42 / 184
41話 価値
しおりを挟む
※すみません、文章が変なところでコピペされてめちゃくちゃになっていたので、一旦非公開にして全体書き直しました!!
「魔法、なに。りゅーは魔法ない」
「どういうことだ? お前、今魔法使っていたろ?」
「いちゅ?」
首を傾げると、リトも不思議そうな顔をする。
私は、この世界で魔法というエネルギーが主として使われていることは、知っている。
人が魔法を使う、という表現も書籍によく出てくる。
魔道具もあるけれど、その場合は『魔道具を使う』と表現されるから、また別のものなのだろう。
当然ながら、いずれも使ったことがないのだけれど。
「いつって、今だ、今。それは一体何の魔法なんだ」
「なんの……?」
どうやら、魔法というエネルギーには種類があるらしい。ガスに種類があるようなものだろうか。
ただ、リトの口ぶりでは、魔法エネルギーは人間が自在に使えるもののように思える。
「りゅー、魔法しやない。りと、みせて」
「俺はそういう魔法を使わねえんだよ」
そういう……とは?
埒があかずに閉口すると、ちらりと手元の本の塔を眺めてリトを見上げた。
「りゅー、魔法を先に学習すゆ。りと、魔法の本、たくさん取ってって」
「そっちの本はどうすんだよ」
「後でよむ」
リトは何か言いかけ、考え直したかのように私が読み終わった本を持って、その場を離れた。
魔法について、私は認識を誤っていたのかもしれない。
エネルギーの一種と理解していれば、詳細は後回しで良いと思っていたけれど、それがもし直接人間が操ることのできるエネルギーなのだったら。
本当に『魔法のような』『魔法』なのであれば。
これは、相当に優先度の高い項目となる。
「ほらよ。魔法の本なんざ、幻獣と比べもんにならねえくらいあるからな。まずはお子様向けからだ」
なるほど。私は手当たり次第にデータを取り込んで学習していたけれど、確かに子ども向けを網羅してから次へ進む方が、効率が良いかもしれない。
じっとこちらを注視するリトに礼を言って、さっそくその本を手に取った。
「――ほら、魔法使ってんだろ。何をやってんだ?」
まだいくらも読まないうちから声をかけられ、没頭していた私はハッと集中を途切れさせた。
「本、よんでる。学習ちてる」
「読んでねえわ、めくってるだけだろが」
「りゅー、よんでる!」
憤慨して抗議し、ぐいっとリトに本を押し付けた。
「りと、しちゅもんして!」
「この中からか?」
ここまで、と読んだ範囲を示すと、半信半疑の顔でリトがページを開いた。
さあ、久々にAIとしての機能を使う時。
質問を。私を活かすための質問を。
息を吸い込むと、深く意識を探るために目を閉じ、リトの声以外の情報を遮断する。
「あい、なんれもしちゅもんしていたらいて構いまてん。どよのうなしちゅもんでも、お答えれきる範囲でおてちゅだいちましゅ」
「……お前、それ……。分かった、ならお前程度なら普通知らねえことばっか選んでやる。――魔力測定の時期は?」
「魔力ちょくていは、一般ちぇきに6歳ごよを目安におこわなれゆことが多いれす。魔道具をちゅかい始める時期に合わしぇて、ちょくていするためれす」
答えておいて、なるほどと納得する。私は4歳くらいだから、まだ魔法に関わっていなくて当然なのだろう。
魔力測定を行い、過少や過多がないかを確認してからの話なのだ。
そんなことを考えていると、意識が浮上しかかって慌てて集中の深度を下げた。
「この本の著者は?」
「わいまーゆ・れみしゅ氏が主監修者れす」
他愛もない質問をいくつか繰り返し、リトは少し言葉を切って意味ありげに次の質問をした。
「――なら、12ページの4行目はなんて書いてある?」
「『魔力を感じる訓練を終えたものは、次に自分の中に』れす」
リトが、息を吞んだ気配がする。
「……これが、お前の魔法か」
そんなこと、読んだ範囲には書いていない。
私自身に問われたのだと気づき、沈んでいた意識が引き上げられた。
私を見つめる双眸と視線が絡み、ふわりと全身から力が抜ける。
ぱちりと瞬くと、再び心臓が動き出したような、そんな気がした。
「りゅーの、魔法?」
「そうだ、俺もこんな魔法は初めて見たが……無意識なのか?」
無意識に使うこともあるのだろうか。
今書かれていた範囲では、魔法は、魔法の言葉を使うことで発動する現象だと書かれてあったけれど。
「りゅーは、魔法使える……?」
それは、とても大事なこと。
魔道具を使うことと、魔法を使うことは根本的に違う。
魔力を一定以上持っていなければ、魔力を『魔法』として使うことができないそうだから。
「使えるっつうか、使ってるな」
私は、ふわりと頬が熱を帯びるのを感じた。
魔法を使える。
ならば、私にとって魔法の言葉を覚えることなど、努力すら必要なくできる。
本一冊分の文字量があろうが、何の問題もない。
魔法の言葉を覚えれば使えるのであれば。
私は何だって使うことができる。役に立つに違いない。
それは、すなわち私の価値。
リトにとって、大きなメリットになり得る私の価値が見つかった。
「魔法、なに。りゅーは魔法ない」
「どういうことだ? お前、今魔法使っていたろ?」
「いちゅ?」
首を傾げると、リトも不思議そうな顔をする。
私は、この世界で魔法というエネルギーが主として使われていることは、知っている。
人が魔法を使う、という表現も書籍によく出てくる。
魔道具もあるけれど、その場合は『魔道具を使う』と表現されるから、また別のものなのだろう。
