修学旅行のはずが突然異世界に!?

中澤 亮

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3章 ルダマン帝国編

第294話 情報の網

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 〝弓帝〟――フェリロスは周囲のテントを障壁にしてアレーグの死角から矢を放っていた。

 何度か試すがすべてアレーグの斧に防がれる。

 フェリロスは諦めず、もう一度矢を放つ。

 矢が向かう先は明後日の方向だ。

 これもアレーグの死角から狙うためだ。

 全く別の方向に飛んでいく矢は迂回するように弧を描く。

 そして、その矢はアレーグに吸い寄せられるように軌道を変えた。

 狙うはアレーグの背後。

 アレーグの首に向かって飛んで行ったが、あと少しというところでアレーグに気づかれて、斧で叩き落とされた。

(やっぱり、ダメね)

 フェリロスは嘆息した。

 フェリロスは自分の腕に自信があったが、通用しないことを痛感させられた。

 事前にわかっていたことだが、フェリロスとアレーグの相性は悪かった。

「相性については〝暗帝〟から聞いていたとおりね」

 〝帝天十傑〟同士の戦闘は禁止されている。

 そのせいか、〝帝天十傑〟同士で能力の探り合いなどは起こらない。

 あっても精々、拳での喧嘩ぐらいで武器を使うことはなかった。

 ましてや能力を使った喧嘩なんかもあるわけがない。

 中には能力次第では隠しておきたい者もいるだろう。

 フェリロスはどちらかというと能力を隠しておきたい部類だ。

 そんな〝帝天十傑〟の環境だと誰も〝帝天十傑〟内の能力や本来の強さを知る機会はほとんどなかった。

 お互いが持っている情報は主要武器と戦歴ぐらいだろうか。

 そんな状態で離反されると、処断する側は、対処に困る。

 本来なら〝帝天十傑〟が数人がかりで処断する案件だ。

 だが、間の悪いことに現状はそうもいかない。

 〝剣帝〟はどこかに行ってしまい、〝暗帝〟は帝都の安定に尽力している。

 その他の〝帝天十傑〟は1人を除いて、隣国のけん制のために国境沿い辺りにいるだろうと〝暗帝〟は言っていた。

 つまり、即座に動けるのは〝弓帝〟だけだった。

 そして、〝暗帝〟からは〝斧帝〟が離反する可能性があることも忠告されていた。

 彼女が言うには、離反の兆候が日常的に色々と出ていたそうだ。

 少しのきっかけですぐに裏切ると忠告されていた。

「あの忠告のおかげで初撃を躱せたんだけどね」

 もし、事前情報がなければ一撃目で致命傷を負っていただろうとフェリロスは思う。

 他の〝帝天十傑〟ではこんな情報を持ってはいないだろう。

 戦えない相手の情報を持っていても仕方がないからだ。

 だが、そんな中で唯一、〝帝天十傑〟全員の情報を持つ者がいる。

 それが〝暗帝〟だ。

 彼女はルダマン帝国全域に広がる情報網を駆使して〝帝天十傑〟一人一人の戦闘時の情報を吸い上げ、精査してどんな能力を持っていてどんな戦い方を好むのかを把握していた。

(まったく恐ろしいわ。〝暗帝〟は私の能力も知っていたしね)

 そんな精密な情報を持つ彼女が、離反する可能性の高い相手に勝てない者を送り込むわけがない。

「〝暗帝〟が行った通り、《エンチャント》した矢でも簡単にはじかれちゃうのは確認できたし、ここからは〝暗帝〟の作戦通りに動きましょうか」
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