地味教師とヤンキーくんのチグハグな2人の逢瀬

もちもちもちお

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俺のところに、ちゃんと帰ってくるよな?

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絢斗くんの意識が戻り、お風呂と夕飯を済ませた。身体を休ませる為にリビングではなく、寝室にした。びちゃびちゃになってしまった掛け布団だが…。以前客人用に一応購入しておいた物があったのだった。それに取り替えて、二人でベッドにごろんと横になる。
…本当ならばもう寝た方が良いのだが、帰る時に話をした山根くんとの会話の内容を伝えたのだった。長引かせてもいいことは無いしね。

「……山根と…………飲み会。」
「う、うん。ただ数時間居酒屋かなんかでお酒を飲んでくるだけ。特になにかする訳じゃないから…。」
「………。」
「……いや、だよね?」

とてもとても眉間に皺が寄せられている。そりゃあ、絢斗くんからしたら嫌な話であることは間違いないだろう。僕だって、未だに野田くん達と遊びに行くという話を聞いても…モヤモヤするし。
…だから、山根くんにはOKサインを出してしまったが、本当に心の底から目の前のこの子が嫌ならば断る事も視野に入れている。

「それは……まぁ。うん。今週の金曜日だっけか。」
「………そうです。」
「……………多分、これからもそういうの増えるよな?」
「……え?あぁ、あの学校なら忘年会とか新年会とかはありそうだよなぁとは思う。」
「そう、だよな。」
「……………絢斗くん?」

そう言うと、彼はギュッ、と僕のシャツを掴んだのだった。するっと身を寄せ胸元に自身の額を寄せてきた。触れる箇所からじわじわと彼の体温が伝わってくる。

「……………ゆぅしが、変な事をしないってのはちゃんとわかってる。あれだよな、職場の付き合い?ってやつだろ父さんも偶にあったし。」
「そういうやつ、なのかな。僕も初めてだからあんまり詳しくは分からないんだけど。」
「ゆぅしは、お酒は強い方?」

お酒、お酒…。
浴びる程飲む…と言うことはしたことがないんだよね。大学の時も飲み会はチラホラあったが、友人達みたいに倒れ込む程の量を飲んだことは無い。つまり、限界値が分からないのだ。本当に、嗜む程度。
今も週に何度か晩酌で缶チューハイやら缶ビールを何本か飲むレベルだ。ほろ酔いになるかならないか。
あぁ、でも。絢斗くんに注がれるのが好きで、休みの日はつい多めに飲んでしまう時はあるかな。だがそのくらいで抑えている。

「んー…。今までそんな意識を飛ばすまでガバガバ飲んだ事は無いから分からないけど。並程度じゃないかな。」
「なるほど。日を跨がずに帰ってくるなら…いーよ。」
「………本当に大丈夫?泣いちゃわない?」

思い起こされるのは、いつぞやのテストの時の電話越しの泣き声の絢斗くんだ。あれは…あれは最早トラウマレベルのものだからなぁ。同じようになるのだけはごめんだ。

「…泣かないもん。ちゃんと、帰ってくるんだぞ。それが条件だ。」
「んへへ…勿論。僕は絢斗くんの彼氏だもん!帰ってくるに決まってるでしょ。」
「…ん。なら、山根潰してこい。」
「絢斗くん…中々凄いこと言うねぇ。」

まさかの山根くんとの飲み会に許可を貰えてしまったのだった。予想では駄々を捏ねて無理にでも辞めさせようとしてくると思っていたのだが…これは意外だ。
お父様のお仕事のお付き合いがあったからだろうか。だとしても妙に聞き分けが良いな…そんな印象であった。



そして金曜日。

「高城くん。もう大丈夫そうか?」
「あ、うん。」

事前に夜に彼との飲み会があると分かっているから、朝から段取りを決めて書類作業は早めにこなしていけたのだった。
だからか、こうして終業時間前には全て終わらせる事が出来たのである。山根くんも同様らしく、既に帰る準備をしてくれていた。

