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第四章 邂逅
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ティエラ国より南東へと、馬車で進んで五日間――
ティエラ歴7702年、橙の三十五日に、ティエラ王族はレイネンドランド王城へと迎えられた。
「よく来たな」
城門で馬車から降りた彼らを出迎えてくれたのは、王子レイサルだった。
「やあ、レイサル」
エディレイドとレイサルは硬い握手をする。
エディレイドは続いて、
「紹介するよ。妹のシャールコーラルだ」
背後にいた妹に場所をゆずった。
レイサルはゆっくりと王女シャールコーラルに向き直る。
うやうやしくレイネンドランド式の礼をし、
「初めましてシャールコーラル姫。私がレイサル、この国の王子です」
「わざわざのお出迎えに加え、ご丁寧なご挨拶痛み入ります王子。私がシャールコーラル、ティエラの第一王女です」
シャールはレイネンドランド語を使い、淑女の礼で返す。馬車旅だったため今は礼儀を尽くした正規のドレス姿をしている。エディレイドも王族衣装を着こなし、またフレデリックやエディレイドの親衛隊たちも正規の制服を崩してはいなかった。
シャールの親衛隊は、フレデリック以外ついてきていない。シャールの親衛隊はエディレイドの親衛隊と違ってレイネンドランドの言葉に暗い。足手まといになりかねないからである。
シャールはきついドレスにため息をこぼす。
ビロードのドレスはスカートが三重になっていて重い。色彩はあざやかな赤と朱色、それらを飾る金銀の刺繍。
左胸にティエラの紋章たる、七色の輪――虹の輪が縫いとめられている。
ただでさえ体調がすぐれない彼女に、五日間の馬車の強行軍はつらかった。フレデリックに支えられているものの、足取りがおぼつかない。
そんな彼女にすっとレイサルが手を差し出す。
「姫、お手を。城までご案内致します」
「………」
断るのは失礼にあたるので、シャールは大人しく絹の手袋をした手を差し出す。
レイサルはその手を取ってから――シャールの顔をのぞきこみ、眉をひそめた。
「姫……事前に知らされてはおりましたが、随分とご気分がすぐれないようだ。失礼して」
ふわっと急に浮力がかかった。
え? と思ったときには、シャールはレイサルの腕に抱き上げられえていた。
「無礼をお許しください姫。ですがこの方が楽でしょう」
傍らでエディレイドやフレデリックたちがさすがに目を丸くする。
シャールは真っ赤になった。
「お、王子! 大丈夫です、自分で歩けます――」
「ご無理はなさらず」
平気な顔で、レイサルは歩き出した。
仕方なく、落ちないようシャールはレイサルに身を寄せた。
目の前に壮大な前階段が迫っていた。
前階段を昇ると、門。
門番がレイサルに敬礼し、門を開ける。
床に敷かれた絨毯に添って、ずらっと使用人たちが両側に並んでいた。それは仰々しくも見ごたえのある光景だった。
レイサルが絨毯の上を歩いていくにつれ、使用人たちが順に拝礼をしていく。
絨毯は階段をひとつ昇り、その先の扉につながっていた。
扉の両側にはやはり兵士が立っている。敬礼して扉を開けようとした兵士たちに、
「待て」
とレイサルは制止の声をかける。
兵士たちが戸惑いの色を見せた。レイサルは腕の中の少女の顔をのぞきこみ、
「……この先で陛下たちが待っているのですが、姫、今は挨拶などしている余裕はないでしょう」
「いいえ」
