異世界に来たんだから自分の欲望に忠実に生きる!

修ですが

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15話 同族殺し

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 あたりに包まれていた激しい喧噪もやがて収まりそれまでの出来事が嘘のような静けさが訪れた。
 時折、微かな声が聞こえて来る。
 襲撃は収まり散乱する物資とむせかえる血の臭いに吐き気がする。
  
 「うっ…う…あ」

 俺は口を押さえ吐きそうになるのを必死にこらえた。
 倒れているのは手足がなかったり腹から内臓が飛び出していたりと凄惨だ。
 死体の多くは男性で女性の死体は見当たらない。連れ去られたのどろうか。
 それとも男性陣が被害を避ける駄目に逃がしたのか、後者である事を祈ろう。

 『気配察知』に反応はあるものの多くは動かない、動けない状態なのだろう。

 俺は木から慎重に降りて『忍び足』に意識を向けた。
 辺りを警戒しながら見回す。助けられる人は助けたい。しかし、ゴブリン達がまだ彷徨いてるかも知れない。
 人助けをしたいが自分の命も大事だ。
 俺には抵抗する力はないのだから安全マージンは取っておかなければ。

 「もう、居ないな。」

 ゴブリン達は去ったようだ。また戻って来るかも知れないしこれだけの血の臭いだ。新たな獣や魔物が来る前に急いで生き残っている方達のもとに向かった。

 「ゴホッゴホッ。」

 「だ、大丈夫ですか!」

 誰が見ても大丈夫な訳がない。その男性は右手が肘から先がなく腹には大きな傷があり大量の血を流していた。

 「ああ…あ…あ、ああ…」

 もう声が出せないのだろう。口から血を流して顔は涙で汚れていた。

 男性はゆっくりと残った左腕で自分の胸をトントンと叩き腰に吊してあった短剣を俺に渡そうとしてきた。
 
 「は、はのふ」
 「らふに…させて…ふれ…」
  
 男性の目を見つめ左手をギュッと握りしめた。
 「楽にすれば良いんですね?」
 意味は通じている、苦しいから楽にさせてくれ!と、言いたかったのだろう。
 動物すら殺した事がない身で人を。
 無理だ、無理です、出来ません。俺は逡巡した。
 「すいません、俺には」
 懇願する目。もう声が出ないのか口をパクパクしている。
 握っている手を強く握り返してきた。まるで、声の代わりに頼むと言っているように。
 俺は男性の胸元の防具を外して短剣を構える。何かの本で胸に刺す場合はあばら骨があるので縦ではなく刃を横にしないと届かないと記憶していた。
 構えただけで躊躇っていると口から大量の血を吐き出し苦しいそうにゼイゼイと息をしだした。
  俺は息を止めて目を伏せ手に力を込め突き刺した。手に肉を斬る感触が伝わり驚いて手を離してしまった。
 男性は既に呼吸を停めて項垂れていた。

 「殺した、殺した。」
 「俺が…俺が殺した。」

 俺は人を殺した。動物すら殺した事がない俺が人を。
 頭が真っ白になっていくのが解る。
 何も考えられない…。


 ♢  ♢  ♢

 どれ位、意識が飛んでいたのか解らないが頭の中に大きな声が響いた。

 《レベルアップしました。》
 筋力が3上がりました。
 体力が3上がりました。
 精神が3上がりました。
 敏捷が1上がりました。
 器用が1上がりました。
 魔力が1上がりました。
 最大Hpが30上がりました。
 最大Mpが10上がりました。
 スキルポイントを5p獲得しました。


 初回討伐報酬として『同族殺し』が付与されます!

 『同族殺し』

 同じ種族を殺害する度に各種パラメータに補正が入ります。
 筋力、体力、精神に補正(大)
 敏捷、魔力、最大Hpに補正(中)

 レベルに応じて補正効果アップ
 隠しスキルのため隠蔽効果が常に発動。

 『短剣スキルを獲得しました。』

 『短剣術』

 刃渡りの短い剣を操る技術。
 レベルに応じて技術と殺傷力が増加。
  
 レベル1(0/10)

 「は?」

 人を殺してレベルアップとは。
 只の人助けのはずが逆に精神に大きなダメージを負ってしまった。
 何時までも呆けてる訳にも行かずこの場を立ち去る事にした。
 もう、一切の声が聞こえないという事は…。
 新しいスキルの事や人を殺した事、今後の事。考えなければいけない事を後回しにして俺は駈けだした。
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