記憶のはなし

入江円

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カレーの温度

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「ただいまー」
母がギシ、ギシ、と階段を下りてくる。
「おかえりぃ、お父さんは?」
「もう来る」

居間に30リッター容量のリュックを置き、20年変わらない冷蔵庫から冷えた麦茶をだす。
家のお茶に勝る飲み物はない。断言できる。
田舎だからか、一応浄水器をつけているからか、まぁ、飲める。
故郷の水ほど馴染んでる水もないだろう
「…ぁぁーー、」
もう一杯。

これを見ている各々に、実家に帰った時にしなければ済まない行動はあるだろうか、
私はこれなのだ。麦茶。

「ごはん食べた?」
「食べてないけど、減ってない」
「そう?カレーとタッパに入れたごはんあるから。玄米だけど。」

カレー。
本日の題材、カレー。

バーモンドの、甘口
変哲のない、ゴロゴロじゃがいもと、玉葱、豚こま。

熱々にあっためるでもなし、気持ち程度に火をかけた。
「父さんもいる?カレー」
首をかしげ、暫し待って頷いた。
少なめにしておこう。

ぬるいご飯とぬるいカレー
数年振りのバーモンドカレー
「いただきます」
…あれ?
「美味しい。」
「それあたしが作ったの。お隣さんからミニトマトたくさん貰ったから、お水あんまりいれずに。」
我が家は母よりも父の方が料理がうまいのだ。
二人とも、美味しいが。
…それにしても、うまい。なぜだ。
…ノスタルジー?
いや、熱々のカレーよりも、美味しい。
温度か?


翌日、父と二人でドライブに出た時、島歌を聴きながらその話をした。
「父さんは、カレーは熱々が好き?」
突然に言われたら、なんのことだとわかりかねないが、唐突でもキャッチボールできるのが父なのだ。変化球は豊富な方だと自負する。
「熱々のカレーもいいけど、父さんは冷めたカレーも好きだなぁ」
「冷蔵庫で冷やしたやつ?」
「冷蔵庫に入れずに、暖めた後に冷えたやつ」
「昨日のカレー、そんなに暖めてなかったからいつもより美味しく感じたのかな」
美味しい、どう美味しいのかを表現する程の言葉が脳にないので、なんとか伝わっておくれ
「それもあるだろうし、懐かしい味だったからじゃない?」
「そうなのかぁ」

親元を離れてすぐの頃、真夏に一人カレーを作ってそのまま置いておいた。
翌日食べて暫く後、高熱と腹痛に襲われたものだ。
加熱しても死なない菌はいるけれど、しっかり加熱をすることもおすすめする。
あの時は完全に温度管理が出来ていないことが原因だ。

読者も、一人暮らしでカレーを作るときは気をつけてください。

    
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