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3章 ルダマン帝国編
第286話 邪精霊との再戦
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天井にサーモグラフィで見ているかのような人影があるが、若干周りにも人影があるのに気づく。
「他にも薄っすらと見える人影は人間か?」
『ええ、そうね。邪精霊のマナの強さで周囲もわかりやすくなっているのよ』
邪精霊のマナが強いことで疑似的なソナーが発生して、それを精霊の目は察知しているようだ。
「じゃあ、あの人間には当てないようにしないとな」
琉海はディルクスの剣を《創造》する。
エアリスの言った通り、すんなりと《創造》できた。
剣を下段に構え、《エンチャント》を施す。
琉海は人間と邪精霊の動きに注視する。
マナを剣に溜め続け、人間と少し距離が開いた瞬間――
一閃。
剣から解放されたマナの斬撃が天井を突き破った。
そのまま天井ごと邪精霊に直撃したかに思えたが――
『まだ生きているわね』
琉海の目にも邪精霊の姿は映っていた。
もう一発撃ちこもうかと思ったが、邪精霊が下を警戒している。
「ちょっと行ってくる」
琉海はリーリアとスミリアにそう伝えて天井に空いた穴に向かって跳躍する。
穴の中の壁をジグザクに蹴って上昇する。
穴の出口を抜けると辺りは土煙が舞っていた。
煙が晴れないところを見るに室内のようだ。
室内であろうと屋外であろうと琉海には関係ない。
精霊の目で見えるからだ。
むしろ、土煙が視界を遮ってくれている分、有利だ。
この土煙の中でも琉海には、はっきりと邪精霊の輪郭が見えていた。
邪精霊は琉海の存在に気づいていないだろう。
瞬足で邪精霊の背後に回り、剣を突き刺す。
(チッ……)
琉海は内心で舌打ちする。
刺した瞬間の手応えでわかってしまった。
眼前にいる邪精霊の姿は霞のように消えた。
そして、それが収容所で会った邪精霊と同じ能力で確信に変わる。
「やっぱり、お前か」
同じ能力を持っている精霊はどのくらいいるかは知らないが、人間界にいる精霊自体少ない。
それも同じ場所で同じ能力。
そんな偶然はほとんどないだろう。
琉海が狙った標的はあの研究室で会った邪精霊で間違いなかったようだ。
「また、あなたたちですか。本当に人間はしつこいですね」
邪精霊は自分の片腕を持っていた。
地下からの斬撃で邪精霊の片腕を吹き飛ばしていたようだ。
「にしても、どうして下から現れたのでしょう。たしか、この下は私が作ったあの部屋ですね。どうやってワープしてきたのですか。あそこには、あなたたちが入って来れないように撃退用の魔法陣を書いといたはずなんですがね」
邪精霊の言葉で琉海は、あの歪んだ空間に入る前にやったことを思い出す。
(そういえば、入る前に短剣を投げたな。あのときに魔法陣にでも当たって効力を消していたのか)
琉海は思わぬところで運が良かったことを知った。
あそこで短剣を投げていなかったら、邪精霊の仕掛けたトラップに嵌っていたかもしれない。
「さあな。魔法陣が間違っていたんじゃないか」
琉海はさらに果敢に攻めていく。
粉塵で相手の視覚が奪われている間がチャンスだ。
琉海は再び邪精霊の背後に回り、横薙ぎに剣を振る。
「くッッ……」
邪精霊からは苦悶の声が聞こえた。
だが、致命傷は避けたようだ。
見慣れた光景。
邪精霊の体は霞がかっていく。
「本当に芸がないな」
琉海はそう言って地面を蹴る。
幻覚をくらっても琉海には邪精霊の居場所がわかる。
邪精霊は自分の能力を過信している。
琉海が一瞬で距離を詰めても反応しない。
いや、できないのだろう。
気配を消すことで邪精霊の幻覚は完成するからだ。
そこに殺気などが含まれると、気配に敏感な者にはバレてしまうことを知っているのだろう。
精霊と契約している契約者ならなおさらだ。
琉海が近づいても微動だにしない邪精霊。