終業を知らせるチャイムが鳴り響き、二人して駐車場まで歩いていく。
その際に何処に行くかと話をする事になった。お互いに忙しくて肝心の飲み会会場の場所が未だに決められていなかったのである。

「よくよく考えてみたんだが、僕…何処がいい場所とか分からないんだ。恥ずかしながら今まで友達と飲みに行く…というのも片手で数える程度で。」
「あー…僕もだよ。」
「それで、提案なんだが。どっちかの家で飲むというのはどうだ?」
「…………なるほど。ヤバそうになったら人目気にせずにトイレに行けるしね。」
「そう。どうだ?」

まさかの提案に些かドキッとしてしまったが、今まで飲み会にほぼ無縁…という点においては彼らしいなと思えてしまったのだった。それに宅飲みならば周りに気を使う必要も無いし。のびのびと過ごせそうだなぁとも思えた。

話を聞くに、案外自分の家と山根くんの家は然程距離は遠くは無かったらしい。歩いて帰れる程度の距離感である。
日を跨ぐ前に家に帰れば問題はない、愛する絢斗くんとのお約束も無事守れそうだ。

「そうだね。僕の家にする?」
「良いのか?助かる。」



若干バタバタとしてしまったが、スーパーとコンビニを梯子し好きなものを買い込んで僕の家に帰宅することが出来たのだった。帰宅途中に山根くんの家にも寄り、着替えを済ませてもらった。いつもは皺ひとつないシャツとスラックスの姿だったが…。案外私服はラフだったらしく、パーカーにゆとりのあるジャージという出で立ちであった。普段きっちりとしている髪の毛も崩してきたらしく、パッと見別人であり、ちょっとだけ緊張してしまった。

そして漸く飲み会が始まった。
テーブルの上には山のようにお惣菜やらスナック菓子やら、お酒が並べられている。二人してテンションが高まっていたからつい買い込みすぎてしまった。そりゃそうだ、念願の同期飲みなのだから。気分が高揚するのも仕方が無いものである。
そして少しでも居酒屋の気分にしようと、缶チューハイを氷いっぱいのグラスに注ぎ込んだりしてみたのだ。お互いに注ぎ合ったり、本当に友達っていう感じで楽しい。お誘いに乗ってよかったなぁって改めて思えてしまった。

「…それで、僕…結構周りから冷たいなとか言われるのが…うん。割とやだなぁって思ってて。」
「たはは…こんな砕けた状態の山根くんみたらみんなビックリしちゃうだろうね。なにか出してみる?」
「…自分では出してるつもりなんだ!こう言ってはなんだけど、結構ユニークな奴だと思ってるんだぞ。」
「うん。前向き…ではあると思う!そこは僕見てもそう思うし。」
「だろ?なのに…なんでかなぁ………高城くんだけだよ……そういうこと、言ってくれるのは。」

ふにゃぁ…という擬音が似合う笑みを浮かべてくれたのだった。学校内ではあまり見ることが出来ないものだ。レアすぎる。良いものが見れた。
そして…案外、山根くんは酒が弱かったらしい。お顔を真っ赤にさせてフラフラとしていた。疲れから酔いがまわりやすい、というのもあるのだろうけども。このまま続けて飲むというのはどちらにせよ、宜しくはないのかなと。

「横になっても大丈夫だよ。」
「…………すこし、少しだけ。ごめん。」
「気にしないで。今週も大変だったからね。」
「あり………がと。」

彼の傍により、ソファに腰掛けていた山根くんを横になるように促した。もう意識も飛び飛びなのだろう。すんなりと倒れ込んでしまい、そのまま瞳を閉じてしまったのだった。
興味本位でもう少し近付いてみると…本当に綺麗なお顔をしているなぁと思えた。まつ毛は長く、肌もシミも一つもない。絢斗くんとはまた違ったお人形さんみたいだ。

今まで誰かと飲みに行く数が少ないと言っていたが…。多分、こんなにも綺麗な彼を誘おうと思う人が殆ど居なかったのかなって。良い意味で高嶺の花というか。お近付きにくかったのだろうなと思われてしまったのかなと…少し思ってしまった。そう感じてしまうほどに、山根くんは整っているのだ。

