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9 風の国の王3
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誰かが私を抱き抱えてくれている。
誰?
何度か瞬きを繰り返した後、ぼやけていた目の焦点がようやく合って、私は助けてくれた人の顔を見ることができた。
(っきゃぁー!!!)
目の前に美青年のドアップ。
ぶったまげた私はもう少しで彼の顔をはり倒すところだった。
そうしないですんだのは、まだ貧血の余韻を引きずっていたからだ。
ううっ、私ってば免疫がないから………
「怪我もしていないし、どうやら大丈夫のようだな」
うっすら笑みを浮かべて私を立たせる。
「あ、ありがとう」
私はクラクラする頭でなんとかお礼を言った。
うーむ、なんちゅう男前だ。こりゃあアルファさんに負けず劣らずだな。
綺麗な黒の短髪で、孔雀石色の瞳。
ちょっとこっちの方が線が太くてがっしりしているが、長身で均整がとれているから細身に見えるくらい。
アルファさんが優美な感じなのに対して、精悍な感じと言えばいいのかな。
気がつくと、魔鳥たちは幾人もの武装した男達によって追い払われていく。
凄い。人よりずっと大きいのに、怯むことなく斬りつけている。怖くないのかな。
そのうちの一人が懐から丸い玉のようなものを取り出して、鳥たちに向かって投げつけた。
するとそれは地面にぶつかって破裂し、盛大に白い煙を噴き出した。
なぜだか鳥たちはその煙にひどく慄いた様子を見せ、男達は動きの鈍ったそれらにいっそう激しく斬りつける。
敵わないと思ったのか、とうとう魔鳥たちは逃げていった。
よかったー。ふーっとため息と共に全身から力が抜けた。
「ルーラ様」
リューンの声がして、小走りで駆け寄ってくる彼の姿が見えた。
彼はいくつか浅い怪我をしていたけれど、なんとか無事のようだった。
でもなんだか様子がおかしい。
すごく驚いているような、怒っているような………
「陛下!何故このようなところに?」
『陛下』?なにそれ。
私の頭の上にクエスチョンマークが三つほど浮かぶ。
リューンの視線をたどると、私が抱きついている人にぶち当たった。
ーーーするってーと、この人は………
私の頭からスーッと音をたてて血が引いていった。
「もしかしてっ、ビスラの王様ぁーっ?」
そんな人に私ってば抱きついていたの?
ズササッと後じさった私を王様は不思議そうに見る。
その手を伸ばして私の腕を掴んだ。
「何故逃げる?」
ひょええええーっ!おそれおおい。
私は根っから庶民なの。触んないでよ、固まっちゃうじゃない。
けれども、王様は私の腕を掴んだまま、リューンに向かって頷く。
「リューン、遅くなったな」
王様はどことなく厳しい顔つきで言った。
誰?
何度か瞬きを繰り返した後、ぼやけていた目の焦点がようやく合って、私は助けてくれた人の顔を見ることができた。
(っきゃぁー!!!)
目の前に美青年のドアップ。
ぶったまげた私はもう少しで彼の顔をはり倒すところだった。
そうしないですんだのは、まだ貧血の余韻を引きずっていたからだ。
ううっ、私ってば免疫がないから………
「怪我もしていないし、どうやら大丈夫のようだな」
うっすら笑みを浮かべて私を立たせる。
「あ、ありがとう」
私はクラクラする頭でなんとかお礼を言った。
うーむ、なんちゅう男前だ。こりゃあアルファさんに負けず劣らずだな。
綺麗な黒の短髪で、孔雀石色の瞳。
ちょっとこっちの方が線が太くてがっしりしているが、長身で均整がとれているから細身に見えるくらい。
アルファさんが優美な感じなのに対して、精悍な感じと言えばいいのかな。
気がつくと、魔鳥たちは幾人もの武装した男達によって追い払われていく。
凄い。人よりずっと大きいのに、怯むことなく斬りつけている。怖くないのかな。
そのうちの一人が懐から丸い玉のようなものを取り出して、鳥たちに向かって投げつけた。
するとそれは地面にぶつかって破裂し、盛大に白い煙を噴き出した。
なぜだか鳥たちはその煙にひどく慄いた様子を見せ、男達は動きの鈍ったそれらにいっそう激しく斬りつける。
敵わないと思ったのか、とうとう魔鳥たちは逃げていった。
よかったー。ふーっとため息と共に全身から力が抜けた。
「ルーラ様」
リューンの声がして、小走りで駆け寄ってくる彼の姿が見えた。
彼はいくつか浅い怪我をしていたけれど、なんとか無事のようだった。
でもなんだか様子がおかしい。
すごく驚いているような、怒っているような………
「陛下!何故このようなところに?」
『陛下』?なにそれ。
私の頭の上にクエスチョンマークが三つほど浮かぶ。
リューンの視線をたどると、私が抱きついている人にぶち当たった。
ーーーするってーと、この人は………
私の頭からスーッと音をたてて血が引いていった。
「もしかしてっ、ビスラの王様ぁーっ?」
そんな人に私ってば抱きついていたの?
ズササッと後じさった私を王様は不思議そうに見る。
その手を伸ばして私の腕を掴んだ。
「何故逃げる?」
ひょええええーっ!おそれおおい。
私は根っから庶民なの。触んないでよ、固まっちゃうじゃない。
けれども、王様は私の腕を掴んだまま、リューンに向かって頷く。
「リューン、遅くなったな」
王様はどことなく厳しい顔つきで言った。
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