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3話 ナナシの過去
しおりを挟む「何故お前は群れないんだ」
正直、驚いた
ナワバリを奪いにきた訳じゃないのか…?
オレの驚きなど気にも留めずトラ模様のオス猫は続けて言う
「最近は治安が悪い、こんなところで群れずに1人でいるのは自殺行為だぞ」
オレは言葉が詰まった
気づいた時からオレは独りだった
親もなく、兄弟もなく
家もなく、ひとりぼっち
そんなまだ幼い頃のオレは
この捨て猫のマチにたどり着いた
だがここの奴らは
皆人間に捨てられた捨て猫だった
人間への憎悪を膨らませるやつや
人間をずっと好きでその頃優しくされたアイジョウとやらが忘れられずもう一度主人に会いたいと願うやつもいたが
オレは違った
人間を好きと思ったことも
人間を嫌った事もなく
母のアイジョウも知らないオレは
何にも感じることが出来なかった
ただ、周りから疎外感を感じるしかなかった
あとは
自然に孤立していった
皆とオレは違うんだと
当たり前のように
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