シャールは気合を入れて、はっきりと返答した。
「そんな無礼なことはしたくはありません。ご挨拶させてくださいませ。両足で立って」
それを聞いたレイサルが微笑んだ。
「では」
そっとシャールの足を絨毯の上に下ろし、ゆっくり立たせると、その手を取る。
「開けろ」
王子に命じられ、兵士たちが扉を開けた。
目の前に大広間が広がった。謁見の間――
レイサルにエスコートされ、前に進む。隣に、エディレイドが並ぶ。
玉座に、王と王妃、王女レイチェルが待っていた。
彼らの前にたどりつくと、エディレイドが一歩前に立った。
レイサルはシャールの手を離す。
エディレイドが丁重な礼を行った。それに従って、シャールもスカートの端を持ち上げ、御辞儀をした。
「レイネンドランド国王陛下、王妃殿下、王女殿下、このたび我らティエラ王族を迎え入れてくださり心から感謝致します――」
「久しいな、エディレイド殿」
レイネンドランド国王は、親しげにエディレイドに話しかけた。「息災でなによりだ」
「おかげさまでこのように元気に致しております」
ティエラ王子はもう一度礼を取ると、
「陛下方に紹介致します。妹、我がティエラ国第一王女シャールコーラルにございます」
シャールを視線で促した。
彼女はもう一度深々と御辞儀をすると、凛と背筋を伸ばした。
「御初にお目にかかります。ティエラ国王女シャールコーラルにございます。レイネンドランド国王陛下、王妃殿下、王女殿下におかれましては、御健勝喜ばしく存じます」
「そなたがシャールコーラル姫か。若い女性の身で長旅お疲れだろう」
「ご心配痛み入ります」
レイネンドランド王は、シャールたちの父王よりも歳を取っている分、軽い口調の中にも重厚さがある。
シャールたちの背後では、フレデリックやエディレイドの親衛隊が絨毯に片膝をついてこうべを垂れている。彼らには言葉をくれることなく、国王は「お二人の顔が見られたことを嬉しく思う」と破顔した。
「しかし挨拶はこれくらいにして、部屋に入られるといい。お疲れだろう――」
「お気遣いありがとうございます、陛下」
エディレイドは微笑みを浮かべて礼を言った。
国王は兵士たちを呼ぶ。そして、ティエラからの客人を部屋へ案内するよう言った。
「お待ちを、陛下」
とレイサルが口をはさんだ。「シャールコーラル姫は、私がご案内したく思います」
「うん? そうか。そうしなさいレイサル」
それでは、とレイサルはすっとシャールに手を差し出す。
シャールは内心げんなりしながら手を持ち上げた。レイサルは優雅にそれを取ると、
「エディ。先に失礼するよ」
とエディレイドに軽く手を挙げて見せ、シャールをつれて謁見の間を出た。
国王たちの視線から逃れると、ふっとどこかの気が抜けた。ふらりとよろけそうになって、思わずシャールはレイサルに寄りかかった。
すると再びの浮力――
王子は軽々とシャールを抱き上げて、颯爽と歩き出す。
シャールは小さくため息をついた。
「……レイサル王子。情けない姿をお見せして申し訳ございません」
「何をおっしゃっているのですか美しい姫君。お疲れなのは当然、こうやって寄りかかってくださるのはとても光栄なことです」
――この王子は自分よりいくつ歳上だったか――
シャールはうつろにそんなことを考えた。たしか、エディレイドより一つ歳上のはずだ。自分とは八つ違いになる。
しかしレイサルはシャールを子供扱いすることもなく、大切な宝物を抱えるような優しい腕で自分を抱いている。
本気で、この縁談を認めているのか……?