当然ながら、いずれも使ったことがないのだけれど。
「いつって、今だ、今。それは一体何の魔法なんだ」
「なんの……?」
どうやら、魔法というエネルギーには種類があるらしい。ガスに種類があるようなものだろうか。
ただ、リトの口ぶりでは、魔法エネルギーは人間が自在に使えるもののように思える。
「りゅー、魔法しやない。りと、みせて」
「俺はそういう魔法を使わねえんだよ」
そういう……とは?
埒があかずに閉口すると、ちらりと手元の本の塔を眺めてリトを見上げた。
「りゅー、魔法を先に学習すゆ。りと、魔法の本、たくさん取ってって」
「そっちの本はどうすんだよ」
「後でよむ」
リトは何か言いかけ、考え直したかのように私が読み終わった本を持って、その場を離れた。
魔法について、私は認識を誤っていたのかもしれない。
エネルギーの一種と理解していれば、詳細は後回しで良いと思っていたけれど、それがもし直接人間が操ることのできるエネルギーなのだったら。
本当に『魔法のような』『魔法』なのであれば。
これは、相当に優先度の高い項目となる。
「ほらよ。魔法の本なんざ、幻獣と比べもんにならねえくらいあるからな。まずはお子様向けからだ」
なるほど。私は手当たり次第にデータを取り込んで学習していたけれど、確かに子ども向けを網羅してから次へ進む方が、効率が良いかもしれない。
じっとこちらを注視するリトに礼を言って、さっそくその本を手に取った。
「――ほら、魔法使ってんだろ。何をやってんだ?」
まだいくらも読まないうちから声をかけられ、没頭していた私はハッと集中を途切れさせた。
「本、よんでる。学習ちてる」
「読んでねえわ、めくってるだけだろが」
「りゅー、よんでる!」
憤慨して抗議し、ぐいっとリトに本を押し付けた。
「りと、しちゅもんして!」
「この中からか?」
ここまで、と読んだ範囲を示すと、半信半疑の顔でリトがページを開いた。
さあ、久々にAIとしての機能を使う時。
質問を。私を活かすための質問を。
息を吸い込むと、深く意識を探るために目を閉じ、リトの声以外の情報を遮断する。
「あい、なんれもしちゅもんしていたらいて構いまてん。どよのうなしちゅもんでも、お答えれきる範囲でおてちゅだいちましゅ」
「……お前、それ……。分かった、ならお前程度なら普通知らねえことばっか選んでやる。――魔力測定の時期は?」
「魔力ちょくていは、一般ちぇきに6歳ごよを目安におこわなれゆことが多いれす。魔道具をちゅかい始める時期に合わしぇて、ちょくていするためれす」
答えておいて、なるほどと納得する。私は4歳くらいだから、まだ魔法に関わっていなくて当然なのだろう。
魔力測定を行い、過少や過多がないかを確認してからの話なのだ。
そんなことを考えていると、意識が浮上しかかって慌てて集中の深度を下げた。
「この本の著者は?」
「わいまーゆ・れみしゅ氏が主監修者れす」
他愛もない質問をいくつか繰り返し、リトは少し言葉を切って意味ありげに次の質問をした。
「――なら、12ページの4行目はなんて書いてある?」
「『魔力を感じる訓練を終えたものは、次に自分の中に』れす」
リトが、息を吞んだ気配がする。
「……これが、お前の魔法か」
そんなこと、読んだ範囲には書いていない。
私自身に問われたのだと気づき、沈んでいた意識が引き上げられた。
私を見つめる双眸と視線が絡み、ふわりと全身から力が抜ける。
ぱちりと瞬くと、再び心臓が動き出したような、そんな気がした。
「りゅーの、魔法?」
「そうだ、俺もこんな魔法は初めて見たが……無意識なのか?」
無意識に使うこともあるのだろうか。
今書かれていた範囲では、魔法は、魔法の言葉を使うことで発動する現象だと書かれてあったけれど。
「りゅーは、魔法使える……?」
それは、とても大事なこと。
魔道具を使うことと、魔法を使うことは根本的に違う。
魔力を一定以上持っていなければ、魔力を『魔法』として使うことができないそうだから。
「使えるっつうか、使ってるな」
私は、ふわりと頬が熱を帯びるのを感じた。
魔法を使える。
ならば、私にとって魔法の言葉を覚えることなど、努力すら必要なくできる。
本一冊分の文字量があろうが、何の問題もない。
魔法の言葉を覚えれば使えるのであれば。
私は何だって使うことができる。役に立つに違いない。
それは、すなわち私の価値。
リトにとって、大きなメリットになり得る私の価値が見つかった。
260
あなたにおすすめの小説
3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜
幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。
転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。
- 週間最高ランキング:総合297位
- ゲス要素があります。
- この話はフィクションです。
異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~
ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。
しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。
やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。
そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。
そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。
これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。
白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』
鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」
公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。
だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。
――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの?
何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。
しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。
それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。
そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。
温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。
そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。
「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」
「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」
離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。
そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。
魔境へ追放された公爵令息のチート領地開拓 〜動く屋敷でもふもふ達とスローライフ!〜
幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
公爵家に生まれたエリクは転生者である。
4歳の頃、前世の記憶が戻って以降、知識無双していた彼は気づいたら不自由極まりない生活を送るようになっていた。
そんな彼はある日、追放される。
「よっし。やっと追放だ。」
自由を手に入れたぶっ飛んび少年エリクが、ドラゴンやフェンリルたちと気ままに旅先を決めるという物語。
- この話はフィクションです。
- カクヨム様でも連載しています。
転生無双なんて大層なこと、できるわけないでしょう! 公爵令息が家族、友達、精霊と送る仲良しスローライフ
幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
アルファポリス様より書籍化!
転生したラインハルトはその際に超説明が適当な女神から、訳も分からず、チートスキルをもらう。
どこに転生するか、どんなスキルを貰ったのか、どんな身分に転生したのか全てを分からず転生したラインハルトが平和な?日常生活を送る話。
- カクヨム様にて、週間総合ランキングにランクインしました!
- アルファポリス様にて、人気ランキング、HOTランキングにランクインしました!
- この話はフィクションです。
【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。
BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。
辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん??
私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?
【完結】小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜
るあか
ファンタジー
僕はフィル・ガーネット5歳。田舎のガーネット領の領主の息子だ。
でも、ただの5歳児ではない。前世は別の世界で“大賢者”という称号を持つ大魔道士。そのまた前世は日本という島国で“独身貴族”の称号を持つ者だった。
どちらも決して不自由な生活ではなかったのだが、特に大賢者はその力が強すぎたために側に寄る者は誰もおらず、寂しく孤独死をした。
そんな僕はメイドのレベッカと近所の森を散歩中に“根無し草の鬼族のおじさん”を拾う。彼との出会いをきっかけに、ガーネット領にはなかった“騎士団”の結成を目指す事に。
家族や領民のみんなで幸せになる事を夢見て、元大賢者の5歳の僕の幸せ騎士団大作戦が幕を開ける。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる