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第五章 観季
第六十八話:マルニィ2
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マルニィと私は、それから仲良しになった。
マルニィは決して友達が居ないわけではない。この性格なので、みんなに好かれていた。みんなと今まで通り仲良くしながら、私とも仲良く付き合っているのだ。でも、そんなマルニィに陰口をたたく者も少なからずいた。それは、私と仲良くなる事で、自分や家が好い目をみようとしているんだろうというものだ。それは私が今まで私に関わろうとする者が抱いていた感情だ。マルニィは、そんな事思っていない。それは私が一番よく知っている。マルニィが、こんな中傷を受ける事が腹立たしく、また申し訳なかった。
ぷすっ
マルニィにいきなりほっぺたを指で刺された。
「マルニィ、痛いです。」
軽く抗議すると、丸い顔に満面の笑みを浮かべて
「そんな暗い顔していると、幸せさんが近寄り難くなるよ。」
幸せさんってなによ。この子の言い回しはいつも面白い。わざと子供っぽい言い回しをする。それがまた、私を和ませるんだ。
ふと、周りを見回す。私達が仲良くしているところを見て、周りがいろいろ云ってないかが気になった。そんな私の動きを察したのか
「わたしは気にしないよ。周りは周りなりにいろいろと想いがあるから。」
そう云って笑った。
この子は察しが良い。私はダメだなあ。人の心が読めても、結局のところ、それをどう消化するかなんだろうなと、マルニィを見ていたら思う。自分の右手を見つめながら、意味も無くにぎにぎと指を動かしていた。
「はぁ…」
ため息が出た。また、マルニィに幸せさんが逃げるとか云われる。そういえば、こっちの世界に来てから、同じ言い伝えがあって驚いた事を思い出した。
私にとって一年で一番嫌な日。
私の誕生日がやって来た。
この日は、皆がこぞって挨拶に来る。来たくなくても来る。嘘の笑みを振りまきながら。そう云う私も、嘘の笑みで返さざるを得ない。拒否したりしたら大変。即座に国中に噂が拡がる。ニーナ姫は不遜だとか、なんとか家と王室の間に確執があるのでは? という具合だ。自分の行動、言葉一つで国中にがざわざわし、いろんな家に迷惑をかける事になる。
憂鬱だ。さつそく朝から教室でみんながぞろぞろと並びながら挨拶を始めた。とりあえずの笑みを浮かべて返している自分がすごく馬鹿に見える。でも、爺様曰く、それが私の仕事らしい。私は爺様が好きだ。だから、爺様の云う事はよくきいた。さすがにこれは、辛かったけど。
マルニィは、どうするのだろうかと、興味があったけど、彼女は朝、学校に来なかった。どうしたのかな? 病気でもしたのかと、心配になった。
授業が始まって程なくして、マルニィがやって来た。寝坊でもしたのか、遅刻だった。病気という感じではなく、元気そうに教室に入って来たから安心した。教師に平謝りして、彼女は自分の席に着いた。
休憩時間にマルニィは、やって来た。誕生日のお祝いの挨拶かと思ったら違った。
「ニーナちゃん、放課後時間取れる?」
そう眼を輝かせながら、身を乗り出すように詰め寄って来たから、思わずのけ反ってしまった。
「あ、うん。時間あるけど。夜までに城に帰れたらいいから。」
のけ反りながら返事をして、マルニィの様子を覗った。この日のこの発言だから、私の誕生日のお祝いに関する事なんだろうという予想はたった。
「やった!」
心底嬉しそうに、彼女はくるくると回って喜んだ。3回転ぐらいしただろうか? その姿を見ていると、また、私の心は和んだ。
そして放課後、マルニィに付いて行き、学校からだいぶん離れた山に登った。結構しんどかったが、マルニィは涼しい顔でずんずんと登っていた。彼女は運動神経はよくないけど、力は強そうだった。一国の姫が弱音を吐けない、という変な見栄で、私は平気なふりをして付いて登っていた。
「ごめんね。もうすぐ着くから頑張って。」
マルニィには、バレバレだったようだった。走る速さなら負けないんだけどなあっと、負け惜しみをついつい呟くと、彼女は、カラカラと笑った。
「ニーナちゃん、足速いもんね。」
彼女は別段、嫌な感情もなく、むしろ羨ましい感じで応えた。
「ほら、着いたよ!」
着いた場所は、小高い山の中腹あたりにある出っ張った崖で、そこから湖が一望できた。ここから見える湖は広く、向こう側の陸地は見えなかった。この国に湖がある事は知っていたけど、まだ一度も来た事は無かった。ほとんど整備されていない放置されている様な湖で、観光地では無かった。
時間はちょうど陽が傾き、このまま湖に沈んで行くのを真正面に見れる場所だった。
「ニーナちゃん、もっといい場所があるの。今から飛ばすから、飛んだ後、しばらくじっとしててね。危ないから。」
「え? え?」
飛ばす? ってなに? 危ないの? 上手く言葉に出来ずにまごまごしてると、マルニィは手を掴んで来た。
え? と思った瞬間、自分の眼に何が映っているのか理解するのに時間がかかった。マルニィの顔が消えて、これは、なに?
ようやく頭が追い付いて、それが木で出来た床にである事が解った。彼女の言い付け通り、じっとしたまま周りを見渡すと、どうやら、木で創られた小さい小屋の中の様だった。遠く下の方からマルニィの声が聴こえた。
「ニーナちゃん、大丈夫?」
なんでそんなに遠く聴こえるのか? なんで下から聴こえるのか? 疑問を解消する為、小屋の窓の方に歩いて、窓を開け下を見た。
かなり下の方からこちらを見上げて手を振っているマルニィが居た。
えっと、ここは何処?
マルニィは決して友達が居ないわけではない。この性格なので、みんなに好かれていた。みんなと今まで通り仲良くしながら、私とも仲良く付き合っているのだ。でも、そんなマルニィに陰口をたたく者も少なからずいた。それは、私と仲良くなる事で、自分や家が好い目をみようとしているんだろうというものだ。それは私が今まで私に関わろうとする者が抱いていた感情だ。マルニィは、そんな事思っていない。それは私が一番よく知っている。マルニィが、こんな中傷を受ける事が腹立たしく、また申し訳なかった。
ぷすっ
マルニィにいきなりほっぺたを指で刺された。
「マルニィ、痛いです。」
軽く抗議すると、丸い顔に満面の笑みを浮かべて
「そんな暗い顔していると、幸せさんが近寄り難くなるよ。」
幸せさんってなによ。この子の言い回しはいつも面白い。わざと子供っぽい言い回しをする。それがまた、私を和ませるんだ。
ふと、周りを見回す。私達が仲良くしているところを見て、周りがいろいろ云ってないかが気になった。そんな私の動きを察したのか
「わたしは気にしないよ。周りは周りなりにいろいろと想いがあるから。」
そう云って笑った。
この子は察しが良い。私はダメだなあ。人の心が読めても、結局のところ、それをどう消化するかなんだろうなと、マルニィを見ていたら思う。自分の右手を見つめながら、意味も無くにぎにぎと指を動かしていた。
「はぁ…」
ため息が出た。また、マルニィに幸せさんが逃げるとか云われる。そういえば、こっちの世界に来てから、同じ言い伝えがあって驚いた事を思い出した。
私にとって一年で一番嫌な日。
私の誕生日がやって来た。
この日は、皆がこぞって挨拶に来る。来たくなくても来る。嘘の笑みを振りまきながら。そう云う私も、嘘の笑みで返さざるを得ない。拒否したりしたら大変。即座に国中に噂が拡がる。ニーナ姫は不遜だとか、なんとか家と王室の間に確執があるのでは? という具合だ。自分の行動、言葉一つで国中にがざわざわし、いろんな家に迷惑をかける事になる。
憂鬱だ。さつそく朝から教室でみんながぞろぞろと並びながら挨拶を始めた。とりあえずの笑みを浮かべて返している自分がすごく馬鹿に見える。でも、爺様曰く、それが私の仕事らしい。私は爺様が好きだ。だから、爺様の云う事はよくきいた。さすがにこれは、辛かったけど。
マルニィは、どうするのだろうかと、興味があったけど、彼女は朝、学校に来なかった。どうしたのかな? 病気でもしたのかと、心配になった。
授業が始まって程なくして、マルニィがやって来た。寝坊でもしたのか、遅刻だった。病気という感じではなく、元気そうに教室に入って来たから安心した。教師に平謝りして、彼女は自分の席に着いた。
休憩時間にマルニィは、やって来た。誕生日のお祝いの挨拶かと思ったら違った。
「ニーナちゃん、放課後時間取れる?」
そう眼を輝かせながら、身を乗り出すように詰め寄って来たから、思わずのけ反ってしまった。
「あ、うん。時間あるけど。夜までに城に帰れたらいいから。」
のけ反りながら返事をして、マルニィの様子を覗った。この日のこの発言だから、私の誕生日のお祝いに関する事なんだろうという予想はたった。
「やった!」
心底嬉しそうに、彼女はくるくると回って喜んだ。3回転ぐらいしただろうか? その姿を見ていると、また、私の心は和んだ。
そして放課後、マルニィに付いて行き、学校からだいぶん離れた山に登った。結構しんどかったが、マルニィは涼しい顔でずんずんと登っていた。彼女は運動神経はよくないけど、力は強そうだった。一国の姫が弱音を吐けない、という変な見栄で、私は平気なふりをして付いて登っていた。
「ごめんね。もうすぐ着くから頑張って。」
マルニィには、バレバレだったようだった。走る速さなら負けないんだけどなあっと、負け惜しみをついつい呟くと、彼女は、カラカラと笑った。
「ニーナちゃん、足速いもんね。」
彼女は別段、嫌な感情もなく、むしろ羨ましい感じで応えた。
「ほら、着いたよ!」
着いた場所は、小高い山の中腹あたりにある出っ張った崖で、そこから湖が一望できた。ここから見える湖は広く、向こう側の陸地は見えなかった。この国に湖がある事は知っていたけど、まだ一度も来た事は無かった。ほとんど整備されていない放置されている様な湖で、観光地では無かった。
時間はちょうど陽が傾き、このまま湖に沈んで行くのを真正面に見れる場所だった。
「ニーナちゃん、もっといい場所があるの。今から飛ばすから、飛んだ後、しばらくじっとしててね。危ないから。」
「え? え?」
飛ばす? ってなに? 危ないの? 上手く言葉に出来ずにまごまごしてると、マルニィは手を掴んで来た。
え? と思った瞬間、自分の眼に何が映っているのか理解するのに時間がかかった。マルニィの顔が消えて、これは、なに?
ようやく頭が追い付いて、それが木で出来た床にである事が解った。彼女の言い付け通り、じっとしたまま周りを見渡すと、どうやら、木で創られた小さい小屋の中の様だった。遠く下の方からマルニィの声が聴こえた。
「ニーナちゃん、大丈夫?」
なんでそんなに遠く聴こえるのか? なんで下から聴こえるのか? 疑問を解消する為、小屋の窓の方に歩いて、窓を開け下を見た。
かなり下の方からこちらを見上げて手を振っているマルニィが居た。
えっと、ここは何処?
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