アーテ王女の冒険における奇跡をおこなう国 すなわち「人間」・大学・企業および社会システム 社会システムの一般放送関係批判1

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第五章其の三

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 デイスナーのアーテ王女

 朝。洗面。洗髪。食事。
 食事が済むと、すぐにジルがアーテ王女のもとを訪れた。
「いい、アーテ。特訓よ。あたしがあなたを一人前のデイスナーにしてみせる。きて。」
 そういうと、ジルは、アーテ王女を町の広場につれていった。
「本来」
 と、ジルは講釈を述べたてた。
「魔導師とは、炎、氷、かみなり、風、土、水、いずれかの魔術を極め、その専門家となることによって、その力を発揮するものです。もちろんこれ以外にも、闇、光の属性を持つ魔術はありますが、基本はこの六種、炎、氷、かみなり、風、土、水。本来魔導師は、ひとつの専門家になると、他の魔法を犠牲にするといわれ、その効果を百パーセント引き出すことは出来ないとされています。百パーセント引き出すことが出来ないとは、ある魔術を得意とする魔導師に対しては、同じ魔術での攻撃効果が半減、あるいは激減してしまうことを言います。しかし、ある、かぎられた魔導師によって、その、六つの魔術の法則を、超える力を持つ魔術を生み出す力をもつことが出来るといわれ、事実、そうした魔導師は存在しましたし、また、存在します。それが、デイスナー、または、ダブリンと呼ばれる魔導師、有名なデイスナー、魔導師としては、ハル・デーモンド、ミザック・カールソン、レイ・バードンなどの魔導師が存在しましたが、この才能は希少で今ではほとんどの魔術学校で、デイスナー、またはダブリンになるような逸材を育てようというこころみは捨て去られています。無駄だからです。本当に希少なの。だから、それなら力と労力の無駄遣いをせず、ひとつの魔術の専門家にする教育が、今の魔術学校では主流になっています。アーテ。あなたは、それになろうとしているのよ、本当に大丈夫?」
「?」
「頼りないわね、できる、の、一言でも、頂戴よ」
 しかし、ジルは、気を取り直して、
「ではさっそくはじめましょう。デイスナー専門課程、講師はこのわたし、ジル・バックナー。どう? きまっているでしょう」
「・・・・・・・・・・・・」
「でははじめましょう。デイスナー・・・・・・」と、ジルははなしをきって、「あなた、フルネームはなんていうの?」
 アーテ王女は教えてあげた。
「それでははじめましょう。デイスナー、アーテ・フォン・スベロヴィンスキー」
「・・・・・・・・・・・・」
 アーテ王女はジルののりのおかしさに少々戸惑った。
「あらなに? こんな教師じゃ不安だって? 大丈夫。あたしはこれでもヘルショット観戦歴五年の大物よ、ヘルショットのことなら知り尽くしているわ」
「・・・・・・・・・・・・」
「まずは、あなたの苦手な魔術から、鍛えていくことにするわ、いい? まずはそのためいかづち、いかづちの魔術は、ほとんどの人が、苦手とする分野で、習得すれば、大きな武器になることは請け合い。いいわね、それじゃ」
 と、ジルは、棒切れをとって広場の真ん中に突き立てると、
「何をおいてもいかづちの魔術に求められるのは、命中率なの。手から直接飛ばすタイプの多い氷や炎、風、水の魔術に比べて、いかづちは天の神様からの授かりもの、そのため落下地点にうまいこと、敵を置かないとしょうがないわけよ」
「・・・・・・・・・・・・」
 アーテ王女は狙いを定めた。
 いかづち出でよ。
 アーテ王女が念じると、かみなりは、突如棒切れの頭上に飛来し、

 ががん

「惜しい、もう少し左。でもいいわ、あなた、なかなかいい勘しているわね。もう一度やってみて」

 ががん

「もう一度」

 ががん

「もう一度」

 ががん

「いいわ、あなたなかなかできるじゃない、威力は魔力を挙げる訓練をして、まかなうとして、命中のほうは、ずいぶんできるみたい。それじゃあ、今度はあなた、氷の魔術は生得的に出来るみたいだから、炎の魔術に移りましょう・・・・・・」

 アーテ王女の日々は、そのようにすぎていった。
 朝、洗面を済ませ、朝食をとると、それから魔術の練習に励んだ。
 ジルは、魔術は使えないが、教師としての知識はもちろん経験も持ち合わせていて、アーテ王女の知らないことならすべて、答えてくれた。
 アーテ王女はいい素材であった。
 訓練を積み重ねると、それにともなってどんどん魔力を挙げ、そうしてデイスナーへの階段をのぼっていった。
 図書館での勉強も、魔術の力を強めるのに効果があった。
 すなわち、古代の魔術を召還するすべを、学んだのである。
 アペレスロ・デスペ・パラキア(氷)。
 パラロイソ・デラ・バーンド・パラナイソ(光)。
 ペラ・カーン・デソナ・パライア(火)。
 これらはみな、古代の魔術であって、アーテ王女は徐々に、そうした魔術を覚えていった。また、自身の魔術に、名前をつけはじめたのが、このころである。そうしたほうが、魔術を召還しやすいという、ジルからの推薦であった。
 ベグ(火)。
 トール(氷)。
 ラント(いかずち)。
 ホーク(風)
 ドン(土)
 ヒュン(水)
 ハン(光)。
 ムーン(闇)
 アーテ王女は魔術をどんどんおぼえていった。そうして、徐々に、秘密兵器さえ、備えるようになっていった。すなわち、デイスナーの特権、合成魔術である。二種類以上の魔術を組み合わせて召還し、敵に攻撃する。そのすべを、アーテ王女は身につけたのである。
 これにはジルも舌を巻いた。
「あんたにこれほどの魔術能力があったなんて、不思議ね、あたしはまた、あんたがデイスナーを挫折して、氷魔使いにでもなると、おもっていたわ」
 しかし、アーテ王女は挫折しなかった、しなかったどころか、ジルの予想をはるかに超える成果を日に日に残していった。
 アーテ王女には才能があった。
 防御魔術も覚えたし、回復魔術もおぼえた。
 アーテ王女の魔術の才能が、千年に一度現れるか現れないかぐらいにジルにもおもわれたころ、アーテ王女の魔術は、完成に向かった。
 そうしたある日。
「試合の日程が決まったわ」
 ジルがいった。
「五日後のトーナメントに、あなたを推薦しておいた。結果はまだ来ないけど、たぶんその日、あんたの初の実戦になるとおもうから、注意しておいて」
「・・・・・・・・・・・・」
「大丈夫。あなたはよくやった。きっといい成績を残せるから。初の実戦は誰だって緊張するものよ、大丈夫、リラックス、リラックスして、アーテ」
「・・・・・・・・・・・・」
 魔術で戦う、たしかにいくばくかの魔術は体得したアーテ王女であったが不安は残されていた。人と、魔術によって戦う。人に向けてもいいものなのだろうか、魔術。しかし、向けなければ勝てない・・・・・・。アーテ王女ははじめての実戦で、それを試したいとおもっていたし、また、機会があれば、魔術を、いい方向に使いたいともおもっていた。しかし、人に向けるとなると、話は別である。アーテ王女には、戦う自信がなかった。かぼちゃとおもう、それはあがったときの対処法。魔術についてのものではありえなかった。

 東の森の魔女

 朝、洗面、朝食。特訓。
 アーテ王女がそうした特訓の日々をすごしていると、アーテ王女は東の森にいるという魔女のことを思い出した。そういえば、そこにもいってみなくてはならないだろう。一体何が待っているのか知らないが、伝説の竜王のいち例もある。一度いって、みてきたほうがいいのではあるまいか。もしかしたら、アーテ王女が家に帰り着く手助けになるのかも知れない。それに、試合前に、いい気分転換になる。お弁当をもって、出かけてみよう。
 しかし、おもったのはお昼を過ぎたころである。
 いく。
 しかし、それは翌朝の話。
 ジルに相談すると、
「いいんじゃない。何があるか、探検だ、見届けてくるといいよ」
 何があるのか、見て来ようではないか。そういうことで、話はまとまった。
 アーテ王女はいつもより、一時間早く起きて、洗面、朝食をとると。
 お弁当を作って、それをかばんの中につめると、荷物をまとめ、出発した。
 東の森には、この世を征服しようとして、失敗し、・・・・・・に、酸の地獄に閉じ込められた伝説の魔導師がいるという? ・・・・・・。
 アーテ王女は東の森に何があるのか知らなかった。
 化け物がいる?
 しかし、アーテ王女だって、魔術をいくらも学んだ身、そう簡単にはやられない。
 アーテ王女が町をでて、コンパスに従って東に進路をとると、森は町のすぐそばに、迫っていた。
 中は、薄暗く、まるで昼間でも、夜のようである。
 一歩、足を踏み入れる、いったいなにが、アーテ王女を待っているのだろう。
 アーテ王女がおもったのは、至極単純なことである。
 どこを目指せばいいのだろう。
 どこにも目指すべき指標は、森にはない。
 アーテ王女がおもっていると、勘に頼ろうということだった。
 勘。
 とはいっても、魔導師としての、アーテ王女の勘である。
 きっとアーテ王女の勘は、アーテ王女をあるべき方向へ連れて行ってくれるだろう。
 アーテ王女がおもっていると、それは突然のことだった。
 なんだかわからない獣が、アーテ王女に飛び掛ってきたのである。
 アーテ王女が身をかわすに必死になっていると、