だが、琉海の視線が自分から離れないことに違和感を持っていることだろう。
琉海は構わず、剣を一閃。
剣からは完璧に捉えた手応えが返ってきた。
「他にも薄っすらと見える人影は人間か?」
『ええ、そうね。邪精霊のマナの強さで周囲もわかりやすくなっているのよ』
邪精霊のマナが強いことで疑似的なソナーが発生して、それを精霊の目は察知しているようだ。
「じゃあ、あの人間には当てないようにしないとな」
琉海はディルクスの剣を《創造》する。
エアリスの言った通り、すんなりと《創造》できた。
剣を下段に構え、《エンチャント》を施す。
琉海は人間と邪精霊の動きに注視する。
マナを剣に溜め続け、人間と少し距離が開いた瞬間――
一閃。
剣から解放されたマナの斬撃が天井を突き破った。
そのまま天井ごと邪精霊に直撃したかに思えたが――
『まだ生きているわね』
琉海の目にも邪精霊の姿は映っていた。
もう一発撃ちこもうかと思ったが、邪精霊が下を警戒している。
「ちょっと行ってくる」
琉海はリーリアとスミリアにそう伝えて天井に空いた穴に向かって跳躍する。
穴の中の壁をジグザクに蹴って上昇する。
穴の出口を抜けると辺りは土煙が舞っていた。
煙が晴れないところを見るに室内のようだ。
室内であろうと屋外であろうと琉海には関係ない。
精霊の目で見えるからだ。
むしろ、土煙が視界を遮ってくれている分、有利だ。
この土煙の中でも琉海には、はっきりと邪精霊の輪郭が見えていた。
邪精霊は琉海の存在に気づいていないだろう。
瞬足で邪精霊の背後に回り、剣を突き刺す。
(チッ……)
琉海は内心で舌打ちする。
刺した瞬間の手応えでわかってしまった。
眼前にいる邪精霊の姿は霞のように消えた。
そして、それが収容所で会った邪精霊と同じ能力で確信に変わる。
「やっぱり、お前か」
同じ能力を持っている精霊はどのくらいいるかは知らないが、人間界にいる精霊自体少ない。
それも同じ場所で同じ能力。
そんな偶然はほとんどないだろう。
琉海が狙った標的はあの研究室で会った邪精霊で間違いなかったようだ。
「また、あなたたちですか。本当に人間はしつこいですね」
邪精霊は自分の片腕を持っていた。
地下からの斬撃で邪精霊の片腕を吹き飛ばしていたようだ。
「にしても、どうして下から現れたのでしょう。たしか、この下は私が作ったあの部屋ですね。どうやってワープしてきたのですか。あそこには、あなたたちが入って来れないように撃退用の魔法陣を書いといたはずなんですがね」
邪精霊の言葉で琉海は、あの歪んだ空間に入る前にやったことを思い出す。
(そういえば、入る前に短剣を投げたな。あのときに魔法陣にでも当たって効力を消していたのか)
琉海は思わぬところで運が良かったことを知った。
あそこで短剣を投げていなかったら、邪精霊の仕掛けたトラップに嵌っていたかもしれない。
「さあな。魔法陣が間違っていたんじゃないか」
琉海はさらに果敢に攻めていく。
粉塵で相手の視覚が奪われている間がチャンスだ。
琉海は再び邪精霊の背後に回り、横薙ぎに剣を振る。
「くッッ……」
邪精霊からは苦悶の声が聞こえた。
だが、致命傷は避けたようだ。
見慣れた光景。
邪精霊の体は霞がかっていく。
「本当に芸がないな」
琉海はそう言って地面を蹴る。
幻覚をくらっても琉海には邪精霊の居場所がわかる。
邪精霊は自分の能力を過信している。
琉海が一瞬で距離を詰めても反応しない。
いや、できないのだろう。
気配を消すことで邪精霊の幻覚は完成するからだ。
そこに殺気などが含まれると、気配に敏感な者にはバレてしまうことを知っているのだろう。
精霊と契約している契約者ならなおさらだ。
琉海が近づいても微動だにしない邪精霊。
だが、琉海の視線が自分から離れないことに違和感を持っていることだろう。
琉海は構わず、剣を一閃。
剣からは完璧に捉えた手応えが返ってきた。
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