レイサルはエディレイドと比べると、明らかに活動的なタイプだった。だが、同時に頭も切れそうな青年だ。……ティエラの方が明らかに有利な縁組など、許しはしないと思うのだけれど。
いや。
この青年が認めているからこそ――この縁組は危険だ。
シャールはレイサルの胸に身を預けながら、ふと自分の親衛隊長のことを思った。
アンゼリスカ。若い頃の彼がレイネンドランドへ行っていた二年間の間以外、常に一緒にいた乳兄妹に、こうして抱き上げられたことは何度もあった。活動的な性質が仇となって、よく怪我をしたから。
アンゼリスカは無事だろうか……
腕の中で緩やかに揺られている内に、急激に視界がぐるぐると回り始めた。全身のだるさに重ねて、こみあげてくる嘔吐感。
「姫?」
レイサルが少女の異変に気づき声をかける。
それに返答することもできず、シャールは瞼を落とし――そのまま失神した。
ティエラ歴7702年、橙の三十五日に、ティエラ王族はレイネンドランド王城へと迎えられた。
「よく来たな」
城門で馬車から降りた彼らを出迎えてくれたのは、王子レイサルだった。
「やあ、レイサル」
エディレイドとレイサルは硬い握手をする。
エディレイドは続いて、
「紹介するよ。妹のシャールコーラルだ」
背後にいた妹に場所をゆずった。
レイサルはゆっくりと王女シャールコーラルに向き直る。
うやうやしくレイネンドランド式の礼をし、
「初めましてシャールコーラル姫。私がレイサル、この国の王子です」
「わざわざのお出迎えに加え、ご丁寧なご挨拶痛み入ります王子。私がシャールコーラル、ティエラの第一王女です」
シャールはレイネンドランド語を使い、淑女の礼で返す。馬車旅だったため今は礼儀を尽くした正規のドレス姿をしている。エディレイドも王族衣装を着こなし、またフレデリックやエディレイドの親衛隊たちも正規の制服を崩してはいなかった。
シャールの親衛隊は、フレデリック以外ついてきていない。シャールの親衛隊はエディレイドの親衛隊と違ってレイネンドランドの言葉に暗い。足手まといになりかねないからである。
シャールはきついドレスにため息をこぼす。
ビロードのドレスはスカートが三重になっていて重い。色彩はあざやかな赤と朱色、それらを飾る金銀の刺繍。
左胸にティエラの紋章たる、七色の輪――虹の輪が縫いとめられている。
ただでさえ体調がすぐれない彼女に、五日間の馬車の強行軍はつらかった。フレデリックに支えられているものの、足取りがおぼつかない。
そんな彼女にすっとレイサルが手を差し出す。
「姫、お手を。城までご案内致します」
「………」
断るのは失礼にあたるので、シャールは大人しく絹の手袋をした手を差し出す。
レイサルはその手を取ってから――シャールの顔をのぞきこみ、眉をひそめた。
「姫……事前に知らされてはおりましたが、随分とご気分がすぐれないようだ。失礼して」
ふわっと急に浮力がかかった。
え? と思ったときには、シャールはレイサルの腕に抱き上げられえていた。
「無礼をお許しください姫。ですがこの方が楽でしょう」
傍らでエディレイドやフレデリックたちがさすがに目を丸くする。
シャールは真っ赤になった。
「お、王子! 大丈夫です、自分で歩けます――」
「ご無理はなさらず」
平気な顔で、レイサルは歩き出した。
仕方なく、落ちないようシャールはレイサルに身を寄せた。
目の前に壮大な前階段が迫っていた。
前階段を昇ると、門。
門番がレイサルに敬礼し、門を開ける。
床に敷かれた絨毯に添って、ずらっと使用人たちが両側に並んでいた。それは仰々しくも見ごたえのある光景だった。
レイサルが絨毯の上を歩いていくにつれ、使用人たちが順に拝礼をしていく。
絨毯は階段をひとつ昇り、その先の扉につながっていた。
扉の両側にはやはり兵士が立っている。敬礼して扉を開けようとした兵士たちに、
「待て」
とレイサルは制止の声をかける。
兵士たちが戸惑いの色を見せた。レイサルは腕の中の少女の顔をのぞきこみ、
「……この先で陛下たちが待っているのですが、姫、今は挨拶などしている余裕はないでしょう」
「いいえ」
シャールは気合を入れて、はっきりと返答した。
「そんな無礼なことはしたくはありません。ご挨拶させてくださいませ。両足で立って」
