き付けば、ライは笑いながら私を受け止めてくれた。
ライに告白された時からファルマへおいでや王妃に~って台詞は聞いていたし、エタセルとファルマの二国間では私とライの婚約の義の話も出ている。
だから、私とライの結婚の話は以前から決まっていた。
でも、こうして言葉にしてくれると嬉しい!
「ライ、指輪を嵌めて?」
「勿論」
ライは私の手を取ると、指輪を嵌めてくれた。
虹を凝縮させたような石は、夜空に輝く星々のように強い輝きを放っている。
「ねぇ、ライの指輪は?」
「実はもう密かに付けているんだ。早くティアとお揃いの指輪を付けたくてさ」
ライは真っ白い手袋を外すと私へと見せてくれたので、私は腕を伸ばして彼の指輪に触れる。
彼の薬指にはシルバーの指輪が嵌められ、指輪には私の指輪の台座に付けられているものと同じ虹色に輝く石が埋め込まれていた。
「虹色に輝いて綺麗だよね。なんていう石なの? 虹の雫みたい」
「正解。虹の雫だよ」
「えっ!?」
私は目を大きく見開くと、自分の指に嵌め込まれている指輪を凝視。
虹の雫は精霊界で千年に虹花の蕾が開花する時に花から石が出てくる石だ。
この石は精霊信仰者の間では有名な存在。何故かと問われれば、精霊王と王妃が初めて出会ったのが場所に咲き誇っていたのが虹花。
しかも、ちょうど虹花の開花時期。
そのため、精霊信仰者達の間では、虹の雫を指輪にして夫婦で持つと精霊王と王妃のように深くお互いを愛し愛される関係を築ける夫婦になれると言われていて人気。
本物を結婚指輪や婚約指輪に使用出来れば良いのだが、人間界では虹の雫はない。代わりにオパールなどの有色効果を示す石が主に使用されている。
「精霊王の伝説を見てフーザー様に頼んだんだ。金額問わずに購入したいって言ったら、精霊界で人間界の金なんて無意味って拒否された。代わりに蜂蜜ケーキの引き換え券と交換してくれるって」
「蜂蜜ケーキ?」
「俺の作る蜂蜜ケーキが気に入っているようでそれと引き換え。十枚綴り」
「ライの蜂蜜ケーキ美味しいもんね」
お兄様もそうだけれども、ライの作る蜂蜜ケーキはフーザー様にも大人気。
二人共、ライに強請って作って貰っている。
お兄様もフーザー様も店を出したら毎日通うと豪語しているくらいにお気に入りらしい。
「ライ、ありがとう」
私が彼の頬に口づけを落とせば、彼は喉で笑うと私を抱きしめた。
「今すごく二人きりの時間を過ごしたいけど、もうそろそろ出発しないとならないよな。二人の時間は王女達の結婚式から帰って来てから」
「そうだね」
「やっとだな、二年間の集大成」
「うん」
私は頷くとライの体に腕を回して抱きしめる。
あの二人は私と対面したら、どんな顔をするだろうか。
二年前とは違う私と――
+
+
+
(王女視点)
今日は人生で最高の日。私と愛するウェスター様の結婚式だ。
結婚式当日は本当に忙しい。
私とウェスター様は城の大広間にて、私達の結婚を祝うために訪れてくれている諸外国の要人達からお祝いの言葉を受けている。
たくさん届く祝いの品に、祝福の言葉。
私達の結婚をこんなにも多くの人たちが祝福してくれていた。
「本日はおめでとうございます」
「すごくお似合いのお二人だわ」
「ありがとうございます」
私は次から次に来てくれる各国の要人たちのお祝いに対して、受け答えをしていた。もちろん、隣には私の夫となったウェスター様の姿も。
彼は挨拶に来る人々が途絶えると、甘い言葉を囁いてくれる。
今回は特別に私達が新聞記者を招いているため、私達の周りにいて撮影をしている。
私のプロデユースをした化粧品を愛用している顧客が世界中にいるから知りたいだろうと思って。
ちょうど人々の波が途絶えた時、会場内が妙に騒がしくなった。
ざわめく人々の声が入り口付近から波紋のように私達に広がってきたのだ。
「噂は本当だったのか」
「お二人はやはり付き合って……?」
「今日、来ていた新聞記者達は特大スクープだぞ」
私は聞こえてくる台詞を聞き、何事かしら? と首を傾げた。
私は首を傾げながらライが話してくれるのを待つ。
「ティアに渡したいものがあるんだ」
「昨日、家の鍵貰ったよ?」
「あれはご褒美。こっちは俺の私的なこと」
ライは跪くと手にしていた小箱を開けて私へと差し出すようにして見せてくれた。箱の中には虹色に輝く指輪が。
人差し指の爪くらいの大きさの石が綺麗にカットされ台座につけられている。
「ティア、俺と結婚して下さい。婚約の話とかも出ているし、今更って思われるかもしれないけど、ティアを好きな男・ライナスとしてちゃんとプロポーズしておきたかったんだ。ファルマの王としてではなくライナスとして」
「私の返事なんて決まっているよ!」
私は満面の笑みを浮かべて屈み込むと腕を伸ばしてライに抱き付けば、ライは笑いながら私を受け止めてくれた。
ライに告白された時からファルマへおいでや王妃に~って台詞は聞いていたし、エタセルとファルマの二国間では私とライの婚約の義の話も出ている。
だから、私とライの結婚の話は以前から決まっていた。
でも、こうして言葉にしてくれると嬉しい!
