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愛称
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それからは毎日のようにヴィクトリア様を抱きしめ、そしてキスをすることを続けた。
まだ頬を赤らめるものの、触れるだけのそのキスに慣れてくれたようで、嬉しくなった。
シャノン卿の説明によれば、ハグかキスどちらかで十分だと言っていたが、ヴィクトリア様からストップがかからないうちは両方ともさせて貰おうと悪い考えを持っている。
朝の身支度を終え、コンコンとヴィクトリア様の部屋の扉をノックする。
「ゼノね?どうぞ。」
俺のノックの音も覚えてくれたようで、直ぐに許可が下りるようになった。
「おはようございます。ヴィクトリア様。」
「おはよう。ゼノ。」
ニッコリと笑うヴィクトリア様は相変わらず綺麗だ。
「失礼します。」
いつものようにそのまま彼女の前に行き、ゆっくりと抱きしめる。
ふんわりとレモングラスの香りを楽しんだ後、いつものようにキスへと移ろうすると、俯かれてしまい、顔を避けられた。
ついにキスはお預けかと落胆する。
今後はハグだけ。
…いや、でもただ見ることしかできなかった俺がヴィクトリア様の隣に立ち、更には抱きしめさせてもらえるだけで十分すぎるものだ、とキスをしたいと反抗する心に言い聞かせた。
「…ヴィクトリア様。」
ゆっくりと密着していた身体を離すと、彼女は口を開いた。
「リアって呼んでほしいの…」
ボソッと言う彼女の顔は、初めてキスしたときのように赤かった。
「え?」
キョトンとする俺にヴィクトリア様は続けた。
「リアと呼んでほしいの!」
真っ直ぐと俺を見つめる瞳は恥ずかしさで潤んでいる。
近しい人たちは皆ヴィクトリア様をヴィーと呼んでいる。俺にもヴィー様と呼ばせるなら分かるが、誰とも違う愛称を要求され、困惑した。
「よ、よろしいのでしょうか?」
撤回されたら困るのに、俺はそう聞き返す。
するとコクンと頷く。
「…り、リア、様。」
彼女は俺がそう呼んで直ぐに柔らかな笑顔を見せてくれる。
俺はそのまま彼女の頬に手を添え、ゆっくりとキスをした。
「すみません。避けられたのに…」
したくなってしてしまった。
「明日からはしないように気を付けますので…」
そう言って頭を押さえると、両頬に手を添えられ、リア様の唇に重なった。
「ぁの…違うの。
キスを拒んだのではなくてっ。
早くそう呼んで欲しくて…
焦ってしまったの…
キスも、続けてほしい…。」
真っ赤になりながらも、恐る恐る俺を確認するリア様に、俺は微笑んだ。
「良かった。嫌がられていたらどうしようかと思ったのです。」
「ごめんなさい。嫌になることはないから、ずっとして?」
こちらの気を知らないリア様は俺を煽る。
俺はリア様の頭を撫でたくなったが、グッと堪えた。
「…光栄です。」
そう言って笑うと、リア様も笑ってくれた。
「そうそう。今度の夜会にはゼノも参加できるかしら?」
普通夜会には婚約者と参加する。
まだ婚約者のいないリア様はいつもシャノン卿と参加していたのだが、専属騎士が代替わりした為、俺の名前が出たのだろう。
「私は構いません。休みを頂いてもする事もないですし、側に置いていただけるなら嬉しいです。」
俺が素直にそう言うと、それじゃあ決まりね。と機嫌よく書類に目を通し始めた。
仕事だとしても一緒に過ごせる。それが楽しみで仕方がなかった。
あれほどリア様の専属騎士になりたくなかったのに、今では側にいたいと思うのだ。
俺は負けたなと思いながら隊員たちの元へと向かった。
まだ頬を赤らめるものの、触れるだけのそのキスに慣れてくれたようで、嬉しくなった。
シャノン卿の説明によれば、ハグかキスどちらかで十分だと言っていたが、ヴィクトリア様からストップがかからないうちは両方ともさせて貰おうと悪い考えを持っている。
朝の身支度を終え、コンコンとヴィクトリア様の部屋の扉をノックする。
「ゼノね?どうぞ。」
俺のノックの音も覚えてくれたようで、直ぐに許可が下りるようになった。
「おはようございます。ヴィクトリア様。」
「おはよう。ゼノ。」
ニッコリと笑うヴィクトリア様は相変わらず綺麗だ。
「失礼します。」
いつものようにそのまま彼女の前に行き、ゆっくりと抱きしめる。
ふんわりとレモングラスの香りを楽しんだ後、いつものようにキスへと移ろうすると、俯かれてしまい、顔を避けられた。
ついにキスはお預けかと落胆する。
今後はハグだけ。
…いや、でもただ見ることしかできなかった俺がヴィクトリア様の隣に立ち、更には抱きしめさせてもらえるだけで十分すぎるものだ、とキスをしたいと反抗する心に言い聞かせた。
「…ヴィクトリア様。」
ゆっくりと密着していた身体を離すと、彼女は口を開いた。
「リアって呼んでほしいの…」
ボソッと言う彼女の顔は、初めてキスしたときのように赤かった。
「え?」
キョトンとする俺にヴィクトリア様は続けた。
「リアと呼んでほしいの!」
真っ直ぐと俺を見つめる瞳は恥ずかしさで潤んでいる。
近しい人たちは皆ヴィクトリア様をヴィーと呼んでいる。俺にもヴィー様と呼ばせるなら分かるが、誰とも違う愛称を要求され、困惑した。
「よ、よろしいのでしょうか?」
撤回されたら困るのに、俺はそう聞き返す。
するとコクンと頷く。
「…り、リア、様。」
彼女は俺がそう呼んで直ぐに柔らかな笑顔を見せてくれる。
俺はそのまま彼女の頬に手を添え、ゆっくりとキスをした。
「すみません。避けられたのに…」
したくなってしてしまった。
「明日からはしないように気を付けますので…」
そう言って頭を押さえると、両頬に手を添えられ、リア様の唇に重なった。
「ぁの…違うの。
キスを拒んだのではなくてっ。
早くそう呼んで欲しくて…
焦ってしまったの…
キスも、続けてほしい…。」
真っ赤になりながらも、恐る恐る俺を確認するリア様に、俺は微笑んだ。
「良かった。嫌がられていたらどうしようかと思ったのです。」
「ごめんなさい。嫌になることはないから、ずっとして?」
こちらの気を知らないリア様は俺を煽る。
俺はリア様の頭を撫でたくなったが、グッと堪えた。
「…光栄です。」
そう言って笑うと、リア様も笑ってくれた。
「そうそう。今度の夜会にはゼノも参加できるかしら?」
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まだ婚約者のいないリア様はいつもシャノン卿と参加していたのだが、専属騎士が代替わりした為、俺の名前が出たのだろう。
「私は構いません。休みを頂いてもする事もないですし、側に置いていただけるなら嬉しいです。」
俺が素直にそう言うと、それじゃあ決まりね。と機嫌よく書類に目を通し始めた。
仕事だとしても一緒に過ごせる。それが楽しみで仕方がなかった。
あれほどリア様の専属騎士になりたくなかったのに、今では側にいたいと思うのだ。
俺は負けたなと思いながら隊員たちの元へと向かった。
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