それを聞いたレイサルが微笑んだ。
「では」
そっとシャールの足を絨毯の上に下ろし、ゆっくり立たせると、その手を取る。
「開けろ」
王子に命じられ、兵士たちが扉を開けた。
目の前に大広間が広がった。謁見の間――
レイサルにエスコートされ、前に進む。隣に、エディレイドが並ぶ。
玉座に、王と王妃、王女レイチェルが待っていた。
彼らの前にたどりつくと、エディレイドが一歩前に立った。
レイサルはシャールの手を離す。
エディレイドが丁重な礼を行った。それに従って、シャールもスカートの端を持ち上げ、御辞儀をした。
「レイネンドランド国王陛下、王妃殿下、王女殿下、このたび我らティエラ王族を迎え入れてくださり心から感謝致します――」
「久しいな、エディレイド殿」
レイネンドランド国王は、親しげにエディレイドに話しかけた。「息災でなによりだ」
「おかげさまでこのように元気に致しております」
ティエラ王子はもう一度礼を取ると、
「陛下方に紹介致します。妹、我がティエラ国第一王女シャールコーラルにございます」
シャールを視線で促した。
彼女はもう一度深々と御辞儀をすると、凛と背筋を伸ばした。
「御初にお目にかかります。ティエラ国王女シャールコーラルにございます。レイネンドランド国王陛下、王妃殿下、王女殿下におかれましては、御健勝喜ばしく存じます」
「そなたがシャールコーラル姫か。若い女性の身で長旅お疲れだろう」
「ご心配痛み入ります」
レイネンドランド王は、シャールたちの父王よりも歳を取っている分、軽い口調の中にも重厚さがある。
シャールたちの背後では、フレデリックやエディレイドの親衛隊が絨毯に片膝をついてこうべを垂れている。彼らには言葉をくれることなく、国王は「お二人の顔が見られたことを嬉しく思う」と破顔した。
「しかし挨拶はこれくらいにして、部屋に入られるといい。お疲れだろう――」
「お気遣いありがとうございます、陛下」
エディレイドは微笑みを浮かべて礼を言った。
国王は兵士たちを呼ぶ。そして、ティエラからの客人を部屋へ案内するよう言った。
「お待ちを、陛下」
とレイサルが口をはさんだ。「シャールコーラル姫は、私がご案内したく思います」
「うん? そうか。そうしなさいレイサル」
それでは、とレイサルはすっとシャールに手を差し出す。
シャールは内心げんなりしながら手を持ち上げた。レイサルは優雅にそれを取ると、
「エディ。先に失礼するよ」
とエディレイドに軽く手を挙げて見せ、シャールをつれて謁見の間を出た。
国王たちの視線から逃れると、ふっとどこかの気が抜けた。ふらりとよろけそうになって、思わずシャールはレイサルに寄りかかった。
すると再びの浮力――
王子は軽々とシャールを抱き上げて、颯爽と歩き出す。
シャールは小さくため息をついた。
「……レイサル王子。情けない姿をお見せして申し訳ございません」
「何をおっしゃっているのですか美しい姫君。お疲れなのは当然、こうやって寄りかかってくださるのはとても光栄なことです」
――この王子は自分よりいくつ歳上だったか――
シャールはうつろにそんなことを考えた。たしか、エディレイドより一つ歳上のはずだ。自分とは八つ違いになる。
しかしレイサルはシャールを子供扱いすることもなく、大切な宝物を抱えるような優しい腕で自分を抱いている。
本気で、この縁談を認めているのか……?
レイサルはエディレイドと比べると、明らかに活動的なタイプだった。だが、同時に頭も切れそうな青年だ。……ティエラの方が明らかに有利な縁組など、許しはしないと思うのだけれど。
いや。
この青年が認めているからこそ――この縁組は危険だ。
シャールはレイサルの胸に身を預けながら、ふと自分の親衛隊長のことを思った。
アンゼリスカ。若い頃の彼がレイネンドランドへ行っていた二年間の間以外、常に一緒にいた乳兄妹に、こうして抱き上げられたことは何度もあった。活動的な性質が仇となって、よく怪我をしたから。
アンゼリスカは無事だろうか……
腕の中で緩やかに揺られている内に、急激に視界がぐるぐると回り始めた。全身のだるさに重ねて、こみあげてくる嘔吐感。
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