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アンリエッタ視点
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何やら不機嫌になった旦那様に連れられて早々に夜会から帰ることになった。
車の中でも腕を掴まれたままで怖い顔をしている。
何が粗相でもしてしまったのだろうか?
邸に到着するとスティーブンがどうしたのかと聞いてきたが、無言で寝室へと連れられていく。
途中で旦那様の恋人であるエリナが声をかけるがそれも無視。今までそんなことはなかったのに一体何があったのでしょうか?
部屋に入るとベッドに投げるように掴んでいた腕を離され、アンリエッタはベッドに倒れ込んだ。
今までそんな乱暴な事をされたことはなく戸惑う。
そんなアンリエッタを気遣うことなく覆いかぶさり睨みつけるように言う。
「ハデス卿に何を言われてた?」
旦那様は一体どうされたのでしょうか?お顔が怖いですわ。
「どうなされたのですか?何をって、フェルン様はいつもの軽い社交辞令ですわ。フェルン様のお好きな作家をご存知の方がほとんどいらっしゃらないそうで、私が偶然その作家を知っており前回の夜会で話が弾みましたの。それでその作家の作品が舞台化されるそうで、一緒に見に行かないか?と誘われておりますの。
ですが開催場所がここから遠く少なくとも1泊しなければならない場所なのです。
既婚女性としてお断りしておりますが、話のわかるお仲間が欲しいらしくなかなか諦めてくださらないのです。」
ありのままを話す。
「アンリエッタ。君は私の妻だ。そして彼は社交界で注目される人物だ。独身の彼と仲良くするのは好ましくない。下手な噂は避けたい。」
契約結婚です。契約は遵守してますわ。私は精一杯頑張っているつもりなのですが何がご不満なのだろうか?
「ええ、心得ております。」
「君は私の妻だ。他の男に媚を売る必要はない。」
そう言うと旦那様は首筋に舌を這わせ所々できつく吸い上げ所有印をつける。
アンリエッタは驚いた。妻とはいえ1年間の契約の期間限定だ。別れることが前提でしかも恋人がいるのに何故?
訳が分からず抵抗をするが旦那様を止めることは出来なかった。
翌日、重い身体をなんとか動かして新しい夜着に着替えベッドの上でいると旦那様が部屋に戻ってきた。
「やっと起きたか?」
初夜は私からお願いした事だが、昨夜の事は一体なんだったのだろう。乱暴にされてはいないが、執着というかねちっこくされた気がする。最後は覚えていないが。
「こんな格好で申し訳ありません。急ぎの話でもありましたでしょうか?」
「いや急ぎの話などない。身を清めたとはいえシャワーを浴びてさっぱりしたいだろう。昨夜は無理をさせた。きっとまだ足腰が立たないだろうから連れて行こうかと思って。」
どこか嬉しそうな甘い声の旦那様にそう言うと一瞬で真っ赤になってしまう。どこを見て良いのかわからないとばかりに視線をウロウロさせた。
結婚して10ヶ月婚約してからはほぼ2年になるがこんな甘い声は聞いたこともない。どう反応すれば良いかわからない。
「だ、旦那様のお手を煩わせる事はありませんわ。ナタリーにお願いしますから。」
「アンリエッタ。女性のナタリーが君を運ぶのはかなり無理があるよ。」
確かにそうだ。焦り過ぎだわ。
「で、ではレオンを呼びます。彼なら大丈夫でしょう。」
解決策が見出せてホッとした。
「アンリエッタ。君は夫の僕以外に身を任せる?肌を晒すというのかい?」
旦那様から聞いたこともない低い声が聞こえてきた。
「いいえ、そんな事はありません。」
旦那様が嬉しそうな声音で耳元で囁やく。
「抱き抱えて連れていってあげよう。もちろん全身洗ってあげるよ。」
ええっー。それは流石にお断りします。という間も無く浴室に連れられて体を洗ってもらってるうちに怪しい手つきになってきた旦那様に翻弄されてしまった。
車の中でも腕を掴まれたままで怖い顔をしている。
何が粗相でもしてしまったのだろうか?
邸に到着するとスティーブンがどうしたのかと聞いてきたが、無言で寝室へと連れられていく。
途中で旦那様の恋人であるエリナが声をかけるがそれも無視。今までそんなことはなかったのに一体何があったのでしょうか?
部屋に入るとベッドに投げるように掴んでいた腕を離され、アンリエッタはベッドに倒れ込んだ。
今までそんな乱暴な事をされたことはなく戸惑う。
そんなアンリエッタを気遣うことなく覆いかぶさり睨みつけるように言う。
「ハデス卿に何を言われてた?」
旦那様は一体どうされたのでしょうか?お顔が怖いですわ。
「どうなされたのですか?何をって、フェルン様はいつもの軽い社交辞令ですわ。フェルン様のお好きな作家をご存知の方がほとんどいらっしゃらないそうで、私が偶然その作家を知っており前回の夜会で話が弾みましたの。それでその作家の作品が舞台化されるそうで、一緒に見に行かないか?と誘われておりますの。
ですが開催場所がここから遠く少なくとも1泊しなければならない場所なのです。
既婚女性としてお断りしておりますが、話のわかるお仲間が欲しいらしくなかなか諦めてくださらないのです。」
ありのままを話す。
「アンリエッタ。君は私の妻だ。そして彼は社交界で注目される人物だ。独身の彼と仲良くするのは好ましくない。下手な噂は避けたい。」
契約結婚です。契約は遵守してますわ。私は精一杯頑張っているつもりなのですが何がご不満なのだろうか?
「ええ、心得ております。」
「君は私の妻だ。他の男に媚を売る必要はない。」
そう言うと旦那様は首筋に舌を這わせ所々できつく吸い上げ所有印をつける。
アンリエッタは驚いた。妻とはいえ1年間の契約の期間限定だ。別れることが前提でしかも恋人がいるのに何故?
訳が分からず抵抗をするが旦那様を止めることは出来なかった。
翌日、重い身体をなんとか動かして新しい夜着に着替えベッドの上でいると旦那様が部屋に戻ってきた。
「やっと起きたか?」
初夜は私からお願いした事だが、昨夜の事は一体なんだったのだろう。乱暴にされてはいないが、執着というかねちっこくされた気がする。最後は覚えていないが。
「こんな格好で申し訳ありません。急ぎの話でもありましたでしょうか?」
「いや急ぎの話などない。身を清めたとはいえシャワーを浴びてさっぱりしたいだろう。昨夜は無理をさせた。きっとまだ足腰が立たないだろうから連れて行こうかと思って。」
どこか嬉しそうな甘い声の旦那様にそう言うと一瞬で真っ赤になってしまう。どこを見て良いのかわからないとばかりに視線をウロウロさせた。
結婚して10ヶ月婚約してからはほぼ2年になるがこんな甘い声は聞いたこともない。どう反応すれば良いかわからない。
「だ、旦那様のお手を煩わせる事はありませんわ。ナタリーにお願いしますから。」
「アンリエッタ。女性のナタリーが君を運ぶのはかなり無理があるよ。」
確かにそうだ。焦り過ぎだわ。
「で、ではレオンを呼びます。彼なら大丈夫でしょう。」
解決策が見出せてホッとした。
「アンリエッタ。君は夫の僕以外に身を任せる?肌を晒すというのかい?」
旦那様から聞いたこともない低い声が聞こえてきた。
「いいえ、そんな事はありません。」
旦那様が嬉しそうな声音で耳元で囁やく。
「抱き抱えて連れていってあげよう。もちろん全身洗ってあげるよ。」
ええっー。それは流石にお断りします。という間も無く浴室に連れられて体を洗ってもらってるうちに怪しい手つきになってきた旦那様に翻弄されてしまった。
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