289 / 338
3章 ルダマン帝国編
第289話 拘束する鎖
しおりを挟む
琉海の頭の中に死が過る。
壁に磔にされた琉海に向かって邪精霊が突進してきた。
トドメを刺しに来ているのだろう。
意識が朦朧として何もできないでいる琉海。
そんな琉海の眼前に突然、複数枚の魔法陣が浮かび上がる。
その魔法陣を起点に結界が張られていく。
進行を邪魔する結界を邪精霊は拳で破壊するが、破壊された傍から魔法陣が再構築する。
「ルイ! 時間は稼ぐから、あれを何とかできないのか!」
レオンスがこの魔法の発動者のようだ。
(魔法を使えたのか……)
琉海は頭を振り、朦朧としていた意識を戻す。
「あいつの動きを止めないと話しにならない。それと倒すならひとつ残らず消滅させるほどの威力が必要だ。だけど、ここだとその威力は出せない」
「わかった。周囲の防御はこっちで何とかする。後はあいつの動きを止められればいいんだな」
「ああ、だが、どうやってやるんだ」
「一応、拘束用の魔法があるから、試してみる。その間に準備をしろ。拘束できてもどのぐらい持つかはわからないからな」
レオンスはそう言って腕を振った。
すると、床に現れた幾何学模様の魔法陣が輝き、邪精霊の周囲を囲むように光の鎖が放たれる。
邪精霊はすぐに鎖に気づき、回避行動を取るが、鎖はその後を追う。
どうやら、鎖は自動追尾機能を持っているようだ。
邪精霊は嫌って鎖をかぎ爪で切り裂くが、切り裂かれてもお構いなしで伸び続ける。
四方八方すべてが鎖で覆われ、邪精霊は身動きが取れなくなる。
そのまま縛るかのように、光の鎖は一気に邪精霊の全身に巻き付いた。
邪精霊は巻き付かれても力尽くで光の鎖を破壊するが、鎖は壊れた分を補充するかのように幾重にも巻き付いていく。
「これでいいか! 長くは持たないぞ!」
「動きを止めただけじゃ意味がない!」
琉海は自然力をどんどん体内に入れながら、叫ぶ。
「わかってる! もう準備は終わってる!」
レオンスがそう言うと、さっき琉海を守った魔法陣と同じものが琉海と邪精霊の周りに無数に展開される。
(これだけの量の魔法まで使えたのか……)
その光景は圧巻だった。
「これならいけそうか」
琉海は集めていた自然力をマナに変換していく。
収容所で限界までマナを溜め込んだ経験があったおかげか、その時よりも多くのマナを体に溜め込める。
だが――
『ルイ! これ以上、マナを溜め込むと体の調整が崩れるわよ』
「もう少しだけ頼む」
『無茶言わないで!』
「マナ経路が問題なければ、他はとりあえず不調でも問題ない」
『本当にそれで大丈夫なの?』
「ああ、それで頼む。一発で終わらせるつもりだから」
『わかったわ。他を視なくていいなら、マナを溜め込んでも大丈夫よ』
「それじゃ、頼む」
琉海は自然力をさらに取り込んでマナに変換する。
体の動きに少し違和感を覚えるが、許容範囲だ。
壁に磔にされた琉海に向かって邪精霊が突進してきた。
トドメを刺しに来ているのだろう。
意識が朦朧として何もできないでいる琉海。
そんな琉海の眼前に突然、複数枚の魔法陣が浮かび上がる。
その魔法陣を起点に結界が張られていく。
進行を邪魔する結界を邪精霊は拳で破壊するが、破壊された傍から魔法陣が再構築する。
「ルイ! 時間は稼ぐから、あれを何とかできないのか!」
レオンスがこの魔法の発動者のようだ。
(魔法を使えたのか……)
琉海は頭を振り、朦朧としていた意識を戻す。
「あいつの動きを止めないと話しにならない。それと倒すならひとつ残らず消滅させるほどの威力が必要だ。だけど、ここだとその威力は出せない」
「わかった。周囲の防御はこっちで何とかする。後はあいつの動きを止められればいいんだな」
「ああ、だが、どうやってやるんだ」
「一応、拘束用の魔法があるから、試してみる。その間に準備をしろ。拘束できてもどのぐらい持つかはわからないからな」
レオンスはそう言って腕を振った。
すると、床に現れた幾何学模様の魔法陣が輝き、邪精霊の周囲を囲むように光の鎖が放たれる。
邪精霊はすぐに鎖に気づき、回避行動を取るが、鎖はその後を追う。
どうやら、鎖は自動追尾機能を持っているようだ。
