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2 逃げたくても逃げられない
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ルチアはとても目を引く容姿であるから男性陣から言い寄られることも多い。
同等の伯爵家以下なら当たり障りなくあしらい断れるが、高位貴族となればなかなかそうはいかないのだ。
学園に入学してから頻繁にお誘いを受ける。
「ルチア嬢。この後カフェでお茶でもどうですか?」
そう誘ってきたのはタベーラカス侯爵家の御子息トッポイ様だ。行きたくはないが断るのはまずい相手である。
「タベーラカス様。お誘いありがとうございます。ですが、このあとは以前から友人と街へと出掛ける約束をしておりまして…。」
これで諦めてくださるかしら?期待を込めて言うが、この答えは気に入らなかったようだ。
「友人とは?」
明らかに不機嫌な声で聞いてくる。約束の子爵令嬢の名前を出すと「その友人との予定はずらせばいいのでは?」と、提案しているように聞こえるが実際は命令である。
彼は侯爵家。そして私は伯爵家、さらに私の相手は子爵家。彼からは全て自分より下の相手だ。
身分が全てだと考えている彼には私の予定などないも等しい。
ほら、私の意見を無視して自分の従者に相手の子爵令嬢へと断りを伝えに行かせ、私は行きたくもないカフェへ連行されて行った。
私には拒否権がない。
翌日、友人とお昼休みに食堂へ行くと第三王子であるヘンリー殿下がいた。
彼は高位貴族用の一角に取り巻きと一緒に陣取っていた。
私は気づかれないようになるべく壁際により人に紛れるようにしていた。
それなのに、私に気づき側に来ると手を握り引き寄せられた。
慌てて距離を取ろうとする。だが余りにあからさまに拒絶すれば不敬になりかねない。
そっと手を引き抜こうとするが抜けない。仕方なく出来るだけ距離を保てる様にして挨拶をする。
「ヘンリー殿下。何か御用でしょうか?
私はお昼ご飯を食べる約束で友人を待たせております。」
そんなことは関係ないとばかりに
「君のご飯は僕のところに用意しているよ。さあ、行こう。」
そういうと取り巻きの1人にアイコンタクトで私の友人に断りを入れに行かせた。
そして高位貴族男性に囲まれての嬉しくもない昼食。
ああ、今日も逃げられなかった。
同等の伯爵家以下なら当たり障りなくあしらい断れるが、高位貴族となればなかなかそうはいかないのだ。
学園に入学してから頻繁にお誘いを受ける。
「ルチア嬢。この後カフェでお茶でもどうですか?」
そう誘ってきたのはタベーラカス侯爵家の御子息トッポイ様だ。行きたくはないが断るのはまずい相手である。
「タベーラカス様。お誘いありがとうございます。ですが、このあとは以前から友人と街へと出掛ける約束をしておりまして…。」
これで諦めてくださるかしら?期待を込めて言うが、この答えは気に入らなかったようだ。
「友人とは?」
明らかに不機嫌な声で聞いてくる。約束の子爵令嬢の名前を出すと「その友人との予定はずらせばいいのでは?」と、提案しているように聞こえるが実際は命令である。
彼は侯爵家。そして私は伯爵家、さらに私の相手は子爵家。彼からは全て自分より下の相手だ。
身分が全てだと考えている彼には私の予定などないも等しい。
ほら、私の意見を無視して自分の従者に相手の子爵令嬢へと断りを伝えに行かせ、私は行きたくもないカフェへ連行されて行った。
私には拒否権がない。
翌日、友人とお昼休みに食堂へ行くと第三王子であるヘンリー殿下がいた。
彼は高位貴族用の一角に取り巻きと一緒に陣取っていた。
私は気づかれないようになるべく壁際により人に紛れるようにしていた。
それなのに、私に気づき側に来ると手を握り引き寄せられた。
慌てて距離を取ろうとする。だが余りにあからさまに拒絶すれば不敬になりかねない。
そっと手を引き抜こうとするが抜けない。仕方なく出来るだけ距離を保てる様にして挨拶をする。
「ヘンリー殿下。何か御用でしょうか?
私はお昼ご飯を食べる約束で友人を待たせております。」
そんなことは関係ないとばかりに
「君のご飯は僕のところに用意しているよ。さあ、行こう。」
そういうと取り巻きの1人にアイコンタクトで私の友人に断りを入れに行かせた。
そして高位貴族男性に囲まれての嬉しくもない昼食。
ああ、今日も逃げられなかった。
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