「ライ、指輪を嵌めて?」
「勿論」
ライは私の手を取ると、指輪を嵌めてくれた。
虹を凝縮させたような石は、夜空に輝く星々のように強い輝きを放っている。
「ねぇ、ライの指輪は?」
「実はもう密かに付けているんだ。早くティアとお揃いの指輪を付けたくてさ」
ライは真っ白い手袋を外すと私へと見せてくれたので、私は腕を伸ばして彼の指輪に触れる。
彼の薬指にはシルバーの指輪が嵌められ、指輪には私の指輪の台座に付けられているものと同じ虹色に輝く石が埋め込まれていた。
「虹色に輝いて綺麗だよね。なんていう石なの? 虹の雫みたい」
「正解。虹の雫だよ」
「えっ!?」
私は目を大きく見開くと、自分の指に嵌め込まれている指輪を凝視。
虹の雫は精霊界で千年に虹花の蕾が開花する時に花から石が出てくる石だ。
この石は精霊信仰者の間では有名な存在。何故かと問われれば、精霊王と王妃が初めて出会ったのが場所に咲き誇っていたのが虹花。
しかも、ちょうど虹花の開花時期。
そのため、精霊信仰者達の間では、虹の雫を指輪にして夫婦で持つと精霊王と王妃のように深くお互いを愛し愛される関係を築ける夫婦になれると言われていて人気。
本物を結婚指輪や婚約指輪に使用出来れば良いのだが、人間界では虹の雫はない。代わりにオパールなどの有色効果を示す石が主に使用されている。
「精霊王の伝説を見てフーザー様に頼んだんだ。金額問わずに購入したいって言ったら、精霊界で人間界の金なんて無意味って拒否された。代わりに蜂蜜ケーキの引き換え券と交換してくれるって」
「蜂蜜ケーキ?」
「俺の作る蜂蜜ケーキが気に入っているようでそれと引き換え。十枚綴り」
「ライの蜂蜜ケーキ美味しいもんね」
お兄様もそうだけれども、ライの作る蜂蜜ケーキはフーザー様にも大人気。
二人共、ライに強請って作って貰っている。
お兄様もフーザー様も店を出したら毎日通うと豪語しているくらいにお気に入りらしい。
「ライ、ありがとう」
私が彼の頬に口づけを落とせば、彼は喉で笑うと私を抱きしめた。
「今すごく二人きりの時間を過ごしたいけど、もうそろそろ出発しないとならないよな。二人の時間は王女達の結婚式から帰って来てから」
「そうだね」
「やっとだな、二年間の集大成」
「うん」
私は頷くとライの体に腕を回して抱きしめる。
あの二人は私と対面したら、どんな顔をするだろうか。
二年前とは違う私と――
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(王女視点)
今日は人生で最高の日。私と愛するウェスター様の結婚式だ。
結婚式当日は本当に忙しい。
私とウェスター様は城の大広間にて、私達の結婚を祝うために訪れてくれている諸外国の要人達からお祝いの言葉を受けている。
たくさん届く祝いの品に、祝福の言葉。
私達の結婚をこんなにも多くの人たちが祝福してくれていた。
「本日はおめでとうございます」
「すごくお似合いのお二人だわ」
「ありがとうございます」
私は次から次に来てくれる各国の要人たちのお祝いに対して、受け答えをしていた。もちろん、隣には私の夫となったウェスター様の姿も。
彼は挨拶に来る人々が途絶えると、甘い言葉を囁いてくれる。
今回は特別に私達が新聞記者を招いているため、私達の周りにいて撮影をしている。
私のプロデユースをした化粧品を愛用している顧客が世界中にいるから知りたいだろうと思って。
ちょうど人々の波が途絶えた時、会場内が妙に騒がしくなった。
ざわめく人々の声が入り口付近から波紋のように私達に広がってきたのだ。
「噂は本当だったのか」
「お二人はやはり付き合って……?」
「今日、来ていた新聞記者達は特大スクープだぞ」
私は聞こえてくる台詞を聞き、何事かしら? と首を傾げた。
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