王様のナミダ

白雨あめ

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その扉の先は3

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悠の不気味な笑顔から視線をそらし、太陽くんを見る。

太陽くんの目に俺は映らない。
彼は、会長を見ているから。

「り、りくっ! これが俺のほんとの姿なんだ!! 今まで隠しててごめんっ。でもおれっ。ほんとにりくが好きだから!」

黒いウィッグと、分厚い眼鏡。
黒のカラーコンタクトが涙とながれていた。
太陽くんは、もう別人にしか見えない。


「俺、りくが好きなんだ!! だからりくも俺のことっ!!」


少しの不安と、少しの自信が混じった言葉に、会長は小さく眉をしかめる。


「何を勘違いしてんのかしらねぇが、俺はお前のことなんて好きじゃねぇ。」

「ぇ、なっ......!」

「俺が好きなのは、」


ーー瞬間。
重なる視線に、手をぎゅと握られる。



「俺が好きなのは、こいつだ。」



ほんのり赤く染まった頬に、言い様のない愛しさが募る。


「え、な、何言ってるんだよ! りくが好きなのは俺だろ!!」


目に見えて動揺する太陽くんに、俺の手を握る力を強く会長。


「なんでだよ!? 俺、りくのことが好きなのに!! なんでりくは俺のことっ」

「......太陽。」

理解できないとばかりに頭を抱える太陽くんの腕を掴んだのは、今まで空気とばかりに存在感を消していた副会長で。

あれ、副会長いままでどこにいたんだろう。

太陽くんと会長のことばっかりで、副会長のことを忘れていた。

「太陽。聞いたでしょう? 会長はあなたを好きではないんです。」 

「そんなわけない!! だって! 俺が好きなんだっ。俺が好きものは、俺のことも好きに」

「太陽っ!」

「......っ、」

副会長は本物の笑顔を消して、太陽くんを見る。
太陽くんに対して、あんなに鋭い声を出す副会長を見るのは初めてかもしれない。


「で、でもっ。俺はっ......!」

「聞き分けなさい。」


ぴしゃり、と。それでいて優しく。
うずくまる太陽くんの髪をすく副会長は、今まで見てきたなかで一番優しくみえた。


だけど、俺にはそれよりも。

あの太陽くんが、あんなに落ちこんでいるのが酷く気になって。


太陽くんが、完全に顔を伏せたのと同時。立ち上がった副会長は、その顔を少ししかめて俺たちの後ろ。悠たちへと視線を......、

............ん、あれ。悠がいない。


「神崎くん。そういうことですので。太陽は私がしっかり監視します。」


え、監視?

副会長からいきなり出てきた不穏な言葉に、急ぎ副会長を伺う。



「んー、まぁそれならそれでいいんだけどねぇ。どっちみち、副会長が面倒みてくれないとぉー、その転校生退学になっちゃうしぃ。」


その言葉を、なんとも思っていないように話す会計に思わず息が漏れた。

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