邪精霊は嫌って鎖をかぎ爪で切り裂くが、切り裂かれてもお構いなしで伸び続ける。
四方八方すべてが鎖で覆われ、邪精霊は身動きが取れなくなる。
そのまま縛るかのように、光の鎖は一気に邪精霊の全身に巻き付いた。
邪精霊は巻き付かれても力尽くで光の鎖を破壊するが、鎖は壊れた分を補充するかのように幾重にも巻き付いていく。
「これでいいか! 長くは持たないぞ!」
「動きを止めただけじゃ意味がない!」
琉海は自然力をどんどん体内に入れながら、叫ぶ。
「わかってる! もう準備は終わってる!」
レオンスがそう言うと、さっき琉海を守った魔法陣と同じものが琉海と邪精霊の周りに無数に展開される。
(これだけの量の魔法まで使えたのか……)
その光景は圧巻だった。
「これならいけそうか」
琉海は集めていた自然力をマナに変換していく。
収容所で限界までマナを溜め込んだ経験があったおかげか、その時よりも多くのマナを体に溜め込める。
だが――
『ルイ! これ以上、マナを溜め込むと体の調整が崩れるわよ』
「もう少しだけ頼む」
『無茶言わないで!』
「マナ経路が問題なければ、他はとりあえず不調でも問題ない」
『本当にそれで大丈夫なの?』
「ああ、それで頼む。一発で終わらせるつもりだから」
『わかったわ。他を視なくていいなら、マナを溜め込んでも大丈夫よ』
「それじゃ、頼む」
琉海は自然力をさらに取り込んでマナに変換する。
体の動きに少し違和感を覚えるが、許容範囲だ。
21
あなたにおすすめの小説
ペーパードライバーが車ごと異世界転移する話
ぐだな
ファンタジー
車を買ったその日に事故にあった島屋健斗(シマヤ)は、どういう訳か車ごと異世界へ転移してしまう。
異世界には剣と魔法があるけれど、信号機もガソリンも無い!危険な魔境のど真ん中に放り出された島屋は、とりあえずカーナビに頼るしかないのだった。
「目的地を設定しました。ルート案内に従って走行してください」
異世界仕様となった車(中古車)とペーパードライバーの運命はいかに…
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
転生特典〈無限スキルポイント〉で無制限にスキルを取得して異世界無双!?
スピカ・メロディアス
ファンタジー
目が覚めたら展開にいた主人公・凸守優斗。
女神様に死後の案内をしてもらえるということで思春期男子高生夢のチートを貰って異世界転生!と思ったものの強すぎるチートはもらえない!?
ならば程々のチートをうまく使って夢にまで見た異世界ライフを楽しもうではないか!
これは、只人の少年が繰り広げる異世界物語である。
異世界サバイバルゲーム 〜転移先はエアガンが最強魔道具でした〜
九尾の猫
ファンタジー
サバイバルゲームとアウトドアが趣味の主人公が、異世界でサバゲを楽しみます!
って感じで始めたのですが、どうやら王道異世界ファンタジーになりそうです。
ある春の夜、季節外れの霧に包まれた和也は、自分の持ち家と一緒に異世界に転移した。
転移初日からゴブリンの群れが襲来する。
和也はどうやって生き残るのだろうか。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
第2の人生は、『男』が希少種の世界で
赤金武蔵
ファンタジー
日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。
あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。
ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。
しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。
スキル生成で異世界ハーレム冒険
仙道
ファンタジー
行宗 冬夜(ゆきむね とうや)は、異世界に転移した。そして気付いた。
「スキル生成……?」
村娘、女剣士とハーレムを作りながら、このスキルを使って冒険を楽しむことにした。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる