遺言

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春と言われて思い浮かぶのは何があるだろう。

春と言えば、春ならば…。
出会いと別れの季節でもあり、始まりの季節とも呼ばれる。
その中でも、始まりとは何を示すのか。

正直に話すなら、私は春が嫌いだ。
何かが始まるのが嫌だった。出来るなら停滞している方が嬉しかった。

今は1人だ。ずっと騒がしい家ですごした来たが、今は1人で起き、1人で眠る。

「いってきます」も「おやすみ」も意味をなさない。
孤独に苛まれるのも無理はなかった。

今は慣れたがそれでも寂しいとも感じる。辛いとも。

慣れればそんなものだと誰かが言った。慣れれば何とかなると。
他人の気持ちをわかったフリで、偉そうに応える。ただ長く生きてるだけの人に言われる。

腹が立つ。しかして私は堪える。ただただ我慢する。

私はこんなことの為に来たのではない。そう唱えながらも何も起こす気力もない。

私は春が嫌いだ。何かが始まってしまうため。何かを始めなくてはならないため。

皆、春をどう捉える?
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