テーブルにあるグラスを再度あおぐ。
自分的にはまだそこまで酔っている感じはしない。どうしようか、テレビでもつけながら一人で晩酌の続きをしようか、そう考えていた時だった。
徐にスマホを見てみたら、通知が来ていたのである。
送信主は…。

「……絢斗くん。」

内容は『何処で飲んでる?』というものだった。数十分前に送られていたものだったらしい。山根くんと話が弾んでいたから気が付かなかった。

『僕の家で飲んでるよ。』

そう送ると、直ぐに返信が来た。

『山根は?まだ元気?』
『今は寝ちゃってる。』
『わかった。』

わかった?
わかったってなんだろ。
そう思いながら、特に他にやることも無いし、テーブルの上の空き缶やら惣菜の空いたパックを片付けていた。


ピンポーン


「え、誰だろ。」

時計を見れば二十一時を過ぎたところだ。出前を頼んでもいないし、誰かを呼んだつもりもない。
恐る恐る玄関の覗き穴を覗いて外の様子を確認してみたのだった。

「え。」

………け、絢斗くんが立っている。
え、なんで!?
メッセージを送って数分も経っていないのですが!?
急いで扉を開け、中に彼を迎え入れたのだった。

「…な、なんで?」
「ふふっ、きちゃった。」
「いやいやいや…こんな夜遅い時間に出歩いちゃったら流石の絢斗くんも危ないよ?!」

残暑が幾分か残っているとはいえ、この時間になれば流石に肌寒さを感じる季節である。だというのに、目の前の彼は半袖にハーフパンツのみ。前髪が乱れている事を考えるに走ってきたのだろう。微かに肩が上下に揺れていた。

「会いたかったから…来たの。……わぁ、お酒の匂いする。」
「…うぉっ。もぉぉ…。」

どんだけ…僕と一緒にいたいんだよ!可愛いな!!僕もだよ!!
そう言ってギュッと抱きついてきた彼に、反射的に抱き締め返してしまった。
くふくふと笑っている。微かに汗の香りがした。やはりダッシュしてきてくれたのだなぁ。こんな夜に。危なさすぎるよ。
それに…山根くんが寝ているとはいえ、こんな所を万が一にでも見られたら大惨事だ。
気休め程度に声を小さくする。

「…送るから、今は帰ってもらっていい?山根くん帰した後に僕も行くから。」
「………わかってる。ちゅーだけ、して?」

上目遣いでそんな事を言ってきた絢斗くん。…よく見たら、彼が着ているこのシャツ…僕のじゃんか。なんで、こんな可愛いことしてくれてるんだよ全く。サイズが合っていないからダボダボで、首元から彼のお身体がチラチラと見えてしまっている。ふんわりおっぱいも、ピンッと軽く立っている乳首まで見えちゃっている。…危険だ、とても危険だよこれは。
そんないやらしい姿の絢斗くんが、可愛いお強請りをしてきたのだった。
多分…というか、間違いなく聞いてあげないと帰ることはしないのだろうな。
一つ溜息を吐いて、応えることにしたのだった。…僕もしたいしね。

「…わかったよ。お口あーんして。」
「あー……んっ♡……んむっ、んー…♡ふはっ、お酒の味がするぅ…なんか、やらしー……っむ、ぁ♡♡ ん゛んんーーっ♡」
「むぅーー…♡んっ♡…そりゃぁ、ん、飲んでたからね…♡」

ちゅっ♡♡ちゅっ♡♡とちゅーをしていく。アルコールの香りと絢斗くんの味が混ざりあって下半身がずくっ…と疼く。
だけど、今は……ダメだ。

「ぷはっ…♡ん、満足♡」
「…なら良かった。ほら、行こ。ね?」
「ん。手、繋いでこ?」
「はいはい。」

そう言って手を繋いで、絢斗くんの家に向かうことにしたのだった。
帰りにコンビニに寄ることも忘れないようにしないとだね。
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