 がるるっ

 獣はアーテ王女に二の太刀を浴びせた。
 アーテ王女は冷静にも呪文を演唱した。
 土の力、大地の閃き。
「thertumunt yugmunndo gurramras!!!(ザルツムント・ユグムンド・グラームラス)」
 土の剣よ、われを助けよ。

 課金

 小気味いい音がした。
魔獣の牙から、アーテ王女を、地中から召還した剣がまもったのである。
 つるぎが消える。
 向き直ってみると、アーテ王女を襲った敵は、牙にサーベルを持ったトラだった。
 サーベルタイガー?
 しかし、トラは、まだ、獲物を。アーテ王女をあきらめてはいない。
 アーテ王女は再び呪文を演唱した。
「herrberr fghn dra rakashasuraru !!!(ヘルベルト・フォン・ドラ・ラカーシャルスラル)」
 かつて存在した、伝説の魔導師の名前である。
 名前が、魔術になった。
 同時に手を、前に突き出した。
 炎の塊が、サーベルウルフを包み込む。

 ぼうぼう。

 トラは、炎に包まれると、熱いのか、幾度も地面に寝転がり。
アーテ王女の放った炎に動揺したのか、どこへともなく逃げていった。
 戦いにかった。
 すごい。
 アーテ王女がトラと戦っておもった感想がそれだった。
 アーテ王女は自身の力に感服した。
 王女、あなたできるじゃない。
 アーテ王女は勢いいさんで森の中を歩いていった。
 すると、どういうわけか。
 動物の気配がない。

 こっちへおいで

「・・・・・・・・・・・・」
 動物たち、魔獣たちはアーテ王女の力に恐れ入ったのか、それ以上、とにかく姿を見せえる様子はなかった。
 アーテ王女は森の中を歩く。
 さまようと、そのようにいったほうがよったかもしれない。
 とにかくアーテ王女は森の中をすすんでいった。
 すると、目の前に、獣道だろうか。なにやら人が歩ける痕跡を発見した。
 こっちに進めとそういうのだろうか、道よ。

 こっちへおいで

「?」
 アーテ王女がそれにともなって歩いていくと、目の前に、今度はなにやら人が住んでいる痕跡を見つけた。
 煙突がたっているのか、目の先から、なにやらけむりがあがっているのである。

