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新しい出会い
「倖月咲(こうづきさき)、お前は普通科にうつってもらう」
個室に担任の先生に呼びだされて、そう言われた。
「……分かりました」
私は倖月咲、名門校の黒咲(くろさき)学園の高等部一年生の魔法科に所属予定だったが、一週間経ってからこの様に、普通科にうつる事になった。その最大の理由は私に魔法の能力がない事にある。頭が良くても、運動神経が良くても、魔法が使えなければ意味がないのだ、魔法科は。私は魔法が使えない、この世では9割の確率で魔法が使える。だが、1割の人間のみその発生はみられない。私はその1割に入るらしい。学校が放課後になって、帰ろうとするとクラスメイトの目は冷ややかだった。
「なんで、魔法科に居たの?」
「魔法が使えないクズなんだな、俺だったら恥ずかしくて生きていけないな」
「魔法科の恥ね」
煩いと思ったが私は無視して学校を出た。もう、あのクラスメイト達と会う事がないのだから気にする必要はないのだが……、将来的に魔法は使える人間だったらなと思う。
「誰も助けてくれないよな」
血の繋がった家族はいない、産まれた時に孤児院の入り口に置かれていたらしい。その後、私の後見人に倖月勝則(こうづきかつのり)というお爺さんが引き取ってくれた。何故、お爺さんが引き取ってくれたかと言うと、私は黒咲家という財閥の娘の血をひいているとの事だった。魔法は使えない訳ではない、使えるが使っては駄目なのだ。黒咲家の血をひく人間は魔法を使うと異性になってしまう。女のままでいたいのなら、女性で生きていきたいのならば魔法を使ってはいけないと言われた。もし使ってしまうと、男性になって永遠に男のまま生きていかなければいけない。魔法は使う代償は大きかった。お爺ちゃんが亡くなってからは、倖月の長男である息子さんの倖月薫(こうづきかおる)さんの家にお世話になっている。
「ただいま」
「おかえり、なんか気を落ちしているけどどうしたんだい?」
リビングから薫さんが顔を廊下に出してきた。
「普通科にうつる事になりました」
私は靴を脱いで揃えながらそう言った。
「まぁ、そうだろうな。魔法を使わないなら仕方がない」
「あー、なんで私ってば魔法を使うと男になるのー! 女でいいじゃん!」
「男で生きていくのもいいもんだぞ」
「それは男で産まれた人だから言える事でしょう? 私は女でずっと生きてきたのに、男になるのは嫌だな」
「けど、もし。もしもだ。魔法を使わないといけない時が来たらどうするんだ?」
「逃げるな、その現場から」
「そうか、逃げるか……」
「薫さん、夕飯の準備するから、どいてどいて!」
私は魔法を使う事はないと思っている。だって、魔法なんて使い方分からないのだから。
――ピーンポーン!
インターホンが鳴った。
こんな時間に誰だろう? 玄関に向かって「はーい」と返事をして、私は玄関を開けた。
其処には、綺麗な女の人が立っていた。
「こんにちは、倖月咲さんかしら?」
「はい……そうですが? どなたですか?」
「貴方を迎えに来たんですよ」
そう女性は言って私をじっと見つめてくる。品定めをされているような目だった。
「だから、どちらの方ですか?」
「白咲と言えば分かるかしら?」
「白咲?」
大財閥は全てで三つある。黒咲家、灰咲家、白咲家の三つだ。その中でも、白咲家は抜きんでて優秀ときいている。天才しか出さないそんな血筋だ。
その白咲家の人が私に何の用なんだろう?
