ポンコツパーティでゲーム実況。~灰ゲーマーすぎて?現実とゲーム世界の境界を破壊してしまった~

タッタ

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ギルドからの追放

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「この土地は閉鎖だ。さっさと明け渡せ」

大柄な戦士が巨大なハンマーを片手に宣告した。

「グレイソン。何しに来たんだ?」

戦士の名はグレイソン。町では有名な冒険者パーティを率いている。彼の背後にはそのSランクのパーティメンバー達が控えている。

「何しに来ただと? 知れたことだ。この下らん土遊びを終わらせに来たんだよ」

グレイソンの合図を受けて仲間たちが、俺の農園に踏み込んで来る。

「ここは俺がギルドに借りている土地だ。ここで何をしていようとお前には関係ないだろう」

「いいや、あるな。今日からここは俺達が使わせて貰う。貧乏くさい農園は廃業だ」

「止めろ。愛情たっぷり注いだ俺の魔導ニンジンに手を出すな」

俺は担いでいた肥料の入った桶をグレイソンのパーティメンバーの1人にぶち撒けた。
収穫間近だった魔導ニンジンの畑を台無しにしようとしていたんだから、当然の報いだ。

「うわっ。臭えっ。野郎、死にてぇらしいな」

カンカンに怒った男が剣を抜いてこちらにむかってくる。
対する俺は素手。農作業中だったから防具すら着ていない。

「まあ、待てモーリスお前の怒りはもっともだが、コイツはまだ我らが偉大な【担い手の庭】ギルドのメンバーだ。殺すわけにはいかない。まだな」

グレイソンの言葉で、モーリスと呼ばれた男は不服そうではあったが、足を止めた。

「まだ……?」

「そうだ。まだ。だ」

「どういう意味だ?」

「そりゃあこう言う意味だよ」

そう言ってグレイソンは一枚の紙切れを俺の前に投げた。
そこには、ギルド【担い手の庭】のギルドマスターがグレイソンに代わった事を伝達する旨の文章が書かれていた。

「ええっ?」

確かにグレイソン達パーティはギルドでも最強のSランクパーティだったけど、まだバリバリ現役の冒険者だ。例外はあるが普通は引退した者がその地位に就く事が多い。

「そういう事だ。分かったらさっさと土地を明け渡せ。それと、お前もお前のパーティも俺のギルドには不要。メンバー証も置いて行け」

「いや、待て。ギルドマスターはどうしたんだよ?」

あの厳しくも優しいギルドマスターがこんな横暴な男にその地位を譲るなんて、にわかには考えにくい。

「今のギルドマスターは俺だ。たから、俺のルールに従ってもらう。前々から目障りだったんだよ。ロクに依頼もこなせないポンコツ冒険者パーティが妙に目立ちやがって」

「言いがかりもたいがいだな」

「悔しけりゃ俺とタイマンで勝負するか? お前が勝てたらギルドマスターを代わってもいい」

「別にギルドマスターにはなりたくないけど、お前にやらせておくよりはいいかもな」

勝率は多分5パーセントも無い。フル装備のSランク冒険者に素手で立ち向かうなんて無謀もいいところなんだけど、俺の大切な農園を守るためにはやるしかない。

「じゃあ、心置きなくお前を殺せるな。アバヨ」

大振りの斧の一撃が来る。

「うわっ」

避ける事はそれほど難しくない。問題はどこまで避けるかだ。相手は腐ってもSランク、判断を誤れば即死亡、ゲームオーバーだ。

「ふうん。かわしたか。褒めてやろう」

思った通り、俺はかなり距離をとってかわしたが、あと数センチ前にいたら飛ぶ斬撃によって身体が引き裂かれていただろう。

ゴウッ!ブゥン!グワッ!

グレイソンは俺の身体ほどもありそうな斧を木刀でも扱うような勢いで振り回す。
際どい所で避けているが、飛ぶ斬撃の全てまでは避けきれない。徐々に生傷が増えて、それに反比例して体力は減っていく。

「ハッハ。あの生意気だった態度はどこ行ったんだ。オイ。泣いて許しを請え。そうすれば見逃してやらん事もない」

「うるさい、ファイアボール」

「そんなもの効くかよ」

放ったファイアボールは斧で受けられてしまう。だが、少しはスキになる。

「プラントウェーブ」

地面から蔓が伸びてきて、俺とグレイソンの間を遮る。

「邪魔だ」

斧を振るって切ろうにも蔓はクネクネとして簡単にはいかない。

「さらにプラントウェーブ追加だ」

かなりの魔力を持っていかれるが、中級魔法プラントウェーブでグレイソンの周囲を囲ってやる。

「猪口才な。時間稼ぎなど無駄だ」

「時間稼ぎじゃない。ファイアボール」

「クソっ。燃やす気か!?」

その通り。グレイソンもろとも囲んだ蔓で燃やしてやる作戦だ。

「ざまぁ……」

「フザケんなっ!」

斧を横薙ぎにしただけで俺の蔦と炎は消されてしまう。

でもそれも想定内。

「フザケてないよ」

俺の手のひらがグレイソンの後頭部に当てられる。炎で死角になっている間に俺はグレイソンの背後に回っていたのだ。

「き、貴様……」

悔しそうに唇を歪めるグレイソン。この距離で魔法を喰らえば、さすがのS級戦士でも軽症では済まない。

「さあ、前のギルドマスターはどうした? 教えて……」

────!!

唐突に脇腹をえぐられるような痛みが走る。

「なに遊んでるのよグレイソン。私こんな土臭いところ嫌なんだけど、早く用事を片付けて服を買いに行きましょう」

俺の質問はグレイソンの後ろから進み出て来た際どい衣装の女に持っていかれた。
そして、俺の脇腹には氷のツララが突き刺さっていた。
痛みで地面に膝を着く。

「あーあ、そうだなトレンドルー。この馬鹿に思い知らせてからショッピングだ」

自分の頭から俺の手が離れた事で、グレイソンは俺を蹴り飛ばした。

「ここに新しい私達パーティの家を建てるのよね。だったら、もちろん畑なんて不要。だって、臭くて堪らないんですもん」

「分かってる。分かってるさトレンドルー」

トレンドルー。氷の女王の異名を持つ女。

「わざわざハンマーやスコップで整地するなんてまどろっこしいわ。全部燃やせば直ぐに済むわ。ファイアストーム」

火の上級魔法。その威力は凄まじい。
俺が丹精込めて育てた野菜たちも農機具をしまっておく為の納屋も農園を囲う柵も何もかも燃やし尽くしてしまった。

「ハッハーッ。こりゃ楽でいい」

「もういいでしょ。今日はここまでにしてあとは明日から家造りに取り組みましょ」

氷の女王とは、その得意魔法からそう呼ばれているのだが、彼女の性格もその名の由来だった。つまり、冷酷非情なのだ。

「じゃあな。ショー。クタバりな」

無力感に立ち上がることが出来ない俺の頭にグレイソンの斧が叩きつけられる。

そして、画面は真っ暗になった。
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