修学旅行のはずが突然異世界に!?

中澤 亮

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2章 スティルド王国編

第56話 王都到着!

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 夕方。

 遠くの空から夕闇が広がる頃。

 琉海たちは王都に辿り着いた。

 王都の門は大きく、塀も高い。

 今までの町の中で一番の堅牢さを感じた。

 王都の門前では兵士が馬車を止める。

 だが、定期便だったときとは扱いが違った。

 メイリが馬車の外に出て、兵士と二言三言会話すると、通してもらえた。

 門を通りすぎると大きな一本道があった。

 一本道の両脇を露店が軒を連ね、多くの人で賑わっていた。

 大会が近いからなのか、それとも普段からこんな感じなのだろうか。

 屋台などを多く見かけるため日本の夏祭りのような雰囲気があった。

「すごいわね……」

 静華もそれを見て、驚いていた。

 渋谷のスクランブル交差点ほどではないが、この世界に来て経験した人の多さでは一番だ。

 しかし、琉海たちの乗る馬車はその道を通らず、脇に逸れた。

 そのまま外壁に沿って進んで行く。

 ティニアが言うには、さっきの道は平民区域に分類されるようで、ティニアたちの家がある貴族区域は正反対の場所にあるようだ、

 区域が分かれているのは、平民と貴族のいざこざをなくすためのようだ。

 主に貴族がうるさいらしい。

 ただ、ティニアの家系はそういうのを気にしないようだ。

 むしろ平民には埋もれた人材がいるのだから、積極的に接触を図っていくべきだと豪語している部類のようだ。

 このような貴族も少数だが存在する。

 ただ、大多数の貴族は平民は無知で学のない家畜に近いものの認識のようだ。

 そんな貴族と平民の諍いを減らすため、王都の四割が平民区域になり、六割が貴族区域になっているようだ。

 まあ、貴族の敷地が広いのは仕方がないだろう。

 しかし、平民の住める区域は狭いにも関わらず、住みやすさは他の町に比べて別格
なのか、王都に住もうとする平民は多いようだ。

 馬車は進み、貴族区域に入ると、風景ががらりと変わった。

 さっきまで、小さい建物が敷き詰められたように並んでいたが、一つ一つ大きい建物が等間隔で並ぶようになる。

 建物の間隔も広く取られ、さっきまでの喧騒は消え、優雅さを醸しだす町並みをしていた。

 貴族区域に入ると馬車は適当な道に入る。

 道も広く、歩いている人も少ない。

 ほとんどの貴族が馬車で移動しているようだ。

 進んでいくにつれ、家も小さいものから大きいものへ変化していく。

 建物の大きさは、貴族の格を表しているだろうか。

 そして、前方に見えてくる一つの大きな屋敷があった。

「もしかしてあれが……」

「ええ、我が家です」

 琉海があまりの大きさに呆けてしまう中、ティニアは頷いた。

 前の町の屋敷もでかいと思ったが、眼前にそびえる屋敷に比べたら、たしかにあれは別荘なのかもしれないと思わされた。

 パッと見て、別荘と比べ二倍以上の大きさの屋敷だった。

 屋敷の前には、鉄の柵があり、大きな門が立ち塞がる。

 馬車は門前で停車し、御者が守衛に声をかけた。

 そして、門はゆっくりと開かれる。

 馬車が再び前進し、屋敷の玄関前で停車。

 それと同時に、玄関の扉が開かれ、十数人の執事やメイドたちがティニアを出迎えた。

「「「「「「お帰りなさいませ。ティニア様」」」」」」

 一糸乱れのないお辞儀に琉海は圧倒されるも、ティニアが進むので後を追い、ティニアを先頭に屋敷に入った。

 屋敷の中では、老齢の執事が待っていた。

「おかえりなさいませ。ティニア様、魔物の襲撃があったと聞きましたが、ご無事でなによりでございます」

「ええ、彼が助けてくれたおかげで、何事もなかったわ」

 ティニアは琉海に視線を向けてそう言った。

「そうですか。彼が報告にあった――」

「あら、帰ってきたわね。ティニア」

 執事の会話を妨げて現れたのは、絶世の美女だった。

 大人の女の色気を振り撒くスタイル抜群の女性。

 金髪で露出度の高い紅のドレスを着ている。

「お母様!」

 ティニアの母親のようだ。

 たしかに似ている部分があった。

「災難だったみたいね」

「はい。ですが、命を救ってもらいました」

「そう、じゃあ、彼がそうなのね」

 ティニアの母親は、琉海に視線を向けた。

「はじめまして。ティニアの母のエリザ・スタントと申します。ティニアを助けて頂きありがとうございます」

「私は琉海と申します」

 琉海はその後、静華とエアリスの紹介をした。

 ティニアを助けたことで数々のお礼を言われ、素直に受け取ることにした。

 一通り自己紹介が終わると。

「それじゃ、ゆっくりしてくださいね。アルディ、お客様をお部屋に案内してあげて。夕食にでも、またお話をしましょう。それまで、ゆっくり休んでください」

「かしこまりました」

 アルディと呼ばれた老齢の執事は一礼して、琉海たちを部屋に案内してくれた。

 部屋は町での屋敷より広く、調度品が豪華なものに見える。

 また、一人一部屋を割り当てられた。

「何かございましたら、このベルを鳴らしてください。夕食の準備ができましたら、お呼びしますので、それまでお寛ぎください」

 アルディはそう言って、部屋を出た。

「はあ、なんか疲れたな」

 琉海はベッドに倒れ込む。

 馬車で座っていただけだが、思っていた以上に疲れていたようで、睡魔が襲ってきた。

 琉海は逆らうことはせず、瞼を閉じた。
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