 こっちへおいで

 アーテ王女が近づくと、それは家であるらしいことがわかった。
 誰の家だろう。
 魔女?
 しかし、魔女は森の中の酸の海の中に閉じ込められたのであり、決して話では、家を立てて住んでいるというものではなかった。
 アーテ王女は家に近づいた。
 アーテ王女が扱いに悩んでいると、家のなかからなにやら人らしい影が、出現した。人がでてきた。
 おばあさんである。
 どうなっているんだろうか。
 人影は、アーテ王女にきがついた。
「あれま。なんだろう。これは人け? こんなさところにどげんしとるんだべ」
 どこの地方の人だろう。アーテ王女が困っていると、
(あんたは誰だね。そうか、アーテ王女というか、それはいいなるほど、ここには伝説の魔女をさがしに来たと、そういうことかい。いいだろう。あわせてあげる。それがこのわたしだ。わたしはあなたとおんなじ魔導師だ。だからこうして頭の中に直接話しかけている。まあいい、どうだい、家の中にはいってはみないかい?)
 そういうと、いや、おもうと、おばあさんの人影は、家の中に消えていった。
 アーテ王女が扱いに困っていると、
「早くはいんな」
「・・・・・・・・・・・・」
 アーテ王女はそれにしたがった。
 中にはいると、魔女、いや、おばあさんの魔導師は、なにやら鍋に取り掛かっていて、
「今お茶を入れてあげるからね」
 といって、アーテ王女を待たせた。
「・・・・・・・・・・・・」
「座っていいよ」
 アーテ王女は従った。
 すると、おばあさんは、なにやら台所のほうへ消えていき、戻ってきたときには、ティーカップとポットを手に持っていた。
「さあどうぞ」
 おばあさんの魔導師は、アーテ王女の前に、ティーカップと小皿を置くと、勢いよく、カップにお茶を注いだ。
 おばあさんの魔導師はそうしておいて、自身のカップにもお茶を注ぐと、
「よいしょ」
 アーテ王女の前の席にすわった。
「で」
 とおばあさんの魔導師はアーテ王女に。
「何をしにきたんだい? まさか、あんたお茶を飲みにここに来たわけじゃないだろう?」
 アーテ王女は答えに窮した。
 何をしにきた。
 あなたに会いに来た。
 しかし、うまくそのことが伝えられず。
「観光? 観光にこの場所にきたというのかい? それはいい、いや、けっさくだ、ははは、まさかこんな婆を見学に、やってくるものがいるなんて、ははは」
「・・・・・・・・・・・・」
 本当のことをはなそうか、しかし、それをきいて、何かおかしな展開になったらいやだ。つかまるとか。
(なんだってきいていいんだよ、ここにいるのはあんたとあたし、たった二人だ。誰も盗み聞きなんかしちゃいない、ききたいことがあったら、お聞きなさい)
 アーテ王女はそれをしんじて。
 おばあさんは世界を征服しようとして・・・・・・に敗北して、そうしてここに閉じこめれたんですか?
 それから、・・・・・・とはなに?
「征服? 話がそういうことになっているのかい? まあ、まあ。それよりも、今はあんたの知らんければならないことがあるだろう。あたしのことは後回しだ。もちろん、あたしの身の上は、あんたの今後に、密接にかかわってくることだけど・・・・・」
 それで、アーテ王女は質問をかえた。
「鏡? 鏡。かがみ。鏡をとおして、この世界に来て、そのかえり方がわからなくって窮している、そういうことかい。なんだ、ばかだね。あんた、それは鏡の意味が違っているよ、あんたがとおってきた鏡とは、決して別世界にあんたを飛ばす道具ではありえない。あんたが入ってきた鏡とは、遠くと遠くをつなぐ糸、ワープゾーンだよ。違う地点から、違う地点へ、あんたはやってきたさ。かえることが出来なくても。おかしくない。だって、あんた生まれたところから、ずっと遠くへやってきてしまったんだもの」
「・・・・・・・・・・・・」
 そうだったのか、自分ははじめから、違う世界にやってきてしまったのだとばかりおもっていた。それが、違ったのか。アーテ王女は目からうろこが落ちるおもいだった。
 ひとつなぎの世界。それが、アーテ王女のやってきた世界だったのである。
「要するに、こういうことだろう? あんたははじめに決め付けてしまったんだ。この世界に、魔術が存在する世界などない、だから、ここは不思議な世界だと、違うかい?」
 いや、魔術の存在を知ったのは、ずいぶんあと、それ以前から、なにやら自分の常識が通用しない世界だとおもって、不思議な鏡の世界なのかな、と、おもってしまいました。
「それはあんたが井の中の蛙だったということだ。あるんだよ、ちゃーんと、この世には、魔術を使うことが出来る、常識を圧倒する世界が」
 そのようです。
 それではどうしたらわたしは帰れるのでしょうか?
「方法はいくつかある。もちろん歩いて帰るなんて方法もあるけれど、汽車に乗ったりしてね、しかし残念がながらあんたの住んでいた長橋の国というところは」
 と、おばあさんの魔導師は、たちあがってなにやら書架を調べると、本を一冊取り出して、読み始めた。
「やっぱり、ない、ないね。この、世界国名辞典にはあんたの探している長橋国という国は書いてはいない」
「・・・・・・・・・・・・」
 それではわたしはどうすればいいのでしょうか
「困ったね、あんたの住んでいた場所は、どうやら本当に、辺鄙なところだったらしい。帰る。そのほうほうのね。・・・・・・何か、ほかに手がかりになりそうなことはないかね? どういう地形だったとか、どういう町が、近くにあっただとか」
 アーテ王女が考えていると、