そう思っていたら、何時の間にか後ろから布を嗅がされて、私は意識を手離した。
「いいのですか? 大事な娘さんでしょう?」
女性はそう薫に言った。
「血が繋がってないんですから、いいんですよ別に。それよりも、お金用意して貰えましたか? 黒咲家の血が必要なんでしょう?」
「えぇ、とっても必要です。この子は大事に引き取らせて頂きますね」
「はい、宜しくお願いします」
大財閥には魔法を使い際に、呪いが発動するようにしかけられている。
黒咲家の呪いは異性になる事。
灰咲家の呪いは人間でなくなる事。
白咲家の呪いは大事な人が消えてしまう事。
それぞれ、魔法の威力に応じたり、弱い魔法でも反応する事がある。
この血族たちは呪われている所為で魔法を使う際に制限がかかっている。
この呪いを解くためには、三財閥全ての力が必要だと言われている。
どう、必要なのかはわからない。
だけど、一つだけ確かなのは、呪いはまだ解けていない事だ。
倖月咲は、灰咲家と黒咲家の間で出来た子供だ。
何故、捨てられたのかは分からない。
どちらの血を受けついているのかは、髪の毛で分かる。
黒だった。
それに、白咲の血を混じれば呪いは解けるだろうと言われた。
御爺様の言う事は絶対だから。
呪いを解くカギは倖月咲が握っているはずなのだ。
個室に担任の先生に呼びだされて、そう言われた。
「……分かりました」
私は倖月咲、名門校の黒咲(くろさき)学園の高等部一年生の魔法科に所属予定だったが、一週間経ってからこの様に、普通科にうつる事になった。その最大の理由は私に魔法の能力がない事にある。頭が良くても、運動神経が良くても、魔法が使えなければ意味がないのだ、魔法科は。私は魔法が使えない、この世では9割の確率で魔法が使える。だが、1割の人間のみその発生はみられない。私はその1割に入るらしい。学校が放課後になって、帰ろうとするとクラスメイトの目は冷ややかだった。
「なんで、魔法科に居たの?」
「魔法が使えないクズなんだな、俺だったら恥ずかしくて生きていけないな」
「魔法科の恥ね」
煩いと思ったが私は無視して学校を出た。もう、あのクラスメイト達と会う事がないのだから気にする必要はないのだが……、将来的に魔法は使える人間だったらなと思う。
「誰も助けてくれないよな」
血の繋がった家族はいない、産まれた時に孤児院の入り口に置かれていたらしい。その後、私の後見人に倖月勝則(こうづきかつのり)というお爺さんが引き取ってくれた。何故、お爺さんが引き取ってくれたかと言うと、私は黒咲家という財閥の娘の血をひいているとの事だった。魔法は使えない訳ではない、使えるが使っては駄目なのだ。黒咲家の血をひく人間は魔法を使うと異性になってしまう。女のままでいたいのなら、女性で生きていきたいのならば魔法を使ってはいけないと言われた。もし使ってしまうと、男性になって永遠に男のまま生きていかなければいけない。魔法は使う代償は大きかった。お爺ちゃんが亡くなってからは、倖月の長男である息子さんの倖月薫(こうづきかおる)さんの家にお世話になっている。
「ただいま」
「おかえり、なんか気を落ちしているけどどうしたんだい?」
リビングから薫さんが顔を廊下に出してきた。
「普通科にうつる事になりました」
私は靴を脱いで揃えながらそう言った。
「まぁ、そうだろうな。魔法を使わないなら仕方がない」
「あー、なんで私ってば魔法を使うと男になるのー! 女でいいじゃん!」
「男で生きていくのもいいもんだぞ」
「それは男で産まれた人だから言える事でしょう? 私は女でずっと生きてきたのに、男になるのは嫌だな」
「けど、もし。もしもだ。魔法を使わないといけない時が来たらどうするんだ?」
「逃げるな、その現場から」
「そうか、逃げるか……」
「薫さん、夕飯の準備するから、どいてどいて!」
私は魔法を使う事はないと思っている。だって、魔法なんて使い方分からないのだから。
――ピーンポーン!
インターホンが鳴った。
こんな時間に誰だろう? 玄関に向かって「はーい」と返事をして、私は玄関を開けた。
其処には、綺麗な女の人が立っていた。
「こんにちは、倖月咲さんかしら?」
「はい……そうですが? どなたですか?」
「貴方を迎えに来たんですよ」
そう女性は言って私をじっと見つめてくる。品定めをされているような目だった。
「だから、どちらの方ですか?」
「白咲と言えば分かるかしら?」
「白咲?」
大財閥は全てで三つある。黒咲家、灰咲家、白咲家の三つだ。その中でも、白咲家は抜きんでて優秀ときいている。天才しか出さないそんな血筋だ。
その白咲家の人が私に何の用なんだろう?
そう思っていたら、何時の間にか後ろから布を嗅がされて、私は意識を手離した。
「いいのですか? 大事な娘さんでしょう?」
女性はそう薫に言った。
「血が繋がってないんですから、いいんですよ別に。それよりも、お金用意して貰えましたか? 黒咲家の血が必要なんでしょう?」
「えぇ、とっても必要です。この子は大事に引き取らせて頂きますね」
「はい、宜しくお願いします」
大財閥には魔法を使い際に、呪いが発動するようにしかけられている。
黒咲家の呪いは異性になる事。
灰咲家の呪いは人間でなくなる事。
白咲家の呪いは大事な人が消えてしまう事。
それぞれ、魔法の威力に応じたり、弱い魔法でも反応する事がある。
この血族たちは呪われている所為で魔法を使う際に制限がかかっている。
この呪いを解くためには、三財閥全ての力が必要だと言われている。
どう、必要なのかはわからない。
だけど、一つだけ確かなのは、呪いはまだ解けていない事だ。
倖月咲は、灰咲家と黒咲家の間で出来た子供だ。
何故、捨てられたのかは分からない。
どちらの血を受けついているのかは、髪の毛で分かる。
黒だった。
それに、白咲の血を混じれば呪いは解けるだろうと言われた。
御爺様の言う事は絶対だから。
呪いを解くカギは倖月咲が握っているはずなのだ。
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