ノラさんの小さな日常

五月葉

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5話 陽の当たるベンチ

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結局その後もナワバリ争いをする事もなく








朝方に眠り、









オレはまたあの
うるさい騒音アラームで目を覚ます









いつもならこのまま目をつむって


意識が飛ぶのを待っていたが













今日は何だかそんな気分じゃなかった
 

  
















オレはあの細い路地へ向かった











この路地は
高い建物の間と間で陰になっていて


向こう側の太陽の光がより一層光って見える












オレは勢いよく細い路地を抜けた













(眩しい)

オレは本当に久々にナワバリから出た










コツコツ



スタスタ









人間がたくさん歩いている





何だか手元の四角い何かに集中しながら



止まる事もなく歩いてる



 









だが正直
オレは人間には興味ない















オレは気にせず
賑やかなその通りをずっと歩いて行った

















それからもう少し細かい通りも歩いた






















そんなこんなで


歩き始めて10分程経ったくらいだろうか






オレは結構人通りに少ない道へと出た











すると
ガラス張りの少々さびれた喫茶店が現れる



店の前には洒落たベンチが置いてあり



陽に当って暖かそうだった









(ここにするか)







客もなかなか来そうにないと思ったオレはここで昼寝をすることにした








陽の光でずっと温められていたベンチは

オレにとって心地よく 


すぐに眠りにつくことが出来たと思う











そして夢をみる





いつもみるやつだ











誰もいない場所でポツリ 

オレが涙を流す




周りはだんだん薄暗くなってきて






俺を飲み込む










でも何だか今回は寒くない










「ねーねー」









声をかけられた気がして夢は途切れた
















目の前には小さな人間が立っていた






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