「あんた、竜王に出会ったのかい?」
 そうですが。
「その竜王から、鏡を授けられなかったかい?」
 そうですが。
「では話は簡単だ、その鏡が、まばゆい光を発したときに、その鏡の中にはいることがで出来れば、あんたの生還は成功される。問題は、どのように、その鏡を光らせるということさ」
「・・・・・・・・・・・・」
 光る?
 だけど、手鏡には、鏡の表面すら、乗ってはいないんですよ。
「それは、『何も映さざるかがみ』。教わっただろう? 竜王に。それはあんたの真実を写し出すかがみさあんたが、よりこの世の真実にちかづけば、あんたはその鏡を通してもといた場所にもとどれると、そういうことさ」
 どうしたら、光るのでしょう。
「それはわたしにもわからない。ただ、いえるのは、あんたの使命さ。あんたに与えられた使命があんたの鏡を光らせると、そういうことさ」
「・・・・・・・・・・・・」
 わたしの使命って?
「それも、わたしにはわからない。いや、それはあんたが自分自身探すことだ。人から聞くべきことじゃない」
「・・・・・・・・・・・・」
「探すことだね、答えは以外と身近にあるもんだよ。あんたが日常に行なっていることが、重要なことだったりする。それをしっかりと見て、そうして考え、行動し、自身の未来を創造するのさ」
 最後におしえて。
 おばあさんを閉じ込めた・・・・・・とはなに?
「そうか、やはり知りたいかい、あいつらのせいで、あたしはこんな森の中でしか、生活することができなくなってしまったんだ。しかし、いいのかい? もしも知ったら、二度とはもとの生活には戻れなくなるよ、あんたは、あんたの運命へと、向かっていくことになるそういうわけさ。聴きたいかい? ・・・・・・が、何ものか」
 でも、それを知らないと、家には帰らないんでしょう?
「そうだね。しかし、・・・・・・は、あんたが日常を生きていれば、必ずやってくる存在さ。聞くほどのものではない。いや、実はあたしもこわくてね。容易にその言葉を口にすることが出来ない。何しろ、あたしをこんな森の中に閉じ込めたのは、・・・・・・なんだから、ちょうど、いまから千九百年前にあたる、あんた、そんなことを知りたいのかい?」
 できれば、自身に関係することはすべて知っておきたいアーテ王女であった。
 すると、おばあさんの魔導師はあっさりそれを話した。
「四人の魔導師がいる、それが、この世界を支配しているんだ。彼らが、女もいるが、この世界から、笑い、怒り、悲しみ、あらゆる感情をうばった。そうして人々はこの、無味乾燥とした世界で、生きることを余儀なくさえたのさ。あわないのもいた。その秩序が。そうした人々は、この『奇跡を行う国』を逃げ出すか、あるいは牢獄に収監されることになった、奈落の世界はそのひとつさ。それ以外にも、重要な政治犯を収監しておく監獄のようなものも作られた。ようは、恐怖政治さ。人々を、収監と、処刑の恐怖によって統制し、管理する、そうして自身の秩序を形成した、それが、四人の魔導師だ」
「・・・・・・・・・・・・」
「今までに、幾多の魔導師が、その秩序をくつがえし、人々を盲目の牢獄から助け出そうと、かんがえた。しかし、それは叶わなかった。相当強力な魔導師でね、彼らは、この世界では、やつらの魔術に打ち勝つものはいなかったのさ」
「・・・・・・・・・・・・」
「かくゆうあたしも、そうだった。あたしはいまから千九百年前に、かれらに挑んで、負けた。それだから、この、魔方陣であたしの魔術を抑える力を持った、魔方陣のある森で、生活することを余儀なくされたのさ。でられないんだよ、外には、魔術が働いていてね」
 倒せないの?
「馬鹿な、あたしにさえも、敵わなかったのよ、あんたみたいな小娘に、やつらが倒せるわけがない、やめておくことだね。自分のいるべき場所に戻りなさい、そうして、目立たぬように生きていく、元の世界に戻るのも、あきらめたほうがいいかもね」
 だけど、竜王はわたしに使命を果たせといいました。
 わたしはその使命を果たさなくてはならない。
 勇者。
 そうです、わたしは勇者なんです。
「忘れることだ、しゃれにならない。あんたなんて、あいつらにかかったら、指先でひょいさ。死ぬよ、本当に、あるいは地獄の収監で、苦しみの中、生きるのさ」
 でもわたしはデイスナー。
 あらゆる魔力を最大限に引き出せる。
「引き出せるといっても、たかが知れている。魔力の絶対量があんたと、あの、魔導師たちとでは比較にならない」
 だけど、わたしは家に帰りたい、そのためには、戦うしかない。
「強情な子だね。いいだろう、ちいさなデイスナー。あたしが見てあげよう、あんたの魔術の力が、どれほどのものなのか」
 そういうと、おばあさんは立ち上がり、外に向かって歩き始めた。
「おいで」
 といわれて、アーテ王女も外にでると。
「あの木が見えるかい? あれを、あんたの魔術で倒してごらん」
 木?
 目の前に、一本ほかからよけられた木が、立っていた。
 あれを倒す。
 アーテ王女はその木から少し離れたところにたった。
空を見上げた。
念じた。
 いかづち、炎、黒い太陽よ。
 アーテ王女の手に、魔法が演唱された。
それを。
 合体。
 両手で握り締め。
 空閃、黒火。
「ranto-runndo beguras moon la thika!!!(ラントルンド・ベグラスト・ムーン・ラ・ティカ)」
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